現在地 HOME > 掲示板 > 雑談専用10 > 243.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 鶴見俊輔は「一番主義者」じゃないのですね? 投稿者 baka 日時 2004 年 7 月 18 日 18:27:41)
baka さん レスありがとうございます。
「鶴見俊輔は「一番主義者」じゃないのですね?」
という問いですが、鶴見は大変な「エリート」でもあります。
後藤新平の孫であり、父鶴見祐輔は東京帝大英法科の銀時計 作家で親米派の自由主義者であったが
のちに「転向」して大政翼賛会総務となる。戦後占領軍に公職追放されるが、のち鳩山一郎(由紀夫、
邦夫兄弟の祖父)内閣で厚生大臣となります。(「期待と回想」より)
「貧乏で一生懸命勉強して、一番になる以外の価値観のない」父親への鶴見俊輔の怨念、呪租はすさま
じいものがあります。小学校の成績はビリ、中学は放校され女性遍歴、自殺未遂を繰り返し精神病院
にも入院しています。彼が自分を「不良、やくざ」と呼ぶのも単なるディレッタントとは言えないもの
があります。鶴見がアメリカに行ったのも、息子の所業が世間に知れるのを恐れた父親が半ば追放
したに等しい。要は元祖結城純一郎です。(笑)
しかし結城純一郎と異なるのは、後に結核を発病するほどの猛勉強の結果ハーバード大学に入学
したことでしょう。動機について鶴見は明確に語っていませんが「父親を見返す」という理由を否定
できないと思います。ハーバードではソシュールの言語論や記号学を学んでいます。
(だから吉本隆明の「言語にとって美とは何か」などアホらしくて読めなかったと推察します。)
日米開戦と同時に「クロポトキンの著作を所持していた適性外国人」ということで逮捕されますが
ハーバードの学友、教授の尽力で「卒業」しています。
(そういえば総理大臣経験者の孫である某幹事長も家庭内暴力の挙句、南カルフォルニアの
「サーファーご用達遊び人大学」に御留学めされたようですが、中身は大違いのようです。)
私が鶴見俊輔の思想に完全に共感できないのは「なぜアメリカに亡命せず日本に帰ったのか」と
いう一点です。彼は明確に理由を語らない。おそらく俊輔が亡命すれば父親は完全に政治生命
を絶たれ失脚したに違いありません。結局父(家族)をとったのではないか、そのことを現在
から見て過去を断罪することが、どんなに不遜であることかは判っているつもりです。
しかし「敢えて亡命を選んだ日本人」の有無が戦後日本の言説空間でどれほど重要な意味が
あったのか、無いものねだりを承知の上で考えざるを得ないからです。