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イランと共にシリア封じ込めを狙うブッシュ政権〜(財)中東調査会「かわら版」9/21
http://www.asyura2.com/0406/hasan36/msg/974.html
投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 29 日 10:30:02:ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: イラク原油輸出増と市場の反応 最近のエネルギー情勢から9/28 (idcj) 投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 29 日 10:20:15)

■イランと共にシリア封じ込めを狙うブッシュ政権〜(財)中東調査会「かわら版」から
(2004年9月21日掲載)


 イランの核開発問題を巡って国連安全保障理事会への付託を目指す動きを強めるブッシュ政権は今夏以降、シリアを封じ込めようとの動きも活発化させている。特にシリアのレバノンとの特別な関係の清算を求める姿勢を鮮明化させており、2004年9月2日には、レバノンの主権尊重とレバノン大統領選挙への外国の不干渉を求める安保理決議1559号を成立させている。9月13日には、米国からの圧力があったのか、サウジアラビア、クウェイト等で構成される湾岸協力会議(GCC)が間接的な言い回しながらシリアにレバノン撤退を求める決議を行っている。さらに9月15日には、こうした米国の対シリア圧力の高まりを懸念したムバーラク・エジプト大統領が突然、シリアの首都ダマスカスを訪問し、アサド・シリア大統領と会談している。以下では、(財)中東調査会の最近の「かわら版」からシリア情勢に関するものを紹介することとしたい。 
(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹)


レバノン:大統領選挙をめぐる動き(各種報道)
 

1.ベッリ国会議長とハリーリ首相のシリア訪問(8 月27 日付現地各紙)
※ 会談に関する公式声明等は一切出されていないが、11 月のレバノン大統領任期満了問題の協議が目的であったのは確実とレバノンでは受けとめられている。 

(1) 8 月26 日、バッシャール・シリア大統領は最近のイラク及びパレスチナ情勢に関しベッリ国会議長及びハリーリ首相と個別に会談した。
(2) バッシャール大統領はそれぞれの会談において、レバノンが国家的統一を維持し、両兄弟国共通の利益のため調整の継続が重要であるとの考えを示した。

(3) ベッリ議長はバッシャール大統領に対し、シリア制裁法に反対する南部レバノン住民10 万人の署名を記載した「国民権利擁護委員会」名の冊子を献呈した。

 

2.ハリーリ首相の動向(8 月27 日付現地各紙)
(1) バッシャール大統領との会談はわずか15 分で終り、ハリーリ首相はレバノンに戻った後、ガザーレ・レバノン駐留シリア軍情報局長、ジュンブラート議員(進歩社会党党首)のもとを訪れた。

(2) ロイター通信は政治家筋の話として、ハリーリ首相はラフード大統領が再選される見込みが強まっていることに抗議するため、辞職を真剣に検討していると報じたが、ハリーリ首相に近い筋はこの報道の内容を否定した。

 

3. 大統領任期延長に関する臨時閣議開催(8 月28 日、現地報道局のニュース速報)
 本日午前10 時半に緊急の臨時閣議が開催され、11 月に満了となるラフード大統領の任期を3 年間延長する憲法第49 条の改正法案が閣議決定された。同閣議では、ジュンブラート進歩社会党党首派の3 閣僚が同憲法改正法案に反対した。「サフィール」紙によれば9 月2 日のアラブ諸国議会連盟会合の終了後に臨時国会が召集される見込みがく、その際審議、採択される模様。また、「ナハール」紙は来週中の臨時国会召集の可能性を指摘している。
 

4.シャラ・シリア外相の発言(8 月29 日付「シャルク・ル・アウサト」紙)
 我々は全面的にレバノン憲法を尊重している。しかし、もし憲法が規定する手続により大多数が憲法改正に賛成するのであれば、その「尊重」とは憲法がその枠組み内で改正できないことを意味しない。憲法は尊重され続けなければならないが、憲法改正は法的な問題である。

 

5.アーミテージ米国務副長官によるシリア非難(8 月29 日付「ナハール」紙)
(ラジオ・サワのインタビューに応えて)シリアは非常に危険なゲームをしている。なぜなら、シリアはレバノン国民に対立していることになるからだ。シリアはレバノン国民に対して軽蔑の念を示しており、長期的にシリアの利益に害を与えるであろう。

 

6.バウチャー米報道官の発言(8 月30 日米国務省定例記者会見)

(1) 我々は、ターイフ合意から15 年たった今、同合意の精神に立ち、全ての外国軍隊がレバノンから撤退する時期が来たと考えており、レバノンの多くの人々もそう考え、既存の憲法を支持しているものと思う。我々は、レバノンの人々が外部勢力からの影響を受けることなく、自ら決定することを認められるべきであるとも考える。

(2) 我々は、既に様々なレベルでシリアと協議してきている。


 

 

シリア:安保理決議1559 号の採択に対する反応(現地各紙他)
 

1. 9 月3 日(シリア時間)、レバノンの主権尊重と大統領選挙への外国の不干渉等を求める安保理決議1559 号が、賛成9、反対0、棄権6 で採択された。同決議の共同提案国である米国及び仏国は必要な賛成票を確保するため、当初提出した決議案中の、「シリア軍のレバノンからの撤退」を「外国軍のレバノンからの撤退」に改め、「追加的措置の検討もあり得る」との文言を削除する修正に応じた。
 

2. 9 月3 日、米国務省定例記者会見でのバウチャー報道官発言

(1) (「イスラエルによる占拠に本決議は対応していない」とのレバノン外相による批判について問われ)国連はイスラエルがレバノンから撤退した旨保証している。本件は現状では問題となっていない。

(2) (「内政不介入の原則に反する」との同外相の発言について問われ)ターイフ合意及び数々の決議を考えれば、レバノンが外国の軍隊もしくは影響からの介入を受けることなく主権と独立を回復することは国際社会の関心事である。国際社会は今回の決議が採択される前から本問題を取上げてきている。

 

3.各紙の反応

(1) 9 月3 日付「サウラ」紙「今シリアが脅迫されるのは何故か」

(イ) レバノンの内政問題とシリア・レバノンの同胞関係への米国による干渉とイスラエルによる対シリア攻撃の脅迫が同時に行われたのは、米国の対中東戦略が背景となっている。

(ロ) 米国は、イスラエルの国益と同国の拡張論者の野望に添った形で同国の地図を引き直し、政策を変更することを計画している。
(ハ) 米国が安保理での採択を目指した決議案は、イスラエルが毎日のようにレバノン領土を侵犯しているにもかかわらず、レバノン国軍をレバノン南部に本格的に展開させることにより、レバノン国民の抵抗活動を制圧させ、国境におけるイスラエルの安全を確保するというイスラエルの目的に叶っている。

 

(2) 9 月5 日付「バアス」紙「不適切な決議」
(イ) 最近のレバノン関連安保理決議は、レバノンとアラブ地域並びに国際社会の平和と安定を目指す安保理の役割と任務との関係で多くの矛盾がある。

(ロ) レバノン憲法改正については、レバノン議会、つまり国民の代表として同改正案に賛成した代議士達の問題である。

(ハ) 安保理による国連加盟国の内政問題への干渉は、危険な前例となり得る。

  

 

 

レバノン:大統領の任期延長決定(9 月3 日付現地各紙)
 

1. 国会における憲法修正法案の可決

(1) 9 月3 日午後6 時、ラフード大統領の任期を1 回限り3 年間延長するための憲法第49 条(大統領の2 期連続再選を禁止)の修正法案が国会で審議され、賛成96、反対29(欠席3)で可決された。(可決に必要な賛成票は総議員3 分の2の86)。この臨時国会は午後8 時半に終了した。同法案の成立により、ラフード大統領の任期は2007 年11 月まで延長され、今年11 月に予定されていた大統領選挙は実施されない。

 

(2) レバノン内戦終了後、憲法は今回を含め3 回、大統領の任期満了の度に修正されてきた。1 回目は1995 年にヘラウィ前大統領の任期延長のため、2 回目は1998年にラフード大統領選挙のため(ラフード大統領は当事国軍司令官であり、憲法49 条によれば一級公務員は退職後2 年間を経なければ大統領になれない)に修正された。

 

(3) 国会における各議員の行動
(イ) 当初の予測通り、ジュンブラート議員(進歩社会党党首)の国会会派「民主会合」及びキリスト教反体制派グループ「コルネット・シャフワン(CS)会議」所属の議員らが反対票を投じた。また、ラフード大統領と激しい対立関係にあるハリーリ首相の国会会派所属議員は賛成に回った。

(ロ) 採決に先立ち、次期大統領候補に名乗りをあげていた議員達(ブトロス・ハルブ議員、ミハエル・ダーヘル議員、ナイラ・ムアウワド議員)等がそれぞれ憲法修正法案に反対する演説を行った。

 

2. 9 月3 日付週刊誌「アッシラーア」による世論調査

(1) 約1000 人に対する世論調査では、65%がラフード大統領の任期延長を可能にする憲法修正に反対、74%が新大統領選出に賛成であった。ラフード大統領の業績については、38%が「普通」、29%が「期待以下」、21%「何ら業績なし」、10%が「重要な業績があった」との評価であった。また、84%が外国勢力がレバノン大統領選挙の結果を牛耳っているとの考えであった。

(2) 望ましい大統領は誰かとの質問に対し、22%がナシーブ・ラフード議員、17%ブトロス・ハルブ議員、13%がファランジーエ保健相、5%がオベイド首相を挙げた。


 

 

シリア:ラヴロフ・ロシア外相の訪問(9 月8 日付現地各紙)
 

1.バッシャール大統領との会談

(1) 9 月7 日、バッシャール大統領はラヴロフ・ロシア外相と会談し、相互尊重と共通利益に基づく二国間関係及び経済協力強化の方策について協議したほか、中東和平が停滞している理由につき話し合った。同会談にはシャラ外相も同席した。

(2) ラヴロフ外相は、ロシア・オセチア北部のテロ事件についてシリアがロシアに同情的な立場をとったことにつき感謝の意を表明した。また、同外相はシリアの中東及び国際社会における立場と役割を評価し、ロシアはバッシャール大統領の来る訪ロを歓迎していると強調した。

 

2.シャラ外相とラヴロフ・ロシア外相の共同記者会見

(1) シャラ外相の発言

(イ)  二国間関係、中東情勢

バッシャール大統領とラブロフ外相との会談は非常に有意義であった。中東及び国際情勢に関する両国の見解は非常に近づいた。また、自分(シャラ外相)はラヴロフ外相と、二国間関係の各分野、バッシャール大統領の来るロシア訪問及びその重要性について協議したほか、パレスチナ情勢や中東和平、イラク情勢についても長時間に亘って協議した。

 

(ロ)  イラク情勢

(a) イラク情勢に関する双方の見解は非常に似通っており、双方はイラクにおける治安が継続的に悪化していることについて遺憾の意を表明した。安全が欠如していては、どのイラク政府も政治的・社会的環境を整えることができない。

(b) イラクの自由と統一が実現することが重要である。イラク国民が直面している問題には二種類ある。一つは抵抗運動であり、もう一つはテロである。この二つは区別されなければならない。市民や市民機関といった占領軍以外のものを標的とするのはテロである。人々がテロではなく、占領継続に立ち向かう抵抗運動に共鳴するのは明らかだ。自分は、イラク暫定政府が両者の相違に気付き始め、行動し始めたと考えており、またそう願っている。アッラーウィー首相がシリアを訪問した際、この点について広く協議が行われ、お互いに理解を示した。

 

(ハ)  レバノンに関する安保理決議1559 号

(a) もし、同決議があと1 国から支持を得られなかったならば、決議を支持した諸国にとって大きな痛手となったであろう。だからこそ、シリアとレバノンに対する内政干渉となることを可能な限り避けるべくして決議案に修正が入ったのであり、かかる修正を軽視すべきではない。

(b) (決議実施に向けて国連事務総長に与えられた30 日間の猶予について)本件は何も特定されていない。どの安保理決議も30 日間の猶予期間に関するパラグラフが挿入されており、今回もルーティーンとして挿入された。事務総長やその補佐に求められていることは、同決議に関する報告書を提出することである。同報告書はシリアとレバノン間の重要な関係に影響を与えることはない。今後、両国関係は更に強化され、開放的なものとなるだろう。

(c) シリアはロシアや中国に対し、決議を支持しないことを求めたが、拒否権の行使は求めなかった。なぜなら、シリアはいかなる形のエスカレーションも望んでおらず、同決議が適切な形になることを望んでいたからだ。

 

(2) ラヴロフ外相発言

(イ) ロシアはバッシャール大統領の訪ロを重要なものと考えている。なぜなら、同訪問は両国関係の法的基礎を再調整する機会となるからである。なお、訪問の日時は外交ルートで決定される。

(ロ) イラクの安定と選挙の実施のためには、あらゆる層のイラク人の参加が必要である。イラク周辺国と安保理常任理事国がこれに貢献する必要がある。自分(ラヴロフ外相)はシリアに対し、イラクに関する国際会議の提案を行った。

(ハ) バッシャール大統領は、シリアがテロとの闘いにおいてロシアとの強固な同盟国であり続けると強調した。中東の問題や拡大中東構想に対する両国の立場は一致している。

 

 

  

シリア:バーンズ米国務次官補の訪問(9 月11 日) (9 月12 日付現地各紙)


1.シリア外務省声明要旨

(1) シリアは、シリアの国益及び域内の安全と安定に対する願望に基づき、今回バーンズ国務次官補の訪問を真摯に受け入れた。

(2) 米国代表団が、シリアがこれまで宣言しているイラクの領土保全、同国民の結束、安全と安定といったシリアがイラク問題に対して明らかにしている立場について認めながら、イラク問題における協力を中心に協議したことは、前向きな点であった。
(3) 両国はイラク問題について詳細に亘る協議を行った。イラク問題は、シリアと米国にとって極めて重要な優先課題である。この目標を達成すべく両国の専門家が、イラクと協力しつつ実質的かつ具体的な措置を取ることに合意した。

(4) バーンズ次官補のバッシャール大統領との会談では、米国による中東地域における公正且つ包括的な和平の実現に対するコミットメント並びに、アラブ占領地における暴力の連鎖を止めることの必要性について話し合った。
(5) レバノン情勢については、全ての関係者がレバノンの独立と主権を尊重することと、ターイフ合意の実施の必要性について強調した。

(6) 会談の終りに、バーンズ次官補は、より良い具体的な結果を得るために、対話の適切な基盤を確立させ両国の懸案事項の建設的な解決の基礎を築くべく適切なメカニズムを通じた両国間会談の強化が行われることとなると強調した。

 

2.バーンズ米国務次官補の記者団への発言要旨(AP 等外電)

(1) 米国は、レバノンにおける政治手続におけるシリアの介入に対する米国の深い懸念を強調した。安保理決議1559 号にしたがって、シリアはレバノンの内政問題への干渉を停止、同国からシリア軍を撤退、レバノン国内におけるレバノン軍と政府の権威を確立させなければならない。

(2) シリアがレバノンに関する米国の要求を受け入れ、シリアに本拠地がある武装パレスチナ諸派への支援を止め、イラク情勢の安定に貢献しようとしなければ、米・シリア関係は改善しない。

(3) もし、シリアがこれら懸念に対する行動を起こせば、両国関係は双方にとって前向きな方向に進むであろう。現在、シリアの利益と域内の安定のために具体的な行動を起こす時期である。

(4) シリアは、国家、個人、組織によってシリア国内で、またシリアから行われている暴力とテロに対する直接的・間接的支援(※ハマス等パレスチナ過激派に対する支援)を止めさせる措置を取る必要がある旨バッシャール大統領に伝えた。

(5) ブッシュ大統領は包括的な中東和平にコミットしているが、このような和平は暴力を背景にしては達成できない。

(6) バッシャール大統領とは、イラク国境問題に関し、米軍の専門家がシリア、イラク両軍と協力して取り得る実質的な措置について話し合った。この点においても、レトリックではなく、実質的進展があることが最も重要である。

((財)中東調査会 かわら版)

  エネルギー・環境室では、(財)中東調査会とホームページの相互乗り入れを開始いたしました。毎週一つの記事を相互のホームページに掲載いたします。また、(財)中東調査会のホームページはこちら(http://www.meij.or.jp)からご覧いただけますので、奮ってご利用ください。(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹)  

http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040921.htm

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