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(回答先: オマーンから見た国際石油情勢〜マスカット発9/28 畑中美樹 投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 29 日 10:51:15)
■リビアから見た国際石油情勢〜トリポリ発
(2004年9月27日掲載)
2004年9月21日(月)、22(火)、リビアの首都トリポリで、シュクリ・ガーネム首相、ファトヒ・シャトワン・エネルギー相等のリビア政府首脳と面談した。以下では、同面談時の要点をのみ紹介することとしたい。
〈シュクリ・ガーネム首相〉
(1) 今の国際石油情勢は、供給が需要を上廻っているのに原油価格が上昇している。これは、主として中東の政治情勢が不安定だからである。
(2)
勿論、その他にも中国をはじめとする需要の予想外の増大やOPECの供給余力の低下があった。こうした状況を見て投機マネーが石油先物市場にシフトして、油価をさらに上昇させた。
(3)
イラクやサウジアラビアといった中東の不安定性は依然続くし、OPECの供給余力もすぐには拡大しない。また需要の伸びも続くであろうから、今後も油価は、さらなる上昇はないとしても、現在の水準よりそう下がらないだろう。
(4)
イラクでの石油パイプラインへの攻撃が、その他の産油国に拡大する懸念もあるかもしれない。
(5)
ところで、国際石油情勢のタイト化はリビアには有利に働こう。なぜならばリビアは鉱区を外国石油会社に開放しており、石油生産の増加を目指しているからだ。
(6)
先般(9月20日)、ロンドンで開かれたリビア鉱区開放の説明会には何と276社の参加があった。リビアが欧州市場に近く油種も軽質油が多いので、それだけ魅力的ということであろう。
(7) リビアは今回、探査向けとして15鉱区(陸上6鉱区、沖合い9鉱区)を開放したが、今後さらに140〜150鉱区を開放して行く。
(8)
経済面では、ミスラタをフリートレード・ゾーンにしようと計画しているので、是非知恵を貸して頂きたい。また日本には海水淡水化や電力インフラの整備・拡張への協力もお願いしたい。
〈ファトヒ・シャトワン・エネルギー相〉
(1) 国際石油情勢を見ると、供給が需要を150〜160万b/d上囘っている。したがって、原油価格の上昇は経済的要因によるものではないということになる。
(2) 油価上昇は、特に、イラクとサウジアラビアにおける不安の増大や中国を中心とする需要の増大、OPEC生産余力の低下、投機資金の流入により引き起こされた。これらの要因によって、現在の原油価格は、本来あるべき水準よりも1バレルあたり10〜15ドル高くなっている。
(3) OPECが目標価格帯(以下、プライスバンドとする)としている1バレル当たり22〜28ドルは、ドル価値の低下やインフレの進行を考えれば明らかに低過ぎる。
(4)
OPECの大半の諸国はプライスバンドを引き上げるべきと考えており、リビアもそのように考えている。但し、引き上げ幅については、OPEC諸国の中にもやや差異がある。30ドルを中心価格とすべきと考える国もあれば、32ドルを中心価格とすべきと考える国もある。
(5)
プライスバンドは、前者であれば、26〜34ドルとなるし、後者であれば、28〜36ドルとなる。但し、サウジアラビアは幾つかの理由から現時点でのプライスバンドの引き上げには慎重であるべきと考えている。
(6) リビアのエネルギー省は電力部門も管轄しているが、送電能力を引き上げようと努めている。また、送電効率の上昇、送電ロスの防止にも取り組んでいる。これらの点で日本の技術に期待したいので、援助をお願いしたい。
(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹<はたなか・よしき>)
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040927.htm