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(回答先: イランと共にシリア封じ込めを狙うブッシュ政権〜(財)中東調査会「かわら版」9/21 投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 29 日 10:30:02)
■オマーンから見た国際石油情勢〜マスカット発
(2004年9月28日掲載)
2004年9月25日(土)、26日(日)の2日間、オマーンのマクブール・アリ・スルタン商工相、ムハンマド・ハミド・アル・ルーミ石油・ガス相、アブドルマリク・A・アル・ヒナイ国家経済省次官等と面談した。以下では、同面談時から、主に国際石油情勢に関する見解の要点のみを紹介することとしたい。
〈「懸念」と「不確実性」から「混乱」するマーケット〉
(1) 現在の国際石油市場は、供給が需要を上廻っているのに油価が上昇するという混乱した状態にある。
(2)
これは、中東情勢、特に益々悪化するイラクの治安への懸念とサウジ国内情勢の不確実性によるところが大きい。
(3)
さらに、投機資金の石油先物市場への流入がある。好例を挙げてみよう。数週間前、イラクの生産ステーションで火災が発生したというニュースを受けて油価はすぐに上昇した。実はこの生産ステーションは何ヶ月も使用されていなかったのだが、市場は敏感に反応し、投機資金の一時的流入増で油価が上昇してしまった。加えて、ナイジェリア、ユコス、ハリケーン等の多くの要因が重なった。
(4)
世界の首脳や専門家も油価上昇の真の理由はニューヨーク、即ち、ニューヨークの石油先物市場にあることを知っているのだが、知らぬふりをしてOPECに責任を転嫁している。G8の声明で石油先物市場を非難する声明が出されることを期待したが結局、産油国に警鐘を鳴らす内容となってしまった。
(5)
今後の石油情勢では需要サイドの中国と供給サイドのイラクの動向が鍵を握ろう。仮に、イラクの治安が一向に安定せず期待されたような石油生産・輸出がなければ、これから1年程度は同じような状況が続くことになろう。
(6)
我々から見て望ましい油価は1バレル30ドルである。最低でも25ドルは必要である。ドル価値の下落やインフレの進行を考えれば、現在の30ドルは決して高い水準ではない。
(7) 油価上昇でオマーンを初めとして産油国は喜んでいると見られているが、油価上昇で最も利益を得ているのは西側消費国であり石油メジャーズである。特に、西側消費国は石油に対して過剰な税金を課しており、石油製品価格が高いのは、そのせいである。
(8)
産油国の余剰生産能力が小さくなっているのは事実だが、短期には解決しない。理由は、例え小油田であっても今から必要な資材を発注しても受け取るのは18ヵ月後になるからで、どうしてもタイムラグが生じるからだ。
(9) さらに、今、能力増が必要と言われてそのように行動しても2年後予想したような需要増にならなければ、余分な能力のために無駄な投資をしたことになってしまう。
(10) 生産能力は毎年6〜12%、自然に減退している。産油国はこの減退分を補うと共に、さらに能力増を図らねばならない。結局、産油国の中で本当に生産能力を増やせるのはサウジアラビアだけではないか。同国は政治的理由から常に相当の余剰生産能力を持ってきた。
(11)
この問題や上述した石油税の問題など、産油国と消費国がもっと真剣に協議する必要があると考える。既存のメカニズムはあまり機能していないのではないか。
〈自国の原油生産量は2006年から再度増加の見込〉
(1) オマーンの原油生産量は1997年に1日当たり84.6万バレルでピークを記録した後、ほぼ減少を続けている。ちなみに、各年の生産量は1998年83.5万バレル、1999年83.2万バレル、2000年84万バレル、2001年83.1万バレル、2002年77.1万バレル、2003年70.2万バレルであり、2004年は65万バレルを目標にしている。
(2) 生産量の減少は、自然の減退に稚拙な管理・運営が重なったためである。現在、減少を食い止めるべく、小油田でのsecondary recoveryやenhanced recoveryを行っている。
(3) 2005年の生産量は63.5万バレルと本年より多少減少しようが、2006年から上昇に転じて、70万バレルで横這い推移できると考えている。
(4)
これに技術上の問題と資金確保の問題が解決すれば新たな探査・開発活動が進むので、生産量は80万バレルまで回復できよう。但し、85万バレルまでの回復は難しいと考えている。
(5)
オマーンの場合、生産コストは現時点では1バレル当たり約9ドルであるが、昨年(2003年)は何も努力しなかったので約10ドルまで上昇していた。
(6) オマーンの石油の最大輸出国は中国になった。中国は産油国であり同時に大消費国でもあるので、エネルギー安全保障の確保のために、石油の輸入のみならず探査・開発にも積極的である。オマーンとしては、中国、日本、韓国、タイの4カ国が4大顧客であるので大事にしていきたい。
(エネルギー・環境室長/主任研究員 畑中美樹<はたなか・よしき>)
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040928.htm