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(回答先: リビアから見た国際石油情勢〜トリポリ発9/27 畑中美樹 投稿者 愚民党 日時 2004 年 9 月 29 日 10:54:47)
■ハリケーン被害による戦略石油備蓄(SPR)の貸与検討(米国)
(2004年9月27日掲載)
9月第2週から第3週にかけて米国メキシコ湾東南部を来襲したハリケーン・アイバンは、各地で水による被害を出した他、沖合油田の原油生産・湾岸部の製油所操業に大きな影響を与えた。23日、米国鉱物管理サービスは、アイバンの影響による原油生産・天然ガス生産減少量は、合計で原油生産が960万バレル、天然ガス生産が410億立方フィートに達したと発表した。
一方、エネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)の23日発表による17日時点での原油在庫は、2億6,950万バレルで前週比910万バレル減少した他、ガソリン在庫も1億9,970万バレルで同280万バレル減、留出油在庫も1億2,680万バレルで同150万バレル減となり、また製油所稼働率は88.1%で前週比7.6ポイント低下した。
これらのことから、米国政府は、戦略石油備蓄(SPR)を精製業者へ貸与する形式で放出することの検討を開始した。エイブラハム・エネルギー長官は23日「SPRは、自然災害も含めて、石油供給途絶から米国の消費者を保護するために充てられる」と述べ、自然災害による石油供給途絶をSPR放出の要件の一つにみなす旨明らかにした。
同省発表によれば、同計画はエネルギー省と石油会社の契約に基づき備蓄石油を貸与するというもので、貸与を受けた側は、原油供給状況が平常状態に戻り次第、原油を政府に返却するとの内容である。関係者によれば、貸与期間は2〜3週間が想定されている。また、関係者によれば、1社より10万〜20万バレル、もう1社からは100万〜200万バレルの貸与が要請されている。
同省関係者によれば、2002年10月のハリケーン・リリーの際にも同様な措置により、約30万バレルが貸与という形式で放出された由である。しかし、こうした前例にも拘わらず、あと5週間後に迫った折からの大統領選挙に絡め、ブッシュ政権は原油価格の沈静化を目的に今回の措置をとったとの観測も根強く流れている。しかしながら筆者は、今回の措置は市況対策というよりも、当座の操業上の石油の確保に困難を来たした石油会社の緊急避難の意味合いが強いと考える。その理由は、備蓄原油の提供を求める石油会社がメキシコ湾岸周辺の精製業者で戦略備蓄基地にほぼ隣接、受領も返却も容易な地理的位置にあること、また本格的な放出扱いにすると入札手続きなどに時間がかかるだけでなく、国際的協調を前提にすると、さらに準備時間がかかるためである。従って、今回の措置はハリケーンの影響を受けた石油会社への一時的な戦略石油備蓄の提供で、平常状態に戻り次第、現物による返還という、典型的なTime Exchange Deal に過ぎないと評価することが妥当であろう。
(エネルギー・環境室 主任研究員 須藤 繁)
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040927_2.htm