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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu80.htm
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『フォッグ・オブ・ウォー』のマクナマラの反省
米軍司令部の座間基地移転を認めてはならない
2004年10月6日 水曜日
◆日本の対ロシア政策は間違っている 増田俊男
http://www.chokugen.com/opinion/frame_new.htm
今後ロシア問題が浮上してきます。それはアメリカが日本とロシアのさらなる緊張を望むから。アメリカの当面の国際戦略は中東のドル市場化と、来るべき「中台戦争」です。
2010年の上海万博後に中国経済は間違いなく破綻(ハードランディング)するので、中国は国内の騒乱を避けるため中台戦争に踏み込まざる得なくなります。アメリカ議会は台湾の安全を保障していますから、中台戦争では当然アメリカは中国と戦闘状態になります。
アメリカは中東戦略では今や世界最大の産油国ロシアと利害対立し、中台戦争でもロシアと対立します。ロシアが原油高を梃子に30%も軍事予算を増強したり、まるで戦時体制のようにプーチン大統領に国家権力を集中しているため、アメリカの警戒は極に達しようとしています。
このような状況下で、アメリカの従順な同盟国日本と仮想敵国ロシアの関係が改善されることは、アメリカの軍事戦略(国益)に反します。ワシントンの米軍参謀本部を座間に移転する米軍再編成構想は、中国のICBMの目標をアメリカ本土から日本に向けさせるため。敵の司令塔を粉砕することが最大の防衛です。
いまアメリカが日本に要求している米軍再編成は、日本にとっては死活的リスクであり、アメリカにとってはリスク回避です。日本の米軍が増強され、参謀本部が米国本土から移転されれば、中国の対日警戒は強まるばかりか、日本は将来中国の攻撃目標になりますから、何かにつけ(靖国問題など)日中関係を悪化させてきます。
アメリカは日中、日ロ関係改善は一切望みません。今後のアメリカの世界戦略の方針に反するからです。
◆「フォッグオブウォー」を見て 9月13日 深夜のNews
http://night-news.moe-nifty.com/blog/2004/09/post_5.html
日本本土への爆撃作戦の司令官は、カーチス・ルメイ少将であった。東京大空襲では、一晩に10万人の日本人が死んだ。なぜ一般市民を10万人も殺す必要があるのかとマクナマラはルメイに訪ねる。ルメイはこう答える。ここで10万人の日本人を殺しておかなくては、アメリカ軍が後に東京湾から上陸した時に、日本人の強烈な抵抗にあいアメリカ兵の被害は甚大になる。だから、今殺戮をしておくのだという。この少将は、後にこの論理で広島と長崎に原爆を落とす。マクナマラは戦争には程度があり、東京を空襲して一晩で10万人の一般市民を殺すことも、広島・長崎への原爆投下も必要なかったと語っている。ルメイは、この戦争は絶対に負けれないと言う。なぜならば、自分は戦争犯罪者になってしまうからだと。マクナマラも、この戦争に負けていたら自分もトルーマンも戦争犯罪者になっていたと語っている。ルメイは後のキューバ危機の時に、最後まで核攻撃を主張する。今度は、ルメイの上役になったマクナマラはそれを退けた。
この映画には『華氏911』ような派手さもコミカルさもない。マイケル・ムーアの映画には今でも(そしてこれからも)数多くの批判や事実誤認の指摘があるが、この映画には『華氏911』や『ボーリング・フォー・コロンバイン』のようなトゲトゲしい激しい批判はないように思う。むしろ、いい評価をするレビューが多い。
内容については、先日ここで書いた通りだ。もっとキューバとかベトナムとかでの討論会のことをやって欲しかったと思った。
マクナマラは反戦論者ではない。ベトナム戦争はもっと適切な方法で行うべきだったのだと述べている。そうではなかったので反対していただけだ。興味深いのは、彼にはリベラルや保守といった思想的なものがないように見えるということだ。良くも悪くも、合理的経営管理の人だった。
結局、マクナマラはベトナム戦争を拡大させたのはジョンソンだったと語っている。ベトナムからのアメリカ軍を撤退させる演説の準備をしていたマクナマラのもとに、ジョンソン大統領からの電話がかかってくる。映画の中では、この時の会話のテープが流れる(ホワイトハウスでの電話の録音って、ニクソンが最初かと思っていたけど違った)。撤退なんかせずに、もうすこし頑張ろうじゃないかみたいな電話だったと思う。国防長官が拒否できるわけがない、この1本の電話によって、アメリカはさらなるベトナム戦争の泥沼に引きずり込まれてしまった。
しかし、その一方で、ジョンソン大統領にそうさせたさまざまな圧力があったのだろうと語っている。インタビュアーの「あなたはどの程度、ベトナム戦争の拡大の計画に責任を負っていると感じますか?あるいは、自分はコントロール不可能な出来事のひとつの歯車だったと感じていますか?」という質問に、マクナマラはただ一言「私は大統領に仕えようと努めた」とだけ答えている。マクナマラは、ジョンソン大統領とは膚が合わなかった。しかし、それでもケネディ亡き後、ジョンソンに仕え、最後は政権から解任された。それでも彼は人生で一番誇らしかった時は、ジョンソン大統領から自由勲章を授かった時だと答えている。政権を去る時に、ジョンソン大統領のスピーチに涙ぐむ彼の姿は印象的だ。
マクナマラはベトナム戦争について当時の政権は間違っていたと言うが、個人的な謝罪はしていない。ジョンソン政権解任後、彼は反戦的言動をいっさいすることはなかった。今でも、自分から責任があったとは言わないが、人から責任があったと言われるときは否定はしないという。
孤高の道を歩む、知的誠実さのカタマリのような老人という気がしないでもない。誰もがマクナマラのように生きなくてはならないとも思わない。今のアメリカで(日本でも)こうした人は希であろう。
しかし、誰もそんなマクナマラを笑ったり、非難したりすることはできないはずだ。この老人は歴史の流れの中に一人で立ち、自分の犯した過ちを真正面から見続けている。そうしなければならないわけではないのに。しかし、彼自身が納得できないのであろう。その姿に今の時代の人が失ったものを思う。今のアメリカは、ベトナム戦争のことなど思い出したくもないし、あれはなかったことにしたいのだろう。
『華氏911』とは異なり、見終わったあと、じわじわときいてくる静謐で真摯な、しかし本質的に今のアメリカのあり方を問いかけるいい作品だ。
さて、ではわが国日本ではどうなのだろうか。なぜ日本ではこうしたドキュメンタリー映画が少ないのか。
(私のコメント)
最近、また中国が小泉首相の靖国参拝を根に持って騒いでいるようですが、その理由というのがA級戦犯が祀られているからけしからんという理由らしい。今上天皇も靖国へ行幸されないというのもA級戦犯が原因らしい。しかしA級戦犯という名は連合国側が勝手に行った報復裁判でつけたもので、東京裁判は裁判ではなく政治的なショーであった。
さらに中国がA級戦犯と問題にするのは盧溝橋事件以後のことだと思うが、盧溝橋事件は中国共産党が国共内戦で日本軍を引きずり込み、蒋介石軍と日本軍とを戦わせて、共産党軍は漁夫の利を得る戦略だった。日本軍が中国へ深く引きずり込まれていったのも、近衛文麿一派の中に共産主義者が入り込んでいたからであり、当初の陸軍大本営は不拡大方針だった。
だから中国政府がA級戦犯と名指ししているが、本当の日中戦争の仕掛け人は中国共産党だ。さらには昭和天皇は日中戦争を止められる権限があったと思うが、積極的に動いた形跡はなく、杉山陸軍大臣を叱ったという程度の働きしかしていない。もし天皇が陸軍に中国からの撤退を命じていれば、日米戦争はなかったはずだ。だから真のA級戦犯は昭和天皇ではないかとも考える。
だからこそ今上天皇は靖国神社に行幸されて、250万の英霊に対して謝罪すべきなのだ。明治憲法上は天皇に戦争責任があったか意見は分かれるところですが、天皇が本気で日中戦争を止めようとすれば出来たはずだ。それが出来なかったのは明治維新以来の天皇の立場の複雑さで、明治の元勲から見れば天皇は「玉」に過ぎなかった。
しかし日中戦争の頃になると明治の元勲もいなくなり、天皇は一人で日本国元首として放り出される結果になった。輔弼すべき元勲のいない時に一人で決断を下せというのも無理であり、結局のところ誰がA級戦犯なのかわからない。私は当時の日本国民こそ日中戦争になぜ反対しなかったのかを問題にしたい。
当時の日本と現在のアメリカは状況がよく似ている。杉山陸軍大臣が4ヶ月で日中戦争を終わらせると天皇に報告したごとく、アメリカはイラクへ侵攻しましたが、一年たってもまだ終わらない。アメリカ国民のイラク戦争反対気分が高まればブッシュ大統領もイラクから兵を引かざるを得ないだろう。しかしまだ多くのアメリカ国民はイラク戦争を支持している。戦前の日本も国民の大半が日中戦争反対の世論なら陸軍だって日中戦争はできなかったはずだ。
当時の日本も現在のアメリカも景気対策として戦争を始めたが、どのように戦争を終わらせるのかを考えずに始めた。その結果、泥沼化して大日本帝国も大アメリカ帝国も墓穴を掘った。アメリカ国民がケリーを大統領に選んで早期にイラクから撤退できれば、アメリカ帝国も少しは長続きするだろうが、ブッシュが選ばれれば大アメリカ帝国の没落は早まる。
日本はどこまでアメリカに協力して行くのか外交軍事戦略を練る時期を迎えていますが、日本の外務省も防衛庁も誰も考えていないようだ。アメリカ政府が軍事再編計画に対して日本政府は何の対応策も出していない。アメリカ軍が7万もの海外に駐留している兵士を引きあげさせるのに、日本からは引きあげないばかりでなく、陸軍第一軍団司令部を座間にもってこようとしている。
私は3日の日記で書いたごとく、米軍基地なき日米安保を目指すべきだと思うのですが、腰の引けた小泉内閣ではアメリカのポチでいるしかないのだろう。しかしアメリカのほうから見れば緊急展開部隊さえ整えば、何も日本に基地を置く必要はなく、基地なき安保も可能なはずだ。その場合のオプションとして日本に地域核を持たせることもあるかもしれない。
増田俊男氏が指摘するごとく座間に米軍の陸軍司令部が出来ることは、将来予定している米中戦争に日本が巻き込まれることを意味している。アメリカが中国と戦争をしたければ勝手にすればよいので、日本が関わりになる必要は全くない。アメリカの思惑としては日本を矢面に立たせて中国との戦争を計画しているのだろうが、その戦略に日本は乗ってはならない。
アメリカはイラク戦争を見れば分かるごとく、陸軍兵力が非常に弱体だ。13万人の兵力を長期にイラク戦争に投入し続けるのは無理だろう。すでに予備役兵まで動員しているがこの体制は長くは続けられない。イギリスやポーランドまで兵を引き上げ始めた。結局日本は最後までアメリカにおつきあいして残るのだろう。私は最初から自衛隊のイラク派遣に反対してきた。しかし国民のほとんどは無関心だった。
アメリカはこのままイラクから撤退することはないだろう。撤退すればイラク戦争に敗退したことを意味するからだ。そうなればブッシュ政権の要人は戦争犯罪人となり、東京裁判ならぬバクダッド裁判が開かれるだろう。そうなればブッシュが天皇にあたり、チェイニーやラムズフェルドがA級戦犯ということになる。要するに戦争に勝てば英雄になれるが、負ければ犯罪人として罰されることになる。
映画の「フォッグオブウォー」においてマクナマラガ告白していることは、アメリカといえども負ければ自分達が戦争犯罪人として裁かれることを自覚しており、負けることを恐れるあまりに東京大空襲や広島や長崎に原爆を落とした。もし日本が最後までイラクのように抵抗して本土に米軍を引きずり込んでゲリラ戦を挑んでいれば勝てたのかもしれない。それがイヤだったから米軍は原爆を用いたのだ。