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(回答先: 諫早湾干拓事業 国に工事差し止め命じる 佐賀地裁仮処分決定【熊本日日新聞】 投稿者 エイドリアン 日時 2005 年 1 月 12 日 16:33:28)
「フリー糸状体」と呼ばれる“ノリの種”が入 ったフラスコを手にする研究員。県水産研 究センターでは、「高水温」や「色落ち」に強 い品種選抜に力を入れている=上天草市 |
フラスコの底でゆらゆらと揺れるマリモのような黒褐色の塊。上天草市大矢野町の県水産研究センターの恒温室には、「フリー糸状体」と呼ばれる“ノリの種”が何十種類も並んでいる。
「養殖に有利な性質を持ったノリ作りを目指して研究を進めている」と同センターの濱竹芳久研究参事。濱竹参事らは、「高水温」「色落ち」に強いノリの品種選抜に特に力を入れている。
二点に絞ったのは一九九八(平成十)年以降、(1)海水温が十月に入っても、ノリ養殖を始める目安の二四度を下回らなくなった(2)栄養塩不足による色落ちが、漁期の開始直後の秋にも起こるようになった―ため。
二〇〇〇〜〇一年の漁は荒尾・玉名地区を中心に大凶作となり、県漁連の県産乾のりの共販数量は約七億五千万枚と過去最低を記録。〇二〜〇三年は約十二億枚と過去最多を売り上げ盛り返したが、県北では昨期も含め二期連続で色落ち被害に見舞われた。
「色落ち」に強い選抜品種は今期、県北三漁協で試験育成に入る。昨期までに県央野〜県南の四漁協で行った試験育成で「色落ちに強い傾向がつかめた」と濱竹参事。一網当たりの収量が少ないなど難点はあったが手ごたえを得た。濱竹参事は「この品種は香りと味の良いアサクサノリ。これを売りにする手もある」と期待を寄せる。
「高水温」に強い選抜品種は昨年から県漁連を通じて試験販売。口コミで評判が広がり、約百種ある品種の中で供給数量が一割強を占めるほどの人気ぶり。高水温による芽流れ被害が多発した九八年に漁場に残っていたノリを元に、成長が良く黒みが高いものをさらに選抜した苦心作だ。
色は少し赤っぽいが、ノリ漁家からは「一網の収量が多い。赤腐れ病(水カビの一種が寄生しノリが赤く溶ける病気)が出た後も回復が早かった」などと評価する声が寄せられた。
一方、佐賀の各研究機関では漁場にまん延してノリの品質を落とす病気「赤腐れ病」「壺状菌」の研究を進める。佐賀大では赤腐れ病に強いノリの開発を進めているほか、佐賀県有明水産振興センターなどではノリに感染する前の段階で壺状菌を海水中から検出する技術を確立している。
消費者が求める「黒くておいしい」のり。色と味が良いことに加え、病害に強く育てやすいノリ作りへ現場の苦心は続く。
◇ ◇
ノリの色落ちやタイラギの大量死に端を発した有明海の異変。漁業者や研究者らが影響を指摘する国営諫早湾干拓事業に対し、佐賀地裁は先月、工事差し止めの仮処分を下した。豊かな自然と海の幸を取り戻すにはどうしたらいいのか。事業の行方はまだ不透明だが、各研究機関や学者らによる地道な取り組みが続いている。
2004年9月16日朝刊