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(回答先: (4) 潮流 独自開発ブイ “漂流”させ調査_甦れ!宝の海 研究者たちの挑戦【熊本日日新聞】 投稿者 エイドリアン 日時 2005 年 1 月 12 日 17:23:40)
★ 「“加害者”と“被害者”がいる地元で、会議を立ち上げることに意味がある」
研究者会議を呼び掛けた楠田 哲也・九州大大学院教授 |
「有明・八代海の再生には何が必要か。具体的に提案してほしい」
六月、福岡市で開かれた「有明海・八代海研究者会議」の公開シンポジウム。座長の楠田哲也・九州大大学院教授(水環境工学)は開会に当たって、こうあいさつした。
この日は十四人の研究者が登壇。海洋汚染の原因や潮流の変化、有明海の底生生物など、それぞれの専門分野で様々な知見が披露された。
有明・八代海の再生に向け、同会議は昨年十二月に発足した。呼び掛け人の楠田教授は「大学、専門の壁を超えて知識を出し合い、再生のシステムを行政や住民に提言したい」と言う。
有明海異変では、諫早湾締め切りによる干潟消失のほか沿岸域の開発、河川からの流入水量の減少、生活排水など汚濁物資の大量流入、潮流の変化など様々な要因が指摘されている。複雑に絡み合った原因を、専門領域を超えたあらゆる「英知」を結集し、解きほぐそうというわけだ。
「“加害者”と“被害者”がいる地元で、会議を立ち上げることに意味がある」。楠田教授の呼び掛けに、九州の大学の研究者が二つ返事で参加した。現在のメンバーは約六十人。専門も水産学、生物学、工学、農学、林学をはじめ、漁業の生産性などを研究する経済学と幅広い。
熊本からも十九人が名を連ねている。県立大の堤裕昭教授(海洋生態学)は「正面から意見をぶつけ合い、再生策を探りたい」と話す。八月には再生に向けた第一次提言をまとめた。将来的にはワークショップや市民講座も開く予定だ。
一方、NPO法人「みらい有明・不知火」では、人間の体と同様、八代・有明の海が今、どのような状態にあるかを診断し、どう治療したらいいかを考える研究センター「海の総合病院」づくりを目指している。
同法人は、熊本大、佐賀大の研究者や民間技術者らが集まって二年前に結成。「海の総合病院」は長年の夢だったという同法人理事長の滝川清・熊本大教授(海岸環境工学)は「悲鳴を上げている海を元の姿に戻し、次の世代に引き継ぐには、原因究明から再生まで総合的にみる必要がある」と強調する。
核となる研究施設では、海の環境モニタリングや干潟の浄化能力の解明、環境再生技術の開発などに取り組む。既に国の関係機関と具体的協議も進んでいる。
有明海異変で、多くの問題が指摘されている諫早湾干拓事業。五月に潮受け堤防排水門の中・長期開門調査が見送られ、事業主体の国と漁業者との裁判も続く。着地点が見えない中、研究者らによる再生への一歩は確かに始まっている。=おわり
(報道部・本田清悟、楠本佳奈子、文化生活部・野田一春、荒尾支局・中山智雄、南関支局・松本敦)
2004年9月23日朝刊