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(回答先: (3) アサリ 稚貝定着へ「砕石漁場」を造成_甦れ!宝の海 研究者たちの挑戦【熊本日日新聞】 投稿者 エイドリアン 日時 2005 年 1 月 12 日 17:22:07)
熊本市和泉町にある熊本保健科学大の「01」研究室を訪ねると、入り口の右脇に高さ一メートルほどの「ブイ」が一基置かれていた。この研究室の主・高橋徹教授(海洋生物学)は四月から、このブイ十一基を有明海に“漂流”させて潮流調査を始めた。
海の上に顔を出すブイ先端部の赤い円盤には、GPS(衛星利用測位システム)機能付きの携帯電話がセットされている。ここから発信される位置情報で、ブイが移動する軌跡と流速を観測するという仕組みだ。
「表層一メートルぐらいの潮流を何とか測れないかと、独自に開発したブイなんです。調査自体は地元の漁業者に手伝ってもらってますが、みんな手弁当。補修は一人でやるしかないんです」と、高橋教授はねじ回しを手に黙々と補修作業を進める。
二〇〇〇(平成十二)年末のノリ不作を機に、注目され始めた「有明海異変」。ノリ不作をもたらした赤潮は、諫早湾が潮受け堤防で閉め切られた九七年以降、従来とはケタ違いの規模になってきているという。
多くの研究者は「異変を解くカギは潮流にある」と指摘。漁業者も「閉め切り以後、流れが弱まり流向も変わった」と話している。
高橋教授も参加している県立大の堤裕昭教授(海洋生態学)の調査では、栄養塩に富んだ筑後川などの河川水が海に流入した際、撹拌(かくはん)されずに北部海域にとどまり、表層に広がるときに赤潮が発生することが分かってきた。
堤教授は「北部からの河川水を海全体へ撹拌(かくはん)させるポンプの役割をしていた諫早湾を閉め切ったことで潮流が弱まったのが大きな要因」と分析している。高橋教授の調査は、この赤潮発生のメカニズムを裏付けるため、ポイントとなる表層一メートルの流れを突き止めるのが目的だ。
四〜八月の四回、それぞれ四日間にわたりブイを漂流させた調査では、(1)筑後川河口など有明海北部に置いたブイはまず南下しない(2)諫早湾内のブイはいつまでも出ていかない(3)西風の場合はブイが有明海を横断して三池・荒尾方面に行くなど、堤教授の分析や漁業者の証言とほぼ一致する結果が得られている。
ただ昨年十一月、九州農政局がまとめた諫早湾干拓事業の開門総合調査の報告書では「干拓事業が潮流へ与える影響は諫早湾内にとどまっている」と、海全体への影響を否定している。
高橋教授は「この調査は、閉め切り以前のデータと比較して初めて意味を持つ。そのためには潮受け堤防を開門しての実測調査を実施べき」と指摘。また「海域全体を対象とする調査は本来、個人レベルの研究者でなく国や公的機関がやるべきことなのでは」と苦笑した。
2004年9月22日朝刊