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(回答先: (2) タイラギ 人工飼育 不漁原因究明に期待_甦れ!宝の海 研究者たちの挑戦【熊本日日新聞】 投稿者 エイドリアン 日時 2005 年 1 月 12 日 17:20:31)
直径約4センチの石を敷き詰めて造成した アサリ稚貝の試験漁場。アサリの定着が期 待される=宇土市 |
県内の有明海で、海に石をまいてアサリを増やそうという試みが進んでいる。県水産研究センター(上天草市)と網田漁協(宇土市)が取り組んでいる実験は、宇土市沖の干潟に造られた「海床路(かいしょうろ)」がヒントになった。
沖に向かって延びる砕石を敷き詰めた道。海床路と呼ばれるこの道は、宇土市沿岸の緑川河口域特有の、海の作業道だ。浅瀬で船が港まで入れないため、石で道を造り、収穫したノリやアサリを積む車が乗り入れられるようにしている。この海床路近くでアサリがよく見つかるという漁業者の声から、実験は始まった。
「アサリの生息条件に何が重要かについては、まだ論議が続いている段階。ただ、アサリの稚貝がいる地盤の“安定”が稚貝の生き残りに影響しているのではないかと考えている」と県水産研究センター浅海干潟研究部の那須博史主任技師。砂の浅い部分にいる稚貝は強い風が吹くと砂と一緒に飛ばされる。しかし、海床路のように石が敷き詰められた場所では、稚貝が飛ばずに残るのではないかというわけだ。
県水産研究センターと網田漁協は昨年八月、海床路の近くに、直径四センチほどの砕石約六十トンを敷き詰めた試験漁場(幅五メートル、長さ二十メートル、深さ十五センチ)を、十五メートルおきに三列造成。今年四月から月一回、試験漁場付近の直径一ミリ以上の稚貝の分布数を調べている。
七月二十日の調査では、試験漁場の周囲の、石を敷いていない地点三十六カ所の稚貝数は一平方メートル当たり平均百五十二個だった。これに対し、三列の試験漁場ではそれぞれ七百六、七百二十二、九百十七個と、石を敷いていない地点の四〜六倍の稚貝が確認された。調査は三年ほど続けるため、あくまで途中経過だが、現時点では効果が認められるという。
県内のアサリの漁獲量は、ピーク時の一九七七(昭和五十二)年には約六万五千トンあったが、乱獲や海の環境悪化で年々減少。ここ十年ほどは数千トンレベルに落ち込んでいる。しかし、採貝日数や採取する貝の大きさの規制、行政による覆砂などの取り組みが実を結び、徐々に回復の兆しも見え始めている。
網田漁協では、九六、九七年度は皆無だった貝類の販売額が、〇三年度は二億九千八百万円まで持ち直した。同漁協の堀昇次参事は「ここではノリとアサリが漁業の両輪。ノリ十億、アサリが二億円前後取れれば、うまく回っていく」と実験の成果に期待を寄せる。
那須主任技師は試験漁場について「当面は、稚貝が漁獲サイズに達する来年四月の段階で、どの程度アサリが定着するかが勝負」と話している。
2004年9月21日朝刊