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米牛肉で外圧 どうする食品安全委
米牛肉輸入再開をめぐり、ライス米国務長官が18日に来日し、再開時期の明示を迫ることが予想されるなど、対日圧力は強まるばかり。米国から「審議が遅すぎる」と非難され、政府からは“最後の防波堤”役を押しつけられた内閣府の食品安全委員会は、どう対応するのか。鍵を握る同委プリオン専門調査会の吉川泰弘座長に聞いた。 (経済部・山川剛史)
――いまや米牛肉が日米間の主要課題になっている。冷静な科学的評価はできるのか。
「確かに(日米関係は)不幸な方向に行きかけている。しかし、変に政治的な対応をすれば、日米両国にとって望ましい結果にはならない」
――議論が遅いと批判されているが。
「現在の審議内容は、昨年九月に中間的にまとめた総論の各論だから、答えを出すのは早いと思っていた。ただ、論点が絞られた分、細かい議論が必要だった。遅く見えるかもしれないが、本気で取り組んできた」
――かつて「中立機関といえど、無風地帯ではない」と発言したが、現在の風圧は。
「台風の目だろう。目にいると意外に風はない。シナリオなしの議論をしているから、変に圧力をかけると、逆効果だということが分かっているのではないか」
――米国は輸入再開時期の明示を求めている。答えられるか。
「それは無理だ。分析を進める中で、必要な情報がたくさん出てくる。牛海綿状脳症(BSE)は未知の部分が多く、リスク(危険度)評価に幅が出る可能性がある」
――今後、輸入条件も諮問されるが。
「米国のデータ不足は頭が痛い。どれくらい米国に(潜在的な)BSE感染牛がいて、飼料規制などの効果はどの程度か、食肉処理、脳など危険部位の除去は適切か、などから消費者のリスクがどの程度かを評価する。ただ、米国のBSE検査頭数は日本に比べて圧倒的に少なく、そこが評価上のネックになるかもしれない」
――米国は「感染例はカナダから輸入した一頭だ」と強調している。
「その点はリスク評価では重要でない。過去、現在、将来のBSE汚染シナリオを描き、施策の有効性をどう評価するかが重要だ。評価はあくまで評価。政府間の主張の違い、国際関係上の損得はリスク管理者である国が考えることだ。そういう問題から切り離されているからこそ、食品安全委の存在理由がある」
――牛の生後月数を判別する方法では、精度が未検証の肉質判別法も導入される。
「その点は諮問もされていない段階では答えにくい。諮問のやり方次第で分析も必要。聞かれ方で答え方も変わる」
――国内で確認された若齢の感染牛二頭が、国際的にはシロ判定される可能性もある。
「線引きを変える必要はない。あの二例は国がBSEと最終判断した。国際獣疫事務局(OIE)の判断がどうあろうと、科学的な証拠で否定されない限り同じことだ。線引きが変わるとすれば、今回の国内BSE検査基準見直しを再評価する時だ。いずれ検査そのものをどうするかという時が来るかもしれないが、それは何年も先だ」
――米牛肉のリスクは誰が負うのか。
「われわれは科学的に判断材料を提供し、国がリスク管理をする。国は食品安全委に“お墨付き”をもらおうとするが、科学的にゼロリスクはない。最後は国民。吉野家で牛丼を求めて並ぶ人たちは、リスクを受け入れる意思表示をしている。スーパーで野菜や魚を買う時、外国産か国産か迷うことだって立派なリスク判断だ」
よしかわ・やすひろ 東京大大学院農学系研究科獣医学専攻博士課程修了、農学博士。国立予防衛生研究所技官などを経て、1997年から東大大学院農学生命科学研究科教授。2003年8月、食品安全委プリオン専門調査会の発足時に座長に就任。「ヒトのための学問、ヒトとは何かを知る学問」が信条。58歳。長野県出身。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050318/mng_____kakushin000.shtml
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