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(回答先: 「合法的泥棒」達を、溶かす方法は? 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2004 年 7 月 23 日 04:10:06)
最大多数の最大幸福さん、どうもです。
日本が土地私有制になったのは明治維新後です。
このときは、農民など従来の土地占有者が登記を済まして所有に移行したり、“才覚ある者”が山林など入会地(共有地)を私物化したりひとの私有になるものを騙して自分のものにしたり、膨大な土地が国有地になっただけで、お金が動いたわけではありません。
(その後は、すぐに土地をめぐってお金が動くようになります。地租改正で税金が物納ではなく金納になり、弱小農民は土地を手放さなければならなくなり小作農になったりします)
近代日本は、大東亜戦争の敗北にまつわる混乱期を除けば経済的成長(フロー)を遂げたので、土地取引もそれに従って活発化しました。
高度成長期の急速な地価上昇はフローの伸び(物価上昇率)を上回るものだったとはいえ、供給が限定的な財である土地の価格があのようになるのはある意味で自然の流れです。
(80年代後半のバブル期とは様相が違います)
そして、91年以降の地価はご存知のように下落の一途です。
このようなことを踏まえて、土地私有及び地価高騰の受益者は誰なのかを考えてみます。
>日本の高い土地代は、誰の懐に落ちているんでしょうか?
>答えは「土地所有者」なんでしょうが、そいつらは、得た金を
>どのように処分しているのか?退蔵している比率が高い?
答えは、バブル期に土地を売却した「旧土地所有者」で、他の土地を買ったり株式に手を出さず、国債や預貯金で運用している人たちです。
その次の受益者は、国家機構です。不動産譲渡益は課税対象ですから、それで税収を増加させました。
(さらに次の受益者は銀行のはずでしたが、ご存知のように裏切られて国家(国民)の庇護にすがっています)
しかし、土地所有者が儲かるという経済構造はバブル崩壊とともに消え、土地を利用してフロー(所得)を稼げる人のみが土地所有の経済メリットを享受できるという経済構造に変わりました。(この意味でも、「産業資本主義」は終焉を迎えています)
そうであるなら、「土地私有」は、必要不可欠な要素ではなく、逆に重荷になります。
(100億円で購入した土地が70億円になる傾向にあるとしたら、そのような経済行為は重荷ですよね。土地を売却したとき、重荷を実感します)
「土地所有者」が、所有という権利で利益を上げられるのは地価が上昇しているときだけです。
かと言って、先祖代々の土地や企業が昔から所有している土地をフロー(所得)のために利用している土地所有者にとって、地価の変動は利益と直接関係ありません。
(バブル期には“含み益”といった言葉も流行りましたが、せいぜいが担保価値として意味があるだけです)
このような経済状況は、土地を購入する行為が、実のところ、利用権(占有権)を手に入れるものでしかないことを示唆します。(ディベロッパーであれば開発権、家計であれば居住空間)
これは、上海などでディベロッパーが開発権(借地権)に膨大なお金を支払っているのと同じです。(将来、再び地価上昇があると淡い期待を抱いている人は別ですが...)
国家機構が受益者だというのは、地方自治体が固定資産税を徴収し、政府が相続税を徴収しているからです。(地価税は0%になったと記憶しているので除外しています)
固定資産税は、個人の住居にも適用されるように、それがフロー(所得)を生むかどうかに関わらず土地と建物に課税されるものです。
仮に地価一定・評価額=実勢取引価格で税率が1%だとすると、100年間固定資産税を支払ったら、その土地を売却して得られる額と同じになります。
徐々に地価が下落していくものなら、支払った固定資産税>売却額となり、なんのために土地を所有していたのかと言えば、国家機構に税金を払うためだったということになります。
相続税も、土地の評価額が主要な課税対象です。
その土地が住居用であれ事業用であれ利用し続けようと思ったら、預貯金や証券類で土地分の相続税を支払わなければなりません。
住居用はともかく、事業用であれば、土地を売却してしまったらフロー(所得)が得られなくなるので、お金を借りてでも相続税を支払って土地を手元に残そうとします。(しかし、担保価値が低く見積もられ借り入れができずに結局は物納するハメになる人も多くいます)
このように、この間の「土地所有者」は、経済的メリットはなく、逆に、経済的損失を被る存在になっています。
だからこそ、現実論理をきちんと明示し理解を得られることで、「土地私有問題」は溶かすことができると考えています。