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(回答先: Re: 「空手バカ一代」は史実と違うんでしょうか？ 投稿者 リーマン 日時 2004 年 1 月 17 日 00:23:29)
Stately homeをNational Trustに寄贈する背景は、確かにメンテナンスコストの問題があるのでしょうが、がめつい貴族の中には領地にサファリパークを作ったり、それこそ日本人のお上りさんを相手に入場料をとったりして荒稼ぎする人もいます。少なくとも業者に再開発させて利潤を挙げるくらい（stately homeを改築した大規模フラットやホテルはそこらじゅうにある）のことは、目先の利いた人間なら考えるのではないでしょうか？所有欲の強い人であればそういう選択はしなかったと思われるのですが。
タム・ダリエルのような貴族は基本的に金儲けに全然関心がなく、自分の信念だけに忠実な本物の上流階級ではないかと思います。「金儲けに知恵を絞るような人間はホントの上流階級ではない」ということでしょうか。だからロスチャイルドなんかも本当は上流階級じゃないのです。「純粋な上流階級」は先祖の財産を只食いつぶしながら、好きな本を読んだり研究をしたり、音楽を聴いたり、庭仕事などしたり、時々犬と散歩したりスポーツをしたりして暮らしている、という印象です。私はこういう文化が好きなのです。因みにダリエル本人はやはり相当質素な生活をしているようです。
私は英国の文化（文明ではない）がこれだけの水準に達した背景には、「１ペニーにもならないような発明や研究」に没頭する物好きでエキセントリックな人々が大勢いたことが、大いに貢献したのではないか、という印象をもっています。そして何といってもその無駄ガネをもっていた、本格的上流階級のこの分野における貢献はただならぬものがあります。
ただしここ10年で英国人は完全にバブル経済の影響で、アメリカ風成金が多数派になってしまった感があります。猫もしゃくしも不動産投資の話をしている今の状況は異常としかいいようがありません。ちょっと前までテレビは高いから買わないでレンタルで済ませていた同じ人々が、大挙してDVDとか画像付きモバイルとか、に飛びついています。それも狂ったように借金して。さらに問題なのは欧州中で不動産を買いあさって値段をつりあげていることです。罪なことです。私は今の英国人の振るまいは長い目で見れば根本的に非英国的(unBritish)だと感じます。本質的に英国に成金は似合わないのでバブルが崩壊すれば消えていくとは思いますが。
そういえば昔ユダヤ系の女性（当時の家主）に誘惑されたことがありますが、若い女性でしたが大変な発展家でした。ロンドン近辺でいえばユダヤ系とエセックス女性Essex womanが「一番進んでいる」ようですね。これ以上はあえて言いません（笑）がユダヤ系に美人でsexyな女性がおおいのは確かですね。
アスコット競馬で企業が顧客接待をやると一日で20万円くらいかかることは知っていましたが、私が知ってるのはめったにレースがなくて、普段は近所の子供の遊び場になっているようなさびれた田舎の競馬場だけです。それもたまに通りかかるだけですが、環境は非常にいいところにあることが多いようです。（gambleはやらない主義）基本的に成金的文化には縁も関心もないしあまり魅力を感じません。アスコット競馬場には他人のお里の詮索・価格評定が大好きなsnobが大勢いるような印象です。新聞の写真などで見るといわゆるsocialite（名士・淑女）、特にTara Palmer-Tomkinsonの類がそうとう奇態な服や帽子をかぶって登場するようです。悪いですが「精神的上流階級」はあまりいないような気がします。所詮カネさえ払えば誰でも行けるところだと思うのですね。
個人的には英国の良さは田舎(countryside)の善良かつ質素で、健全な中産階級の人々と、彼らの持つ優雅で品の良いユーモアのセンス（それから色彩豊かなEnglish country garden）にあると思うのですね。
ブッシュがバカにされたのは基本的に小学生並の英語しか話せないところが大きいと思います。英国は基本的に「言語の国」なので、話す英語の水準ですぐに「お里が知れてしまう」ようなところがあります。コンテクストに応じて語彙を使い分けることができないとしたら、（特に合衆国大統領ともなれば）相当キツイコメントを覚悟しなければなりません。例えブッシュが「猿のようにしか歩けない(The Times)」人間であっても、もう少しまともなスピーチができれば（あのTexas Drawlでも）ずっと高い評価を受けたでしょう。
さらにオーストラリアでブッシュが演説した時に、ヤジを飛ばした野党議員に「I love free speech（言論の自由っていいもんだねえ： 言外にだからオレ様にそんな生意気な口がきけるんだぞ、と言っている）」 と斬り返しましたが、これも英国人の間では「品のないruthlessなユーモアのセンスだ」と酷評されました。やはりこの辺の余裕のなさでお里がしれてしまうのです。例え彼が上流階級らしい身のこなしを身につけていても、あのユーモアでは貧困な精神をおおい隠すことはできなかったでしょう。
プロトコルについていうなら、法律関係者など確かにbarristerなどが例のカツラをかぶったりするのに象徴される形式主義が見られます。要は身内しかわからないルールを設定しておいてよそものを排除するinsularity というか島国根性なのでしょうが、既得権の保護という点もあるのでしょう。
ただしごく普通の生活をしている分には、むしろ英国の方がimproviseを許すと言う点では寛容なのではないかと思います。前例に必要以上にこだわり、ヒトと違うことをすると病的なまでに後ろ指を指したがる日本の社会の方が、広い意味で一種のプロトコル社会ではないでしょうか。ちゃんとリーズナブルに説明ができるようにさえしてあれば英国の方がはるかに「大人の対応」をしてくれる、ということはできるのでは。
しばらくコンピュータへのアクセスが悪くなるので4日後くらいに復帰します。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。