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http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20040713k0000m040133000c.html
人間の受精卵(ヒト胚(はい))やヒトクローン胚を使う研究のあり方を検討している政府の総合科学技術会議生命倫理専門調査会(薬師寺泰蔵会長)の最終報告書案全文が12日、判明した。焦点となっているヒト胚の作成と利用に対する規制は、法律ではなく国の指針(ガイドライン)を新たに整備し、実際の審査は大部分を日本産科婦人科学会(日産婦)にゆだねることにした。報告書案は13日の会合に報告されるが、強制力のある法律で規制すべきだとの意見も多く、委員からの反発が必至だ。
同調査会はこれまで、不妊治療研究でのヒト胚作成を認め、6月23日の会合ではヒトクローン胚作りも難病などの基礎研究に限り容認した。薬師寺会長はこれを受け、研究の規制の枠組みを中心に報告書案を作成した。
ヒト胚研究の規制について、報告書案は「強制力を有する法制度として整備するのは、倫理観や生命観の押し付け的な側面があって、極めて難しい」と判断し、強制力のない指針で十分とした。
規制方法は「問題の性質上、専門家の知見が重要」だとして、日産婦を念頭に「生殖補助医療技術の専門家の団体が指針に基づく審査を行い、定期的に国に報告する」と規定した。国は日産婦に属さない研究者や、日産婦が判断できない問題の審査のみに対応すべきだとし、事実上、日産婦に規制を「丸投げ」した。
ヒトクローン胚作成は現在、クローン技術規制法に基づく指針で禁止されており、作成を認めるための指針改正を検討する。クローン胚から作ったヒト胚性幹細胞(ES細胞)は、輸出入を認めないとしている。【江口一】
◇実質審議なく結論=解説
総合科学技術会議生命倫理専門調査会の最終報告書案は、ヒト胚(はい)の作成や研究を法律では規制せず、強制力のない指針で対応する方針を打ち出した。しかも、指針に基づく審査を日本産科婦人科学会(日産婦)へ丸投げしようとしている。「なぜ規制が必要か」の原点に立ち返り、法律で規制すべきだ。
ヒト胚やヒトクローン胚を作るには、女性から未受精卵を提供してもらわなければならず、女性の肉体的、精神的な負担が避けられない。このため、「女性を保護するための枠組み整備」「国による国内すべての研究者に対する規制」が必要という点で、調査会委員の意見は一致していた。
こうした経緯にもかかわらず、ほとんど実質審議しないまま「法規制せず」の結論が出されたのは疑問が残る。また、日産婦の会告(学会規則)は自主規制にすぎないため、着床前診断の実施など、会員が意図的に規則違反をして社会的に物議をかもす事例が後を絶たない。「学会任せ」は適切ではない。
市民団体「フィンレージの会」の鈴木良子さんは、ヒト胚には精子、ヒトクローン胚には体細胞の入手が必要だが、これらはまったく議論されていないと指摘、「終了の期日を重視するあまり、議論が尽くされない不十分な報告書案になってしまった」と批判する。
報告書は日本の生殖補助医療や再生医療の研究にとって大きな意味を持つ。調査会はそれにふさわしい、説得力のある報告書をまとめることが求められる。【江口一】
毎日新聞 2004年7月13日 3時00分