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あずさ2号です、こんばんわ。
あっしら氏との論争から降りるといって、また投稿をしてしまいましたが、お許し下さい。今回の同氏との論争のまとめということで、お読みいただければ幸いです。
あっしら氏は、「重税反対行動」のホームページの、輸出を主とする大企業の消費税の還付額が巨額であるとの指摘に触発され、そこに大企業のエゴや、ここの皆さんがよく使う「支配層」の不正(立法を通じての不正の実現を含む?)がある、と感じられた。金額が巨額であるという事実は、私も否定しないが、だからといってそれがすぐに「悪」であるということにはならないと思う。
今回のケースについて、私の論点は2つしかない。
ひとつは、「輸出免税が正当なものかどうか」ということである。
もうひとつは、「租税はすべての国民に公平であらねばならない」ということである。(これは論としてのものであり、実際が別物であることは認識しています。)
第1点目について、あっしら氏は、これを多分本来の姿ではなく、歪められたものである、との考え方を持っていると私は思う。私は、この点について、わかりやすく「輸出には消費税の最終の負担者がいないから免税」との表現をしてきたが、正確に表現すると「国境税調整」という仕組みが世界的な規模で行われており、その結果としての免税なのである。
1954年にフランスで最初に採用・実施された付加価値税は、現在多くの国で採用されている。わが国の消費税は、この付加価値税に似た仕組みを持っているが、間接税の一種であり別ものである、と通常いわれる(間接消費税)。異同は別として、付加価値税も消費税も、いずれも最終消費に負担を求める「内国消費税」であり、課税物品が消費される地域で課税されるべきであるという「消費地課税主義」の考え方に立脚している。
このような考え方をとった場合、課税物品が国内で流通している場合は問題がないが、輸出によって他の国に渡る場合には問題が生じる。つまり、仮に、税込みの価額で輸出されると、それを最終消費した者は、自国以外の国の税を負担する、という問題が生じてしまうのである。このため各国において、「輸出は免税、輸入は課税」というルールが等しく行われているが、これを「国境税調整」という。輸出免税は、日本の特定の勢力によって、特定の人達を利するために、このような仕組みを、わが国が特別にとった、というものではないのです。また、これに関連して、日本でいうところの前段階の仕入税額の還付も各国で同様に行われているのが現状です。(ただし、中国においては、この還付の不正が甚だしかったため、還付率を調整し、現在は100%還付は行われていないようである。)このような状況下で、わが国だけが、輸出課税を原則とした考え方をとるとすると、輸出品については、国内と海外での二重課税が生じる、という矛盾が生じることになる。
このような理由により、私は、輸出免税及びそれに伴う仕入税額の還付は問題のない制度である、と考えている。
もうひとつは、「租税はすべての国民に公平であらねばならない」ということであるが、租税法の基本原則の中に、「租税公平主義」または「租税平等主義」という考え方がある。この基本原則は、近代法の基本原理である平等原則の課税の分野における現れであり、直接的には憲法14条1項が命ずるものであるといわれる。具体的には、税負担は国民の間に担税力に即して公平に配分されなければならないことと、各種の租税法律関係において国民は平等に取り扱われなければならない、という2つのことを内容としている。
この基本原則の中の後段、租税の「公平」ないし「中立性」は、課税の上で、同様の状況にあるものは同様に、異なる状況にあるものは状況に応じて異なって取り扱われるべきことを要求する。
あっしら氏が正しいと主張する計算によれば、名無しさんが昨日証明したように、パンを同じだけ売るという行為でありながら、美代ちゃんとボクの手取額は大きく違ってしまう。これはまさにこの基本原則の侵害であり、新たな「不合理な差別を生み出す」ものであると考えられたから、私はあっしら説に反対をした。
この2点について、あっしら氏に明確な認識があれば、今回のような論理構成に至らなかったのではないかと個人的には思う。今回の同氏との論争を通じて、消費税について多くのことを学んだが、感謝する。
また、たこさんが指摘する「消費税の納税義務者は、消費者ではなく、課税売上のある事業者です」という部分や転嫁の問題など、消費税には多くの問題があることも事実だと思う。この点で別途議論があるときは、判例なんぞもひっさげて、時間の許す限り、是非参加したいと考えています。