現在地 HOME > 掲示板 > 議論11 > 335.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 国債価格暴落問題 [すみちゃんへ] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 17 日 19:02:57)
あっしらさん。 ありがとうございました。
もっと詳しい方が質問した方が良いのかもしれませんが、破局が迫っているかもしれないという状況を鑑み、あえて追求しています。 皆さんお許しください。
(国際競争力について)
(高度成長期の鉄鋼業は、官需の後ろ盾で国際競争力を高めたと言えますし、ある業種の国際競争力の増大は、需要・供給のGDP連関で他の業種の国際競争力も高めます。)
鉄鋼業については正しいです。 こういう巨大資本を必要とする工業は官需なしに立ち上がりません。
石油化学工業(臨海工業地帯にたくさんあります)については、本当に投下費用に見合う成長をし、国際競争力を付けたのか、疑問を持っています。 国家が肝入りした割りにはパッとしないという印象です。
この時代に、国家のバックアップを受けなかった電子工業と自動車工業は大飛躍を遂げ、巨大輸出産業に変身しました。
私は、日本人も外人も、欲しいものはそんなに変わらないからだと思うんですよ。 これが民需の強みです。
最近の官需には疑問を感じています。 官需の国際競争力への寄与は低下しているような気がしてなりません(残念ながらこういう統計、研究は知りません。 印象です)。
(現状の問題は、国際競争力(生産性)を高めても、輸出の増大に結びつきにくく、失業の増加やデフレの深化につながるということです。)
その通りだと思います。
(国債について)
(日本国債が外国人を含む管理しにくい不特定多数に保有されている場合や意図的な政策を採らなければ、経済論理に従ってご指摘のような変動が起きます。)
やはりそうなりますよね。
(インフレ予測は銀行に貸し出し金利を引き上げようとさせますが、資金需要量と資金供給量の関係が利子率を決める根源的な規定要因です。
金利が上昇傾向を示すのは、借り入れ需要量>貸し出し供給量(のギャップ)が拡大するときです。
現在、日銀が日銀券の供給手法を拡大しようとしていますが、銀行への行政指導とともに、それをインフレになっても継続すれば、借り入れ需要量<=貸し出し供給量の状況をつくり出すことができます。)
銀行を通じて貸出の拡大を行い、資金過剰状態を維持するということですか。
(供給=需要になる業種に絞り(不動産投機関連や金融投機関連には貸し出さない)つつ、赤字財政支出を減少させていけば(インフレを)抑制できます。)
(1億円を5%で貸し出せば500万円の利息が得られ、3億円を2%で貸し出せば600万円の利息が得られますから、銀行の収益は、金利ではなく貸し出し量の増加で確保させるようにし、そのための資金が不足するというのであれば、日銀が0%に近い金利で銀行に貸し出します。)
(名目GDPが拡大すれば、実質金利はマイナスであっても、「信用創造」や日銀から借り入れができる銀行は実質利益を上げることができます。)
(インフレだからと貸し出し金利を引き上げるのは、より多く儲けたいという強欲の現われであり、利益を考慮しても不可欠なわけではありません。)
ここが一番疑問に感ずるところですね。
インフレーションですから、通貨の購買力は時々刻々と減少します。
ここで購買力平価通貨「ブツ」を想定します。
いまは1円=1ブツです。
しかし、一年後には1円=0.9ブツとなる世界ですね。
するとこの世界で金利5%で貸出た銀行家は、1円に対して1年後に1.05円を受け取ります。 1.05円は0.95ブツくらいです。
つまり銀行家の貸出の名目金利は5%ですが、実施金利はマイナス0.5%となります。
まして上の仮定によると、日銀の貸出金利は、名目0%、実質マイナス10%です。
要するに、日銀から銀行家、銀行家から借り主への一種の利益供与体系となります。
これを確信犯として実施するわけですね。
(国債だけに限っても、予測インフレ率+金利を求められるので、新規国債の金利が上がり、低利の既発国債は利回りがそれに近づくかたちで価格が下落します。)
やはりそうなりますね。
(現状でも、無作為で放置すれば、膨大な国債発行(借り入れ需要)のために、デフレであっても金利は上昇するはずです。
そうならないのは、日銀が0%金利で日銀券をじゃぶじゃぶ供給しているからです。)
みんなグルになって、日本で最大の強者である日本政府を助けているわけです。
(現在は国債が主要な運用先になっていますが、ご指摘の状況で国債を消化するためには、国債で得られる利益はおまけにしなければなりません。
国債発行の過半を占める借換債は証券の差し替えという“塩漬け”の手段ですから、新規国債分が、日銀が銀行に日銀券をタダ(0%)で供給して0%を少しでも上回る利子をつけるかたちで消化できればいいのです。銀行は、わずかとは言え労なく利益が得られるのですから文句はないでしょう。(この間の金融政策で、それができることは実証されています))
インフレーション状況下では銀行家は損を免れないと思います。
まあ上の方法で市中金利を無理やり押さえつけることによって、国債市場における暴落幅を縮小させるのなら話は別かもしれません。
(時価会計システムが国債の“評価損”をどう考えているのか知らないのですが、それさえクリアすれば、10億円の国債は償還期に10億円支払われるのですから、通貨評価として損をすることはありません。(土地は10億円で買ったものが3億円になったりしますが、国債は10億円のものは10億円で償還されるのですから、10億円の国債に“評価損”を考えるのは、現金に“評価損”があるというのと同じでおかしいと考えています)
10億円の国債を郵便局で買った個人投資家なら、確実に元本と金利が返還されるわけですから、インフレーションによる目減りは別とすれば、元本上の評価損はあり得ません。
しかし、国債市場では、元本+金利の総額を折り込んだ価格で取引されているわけで、額面10億円の国債でも、額面上の利回りが直近の新発国債の利回りに比べて高ければ、例えば12億円で売買しているはずです。
ですから、その国債を買った後で新発国債の金利が上がれば、買った国債の値打ちは下がり、価格が例えば11億円に低下するわけです。その1億円が評価損となります。
しかも、最近は国債の償還期間が短期化しており、かつ変動金利と固定金利とのスワップ取引も盛んだと聞いています。 非常に価格変動しやすい危険な状況にあるはずです。
(損をしても既発国債を売却するのは、新規国債を含めより多くの利益が得られる運用先があると判断するからです。これに対しては、「国債もわずかと言え利息が付くのだからそのまま保有してください。儲かる運用のために必要な資金は0%で貸し出しします」という金融政策で抑え込むことができます。)
これだと政治的バーター取引みたいなものですね。
しかし売却しなくとも損は損だと思うんですよ。 上で書いたように、市中での購入価格は、そのときどきによって変動しているわけですから。
全体にかなり強権ないし関係者の価値観的合意を必要とする政策のように思います。
自由主義的経済価値観からみると変ですが、国債暴落による混乱を最小限にとどめるという観点からは合理的な行動なのかもしれません。
確かに、現状の延長線上には、「劇場での火災」のごとき惨状が見えています。 機関投資家達は、全員、自分だけは助かる、逃げきれると信じているんでしょうね。 他人を蹴落として。 これほど恐ろしいことはありません。 みんな考えていることは同じです。