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(回答先: Re: 国債価格と損についての疑問 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 6 月 17 日 20:41:43)
● 鉄鋼業と石油化学工業
鉄鋼業は、官需の象徴である建設業に供給するだけではなく、造船・自動車・家電・機械など幅広い業種に供給する業種です。
鉄鋼業の生産性上昇(価格低下)と品質向上が、それらの業種の国際競争力を高めたことも確かです。
石油化学工業も、幅広い業種に素材を提供していますが鉄鋼業ほど官需の恩恵を受けないとともに、戦後型産業であることから乱立したことが国際競争力の強さにあまり結びつかなかったのではないかと思っています。
(鉄鋼業は、戦前から国策で育成され寡占的状況がつくられ、それをベースにスクラップ&ビルドが行なわれたことが成功の要因だと思っています)
>この時代に、国家のバックアップを受けなかった電子工業と自動車工業は大飛躍を遂
>げ、巨大輸出産業に変身しました。
>私は、日本人も外人も、欲しいものはそんなに変わらないからだと思うんですよ。
>これが民需の強みです。
家電や自動車も、輸出振興策で国家のバックアップを受けていますし、官需の直接的な恩恵を受けて成長した鉄鋼業のサポートも得ていますし、何より、高度成長という実質購買力の高まりで国策の恩恵を受けています。
だからこそ、トヨタや伝統的大企業は、法人税の減税ではなく、現在の経済的苦境を克服するために積極的に取り組む義務があると考えています。
>最近の官需には疑問を感じています。 官需の国際競争力への寄与は低下しているよ
>うな気がしてなりません(残念ながらこういう統計、研究は知りません。 印象です)。
端的に言えば、現在の官需は、個人にお金を回し、そのお金が民需に回るようなものでなければなりません。
産業を直接的に支えるのではなく、個人消費を拡大することを通じて産業をサポートするのが正解です。(鉄鋼やコンクリートという物に支出する割合を減らし、人の活動力に支出する割合を増やすということです)
公共事業も否定しませんが、それを産業バックアップで行なうのではなく、生活環境の向上を目的として行なう必要があります。
● 国債価格問題
あっしら: (インフレ予測は銀行に貸し出し金利を引き上げようとさせますが、資金需要量と資金供給量の関係が利子率を決める根源的な規定要因です。
金利が上昇傾向を示すのは、借り入れ需要量>貸し出し供給量(のギャップ)が拡大するときです。
現在、日銀が日銀券の供給手法を拡大しようとしていますが、銀行への行政指導とともに、それをインフレになっても継続すれば、借り入れ需要量<=貸し出し供給量の状況をつくり出すことができます。)
すみちゃん: 銀行を通じて貸出の拡大を行い、資金過剰状態を維持するということですか。
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日銀を通じて、貸し出し資金が不足しないよう銀行に通貨を供給するという政策です。
無理やり銀行に通貨を持たせ、低い金利でも貸し出しをせざるを得ない状況をつくるというものです。
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あっしら:(供給=需要になる業種に絞り(不動産投機関連や金融投機関連には貸し出さない)つつ、赤字財政支出を減少させていけば(インフレを)抑制できます。)
(1億円を5%で貸し出せば500万円の利息が得られ、3億円を2%で貸し出せば600万円の利息が得られますから、銀行の収益は、金利ではなく貸し出し量の増加で確保させるようにし、そのための資金が不足するというのであれば、日銀が0%に近い金利で銀行に貸し出します。)
(名目GDPが拡大すれば、実質金利はマイナスであっても、「信用創造」や日銀から借り入れができる銀行は実質利益を上げることができます。)
(インフレだからと貸し出し金利を引き上げるのは、より多く儲けたいという強欲の現われであり、利益を考慮しても不可欠なわけではありません。)
しみちゃん:ここが一番疑問に感ずるところですね。
インフレーションですから、通貨の購買力は時々刻々と減少します。
ここで購買力平価通貨「ブツ」を想定します。
いまは1円=1ブツです。
しかし、一年後には1円=0.9ブツとなる世界ですね。
するとこの世界で金利5%で貸出た銀行家は、1円に対して1年後に1.05円を受け取ります。 1.05円は0.95ブツくらいです。
つまり銀行家の貸出の名目金利は5%ですが、実施金利はマイナス0.5%となります。
まして上の仮定によると、日銀の貸出金利は、名目0%、実質マイナス10%です。
要するに、日銀から銀行家、銀行家から借り主への一種の利益供与体系となります。
これを確信犯として実施するわけですね。
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銀行の資金調達にコストがかかっていれば、実質金利が“正味”でマイナスという弊害が起きますが、1億円しかないところに、2億円をタダで貸し出し(供給)して、3億円貸し出しできるようにしてあげたのですから、“正味”でマイナスという弊害が起きるわけではありません。
実質金利はマイナスでも名目がプラス金利であれば、利息収益は上げられます。
例で言えば、2億円は400万円の利息を丸取りできるのです。
(貸し出し資産増加が自己資本比率の低下を招くのなら、りそなのように増資してやればいいのです)
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すみちゃん:10億円の国債を郵便局で買った個人投資家なら、確実に元本と金利が返還されるわけですから、インフレーションによる目減りは別とすれば、元本上の評価損はあり得ません。
しかし、国債市場では、元本+金利の総額を折り込んだ価格で取引されているわけで、額面10億円の国債でも、額面上の利回りが直近の新発国債の利回りに比べて高ければ、例えば12億円で売買しているはずです。
ですから、その国債を買った後で新発国債の金利が上がれば、買った国債の値打ちは下がり、価格が例えば11億円に低下するわけです。その1億円が評価損となります。
しかも、最近は国債の償還期間が短期化しており、かつ変動金利と固定金利とのスワップ取引も盛んだと聞いています。 非常に価格変動しやすい危険な状況にあるはずです。---------------------------------------------------------------------------------------------------
保有国債を売らなければならない資金状況をつくらないというのが今回書いている内容の趣旨です。
国債が金融機関にほとんど保有され政府(財務省)の管理下にある日本だからできることです。
建前は保有国債を売るなとは言えませんから、より有利な運用に回したい資金は日銀が提供し、保有国債を売却しなくてもいいようにするというものです。
保有国債から得られる利息は、余禄にしてしまうという考えです。
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あっしら:(損をしても既発国債を売却するのは、新規国債を含めより多くの利益が得られる運用先があると判断するからです。これに対しては、「国債もわずかと言え利息が付くのだからそのまま保有してください。儲かる運用のために必要な資金は0%で貸し出しします」という金融政策で抑え込むことができます。)
すみちゃん:これだと政治的バーター取引みたいなものですね。
しかし売却しなくとも損は損だと思うんですよ。 上で書いたように、市中での購入価格は、そのときどきによって変動しているわけですから。
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どうして、売却しなくとも損は損だと思うんですか?
売れば損するけれど、売らなければ額面通りで償還されるから損失は発生しません。
そして、売却しなくても運用資金が困らないようにしてやろうということですから、銀行に追い銭をあげるようなものです。
そして、理を考えながら通貨流通量を制御すれば、日本の強固な供給力に支えられてハイパーインフレも防ぐことができます。
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すみちゃん:全体にかなり強権ないし関係者の価値観的合意を必要とする政策のように思います。
自由主義的経済価値観からみると変ですが、国債暴落による混乱を最小限にとどめるという観点からは合理的な行動なのかもしれません。
確かに、現状の延長線上には、「劇場での火災」のごとき惨状が見えています。 機関投資家達は、全員、自分だけは助かる、逃げきれると信じているんでしょうね。 他人を蹴落として。 これほど恐ろしいことはありません。 みんな考えていることは同じです。
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今回のアイデアは、強権的でも銀行家との価値観合意を必要とするものではなく、国民経済の混乱を避けるためとはいえ、銀行家に奉仕する政策です。
(銀行家が大喜びの政策です)
自由主義的経済価値観に照らせば、現状の「国債サイクル」維持政策そのものが異様なものです。