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すみちゃん:『税制調査会路線について、奥野氏の代りに思考実験を行いました』
( http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/263.html )
すみちゃん:『国債価格の暴落は防げます』
( http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/306.html )
すみちゃん:『国債価格の暴落を防げるんですか?』
( http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/329.html )
に続くものです。
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すみちゃん、こんにちわ。
最初の部分は、花子さんへのレスを参照してください。
すみちゃん:これを官需と呼びます。 官需に基づいて造成された商品サービスに国際的競争力はあるんでしょうか? 私は、官需に基づいてはそのような商品サービスが造成されにくいと思います。 そのような分野に頭脳と設備が結集されていくと、将来の供給力(特に輸出競争力)を劣化させていくはずだと思います。
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官需だろうが民需だろうが、国際競争力を高めることに差はありません。
(もちろん、官需は談合(キックバック分)を含め甘い価格で財やサービスを購入するきらいがあるので、生産性の向上意欲を刺激しないとは言えますが、それは運用の問題であり本質の問題ではありません)
高度成長期の鉄鋼業は、官需の後ろ盾で国際競争力を高めたと言えますし、ある業種の国際競争力の増大は、需要・供給のGDP連関で他の業種の国際競争力も高めます。
高度経済成長は、スクラップ&ビルドで最新の生産システムを十全に働かせることで達成したものです。(生産性の上昇を物価下落のかたちで現出させるのではなく、利潤として現出させ、高い生産性を量的にも拡大した)
高い生産性をスムーズに発揮できる条件を得たことで、完全雇用を達成しつつ実質賃金も上昇したのです。
現状の問題は、国際競争力(生産性)を高めても、輸出の増大に結びつきにくく、失業の増加やデフレの深化につながるということです。
(これが「構造改革」の隘路です。他国の国民生活を破壊しても武力でそれを抑えつけられることができないかぎり自由主義貿易は幻想であり、それができたとしても、そのために輸出先の購買力が減少していくのですからどのみち幻想です)
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すみちゃん:国債の実質金利をマイナスにするということですか?
現在長期国債は実質ゼロ金利ですけど、物価が例えば年−3%低下しているとすれば、国債の実質金利は+3%なわけですね。 だから機関投資家が買っているんでしょう。
デフレーションが終わったときに、国債金利を政策的にゼロ%に張り付けるということなんですね。
物価が上がる(円の購買力が下がる)わけですから、既発国債の実質金利は大きく下がり、場合によってはマイナスになることは避けられないと思います。
新発国債の金利が例えば0%として、いまと同じ値段では誰も買わないのでは。 つまり物価上昇は国債価格暴落と等価だと思っていたんですが?
やはり良くわからないんです。 物価が上昇すると、国債の金利を現在価値に割り引いた価値は下がるわけですよね。 それは国債を売却しようがしまいが同じだと思うんですけど。 私が誤解しているんでしょうか?
いわゆる「回転ドア効果」による混乱を抑制する措置としては理解できるんですが。
お手数ですが重大な話のように思われるので、ご教示頂けますと幸いです。
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国債に限らず債務の実質金利をマイナスにするということですが、国債に絞って考えたほうがわかりやすいでしょう。
日本国債が外国人を含む管理しにくい不特定多数に保有されている場合や意図的な政策を採らなければ、経済論理に従ってご指摘のような変動が起きます。
また、前回書いたように、「預金の実質的目減り銀行の貸し出し実質収益の低下という問題」もあります。
インフレ予測は銀行に貸し出し金利を引き上げようとさせますが、資金需要量と資金供給量の関係が利子率を決める根源的な規定要因です。
金利が上昇傾向を示すのは、借り入れ需要量>貸し出し供給量が拡大するときです。
現在、日銀が日銀券の供給手法を拡大しようとしていますが、銀行への行政指導とともに、それをインフレになっても継続すれば、借り入れ需要量<=貸し出し供給量の状況をつくり出すことができます。
それじゃあインフレに拍車がかかってしまうということであれば、貸し出し先を精査し、供給=需要になる業種に絞り(不動産投機関連や金融投機関連には貸し出さない)つつ、赤字財政支出を減少させていけば抑制することができます。
(インフレを抑制できるだけではなく、財政赤字を縮小できます。借換債を除く新規国債の発行は小さなものになります)
1億円を5%で貸し出せば500万円の利息が得られ、3億円を2%で貸し出せば600万円の利息が得られますから、銀行の収益は、金利ではなく貸し出し量の増加で確保させるようにし、そのための資金が不足するというのであれば、日銀が0%に近い金利で銀行に貸し出します。
名目GDPが拡大すれば、実質金利はマイナスであっても、「信用創造」や日銀から借り入れができる銀行は実質利益を上げることができます。
インフレだからと貸し出し金利を引き上げるのは、より多く儲けたいという強欲の現われであり、利益を考慮しても不可欠なわけではありません。
(それをしばらく続けて政府債務の縮小や不良債権処理が終わったら、別の政策を採ることもできます)
>「物価が上がる(円の購買力が下がる)わけですから、既発国債の実質金利は大きく
>下がり、場合によってはマイナスになることは避けられないと思います。」
無作為で放置すればそうなります。
国債だけに限っても、予測インフレ率+金利を求められるので、新規国債の金利が上がり、低利の既発国債は利回りがそれに近づくかたちで価格が下落します。
現状でも、無作為で放置すれば、膨大な国債発行(借り入れ需要)のために、デフレであっても金利は上昇するはずです。
そうならないのは、日銀が0%金利で日銀券をじゃぶじゃぶ供給しているからです。
>「新発国債の金利が例えば0%として、いまと同じ値段では誰も買わないのでは。
> つまり物価上昇は国債価格暴落と等価だと思っていたんですが?」
現在は国債が主要な運用先になっていますが、ご指摘の状況で国債を消化するためには、国債で得られる利益はおまけにしなければなりません。
国債発行の過半を占める借換債は証券の差し替えという“塩漬け”の手段ですから、新規国債分が、日銀が銀行に日銀券をタダ(0%)で供給して0%を少しでも上回る利子をつけるかたちで消化できればいいのです。銀行は、わずかとは言え労なく利益が得られるのですから文句はないでしょう。(この間の金融政策で、それができることは実証されています)
とにかく、「国債サイクル」を破綻させないためには、借り入れ需要量>貸し出し供給量という資金需給構造を現出させないことです。
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あっしら: (低利の国債でも利息が付くのですから、償還まで持ち続けても損失を出すわけではありません)
すみちゃん: これも同じ疑問になります。
売却しなければ損は出ないんでしょうか?
いまA銀行とB銀行とがあり、両方とも長期国債を100個ずつ抱えているとします。
この市場にはA銀行とB銀行としかないものとします。
すると、A、B両銀行が国債を全部売却し終わった後に、A、B銀行はやはり国債100個ずつ所有することになります。 両方とも市場で売却損が確定します。
一方、A、B両銀行が全国債を塩漬けにしたものとします。
結末は同じではないですか?
このあたりが良く理解できないのですが。
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時価会計システムが国債の“評価損”をどう考えているのか知らないのですが、それさえクリアすれば、10億円の国債は償還期に10億円支払われるのですから、通貨評価として損をすることはありません。(土地は10億円で買ったものが3億円になったりしますが、国債は10億円のものは10億円で償還されるのですから、10億円の国債に“評価損”を考えるのは、現金に“評価損”があるというのと同じでおかしいと考えています)
損をしても既発国債を売却するのは、新規国債を含めより多くの利益が得られる運用先があると判断するからです。これに対しては、「国債もわずかと言え利息が付くのだからそのまま保有してください。儲かる運用のために必要な資金は0%で貸し出しします」という金融政策で抑え込むことができます。
A銀行とB銀行の例ですが、償還まで持っていれば(塩漬け)、額面通りの日銀券が手に入るということで問題ないと思います。
このあたりが良く理解できないと思われるのは、たぶん、限られた使える資金額を前提に、逸失利益と損失がオーバーラップしているのではないでしょうか。