現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産26 > 206.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 危ういキャッシュ信仰――日経金融スクランブル 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 22:11:04)
不動産投信に思わぬ逆風――日経金融スクランブル
13日の東京株式市場では日経平均株価が3日ぶりに反落し、安値引け。戻りが鮮明となっている米国株式相場を好感する形でおよそ1カ月半ぶりに8300円台を回復する場面があったが、その後は下げに転じた。スノー米財務長官が「為替介入は国内経済の繁栄にとって好ましくない」との考えを示したという外国通信社電が伝わると、日本の円売り介入を暗に批判したとの観測が広がり、円安にブレーキがかかったからだ。
当局による規制や介入ですっかり「官製相場」とのイメージが定着した感がある日本の金融市場。株式市場では外国人投資家が違和感を持つであろう規制の壁が、改めて意識されている。それは米モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が4月29日に発表した株価指数構成銘柄の定例見直しという、意外なことで浮上した。
MSCIは流動性などを考慮して日本株指数の構成銘柄として17銘柄を除外、13銘柄を新規採用した。MSCIをベンチマークとする日本株への投資資金は30兆―40兆円規模とみられ、見直しによる相場への影響は小さくない。今回の見直しを指数に反映させるのは5月30日の取引終了後だが、先回りする形ですでに思惑的な売買が膨らんでおり、13日時点で新規採用銘柄の8割強に当たる11銘柄が発表直前の4月28日に比べ上昇している。
問題は日本ビルファンド投資法人投資証券、ジャパンリアルエステイト投資法人投資証券の不動産投資信託(REIT)二銘柄が新規採用されたことから生じた。REIT発祥の地である米国では、代表的な株価指数であるS&P500種にも組み入れられるなど、REITの指数採用は常識。ところが日本では、期せずして初の試みとなった。
両銘柄は時価総額が1500億―1800億円に達し、住友不動産(1700億円)などと肩を並べる。最近では配当利回りの高さに着目した機関投資家のニーズも高まっており、MSCIでは「市場の実態を反映させるという指数の役割からもREIT採用は合理的な判断」(東京支店幹部)と説明する。
これに「待った」をかけたのが同指数の先物を上場している大阪証券取引所だ。理由は日本の証券取引法。「証券先物取引等に関する内閣布令」で、株券以外の金融商品を含む指数の先物売買が認められていないからだ。
大証はMSCIがREITの指数への採用を表明した翌日の4月30日、「先物の取引を受託する際には十分に配慮いただきたい」との声明文を発表して証券会社に取引自粛を要請。今月末に迫った指数見直しを控え、MSCI側と善後策を協議している。
MSCIでは指数の見直しは海外の本部が担当しており、日本にこうした規制があろうとは事前に察知できなかったもようだ。金融庁は「(法令改正などの)具体的な要望は来ておらず、まずは両者の話し合いを見守りたい」と静観を決め込んでいる。
大証のライバルである東京証券取引所も無関心ではいられない。MSCIのREIT採用をきっかけに、東証株価指数(TOPIX)へのREIT採用論が市場で高まってきたためだが、「仮に採用すれば現行法令下ではTOPIX先物の取引に障害をきたす」(情報サービス部)と距離を置く。
今回の騒動は拡大基調にある日本のREIT市場に冷水を浴びせかねない。多用な投資機会を提供する目的で創設されたREIT市場。市場活性化を叫びつつ、規制を残したままというのでは、アクセルを踏みながらブレーキをかけるようなもの。グローバル化の流れに背を向けていると海外勢が判断すれば、市場の空洞化に拍車がかかる恐れがある。(佐藤一之)