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(回答先: 米韓関係、市場が注視――日経金融スクランブル 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 23:16:37)
バフェット氏はソニーを買うか――
5月4日に終わった米投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会。会長で著名投資家のウォーレン・バフェット氏は総会後の会見で、日経平均株価が8000円前後に下がっても日本株に魅力は乏しいとの見方を示した。それを裏付けるように、8日の東京市場では外国人から積極的な買いが入らず、日経平均は六営業日ぶりに反落。伝統的に外国人の持ち株比率が高いソニーは、「ソニー・ショック」からなお抜け出せず、七営業日連続で3000円台を回復できなかった。
かねて日本株への投資機会を探っていながら、個別銘柄について公に語ることがなかったバフェット氏。実は、情報技術(IT)バブルが絶頂期にあった2000年の株主総会中、日経ビジネスの取材に応じてソニーに触れたことがあった。その時のソニー評は「私にも理解できる部分が多い。投資に値する潜在力がある」だった。確かにソニーにはバフェット氏好みの部分がある。消費者向けに強力なブランドを持ち、「ウォークマン」など構造が単純な商品も取り扱っているからだ。
強力なブランドと単純な商品の組み合わせで代表的なバフェット銘柄は米コカ・コーラだ。コカ・コーラなどには、将来のキャッシュフローの予測が比較的容易である点に特徴がある。もっとも、過去10年の株価推移を見ると、ソニーはハイテク企業が集中する米ナスダック市場の値動きとほぼ連動し、コカ・コーラとは似て非なる存在だ。米国の主力ハイテク株と比べても、「安定型のIBMよりも成長型のマイクロソフトに近い」(モルガン・スタンレー証券の山本高稔アナリスト)。バフェット氏が投資に際して重視するのは、同氏が「オーナー利益」と呼ぶフリーキャッシュフロー(純現金収支)だ。営業キャッシュフローから、事業継続に不可欠な設備投資への支出を差し引いたものだ。赤字になると、配当や自社株買いの余裕はなくなる。
IBMは配当に1000億円以上、自社株買いに3000億円以上の資金を充てている。一方、ソニーが配当に回した資金は前期で200億円台にとどまり、自社株買いは枠がありながら実施していない。今後設備投資がかさむことなどから、「フリーキャッシュフローは今期に続いて来期も赤字になる」(大和総研の三浦和晴アナリスト)見通しだ。
フリーキャッシュフローが赤字だと、企業価値の算定が難しくなる。銀行の不良債権の評価で脚光を浴びた割引キャッシュフロー(DCF)モデル。ここで一般に使われるキャッシュフローは、今ではフリーキャッシュフローだ。
バフェット氏は「設備投資を差し引かないキャッシュフロー分析はばかばかしい限り。永遠に更新する必要がない完ぺきなピラミッド。こんな設備を企業が持っているとの前提に立っている」と記したことがある。将来得られるフリーキャッシュフローにこそ株主にとって価値がある、というのだ。
米国では、ここにきてフリーキャッシュフローを使うことにも疑問が出ているようだ。どんなにフリーキャッシュフローの黒字額が大きくても、最終的に配当に回らなければ株主にとって無価値だからだ。ワールドコムなど大型倒産の経験が背景にある。
戦前にさかのぼれば、企業価値算出に用いられたのはDCFモデルではなく、配当に注目する割引配当(DD)モデルだった。1938年に出版した『投資価値の理論』の中で著者のジョン・ウィリアムズは次のように記した。
「配当に回らない利益(フリーキャッシュフローとほぼ同義語)が全額複利で上手に再投資されば、結局は配当を生み出すことになるだろう。そうならないとすれば、利益はどこかで使われて消え去ったということだ。利益は配当という目的を達成するための手段であり、手段と目的は混同されてはいけない」バフェット氏はビル・ゲイツ会長と友人関係にありながら、無配経営を続けてきたマイクロソフトへの投資は一貫して避けている。最終的に配当として戻ってくるのかどうか読めないためだ。資金を配当ではなく積極投資に振り向けるソニーの将来を読むことは、同じように難しいはずだ。
(編集委員 牧野洋)
ソニー株は生き返るか
6日の東京市場は日経平均株価が4日続伸。連休中に米国株が比較的底堅く推移していたことや政策期待などで、ハイテク株を中心に買い戻し優勢となった。もっとも、これが相場の転機なのかというと懐疑的な見方も少なくない。そうした市場の疑心暗鬼を映し出すのがソニー株だ。 業績の大幅な悪化で自ら「ショック」を引き起こしたソニー。6日こそ相場全体の好ムードに支えられて反発したが、結局は終値で3000円を超えられなかった。
ただ5月に入っても売買高は高水準で、今を買い時と考える投資家が多いのも事実だ。ソニー株は今後、息を吹き返すのか。それを探るカギは、この1―3月に起きた出来事の中にある。
「ブレーキがききすぎた」。4月24日の決算説明会で、出井伸之会長は1―3月期の業績悪化の背景をこう表現した。パソコンなどの販売減速に対応し「在庫を絞れ」と指示したところ、生産現場は生産台数を減らしすぎて固定費をカバーできなくなった。販売現場も在庫一掃を急いだことで販促費用が急増、さらに想定外の特許関連費用なども追い打ちをかけた。
生産調整が短期間で進んだことは、社内の意思伝達が極めて円滑であることを示す。半面、それが想定外の費用急増につながるのは、現場間の調整など経営管理に問題があったことをも示唆しそうだ。徳中暉久副社長も「予測能力を上げねばいけない、というのが反省点」と振り返る。
では、この業績悪化は一時的なものか、それとも同社が重大な企業価値の転換点を迎えつつあるのか。それにより今後の株価トレンドが大きく変わるのは間違いない。
決算後、投資判断を「中立」から「弱気」に下げたモルガン・スタンレー証券の山本高稔氏は「経営管理体制に十分なチェック・アンド・バランスが働いていない可能性がある」と指摘する。
「一体この数字は何だ」――。ソニーの徳中副社長は、決算を締めて上がってきた数字に驚いたという。実は「3月の時点で、業績悪化の半分程度は認識していた」。ところが実態は把握していたはずの数字をさらに下回り、原因分析にも時間を要した。
連結で16万人に上る社員の管理を見直すのは容易ではない。とすれば、同社が抱える問題は想像以上に根深いものである恐れがある。
逆説的だが、ソニーの不幸は、ヒット商品が相次いでいたことにある。会社側は「リストラは早めに着手していた」と強調するものの、プレイステーションやバイオなどの売り上げが全体の底上げ役となるなか、むしろ他の総合電機より危機意識の共有が遅れていた可能性がある。
2005年度ごろにも登場する次世代ゲーム機までの端境期を埋める商品が不在となり、そうした問題が一気に表面化したのがソニー・ショックの本質だ。今後は徐々に改善するだろうが、ある程度の成果が見えるまで「雌伏の時」を覚悟せざるを得ない。
IR面でも禍根を残した。前期の純利益1155億円は事前予想を3割超下回った。東証ルールでは業績修正の開示を求められるが、事前に業績修正をしなかったことも大きなネガティブサプライズの原因の一つだ。IRに定評があるソニーだが、投資家を軽視する姿勢に市場は容赦ない。エレクトロニクス部門を中心に今期1400億円をかける構造改善費用についても「具体的な内容は未定」(徳中副社長)と述べるにとどまり、評価をしづらくしている。
ソニー株が生き返る方向性を見いだすには何が必要か。5月下旬ごろにも開く経営方針説明会での姿勢も問われそうだ。そこで最低限、「ソニープレミアム」を信ずるに足る説得力ある計画を示せるのかどうか。できなければ、今度こそ市場から見限られかねない。(石井一乗)