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(回答先: KO寸前の個人投資家――日経金融スクランブル 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 23:24:33)
長期投資家は死んだか――スクランブル
「まず間違いなく勝つと思いますよ」
英国系投資顧問の幹部ファンドマネジャーがこう答えたのは、「個人投資家が今後数年程度の長期投資を考えた場合、このところ下げのきつい国際優良銘柄に投資するのは賢明か」との問いに対してだ。
例えばトヨタ株。世界最高水準の技術力と財務基盤を持ちながら連結株価収益率(前期推定ベース)は10.7倍、同株価純資産倍率(前々期ベース)は1.3倍に低迷する。それ以外の国際優良銘柄の株価水準も似たり寄ったり。「収益力などを考えると、いくら何でも今の株価は割安。中長期的には水準訂正が期待できる」と多くの市場関係者が認めている。
それでは、と前出のファンドマネジャーに「国際優良株を買っているか」と問うてみたところ、「今はもっぱら中小型株物色」との答えが返ってきた。「企業年金の代行返上売りなどによる需給不安が残るうちは、国際優良株はやはり買えない」というのだ。
株式市場で長期投資家の存在感が日ごとに薄くなっている。長期的視点で株式運用に挑まねばならないはずの投資家も、たいていは長期的な運用成績で評価されているわけではない。そうした制度上の矛盾が、下げ止まる気配の見えない株安で一気に増幅されているためだ。
代表的な長期投資家とされる年金基金。抱える年金債務は社員が入社してから年金を払い終えるまでの数十年に及ぶだけに、資産運用も長い期間を見据えたものでなければならない。2年や3年は運用が低迷して損失を出したところで本来はさほど重要ではないはずだが、運営母体である企業は事情が違う。
企業は毎期の業績次第で市場や金融機関の評価が変わってしまうため、年金基金の損失が続けば、経営者から「株なんてやめてしまえ」との大合唱が起こってしまう。代行返上にかこつけて日本株から完全撤退する年金基金も少なくないという。
投資期間を巡る年金基金と企業の「ねじれ」は、年金基金の財務状態を企業の財務諸表に反映させる退職給付会計の導入で、さらに強まっている。運用資産を受託する機関投資家らも四半期ごとなど短い期間の運用成績で評価されることがほとんど。お払い箱にならないためには目先の利益を追い求めるしかない。
その結果、年金基金の日本株離れが急速に進んでいる。格付投資情報センター(R&I)によると、2000年3月末には35.7%あった主要な年金基金の日本株保有比率は3年連続で低下、2003年3月末には24.7%まで低下してしまった。
「1年5カ月前から注文を出し続けて、ようやく武田薬品工業株を買ったよ」
さわかみ投信の沢上篤人社長は株価下落にもかかわらず上機嫌だ。武田株に出
してきたのは4000円未満での買い指し値注文とみられる。大幅な株価下落でその注文がやっと日の目を見たのだ。
先週あたりから富士通、トヨタ、TDK、大日本インキ化学工業と有力銘柄を次々に買っている。現在も大量の買い注文を出し続けており、すべて約定すれば約30億円ある手持ちの現金を使い切ってしまうほどだ。「欲しい銘柄はまだまだある。1兆円でも2兆円でも持ってきてよ」。沢上社長の鼻息は荒い。
さわかみファンドの残存投資口数(一口=1円)は4月末で約466億口。発足から3年9カ月で26倍強に増加した。投資家の株離れが進むなかでの健闘は、「株安局面こそ買い場」という長期投資の基本を忠実に実行してくれる運用機関が少数派であることを示している。
30日の日経平均株価は三営業日ぶり大幅反発。前日の米国株高や日銀による追加的金融緩和の決定などが材料だが、「目先筋の買い戻しで値を戻したにすぎない」と冷めた声ばかりが聞かれる市場は、「長期投資の死」さえも感じさせる。
(山下茂行)