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bakaさん、こんにちわ。
今朝の「サンデープロジェクト」は該当部分のみ見ました。
「イラク侵略戦争」の推移を見つめるなかで、イラクの人々は、「民主主義」ではなく、「民主」を力強く示していると考えています。
まず、「民主主義」は、国家(共同体)の支配(統治)権を正当化するための一つの考え方であり制度だと思っています。
「民主主義」が、「王権神授説」・「儒教的統治論」・「イスラム統治論」・「共産主義」・「全体主義」など他の統治に関する価値観や制度理論と較べて優れているとは思っていません。
共同体を超えた領域を共同体を解体しながら国家として統合するかたちでできたのが「近代国家」です。
そういう性格の国家を統治する理念的支えが、「民主主義」であり、「立憲君主制」であり、「象徴天皇制」であり、「共産主義」や「全体主義」だと考えています。
このような理念や制度は、基本的に西欧、もしくは、西欧的近代を受け入れた日本など「近代国家」=近代主義に由来するものです。
イスラムは、理念的に世界性を持つもので、基礎は、家族−共同体という地域社会です。スルタンやカリフは、地域共同体間の秩序を維持するためのものであり、共同体そのものを支配するものではありません。
これは、江戸幕藩体制における「幕府の藩間調整機能」や「藩の村落共同体間調整機能」そして「天皇による世界=日本の権威(任命権)による統合機能」をイメージすると近いものがあります。
江戸幕藩体制と明治維新以降の近代国家日本のあいだに優劣がないのと同じで、イスラム的統治構造と西欧近代的統治構造のあいだにも優劣があるわけではありません。
(優劣というのは論理的な話ですから、どちらが好きかという価値判断は別の問題です)
イスラムで「近代国家」が形成されたのは、オスマン・トルコが滅亡過程を歩んだ20世紀になってからです。そして、それは同時に、英国とフランスを中心とする資源支配政策と不即不離のかたちで生まれたものです。
日本のような全面的に近代を受け入れなかった中東イスラム世界は、押し付けられた近代国家とイスラム共同体という二重統治構造を残しています。
(サウド王室も相対的に強い部族長が国王を名乗っているだけであり、クウェート・カタールなどは、部族長が英国の後ろ楯を得て「近代国家」の支配者になっているというものです)
イラクやシリアは、エジプトやリビアと同じように、「近代国家」の部分がアラブ社会主義的価値観を持つ政治勢力によって担われています。これは、サウド王室の代わりに理念的政治勢力が国家支配者の位置を占めていると考えるほうがわかりやすいものです。
>これに対する、アラブやイスラムにも彼ら自身の民主主義があるという主張にも頷け
>るものがある。
>しかし、イラク指導部からイラクの民主主義といった主張は耳にしたことがない。フ
>セイン体制は、石油資源を背景にした独裁政権(民主主義が法的かつ実質的に保証さ
>れていない国家)である。
アラブ社会主義を掲げるイラク支配政党であるバース党は、中東で民主主義を明言している少ない政治勢力です。
バース党支配のイラクは、イスラムを統治理論からできるだけ切り離そうとし、国民国家概念を強く打ち出し、女性の“国家社会”的活動を促し、経済の近代化も他より推し進めてきた国家です。
政権の民主主義的正当性も、先進諸国とは異なりますが、民主制的投票制度や議会によるチェックを行うことで得ています。(それが、バース党支配の維持を前提としたものであることは事実です)
それ以上に重要なのは、先進諸国とは異なり、中央政府(フセイン政権)が個々の共同体に対して持つ支配権は限られているということです。
イラク中央政府の支配権は、江戸幕府よりも強いが日本政府よりもずっと弱いというものなのです。
>また、アラブの大義として、パレスチナ問題を積極的に解決しようというアラブ国家
>は存在しない。パレスチナ難民を自国で温かく迎えているアラブ国家は存在するので
>あろうか?
存在しないというのは現状についてそれなり言えるだけで、アラブ諸国は、4次にわたって対イスラエル戦争を戦いました。
そのすべてに敗北したことで軍事的解決をあきらめ、国際社会の対応に委ねざるを得なくなったと考えるほうがいいでしょう。
かつてはアラブ統一を目指しながら今ではイスラエル融和策をとっているエジプトの変移がそれを象徴的に現しています。(自国のことを考えたら、パレスチナのための対イスラエル強硬策はとれないというところまで追い込まれました)
イスラエルに対して軍事力を行使しようとしてまで解決しようとしたのは、アラブ社会主義を基礎とした国家で、サウジアラビアなど利権派国家は資金の面倒は見るという態度でした。
ヨルダン・レバノン・エジプト・シリア・イラク・サウジ・クウェートなど、経済的に困窮しているところも含めてアラブ諸国はパレスチナ難民を受け入れています。
クウェートは、「湾岸戦争」でパレスチナ人がイラクを支持したことでパレスチナ難民を排除する方向に動きました。
クウェートなど“金満支配者”国家は、パレスチナ人を労働者として受け入れたという側面が強いのですが、ヨルダン・レバノン・エジプト・シリア・イラクなどは、自国の犠牲を伴うかたちで受け入れています。
>自国民の自縛攻撃を勲章で奨励するイラク指導部は、冷酷さでは、世界経済支配層に
>劣るものではないであろう。
勲章をぶら下げることで自爆攻撃を赴く人がそれほどいるとは思えません。
「大東亜戦争」の特攻隊員も、勲章目当てで突っ込んだわけではないし、強制されたから渋々飛んでいって体当たりしたわけでもありません。
勲章は結果に対する国家の報償でしかありません(軍や国民向けプロパガンダですね)
考えてみればわかることですが、たとえ自爆攻撃を強いられたとしても、米英軍のすぐそばまで赴くわけですから、嫌なら投降すれば済むことです。
「イラク侵略戦争」で米英侵略軍が苦戦しているのは、イラク国民がフセイン政権やイラク国家のために戦うのではなく、自分たちの共同体(生活の場)を侵そうとする敵対者を排撃するという「民主」の構えで戦っているからだと思っています。
>今回の戦争が関ヶ原であって、私が帰趨を明らかにすべき大名であるなら、私はあっ
>さり米国側に付くであろう。
>イラクも米国もならず者国家であるが、日本を含め他の国々も影響力の大小があって
>も、ならず者国家である。
>同じならず者国家であるなら、意見を述べるにより自由な国の方が望ましい。
何を選ぶかは最終的に論理ではなく好み(価値観)の問題ですから、好きなほうを選択して付くしかありません。
「言論の自由」こそ悪魔崇拝者の所業だと思っていますから、そのようなことを基準に選択はしません。
具体的な問題でどのような説明をし、実際にどのような行動をしているかで選択します。
別に、自由な意見表明を禁止しろとか抑制しろといっているわけではありません。
>フセインには、次のように云いたい:
>「そんなにイスラムが大事であるなら、石油資源を捨てて、ベドウィンの昔ながらの
>生活に戻るがよい。」
フセイン氏は、イラクの主権と独立が大事なのであって、イスラムがことさらどういう立場ではありません。
イスラムを大事にする人が、自分の肖像画・写真・銅像などを街中や公共建物の室内に飾らせたりはしません。(ムスリムぶるのは、それこそ支配権を維持するための方便だと思っています)
フセイン氏は、それだけで偶像崇拝を徹底的に忌避するイスラムに照らせば不信心者です。
だから、フセイン政権がアルカイダと手を結ぶことはないのです。
敬虔なムスリムには、「石油資源を捨てて、ベドウィンの昔ながらの生活に戻るがよい」に近い考えを持っている人がけっこういるようです。
「なまじ石油資源があるから、現在のような悲劇が生まれている」と...