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米国−フセインの歴史的同盟関係を検証する−湾岸戦争以降の協動関係
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投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 4 月 18 日 20:33:44:xnvpUXgHxuDw6

(回答先: 米国歴代政権とフセイン政権の“長期同盟関係”を読む − 「イラン−イスラム戦争」から現在の「イラク侵略戦争」まで − 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 18 日 00:15:25)

   米国−フセインの歴史的同盟関係を検証する−湾岸戦争以降の協動関係

    あっしらさん。 こんばんわ。
    検証の続きということで。

    ご投稿の要旨は、以下のように整理して理解致しました。

     (1) 合作戦争劇の最終目標は中東近代化戦争である。
     (2) この戦争目的達成には各種前提条件が必須である。
     (3) この前提条件の実現の推進プロセスを見ると、米国とイラク政府との協動関係が浮かび上がる。
     (4) この協動関係の仕上げが合作戦争劇である。

      つまり,中東近代化大戦の実行プロセス中に合作戦争劇を位置づけるという問題意識になっていると思います。 
     (1)〜(4)の流れに沿って再整理しながら問題点を挙げていきます。

     (1) 合作戦争劇の最終目標は中東近代化戦争である。
      これまで議論されてきたことなので省略します。
      
     (2) この戦争目的達成には各種前提条件が必須である。

      「フセインの悪魔視醸成」・「中東での米軍基地強化」・「イラク国民の反フセインないし悪政意識醸成」・「イラク問題とイスラム“過激派”をリンク」が前提条件ということで良いですね。
      もし中東大戦が企画されていると仮定すれば、これらの前提条件が中東近代化大戦に必須であることは論証されております。

     (3) この前提条件の実現の推進プロセスを見ると、米国とイラク政府との協動関係が浮かび上がる。

      この協動関係の検証が問題の焦点です。

      (フセイン政権の誕生)
      (フセインは、最高実力者に就くやそれまでのバース党幹部を大々的に粛清した。)

       米国の後ろ楯によって独裁者になったわけです。

      (イラン−イラク戦争)

       米国側から見ると、普通いわれているように、米国の利権を守り、サウジ等へと革命が輸出されるのを防止するために、子飼いだったフセインを使ったという理解は間違いではないと思います。 米国には、戦争で一儲けという利益もありました。

       イラン侵攻は、クウェート侵攻よりもはるかに悪質な行為です。
       しかし、米国をはじめとする安保理常任理事国はイラクに制裁を加えませんでした。 事実上黙認でした。
       ラムズフェルドはこの時期にイラク駐在大使として活躍されました。 明らかな同盟者です。

       大事な問題は、イラン−イラク戦争を遂行することによって、イラクがどんな利益があったのかという点です。
       普通に考えれば馬鹿げた行為です。

       イラクには、イランに戦争をしかける理由が特になく、かえって不利益が多かったという理解をしました。
       イラン革命がイラクに波及するというイスラム革命ドミノは存在せず、イラン革命を潰して併合できるという可能性もなく、かえって国内の過激派を刺激するだけということですね。 国費は浪費されますし。
       フセインにこの程度の情報が理解できないわけがありません。
       
       合理的解釈があります。
       フセインは、米国(あるいはその背後)の指示に従ったのだということです。 お仕事だったんです。 やらないと政権が転覆するぞと脅されたのかもしれません。 仕事が終わったらご褒美をやるぞといわれたんでしょう。
       
      (湾岸戦争以降に協動関係を見ることができるか)
       ここが最も問題になるところです。

       湾岸戦争によって、「イラク敵対視」「大量破壊兵器保有問題」「経済制裁」「中東での米軍基地強化」が実現しました。
      「中東での基地強化によって、イスラム民衆を刺激することもできました。 これによってイスラム過激派を育成し、イスラム悪魔視の基礎を構築することができました。

       問題は、これを「協動行為」と見ることができるかどうかです。
       世間常識に従えば、これ以降フセインは米国と対決関係に入っているからです。
       だから合作説は日本ではなかなか受け入れられないという感じがしています。

       クウェート侵攻には、イラク国民を納得させるだけの大義名分はあったという理解は異論ありません。

       しかし、問題は、普通に考えれば、英国系石油メジャーの経済権益を脅かすものであり、武力による国境変更を求める国際法違反行為だから、併合はもともと無理であり、その点で不合理な行動であるということです。
       フセインがそんな不合理な行動をとるわけがないのです。

       合理的解釈が存在します。
       フセインは、米国の指示に従ってイラン−イラク戦争を戦い抜いた「ご褒美」がクウェートだと思っていたのです。
       隣国相手に8年間の大戦争。 クウェートぐらいくれたっていいじゃないか。 フセインはそう思ったのです。 イラン−イラク戦争開始時か戦争中に誰かが匂わせたか約束したのかもしれません。

       ご褒美をもらえるとフセインが思っていなければ、クウェートに侵攻できるわけがないのです。 メジャーがどんなに恐ろしいか、フセインは熟知しているからです。 米国、国際社会を真っ向から的に回すことは明らかだからです。
       フセインは罠にかけられたのだと思います。
       忠犬に対するご褒美とはこういうものなのです。
       
       従って、正確には協動関係ではないんじゃないかというのが私の考えです。
       フセインは罠にかけられ、己の運命を悟ったはずです。
       その後はおとなしくしていたものと推定しています。
       下手に逆らっても潰されるだけです。
       後は米国による処分を待つだけでした。
       もちろんラムズフェルドその他とのパイプは残っています。
       彼らが忠犬同士であったとしたら、パイプが切れることはありません。
       
       (4) 湾岸戦争以降は、フセインは「自宅謹慎中」の身です。 米国側が主として活動していました。

        今回の戦争にあたって、フセインは自国民を米国に献上し、姿を隠したものと考えています。 それ以外に一族郎党が助かる方法がなかったからです。

        つまり、米国政府−フセインの協動関係は湾岸戦争で終わり、その後はフセインが「指示待ち」をしていたものと考えるのが、むしろ合理的だと思います。
        そう考えますと、最後の段階で「合作」したという理解もできますが、単に指示どおり動いたくらいに考えるのがもっと合理的なように思うのです。
        「合作」というと、フセイン側にかなり主体を認めている感じがします。
        しかし、米国側がフセインに「降伏しないと始末するぞ」と言って政権の座から追い出したというのもあり得るように思うんですが? つまり必ずしも(狭義の)合作という論理ではなくともフセインの降伏は説明がつくのかもしれません。     
        

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