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フセイン一派は「敵前逃亡」しただけで「降伏」なぞしていません
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/1064.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 18 日 22:08:18:

(回答先: 米国−フセインの歴史的同盟関係を検証する−湾岸戦争以降の協動関係 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 4 月 18 日 20:33:44)


すみちゃん、レスありがとうございます。

● 結論部分からまず


>今回の戦争にあたって、フセインは自国民を米国に献上し、姿を隠したものと考えて
>います。それ以外に一族郎党が助かる方法がなかったからです。

今回の戦争は、フセイン一派が本気で戦えばイラク側が負けないものだったという認識が重要です。

逆に言えば、米英側が負けてしまう戦力でイラクに戦争を仕掛けたことが「合作説」の傍証でもあります。

南部シーア派が米英側及びフセイン政権側のいずれにもつかないという中立的対応をしていたら、あの戦力でも米英側が勝てる可能性はあったと見ています。
南部シーア派が傍観者的態度をとっていたら、激戦中に書いたような戦況見通しは出てきません。
戦争に備えて米英も南部シーア派の動向を情報収集していたはずですから、フセイン政権が本気であったなら、あの戦力では戦争を仕掛けなかったはずです。

「それ以外に一族郎党が助かる方法がなかった」というのは、開戦前のブッシュ演説を無視した見方です。
覇権国家の大統領が、闇取引ではなく、国際社会に対してまで、フセイン一族が国外退去すれば罪を問わないと約束したのですよ。

それを実行していれば、フセインの一族郎党が助かるだけではなく、冷たい視線を受け罵られるとしても、公然と生活することもできたのです。
今生きているとしたら半ば公然というもので、国内情勢が変動すれば命が奪われる可能性もあります。

ブッシュ大統領は、フセイン政権が国外退去してもイラクには進駐すると言っていましたか、現実の戦況とそれほど変わらない過程か、よりイラク側が有利な戦況になっていたと推測します。(暫定挙国一致政権が誕生していれば、史実よりも有利です)

フセイン一族に国外退去されると困ってしまうのは米英政権です。

なぜなら、フセイン一族がいなくなったイラクで侵略者の戦いが沸き起これば、「フセイン支持者の抵抗」というレッテル貼りもできなくなり、史実のような空爆は国際社会からもっと強く非難されたはずです。

フセイン一族が国外退去していたら、「イラク侵略戦争」は、イラク国民と侵略軍との戦いという構図になるという米英政権にとっては最悪のシナリオになっていました。


>つまり、米国政府−フセインの協動関係は湾岸戦争で終わり、その後はフセインが
>「指示待ち」をしていたものと考えるのが、むしろ合理的だと思います。
>そう考えますと、最後の段階で「合作」したという理解もできますが、単に指示どお
>り動いたくらいに考えるのがもっと合理的なように思うのです。
>「合作」というと、フセイン側にかなり主体を認めている感じがします。

積極的協動関係は湾岸戦争で終わったという認識です。

「指示待ち」も、協動関係(合作)だと思いますが...?
「単に指示どおり動いたくらいに考えるのがもっと合理的」であれば、それは合作そのものだと思いますが?

指示−被指示という関係性であれば、一貫として、指示:米英−被指示:フセイン政権というものです。

イラクほどの国家の政治支配者がどういう対応をするかは、イラクに対して戦争という国家権力の究極的発動を行なう米英政権にとっても“命がけ”です。

指示したけど言うことを聞かなかったので、負けたしまったというわけにはいかないのです。
きちんとした合意がなければ、負ける戦力と戦術でイラクに戦争を仕掛けることはできなかったと考えています。

ですから、フセイン一派が主体的に選び取った「合作」だと判断します。


>しかし、米国側がフセインに「降伏しないと始末するぞ」と言って政権の座から追い
>出したというのもあり得るように思うんですが? つまり必ずしも(狭義の合作とい
>う論理ではなくともフセインの降伏は説明がつくのかもしれません。

フセイン一派は、降伏したのではなく、敵前逃亡したのです。

逆に、米英政権に「降伏しないと始末するぞ」という戦況を創出できる条件をフセイン政権は、南部地域の善戦により手に入れていたのです。

奇妙なたとえですが、米英政権との合意を開戦後に破って、「やっぱり、本気で戦おう」と切り換えても負けないくらいの戦況だったのです。


「狭義の合作」であったのか、「一族郎党が助かる方法」としての敵前逃亡だったのかは、米英政権がどれほどの悪なのかということを明確にできるかどうかや、今後のイラク国民の戦いが国際社会の支持を受けられるかどうかに深く関わることです。


「一族郎党が助かる方法」として敵前逃亡するような人物を大統領にしていたイラク国民が悪いでは済ませることはできないのです。

● イラン−イラク戦争

>合理的解釈があります。
>フセインは、米国(あるいはその背後)の指示に従ったのだということです。
>お仕事だったんです。やらないと政権が転覆するぞと脅されたのかもしれません。
>仕事が終わったらご褒美をやるぞといわれたんでしょう。

合理的な解釈とは思えません。

米国の指示に逆らうより、イランに先制攻撃を仕掛けるほうが、国際要因・国内要因から政権が崩壊する可能性が高いのです。
当時は、ソ連との良好な関係が維持されていたので、イランに先制攻撃を仕掛けなかったからといって、今回のような攻撃を受けることはなかったと推測します。

より重要なことは、フセイン政権が言うことをきかないからといって、フセイン政権に代わる政治勢力がイラクにあるわけではありません。
(シーア派政権は米国にとって最悪の選択肢ですし、クルド人の独立国家もそれに相当するとんでもない選択肢です)

「仕事が終わったらご褒美をやるぞといわれた」ことがクウェート併合であるのなら、きちんと証文をとっていたはずです。
米英相手に空手形で納得するような“非同盟”アラブ支配者はいないと考えるのが合理的です。(イスラムは人治や阿吽の呼吸という社会ではなく契約を重視する社会です)

● 「湾岸戦争」後


>問題は、これを「協動行為」と見ることができるかどうかです。
>世間常識に従えば、これ以降フセインは米国と対決関係に入っているからです。
>だから合作説は日本ではなかなか受け入れられないという感じがしています。


前述の説明で代えます。

>合理的解釈が存在します。
>フセインは、米国の指示に従ってイラン−イラク戦争を戦い抜いた「ご褒美」がク
>ウェートだと思っていたのです。
>隣国相手に8年間の大戦争。 クウェートぐらいくれたっていいじゃないか。フセイ
>ンはそう思ったのです。イラン−イラク戦争開始時か戦争中に誰かが匂わせたか約束
>したのかもしれません。
>ご褒美をもらえるとフセインが思っていなければ、クウェートに侵攻できるわけがな
>いのです。 メジャーがどんなに恐ろしいか、フセインは熟知しているからです。
>米国、国際社会を真っ向から的に回すことは明らかだからです。
>フセインは罠にかけられたのだと思います。
>忠犬に対するご褒美とはこういうものなのです。
>従って、正確には協動関係ではないんじゃないかというのが私の考えです。

再度ですが、「仕事が終わったらご褒美をやるぞといわれた」ことがクウェート併合であるのなら、きちんと証文をとっていたはずです。
米英相手に空手形で納得するような“非同盟”アラブ支配者はいないと考えるのが合理的です。(イスラムは人治や阿吽の呼吸という社会ではなく契約を重視する社会です)


「ご褒美をもらえるとフセインが思っていなければ、クウェートに侵攻できるわけがな
いのです」は、合作説が論議されている渦中では無効の主張です。

スミちゃん自身が「メジャーがどんなに恐ろしいか、フセインは熟知している」、「米国、国際社会を真っ向から的に回すことは明らか」だと考えられていながら、「フセインは罠にかけられた」のだと判断したのは、合理性が薄いと思われます。

さらに、フセインが契約も取り交わさない愚かなアラブ支配者であったとしても、クウェート侵攻にあたって、「歴史的にも正当だし、クウェートのこの間の振る舞いも敵対だが、米国が約束したご褒美でもあるからいただく」と宣言したと推測します。

また、8月下旬にクウェートに侵攻していながら、それが許されないご褒美であったことがわかった後も、1月中旬までクウェートに居続けたのでしょうか?

米国を主体とする多国籍軍が配置を増強する前に、クウェートから撤退する選択肢もあったのです。
そうすれば、「湾岸戦争」のイラクは現実の歴史過程とは違ったものになったはずです。以降の様々なイラク制裁は、「湾岸戦争」を根拠としたものです。

あそこまで撤退しなかったのがクウェートに対する執着だと言うのなら、あそこまで粘りながら撤退期限切れぎりぎりで撤退を開始し、多国籍軍がイラクを攻撃を開始したのがあたかも正当だとまともに物事を考えていない人が信じてしまうような選択をしたのでしょうか?撤退せずに戦うという選択肢もあったのです。

少々なりとも合理的な判断力を持っている国家指導者であれば、クウェート侵攻もしなければ、侵攻したとしてもあのような撤退の仕方をしないと考えるほうが合理的です。
(強権弾圧という手法ですが、イラク国内統治は、政権を維持するという目的に対してけっこう合理的な政策を採ったのがフセイン政権です)


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