米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日本政府が発行もしくは保証する円建て国内債券の格付けAa3を引き下げの方向で見直す、と発表した。
また、同社によると、格付け見直しの結果は、可能性として、日本政府の円建て債務の格付けAa3に据え置く場合から、1ないし2ノッチ引き下げる場合まで幅があるだろう、としている。
なお、外貨建て債務のカントリー・シーリングAa1および国際市場で発行された日本政府の債務(ユーロ円建て債務を含む)の格付けAa1は変わらず、見通しも安定的に据え置いた。
ムーディーズは、今回の見直しに関して、「デフレは日本政府が直面する最大の課題であり、それによる実質的な債務の増大から、全般的な信用リスクが高まっている。政府がデフレに対処する効果的な政策を打ち出すのに時間がかかればかかるほど、それ以外の経済問題の解決が困難になる」と指摘している。
また、「深刻な政府債務の問題がデフレによってさらに悪化している。多額の財政赤字(絶対額、GDPおよび一般政府歳入に対する比率のいずれでも高水準)を生み出しているポリシーミックスは、既に中期的に維持不可能となっている。さらに、金融部門およびその他の公的企業における偶発債務も、足元の経済がさらに悪化すれば、財政による補てんの必要性が生じると見られる」との見解を示している。
その上で、「デフレが政府の歳入基盤を侵食しており、引き続く景気後退圧力への対応策として、ある程度の財政出動を維持しなければならないことから、政府債務の方向性は、早期に反転の兆しが見られない限り、将来、深刻な問題に発展する可能性を示唆している」としている。
今回の見直しでは、「現在および将来の政策および改革の結果に注目する。経済・金融面での課題について、さらに積極的な政策対応をとった場合の、さまざまなプラスおよびマイナスの影響についても検討する」としている。