『“戦後世界”は終焉を迎えている』
( http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/226.html )
の末尾に書いた「世界中央銀行」創設に至る過程をまとめたものです。
あくまでも“妄想”ですので、そのへんのご理解をいただきたいと思っています。
====================================================================================
新しく創設される国際金融システムは、アメリカ合衆国連邦政府が「デフォルト宣言」した後の世界に生まれると考えている。
日本やドイツが貿易黒字国として順調に発展し「対外債務」を返済し終わった1971年に米国ニクソン政権が「ドルの兌換停止」を行ったように、合衆国連邦政府は、過剰債務状態のまま日本やその他の国々から米ドルが還流しなくなった時点で、「デフォルト宣言」すると考えている。
米国政府は、ドル高政策(日本は実感しにくいが90年代は日本円だけが対ドルで高くなったと言えるくらい)と高金利政策で外国からの米国債投資を誘導してきた。
このような誘導により、米国債の外国(人)投資家の保有率は、87年の10%強から、35%強にまでなった。
現在の米国債発行残高は、5兆ドルを超えている。
そのうち1兆5千億ドルは、社会保障費やメディケアの公的基金が保有し続けている。
外国投資家の米国債保有額は、93年の約6千億ドルから今や2兆ドルを超えるまでになっている。
これは、米国の投資家が、その分を売却して株式や他の債券に投資したことを示唆している。
米国政府は、その一方で、401Kなどの導入に見られるように、米国国民には米国株式市場や債券市場への投資を促進してきた。
日本は、3,500億ドル以上の米国債を保有していると言われている。(民間が1500億ドル)
しかし、日銀は為替安定を名目に米国債の保有額を公表しておらず、日銀と政府で、3千5百億ドルとか1兆ドル以上保有しているという説も出ている。
民間は、生保と年金が主たる保有者である。
[ドルが米国債に還流しなくなる理由]
● 日本はおそらく3年後には貿易赤字国に転落する
これは、米国国債の1/3を支えている日本からの対米投資が減少することを意味する。それどころか、今後は、経済不況と相俟って、保有米国債を売却する動きが増加すると考えている。
● 日本に代わる貿易黒字国「中国」はリスクをそれほど選択しない
日本の貿易黒字の減少はほぼ中国の貿易黒字の増加に結びついていくと思っているが、中国は、日本ほどには危険な米国債を購入しないだろう。
● ユーロ通貨体制成立により欧州のみならず世界からの米国債投資が減る
ユーロ通貨体制が順調に推移していけば、これまでの対米:対欧の債券投資比率が、確実に、対米減少:対欧増加で動いていく。ユーロ建て債券の発行高が米国債券並みの規模になれば、市場流通性も高くなり、投資家は利用しやすくなる。
● アラブのオイルマネーも還流しなくなる
ご存じのように、ブッシュ政権は、9・11空爆テロ以後、“テロ資金規制”と称してオイルマネーの動きを遮断している。また、表面的にはあまり出ていないが、アラブ諸国を含むイスラム諸国は、強い反米感情を抱いているので、対米債券投資よりは対欧債券投資に動く。
● 米国の低金利政策
昨年、FRBが行った断続的な利下げで、米国の金利は、日本を除く他の国々との差異はほとんどなくなった。これは、諸外国からの米国債投資を抑制することになる。
日本も、2%ほどの金利差になれば、為替リスクなどを考えて、これまでのような米国債購入が続かないだろう。
このように、米国の財政赤字を埋めるための諸外国からのドル還流は、減ることは考えられても、増えることは考えられない。
「アフガニスタン戦争」で泥沼にはまれば、ますます、米国債離れが生じることになる。
[米国の財政赤字は継続]
米国の財政は、1998年・1999年・2000年と黒字で推移した(日本が中心になって対米投資を行って景気を支えたからである)が、ブッシュ政権誕生後は赤字に転落し、戦争拡大を目論む政権は、軍事費を中心に“放漫財政”を続ける気でいる。
● 2002年度の連邦政府財政赤字は800億ドル
2003年度の赤字は、ホワイトハウス予測で800億ドル、連邦議会予算局予想で1,210億ドルとみられている。
● ブッシュ政権は財政赤字を社会保障費とメディケアの積立金取り崩す
日本のメディアは報道していないようだが、ブッシュ政権は、財政赤字を補填するために、社会保障費とメディケア向けに米国債のかたち積み立てている1兆5千億ドルを取り崩すことを決定した。
一応10年計画で取り崩すとのことだが、これは、800億ドルとか1,210億ドルの公表されている財政赤字とは別の扱いである。
このようなことから、ブッシュ政権は、「デフォルト」を腹づもりにして、財政拡大を行っているとしか思えないのである。
米ドルは国際基軸通貨であり、印刷すればいくらでも供給できるという話がされることもあるが、それは間違いである。
米ドルを発行しているのは、連邦政府ではなく、連邦準備銀行という“民間”の中央銀行である。
米ドルは、連邦準備銀行が商業銀行に“貸し出す”ことで流通を始めるのである。
連邦準備銀行自体が背負っているわけでもない対外債務を返済するために、米ドルを印刷してやることなぞないのである。
“民間”の連邦準備銀行が米ドルを印刷するときは、自分たちが儲けられる条件のときだけである。
連邦政府が「対外債務」を返済するために米ドルを印刷してやるとしても、それによってドル建て商品の世界的なハイパーインフレが生じる可能性があるから、その予測インフレ率を上回る金利でしか貸し出さないことになる。
予測インフレ率が20%だとすれば、公定歩合が22,3%になるということである。
このことは、連邦政府が、「対外債務」を返済するために、25%程度の表面利率で新規に国債を発行しなければならないことを意味する。
25%の利率を魅力と考える人もいるかもしれないが、アルゼンチンのように紙切れになってしまうことを考えたら、通常の判断力を持つ人であれば控えるだろう。
そうなれば、結局、連邦政府は「対外債務」を返済できない。
結局、米国連邦政府は、「デフォルト宣言」するしかないのである。
ブッシュ政権が、軍備増強に励んでいるのは、この「デフォルト宣言」で生じる可能性がある不測の事態に備えるためだと考えている。
イスラム過激派に「NMD」はまったく不用のものである。
米国連邦政府が「デフォルト宣言」することが、日本経済にどれほどの打撃を与えることになるかは、米国債残高に占める保有率の高さを見ればイヤになるほどわかることである。
そうは言っても、日本政府が、デフォルトごときで米国に戦争を仕掛けるとしたらバカである。結局は、デフォルトを甘んじて受け入れるしかないのである。
それは、中国も含めたあらゆる国々がそう判断することになるだろう。
そして、このような事態に陥った米国の通貨である米ドルが、それ以降の国際取引で安心して使われることはないだろう。
そして、「対外債務」に苦しむ国々も、米国に倣ってデフォルトを宣言することになると考えている。
しかし、現在の世界を見てもわかるように、国際取引なしでは成り立たない経済構造に世界はなっている。
IMFや世界銀行は、米ドル基軸通貨体制の産物である。それ故、米ドルが信認を失ったとき、それに代わる機能は果たせないのである。
そのとき沸き上がってくる声は、“ユーロ”の世界版を求める声であろうと推測する。
ユーロも米ドルも英国ポンドも、もちろん日本円も、国際的取引の支払い手段という役割から消えていくことになると考える。(どの通貨も、その価値を対外的に担保することができないからである。担保したくないとも言える)
そして、米国のデフォルトを受けた後の世界規模での通貨変更であれば、ユーロ流通開始のときのように、固定為替レートで既存通貨と交換していくという手順は採れない。
(為替取引自体が大混乱になっている)
そこで出てくるのが疑似金本位制のアイデアで、各国通貨当局が保有している金を“新世界中央銀行”に供出した量に応じて新世界通貨を“貸し出す”という手法が採られると推測している。
公的保有金が不足している国家は、政府が債務を保証するかたちで貸し付けが行われることになると考えている。
当初、国内通貨については新世界通貨の使用が強制されない可能性もあるが、“不便”という声に押されて、各国が、国内通貨も新世界通貨に切り換えていき、ある段階で強制的に切り替えさせられるのではないかと考えている。
===================================================================================
ざっとまとめたものなので、間違いや不明の点が数多くあると思います。
いろいろなレスをいただければ幸いです。