投稿者 7/21 週刊ポスト 日時 2000 年 7 月 11 日 10:10:43:
回答先: (2)「大蔵は竹下、運輸は亀井」 投稿者 7/21 週刊ポスト 日時 2000 年 7 月 11 日 10:09:45:
<TWP特別版−−沖縄サミット“首脳会議用資料”>
2つの日本問題
公共事業汚職と税金による企業救済
1 裏社会にあやつられる政治家−−許永中の政官工
作
(3)元全日空社長の重大証言
石橋氏の義兄で許被
告との交渉にあたった
不動産会社社長・林雅
三氏が東京地検に提出
した上申書には、許被
告が若築建設側にどの
ように政界工作を指示
したかが克明に記され
ている。
<平成8年4月下旬、
許の事務所に呼ばれま
した。許は私に、「
(中略)これからはワ
シの人脈もフル活用し
てもらう様になります
し、政界の先生方や一流の財界トップとも、それなり
のお付き合いをしてもらう(中略)。ここに10億円
用意しました。この金をワシの指示に従って、有効に
軍資金として使って欲しいんですワ。例えば、先生方
に金を持って行けという時には、ま、ワシは1回に最
低2000〜3000万円は用意する様にしてますの
で、その時はそうして下さい(中略)」と言って、ス
ーツケース3〜4個に入っていた現金10億円を出し
たのです>
石橋氏は、この軍資金を使って、指示通りに中尾氏
にワイロを渡し、政治家や財界人、建設官僚たちに接
待攻勢をかけた。
そうした舞台の中に亀井氏が登場する。石橋氏は許
被告の指示に従って、東京・築地の高級料亭『吉兆』
で、亀井氏、普勝清治・全日空社長(当時)と会談し
た。石橋氏が中尾元建設相の大臣就任祝いを行なう1
か月ほど前の96年4月のことだった。
見逃せないのは、その会談で神戸新空港建設計画が
話題にのぼっていることである。
普勝氏がこう語った。
「吉兆で亀井さん、石橋さんと会食したのは事実で
す。亀井さんから私の秘書に連絡があり、“ぜひ会っ
てもらいたい人がいる”というので会いました。当
日、若築建設側からは4人ほど来ていたと記憶してい
る。亀井さんはそれほど饒舌ではなかったが、“これ
から関西空港もできるし、神戸新空港、中部新空港な
ど空港整備が目白押しだから、全日空も協力していか
ないといけない”といった話題があったことは確かで
す」
許被告から神戸新空港の建設利権獲得の構想を聞か
されていた石橋氏ら若築建設の幹部たちが、運輸大臣
経験者の亀井氏や全日空社長と会談した席で新空港建
設推進の話ができたことに、“政界工作が成功しつつ
ある”という印象を抱いたであろうことは容易に想像
できる。
それは許被告の思うツボだった。
神戸新空港利権のひとり占めを企んでいた許被告
は、若築側をすっかり信用させておいて、ひそかに同
社の乗っ取り計画を進めていた。
そのことを示す密約文書を入手した。
石橋氏が許被告との間で交わした『合意書』である
(28ページ)。今回の事件にからんで逮捕された元
特捜検事で許被告の顧問弁護士だった田中森一氏を立
会人として、96年11月20日付で公正証書の手続
きがなされている。その内容を許の依頼で元側近が書
き写し、保存していたものである。
その内容には驚く。
合意書は11条からなっているが、そこには、
<甲(石橋氏)は乙(許被告)に対して石橋産業グル
ープのすべての会社の業務全般の運営・統括を乙に一
任する>
<乙は対価として甲に対し金100億円を支払う>
――など、若築建設のオーナーである石橋氏が、同
社を含むグループ企業の経営の全権を許被告に100
億円で委譲するという内容だ。
いかに石橋氏が若築建設の会長を務めていたとはい
え、上場企業を役員会にも、株主総会にもかけずに事
実上、刑事被告人に売り渡すとは、信じ難い合意書で
ある。
そうした密約が交わされたこと自体、許被告が亀井
氏や中尾元建設相らの政界人脈を誇示することで石橋
氏を丸め込み、意のままに操っていたことを物語って
いる。許被告の虚像づくりに利用されたものであった
としても、舞台に登場した政治家、官僚の罪は拭えな
い。
結局、許被告は途中で失敗した。若築建設と新井組
の合併計画は幻に終わり、許被告は石橋側から詐欺で
告訴され、保釈中だった97年に韓国に逃亡、密かに
帰国していた99年11月に逮捕された。
ただし、一方の神戸新空港計画はトントン拍子に進
み、99年に着工されると、若築建設は護岸工事や埋
め立て工事などを共同企業体の一社として受注してい
る。