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幼い四歳の男児を誘拐して殺害した十二歳の少年は、児童自立支援施設送致処分となった。事件発生から三カ月。二十九日、少年審判が終わり、事件は手続き上は終結に向かうが、社会に与えた衝撃は、今なお残る。処分決定要旨や関係者の証言を基に、あらためて少年の「実像」を明らかにし、事件の全容、背景に迫る。
衝動 「特異性」社会に警鐘
「性」に異常な執着
「男性性器への異常なこだわりが見られる。少年は、小学校三年生のころから男性性器に対して強い関心を持っており、この関心は、払しょくしようとしても払しょくできないと供述している」
長崎家裁は二十九日、処分決定要旨の中で、児童自立支援施設送致となった少年の「特異性」をこう指摘した。連れ去った四歳の男児を裸にして体の一部を傷つけ、駐車場の屋上から投げ落とすという異様な犯行―。十二歳の少年の中には、屈折した「衝動」が広がっていた。
七月一日。補導された中学一年の少年は学校から自宅に戻ると、玄関前にかばんを置いたまま、近くの大型商業施設にあるゲームセンターに向かった。帰宅時間が遅れ、それを母親にとがめられるのを恐れた。
「邪魔された」。この日の夕刻。生徒は一緒に遊んでいた同級生にそう言い残し、その場から姿を消した。近所の百円ショップで買ったはさみをポケットに忍ばせ、生徒は電車に乗り込んだ。
電車を降り、歩いて向かった三芳町の家電量販店のゲームコーナー。一人で遊ぶ小さな男の子が少年の目に留まった。
「お父さんとお母さんは用事があって先に行ったから追おう」。そんな言葉で男児を連れ出し、電車で中心部の繁華街へ。アーケードを抜け、長崎市万才町の立体駐車場にたどり着いた。二人はエレベーターで八階屋上に上った。
午後八時半。ぼんやりと薄明かりが差し込む人けのない駐車場で、男児の服を脱がせた。ポケットからはさみを取り出し、体の一部を傷つけた。痛みと恐怖で泣き叫ぶ男児。それを見てもためらいやおびえはなかった。
こんな事実がある。少年が暮らすマンションのエレベーターで、少年と友だちが服の上から性器を触り合ってはしゃぐ姿が住民に目撃されている。「気持ち悪いぐらい仲が良いと思った」とこの住民は首をひねる。
幼少のころから落ち着きがなく、精神鑑定で発達障害の一つ「アスペルガー症候群」と診断された少年。同世代の子どもたちと話す時は、少年が一方的にしゃべるだけでかみ合わなかった。家庭では、母親が付ききりで勉強を教え、寄り道をするとしかられた。両親の不和もあった。
複雑な環境の中、少年は思春期を迎え、性器に対する「執着」をひそかに膨らませていった。
決定要旨の中にはこうもある。「少年は今後心身共に不安定な時期を迎えるのに加えて、性的欲求や性衝動という未知の性的問題に直面することになり、それによって男性性器への執着が変化する可能性があり予断を許さない状況にある」
2003年9月30日長崎新聞掲載
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku2/01.html