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(回答先: <4>家庭環境 投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 07 日 09:24:09)
変ぼう ストレスから衝動的に
「おばちゃん、二百円ちょうだい」
事件前、長崎市内の大型商業施設にいた主婦が突然、声を掛けられた。見知らぬ少年が目の前にいた。
「当時から奇妙な子どもがいるとうわさになっていて、あのときの子が事件の少年だと後で知った」。主婦は少年の態度に「大きくて、幼い子ども」という印象を受けたという。
「キレやすい」「ゲーム好き」。七月に少年が補導されたとき、少年像は「今どきの子ども」に当てはめて語られた。有識者は「テレビやゲームの影響で仮想現実との境界線を見失った」「はんらんする性情報の影響か」とも分析した。
しかし、そうした少年像と実際の生活ぶりは、必ずしも重ならない。
「自分の部屋にいることは少なく、勉強も本を読むのもほとんど居間。親の目の届くところにいた」「親子でテレビゲームをしていた」。少年の両親は言う。ゲームは仮想現実の体験とは程遠い、初心者向きの易しいものだ。
思春期に入った少年は性への執着を強め、事件の素地を培っていった。半面、言動からは幼さが抜けず、母親とは密着状態。社会にあふれるゲームの世界や性情報にのめり込んだ様子はうかがえない。
この点で、少年と同じ発達障害と診断された神戸市の連続児童殺傷事件(一九九七年)の少年=当時(14)=とは大きく異なる。
「酒鬼薔薇聖斗」と名乗った少年は、連続殺人を題材とするホラービデオに染まり、動物虐待を繰り返した。殺人を「実験」と称し、地元新聞社に「犯行声明」を送り付けた。詳細な犯行計画をつづった日記も見つかっている。
これに比べ、誘拐殺害事件の少年の行動は、衝動的、場当たり的だ。事件直前、自宅に電話すると、父親が「早く帰って来い」と怒った。夫婦げんかの最中で、いらついていたからだ。これを少年は「お母さんも、帰宅が遅いのを怒っている」と思い込んだ。「ふだんから母にしかられるのを恐れていた少年は、強いストレスから衝動的な行動(誘拐)を取った」。少年に面会した関係者はこうみる。
男児の殺害時も、少年は立体駐車場屋上の防犯カメラに気付き、パニック状態に陥った。わずかなショックで、行動のスイッチが途端に切り替わる。そんな傾向が少年を暴走させた。
一時期だが、少年には“安定期”があった。小学六年のころ、課外クラブでパソコン部の部長を任され、表面上は落ち着きを見せた。親には「コンピューター関係の仕事に就きたい」と夢を語り始めた。
もしもこの状態が続いたとして、少年はやはり暴走したのだろうか。
さいたま市の児童自立支援施設に送られた少年は一年後、処遇が再審査される。少年の前に更生への長い道のりが続く。
2003年10月4日長崎新聞掲載
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/kikaku2/05.html