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【政府の対応は最悪】 “国際社会”や“国際世論”を楯に米国のイラク攻撃を支持してきた日本政府の根拠は瓦解した!!  【“正義の盟主”となったフランスは後退しない】
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/251.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 15 日 21:33:29:


未明に開催されたイラク査察に関する安保理追加報告の様子をTV中継で見た。
二つの査察機関の長による報告から全理事国とイラクの演説までをすべて見聞きした。
(1ヶ国7分間でという議長要請も、イラク攻撃が回避できるかどうかの瀬戸際ということで大幅に時間オーバーする国が続出し4時頃までつきあった)


● 日本政府の米国支持根拠は瓦解

UN安保理決議があればイラク攻撃は“正義”になるとは考えていないが、圧倒的多数の安保理理事国が反対を表明している米国主導のイラク攻撃を日本政府が支持しているのは、政府自身が米国支持の根拠としている内容に違背するものである。

日本政府の態度表明は今もってあいまいだが、武力容認決議の多数工作に動いているのだから、どう言ってもどこの国が見ても、米国支持であり、武力行使推進派である。

(安保理追加報告の内容は、「戦争23」ボードに新聞記事の転載というかたちで書き込んでいるのでそれらを参照してください)


日本政府は、査察強化継続を主張する独仏案に反対し米英の武力行使案を支持する根拠として、「国際社会の分裂はイラクを利することになる」、「国際協調体制の維持こそ重要だ」を主としてあげている。

日本政府が、国際社会とは米国のことであり、国際協調は対米協調のことであると主張するのなら話は別である。

しかし、国際社会が諸外国の集合であり、国際社会の意思はUNを通じて具現化されるという“常識的な”見方に立てば、国際社会は「強化した査察の継続を求め、現段階での武力行使不要」を主張していることになる。
「査察は無駄であり、武力行使で武装解除すべし」と主張している国は圧倒的少数派でしかないのだから、国際社会を尊重する日本政府は、「強化した査察の継続」で統一と協調を働きかけなければならないはずである。


日本政府がそれでも米国の主張に理があると判断するのなら、国内向けにも対外的にも、国際協調論とは異なる根拠を説明する義務がある。


● 安保理で武力容認決議は採択されない

安保理追加報告を聞いた限りでは、米英が求めている対イラク武力容認決議が採択されることはないと判断する。
フランス・ロシア・中国が拒否権を行使するまでもなく、9ヶ国の賛成さえ得られず葬り去られるはずである。
(外交駆け引きだから、フランス案に賛成の国が必ずしも米英案に反対するわけではない)


イラク攻撃を止めるための起死回生策としてドイツが打ち出し、国連軍派遣を削ったかたちでフランスがまとめ上げて提案した「査察強化継続」案は、米英が拒否権を行使しない限り採択されるだろう。

今回報告されたイラク査察状況に照らせば、「最後には武力行使も辞さないが、査察が進展しているのだからそれを強化し継続すべき」という判断に基づいたフランス案に反対する論理を組み立てることは無理である。

それゆえ、武力行使派の米・英・スペインは、その根拠を説くのに、報告内容の捻じ曲げ引用・時間軸をぐちゃぐちゃにした非難・価値判断が強い形容句の濫用をしなければならないという醜態ぶりを晒した。

(パウエル長官は、査察個所への自由なアクセスは可能なのにそれができていないとか、短距離ミサイルは製造できるのに区分を明瞭にしないままミサイルの製造手段を持っているとか、イラクの協力を先延ばしにするための表面的なものだと主張していた。ストロー外相は、イラン−イラク戦争やクウエート侵攻を持ち出してフセイン政権の危険性を主張していたが、過去に遡って侵略や殺戮を言い始めたらもっとも強い非難を浴びるのは英国であろう)


現在の安保理理事国は、米国・英国・フランス・ロシア・中国・ドイツ・スペイン・シリア・パキスタン・ブルガリア・アンゴラ・カメルーン・ギニア・チリ・メキシコの15ヶ国である。

米英の“誤算”は、米国支持と見られていたブルガリアまでがフランス案への支持を打ち出したことかもしれない。
(ブルガリア代表の演説の2/3は米英寄りの内容であり、最後にあれっという感じで査察継続を主張するフランス提案への支持を表明した)


安保理理事国の立場を演説内容で色分けすると次のようになる。


武力行使派:米国>英国>スペイン

査察継続派:ドイツ・フランス・シリア>中国>ロシア・パキスタン>アンゴラ>カメルーン>ギニア>ブルガリア>メキシコ>チリ


米英“日”が査察継続派を懐柔するとしても、メキシコとチリせいぜいブルガリアに可能性がある程度とみる。

米英は武力容認決議案を提出する構えだが、そうであれば、独仏も期限付き査察継続案提出で対抗するはずだ。
期限付き査察継続案は米英が拒否権を行使しない限り採択される状況であり、それが採択されれば武力容認決議案そのものが無効となる。
期限付き査察継続案に対して米英が拒否権を行使すれば、万が一多数派工作ができたとしても、フランスの拒否権行使により武力容認決議案も葬り去られる。

フランスの反対は権益絡みでしかないから交渉次第で最後は米英に同調するという見方もされているが、国内世論及び国際世論の後押しを受け“世界の正義”の代弁者として浮上したフランスが、腰折れになることはない。

フランスは、米国主導のイラク攻撃を止められないと思いつつも、イラク占領がうまくいくとは考えておらず、最後まで“正義の盟主”であり続けるほうが長期的な国益に叶うと判断しているだろう。
経済の対米依存が高い中国は武力行使容認案に拒否権を行使せず棄権に回る可能性が高いが、ロシアは、フランスと同じ読みで拒否権を行使する可能性もある。


● ブッシュ政権の対応

ブッシュ政権は武力容認決議を求めるのだろうか。

ブッシュ政権がすこぶるつきの愚かさであれば武力容認決議案を提出するだろうが、そこそこの愚かさであれば提出しないとみる。

武力容認決議案が否決それも米英西だけの賛成(棄権の国はけっこうあるだろう)という醜態を見せながらイラク攻撃に踏み切るよりも、ぐずらぐずら外交交渉を続けながら「イラク極悪」のプロパガンダを強化し予定日時に開戦するほうが格好がつくからだ。

3月1日に追加報告を行うという妥協は成立したようだから、開戦はそれ以降(3月3日から4日がイラクの新月)のはずだ。

ブッシュ政権がまともな思考力を持っていれば、もちろん、イラク攻撃は断念する。

9・11まで用意して始めた「対イスラム戦争」が、国際社会の反対で止まるという見方は残念ながら難しい。


● 対応最悪の日本政府

イラク政府は、「日本は米国・英国に続く3番目の敵だ」と指弾した。

しかし、この間の日本政府の対応振りを考えると、今回の戦争で最大の憎悪の的になるのは日本ではないかと危惧する。

平和を望んでいる国際協調が重要だと言い、米国の武力行使を支持するとはきちんと表明していないにも関わらず、米英の武力行使決議案に対する多数派工作に奔走している。
日本政府は、状況の推移を見ながら最終的な態度決定をするといいながら、既にイラク攻撃の後押しを行っているのである。(オーストリアは中立であることを楯に米軍列車の通過を拒否した)

日本国民の多くも、政府が武力行使に向けて既に動いているにも関わらず、政府がそうしているとは理解していないだろう。
日本政府は、国民向け説明と外交活動を異なる立場で行うことで、国民を騙しながら、国際社会が反対している戦争に荷担しているのである。


幸か不幸か、日本は、占領治安部隊を派遣することはあっても、開戦時に侵攻部隊として参戦することはない。
日本政府は、戦争遂行を支えるほどの膨大な資金負担をするだろうが、それでも前線に立つつもりはない。

このような日本の姿は、幾多の戦争や謀略をくぐり抜けてきた中東の人々にはどのように映るだろうか。
「薄汚く立ち回るずる賢い国」だと見られてもなんら不思議ではない。


「米(英?)兵士は命を賭けて向かってくるから叩き潰すこともできるが、日本はなんだ、どうせなら武器を持って向かって来い」という人もいるだろう。


無能で愚かな政府のせいで、日本は今、国家としての名誉と尊厳を失おうとしている。
それは、日本国民である我々の名誉と尊厳が失われることでもある。

この損失は、国際ルールとしては理があった「大東亜戦争」で失ったレベルとは較べられないものになるはずだ。
(中東諸国の対日観は「大東亜戦争」を知った上で良好なのである)

愛国者を自称しながら米国のイラク攻撃を支持すべきだと訴えている人たちは、国家を貶める売国奴である。


※ 今朝のフジテレビの番組で、テリー伊藤氏と猪瀬直樹氏が、「北朝鮮があるんだから、日本政府はそれをきちんと説明して対米支持を表明すべき」(趣旨)だと主張していた。


● 米国・英国・スペイン連合による武力行使提起は近代史の象徴

安保理で対イラク武力行使を呼びかけたのは、米国・英国・スペインの3ヶ国である。

TVを見ながら、この取り合わせほど、「近代の終焉」を告げる鐘を鳴らす役目にふさわしい組み合わせはないと思った。(オランダが加わっていればベストだったが)

教科書では「大航海時代」と教えているが、“新世界”(南北アメリカ大陸)での虐殺・略奪を原資としながら育っていったのが近代である。

16世紀以降の西洋史において、覇権国家はスペイン→英国→米国と移っていった。

その新旧覇権国家3つが近代の幕を降ろすことになる「対イスラム戦争」の先頭に立っているのは、皮肉と言うべきか、当然と言うべきか。


米国の虐殺戦争を止めるどころか自国政府のそれへの荷担さえ止めることさえできない我が身ながら、アフガニスタンやイラクそして中東諸国のみなさん、そして、デタラメな理屈で虐殺戦争に駆り立てられる米(英?)らの兵士たちには申し訳ないが、イスラム信仰を基礎とした徹底抗戦によって、侵攻して来る強欲非道の支配層(直接の相手は騙された代理人兵士だか)を打ち破ることを切に祈っている。

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