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(回答先: デフレ、構造改革など>あっしらさん 投稿者 たにん 日時 2002 年 9 月 18 日 02:18:32)
#90年代(不況期)は高度成長期(50ー>60)以上の労働分配率の上昇があった(50ー>70)。しかし、景気は回復しなかった。
http://jmm.cogen.co.jp/jmmarchive/m083001.html
経済企画庁が作成している労働分配率の推移を見ると、日本経済の高度成長が始まる70年台以前の分配率は50%以下の水準でした。高度成長が始まった70年代の中盤以降、分配率は急速に上昇に転じました。そして80年代後半まで、若干の上下はありましたが、ほぼ60%台の水準を維持してきました。80年代の後半になり、一時期60%を割って50%台に下落したこともありましたが、90年代に入って再び上昇に転じ、最高時点では70%台まで到達しました。
しかし、その分配率もここへ来て、企業のリストラ進展に伴い減少傾向を辿りはじめ、企画庁の試算によると、99年7−9月期には68.3%程度になると見られています。
これまで日本企業は、不況期でも、従業員の解雇や賃金カットを極力避けてきました。その背景には、主に二つの要素があったと思います。一つは、高度成長期に人手不足に悩んだ企業にとって、労働力確保が大きな問題になっていたことです。不況時に従業員を一旦解雇してしまうと、景気が回復した時に、良質の従業員を雇用することができ難いという経験則です。もう一つは、企業とは基本的に、そこで働く従業員のものであり、従業員と企業は運命共同体という考え方があったのだと思います。
こうした状況下では、不況期で企業の収益が悪化しても、従業員を解雇したり、人件費を減らすことはしなかったため、労働分配率は低下しないことになります。むしろ、企業の利益額が減るのに、人件費は変わりませんから、労働分配率は上昇することになります。こうして、70年代前半に50%程度だった労働分配率は、第一次石油危機後と今回のバブル崩壊後の2度、ほぼ10%ずつ上昇して、一時期70%にまで到達してしまったわけです。
ところが最近になり、日本企業も長引く景気低迷のため、従来は行わなかった従業員の解雇や、賃金カットの実施を余儀なくされたのです。こうして本格的なリストラが始まりました。企業としても、従来の従業員に対する考え方を続けていては、企業の経営が成り立たなくなるところまで至ったのです。人件費を削ってコストを削減しないと、激しいグローバルコンピティションのなかで、生き残ることが難しくなったのです。合理的な経営理念を持つ海外企業並みの経営手法を、実践せざるを得なくなったと言えるでしょう。
日本企業が従業員にまで手をつける、本格的なリストラを実践しはじめたという記事が、新聞紙上を賑わし出したのは、98年の前半からだと思います。97年11月に、北海道拓殖銀行などの倒産に端を発した金融システム不安が発生し、日本経済全体のバランスシート調整の最終局面を向かえた後、日本企業は、そうした状況に至ったということです。