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(回答先: 日本はともかく、米国は... 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 15 日 12:32:53)
デフォルトとは何か。その重みを考える必要があると思います。
言うまでもなくそれは国家経営の失敗を意味し、政権の崩壊は勿論のこと、国際社会で別枠管理されます(まあ、米国の場合大き過ぎるので他国のデフォルトと同等の扱いにはなりませんが)。そんなことは共和党もブッシュ大統領も誰に諭されなくとも常識としてわきまえているはずです。
「経済支配層に遠慮して増税ができずデフォルトしました、ついては新たなグローバル・システムを作ります」ではほとんど漫画の世界です。自国と世界を大混乱に落し入れるような馬鹿げた政策を押し通すほど現政権は無能でも傲慢でもないでしょうし、その後のグローバル・信用システムの青写真など、デフォルトを起して信用を無くした張本人に描けるはずもありません(我が国はともかく、欧州が相手にしません)。
今後10年間における米国の財政黒字額見通しは見直しこそされましたが、依然高水準にあります。それに基づいて減税プログラムが立てられているのです。我が国のように「とりあえず財源はいいから減税しろ!」というのとは全然違います。今次の対テロ戦争が長期化し、財政見通しが変われば当然それに沿った見直しに向けた議会からの突き上げが来ます。必要なら増税も視野に入って来るでしょう。良く御存知の通り、90年代前半に米国の財政赤字が持ち直す契機となったのは、景気の上向きではなく、増税です。
各州の財政を見ても景気後退のあおりを受け、深刻な歳入不足が確実になるところが出ています(オレゴン州など)。それらの州は歳出カット、増税の決定、外部金融機関からの借入れなどを矢継ぎ早に打ち出し、財政をバランスさせ、格付けを下げさせないよう努めています(そのために州内の景気がさらに悪化することも厭わず、です)。同じアメリカ国民が州の健全財政は必要だが、連邦は赤字垂流しで良い、となるはずがありません。財政危機と言われる状態になった場合、デフォルトを選ぶか、財政の立て直しを選ぶかは議論の余地がないほど米国民にとっては明確な事です。
ニクソン・ショックもプラザ合意も諸外国の対米ドル建て債権の減価と言う意味ではデフォルトと類似の効果があったと言えますが、これらはあくまでもルールに基づく政策の変更です。約束を破ったのではありません。
国際金融筋、石油メジャーを始めとする産業界、有力メディアなど米政権に一定の影響力を持つ層は確かに幾つも存在しますが、その内の何らかの勢力に抗えずデフォルトを起こすというのは考えられないシナリオです。
無論、上述のことは財政危機を迎えた時の国家、政権としての構えを論じたまでであって、グローバル化し緊密化する世界経済全体がデフレの前兆を迎えつつあるのかも知れない、という問題意識そのものを否定するものではありません。