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(回答先: Re: 「景気の回復」が“国債不安”を生じさせるというパラドックス 投稿者 baka 日時 2002 年 5 月 16 日 21:32:45)
bakaさん、初めまして。
厖大な借金をしてまで財政支出を増やすことは平気で行うくせに、「生産コストの上昇なし」・「財政支出の必要なし」(銀行救済策は必要だがこのままずるずる「デフレ不況」を続ければそれ以上の財政負担を強いられる)の政策を国民に問うこともしないのは、基本的には“欲ボケ”と“知識ボケ”のせいだと思っています。
● “欲ボケ”
“欲”は行動に駆り立てるきっかけですから重要なものだと考えていますが、合理的に追求してこそ現実化できるものです。“欲ボケ”の人は、一時的もしくは短期的な基準で損得を判断するため、持続的な欲の現実化ができません。
政治家や主要メディア(評論家)の人たちは、年収が1千万円を超えたいわゆる高額所得者です。(与党政治家は資産家やいっそうの高額所得者が多い)
そういう人たちは、消費税や社会保険料の負担増政策と同時に“経済活性化”を名目とした高額所得者減税が行われれば、自分たちの手取り所得が増えるので得だと考えがちです。(目的は何であれ、政治家には違法行為をしてまでお金を手に入れようとしている人もいますからなおさらです)
建前や抽象論では、みんなが豊かになるようにしたいとか低中所得者の苦境を改善すべきだと言っても、それが自分たちの損になるかたちで行われることには反対する人が多いようです。
(国民のある割合も、具体性のない「改革」という抽象的な言葉に期待を抱くようですが...)
“欲ボケ”は、一般勤労者や“中産階級”についても言えることです。
一般勤労者や中小企業経営者で年収が1千万円あるとしても、「デフレ不況」が継続している状況では、自分が失業したり倒産したり給与が引き下げられる可能性があります。
失業者が増大し、企業倒産が増大しているということは、今現在はうまくいっている人がこれから先そのような災厄に見舞われる可能性があることを示唆しています。
経済社会全体がそれなりにうまく動いていることで、“中産階級”の持続的な安定も保証されます。(社会不安が増大すれば盗みや強盗など犯罪も増えます)
主要メディアに勤務している人たちは、民間のなかで倒産や失業に対する危機意識がいちばん希薄だと思われます。
高額所得でそれが奪われる危機感が乏しい人たちが書く記事が世の多くの人の現実を見る手がかりになっていることが、“不幸”の大きな原因なのかも知れません。
輸出企業を中心とする経営者=財界人も、個別企業の短期的利益=欲ボケを基準に行動しています。
デフレで価格が下がって利益が減るからと考え、中国など生産コストが安いところに生産拠点を移して利益増大をはかっています。このような行動は、国内の失業者を増大させ、さらに「デフレ不況」を推し進めるものです。
問題は、中国がこれから先もずっと日本企業を優遇することは考えられないことです。
中国企業が技術力や国際競争力を上昇させて日本企業と正面対決するようになれば、中国政府は中国企業を選択するはずです。
企業の生き残りという大義を掲げてやったつもりの行動が、存立基盤を失う結果になりかねません。
発言力や決定権限を持っている多くの人たちが目の前の損得で物事の判断をすることで、長期的な損得を見失っているようです。
※ 厚生年金や健康保険など社会保険の料率はある所得水準で頭打ちになっているので、頭打ちの水準を超えた所得であれば実質負担率は低くなります。
● “知識ボケ”
キャリア官僚や経済学者などは、それなりの学歴もあり、経済学的知識も平均以上に持っています。
しかし、学歴や職歴を手に入れるための関門は、主流の学説=考え方=価値観をどれだけ身につけているかを問われる試験に合格することです。(主要メディアの人たちも似たようなものですが)
そして、手に入れた経歴のおかげで、世間からは優秀な人だとか頭がいい人だとかと評価されます。(発している人の肩書きや学歴に引きずられ、内容を吟味しないまま、ひどい場合は理解できないまま、受け入れる人も見受けられます)
そういう人たちは、自分が現実を認識する手段=道具として使っている知識が本当に合理的なものかどうかをなかなか問い直さないものです。
彼らに見えている現実は勉強で身につけた知識を貼り付けることで構築されたもので、現実から論理や概念を頭のなかで再構築するという肝心なことが行われていないものです。
手段と目的の関係が転倒してしまっているのです。
この傾向は、一般国民に向かって専門用語や英語を駆使した説明をする人ほど強いようです。現実から論理や概念を見出して再構築した人であれば、平均的知識を持っている人が理解しやすい言葉=論理で説明することができるはずです。
(普通の人が知らないと思われる言葉を使うという知識のひけらかし手法で、自分を偉く見せるという人もいるようです)
知識は現実を効率的に見るための手段や手がかりであり、現実を認識する思考過程を通じて知識を見直すことにこそ知的活動の意義があると思っています。
● 「大不況歓迎派」
「デフレ不況」を永続させようという確信犯グループです。
大不況でとてつもなく潤う人たちがいるということです。
詳細は、次の書き込みを参照してください。
『【経済問題を認識する視点】『世界同時大不況』を歓呼の声で迎える人たち』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/534.html