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帽子拾う副領事“あきれた親切”
総領事館進入速行事件
悲鳴のすぐそばで…
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの亡命を求めて中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ男女らが、中国の武
装警察官に敷地から引きずり出される映像はショッキングだった。とりわけ印象的なのは、泣き叫ぶ女児らを前にどん
な手だても尽くさない一方で、「侵入」した武装警察官の帽子を拾い集める副領事の親切ぶり。どうしてこんな光景が
繰り広げられたのか。
■「人権に無関心印象づけた」
「あきれてモノが言えません。あれじゃあまるで中国の警察官に協力しているようにみえる」。外交評論家の加瀬英
明氏が憤る。
映像は韓国の聯合ニュースが撮影した。女児をおぶった女性らが入り口を入ったところで、警察官に取り押さえら
れ、敷地外に引きずり出されてもみくちゃにされている現場に、白いワイシャツ姿の館員がゆっくり歩み寄ってくる。
取り押さえられた女性が目前で泣き叫んでいるのに、この館員が真っ先にしたのは、敷地内にちらばる警察官の帽子な
どを拾い集めることだった。
外務省は当初、この館員が、「日本人副領事か、中国人職員か判断できない」と煮え切らなかったが、同総領事館は
十日の会見で、副領事だったと認めた。
同総領事館によると、現場に駆けつけたのは副領事と中国人スタッフで、帽子を拾った副領事が中国語で女性に「落
ち着きなさい」と話しかけたという。この時点で、副領事らは、別に逃げ込んだ男性二人の存在を知らなかったとさ
れ、女性らを中国人と思っており、それが帽子を拾うなどの行為につながったようだ。
しかし、昨年から中国にある欧米諸国の大使館に駆け込んで亡命を図るケースが相次いでいる。当然、この女性らが
北朝鮮の人たちであることに思い至るべきではないのか。
在米日本大使館に勤務した経験がある拓殖大学の森本敏教授は「当然、亡命者があった場合を想定し、対策やマニュ
アルなどを作り、館員に対する指導、教育も行っていなければならない」と語る。
このマニュアルについて外務省に問い合わせたところ、当初「マニュアルは作ってあるはず」との回答があったが、
内容についてはあちこちの部署をたらい回しにされた揚げ句、結局マニュアルそのものがあるのかどうかも確定的な返
答は得られずじまい。森本氏は「あの様子では、とてもそんなものがあったとは思えない」とあきれる。
前出の加瀬氏は「ぞろぞろ出て来て、手をこまねき、主権が侵されているのに何もしないのは外交官失格。そんな最
低限の指導もできていない大使の責任も重い」と手厳しい。
というのも、今回の“失態”の影響は小さくないとみるからだ。
「国家の体をなしていないと、世界のもの笑いになるだけではない。女児や女性が泣いているのに何もしないことで
人権に全く関心がない国であると印象づけた。また、国がなめられると、国民に危害を加えられる可能性がぐんと高ま
る」と危ぐする。その上で「この失態を回復するために、中国側に五人の身柄引き渡しを強く求める必要がある」と話
した。
一方、森本氏も、館員らの振る舞いを非難した上で、在外公館の警備を現地スタッフに任さざるを得ない状況にも原
因があると指摘する。
現在、在外公館を自前で警備しているのは米国ぐらい。森本氏は「日本の場合も在外公館には、防衛庁や警察庁から
派遣された館員が一人ずついるが、彼らは警備計画を立てるので精いっぱい。実際の警備は、現地スタッフに頼ること
になる」と説明。
中国側は「総領事館の安全を守るため」という説明に終始しているが「館員らの方にも、『守ってもらっている』と
いう意識がどこかにあり、それが今回のような態度につながった面がある」と指摘している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20020511/mng_____tokuho__001.shtml