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(回答先: Re: 帽子拾う副領事“あきれた親切”総領事館進入速行事件 投稿者 鞍田典膳 日時 2002 年 5 月 13 日 23:49:29)
鞍田典膳さん、こんにちわ。
現時点では、今回の事件には「仕組まれはめられた」という匂いを感じません。
どちらかといえば、日本の政府・外務省・主要メディアの“一人相撲”のように思われます。
そもそも、支援グループも、駆け込み先は、日本の在外公館でもなくても、米国のそれでもよかったと考えていたのではないでしょうか。
そして、日本領事館に駆け込んでも、スペインや米国のときと同じように、中国政府に第三国への出国を認めさせて韓国に送り届けることになると予測していたと思います。
もちろん、駆け込んだ人たちが中国の警察に拘束されて連行されることも想定はしていたでしょうが、そうなっても、メディアを配置していたので、その様子が映像で世界に流れることで、中国政府は第三国への出国に踏み切らざる得ないと考えていたでしょう。
ここまでは、「仕組まれたものにはまった」と言えます。
結果論的に見れば、中国の警察が5人を拘束し連行したことで、日本政府は楽な状況に置かれたと言えます。
日本領事館が2人でも保護していれば、日本が難民として受け入れざるを得ない状況が生まれたかも知れませんが、身柄が中国側にあるので、建前としては身柄の引き渡しを要求するにしても、第三国に出国させることで日本政府は立場を保つことができます。
(韓国も北朝鮮からの亡命希望者の受け入れが重荷になっています。日本が亡命希望者を受け入れるとわかれば、これからも在外公館への“駆け込み”が頻発すると思います)
今回の事件がこじれたのは、拘束の様子が映像で流されたり、実態が報道されたことで、「人道・人権的な立場での問題視」や「国際法的な主権侵害に関する問題視」が沸き起こったことで、外務省や内閣官房が政治的自己保身や責任転嫁を図ったからだと考えています。
中国の言い分が全面的に正しいかどうかわかりませんが、それに近い経緯であれば、日本外務省は、「人権意識もなく主権意識もない無能集団」という烙印を押されます。
また、事実経過を精査することなく中国非難という拳を振り上げた日本政府も、外交的失態を演じたことになります。
外務省自身の調査報告も、大枠で中国政府の言い分が妥当性を持っていると解釈できるものです。(外務省は、自己保身を計りつつ、メディアや国民にもう拳を降ろしたほうがいいよと示唆しているつもりでしょう)
中国政府は、「日本政府はどうして事実をねじ曲げた頑迷な主張を続けているんだ」と考えていることでしょう。
中国政府は、事実と異なる理由で、職務を“忠実”に果たした警察官を叱責したり、日本政府に謝罪することはできませんから、日本政府がこれまでのような主張を続けている限り、折れることはないでしょう。
日中の外務当局は、水面下で考証しながら事件の熱が冷めるのを待って、食い違いをうやむやにして解決を図ると思われます。(表には出てこないでしょうが、ブザマな外交交渉になります。外務省の保身のために外交が歪められることになります)
今回の事件を巡るメディアの報道ぶりを見聞きして、戦前の日本が国民をあげて戦争の深みにはまっていった経過がわかる気がしました。
事実を精査しないまま、自国擁護や愛国主義そして利権追求などの意識から、政府が相手国を非難し、それに乗ったかたちでメディアも相手国を非難する論調を張り、それを読んだ国民もそれを真に受けて激高する。
その後いろいろな事実がわかっても、国民は相手国に懲罰を与えるべきというところまで気持ちが高ぶっているので、今さら日本にも非があるとは政府もメディアも言えず、相変わらず相手国非難を続ける。それによって、国民も、さらに相手国に対する憎悪を深めていく。
そうなれば、当初一部強硬派の主張であった武力行使も、国民の後押しを受けたかたちで国策となっていく。
愚かな“自縄自縛”の構図です。
今回の事件がそのような過程につながるとは思いませんが、日本人や相手国国民が多数死ぬようなもっと深刻な事件で同じような対応をすれば、そうなる可能性も無視できません。