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(回答先: 帽子拾う副領事“あきれた親切”総領事館進入速行事件 投稿者 tokyo-np 日時 2002 年 5 月 11 日 14:00:33)
別のところに書き込んだものですが、転載させていただきます(どうもリンクが上手くいかないもので)
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> こうした外務省の対応が、日本には何をしてもよいという意識を中国共産党政府にもたせ、今回の事件を招いたと言える。
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> 放送された「拱手傍観する日本総領事館職員」は、「日本の主権を守る意識はなく、自分の役人人生を全うすることだけが行動基準になった外務省役人」を象徴するものではなかろうか。
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> さまざまな外務省改革がいわれているが、国民が外務省に求めているのは、中国共産党政府のような無礼な主権侵害行為に対し、戦うことができる外務省になることなのである。
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> 日中国交回復三十周年の今、政府は安易に祝賀行事を繰り返すだけでなく、「日中友好」を推し進めた結果が、「日本国が中国共産党政府に属国扱いされるようになった」だけであったことを直視する必要があろう。
相変わらずの「木を見て森を見ない」偽善に満ちた文章は見ていて頭痛がする。この問題の前提として、日本政府及び日本国民は「難民」や「亡命者」を受け入れてきたか、庇護してきたかという問題が根幹に横たわっている。
個人的経験で恐縮だが、私は’89年6月4日のいわゆる「天安門事件」以降日本に逃れてきたり、既に日本に来ていて事件をきっかけに帰国すれば身に危険が及ぶ怖れがでてきたりした人々(主には趙南氏をはじめとする「民主中国陣線」の人々だが)の日本国内における支援活動に携わってきた(現在もなお続けてはいる)。またそれとは別に、’88年の政変で日本に逃れてきたビルマ難民(主にアウンサン=スー=チー氏及び彼女が率いるNDL支持者>彼女の肖像画やバッジをシンボルにしている)の支援活動をアムネスティインターナショナル日本支部の人々らと共に行ってきた。最近では、日本に難民申請してきたハザラ族系アフガン人の支援活動にも携わっている。
そうした活動の中で何度も強く思い知らされてきたことは、日本国外務省や法務省(特に入管当局)及び一般日本国民の、「政治的理由で日本に庇護を求めてきた人々」(いわゆる難民や亡命希望者)への無神経あるいは冷酷な対応だった。難民申請を求めてきた人々に対し、国際的に悪名高い「60日ルール」(入国してから、または難民となるべき事情が生じてから60日以内に難民申請をしなかった場合、原則として難民と認めない:入管法第61条の2)を楯に難民認定せず、したがって庇護を求めてきた人々を「危険が待つ本国へいつ強制送還されるか分からない不安定な状態」に置きつづけている日本の入管当局(ちなみに昨年、2001年の日本国の全難民認定者はわずか21人だけである)。日本の在外公館へ庇護を求めても、日本政府は難民を受け入れないあるいは受け入れるのに消極的だとにべもない返答を続ける外務省(最近では、プラハ大使館でのロマ=いわゆる「ジプシー」の人々の難民申請を蹴るためにこの口実を使っていたことが報道されたが、こんなことは前から、多くの日本在外公館で公然と行われ続けてきたことだ)。
そして何より、こうした難民申請者に対する一般の人々の関心の低さや根強い差別意識に何よりも悩まされた。それらの人々の本国政府や日本政府に対する抗議行動あるいは難民認定を求める行動(主には渋谷・銀座等での街頭デモや大使館への陳情デモ、そして署名運動)をしても、一般の人々の無関心ぶりに無力感を覚えることは多かった。中には「難民は国へ帰れ!」「どうせ不法就労が目的だろう!」などと罵声を浴びせる人々も少なくはなかった(それはまだしも、外国人への差別的言辞を投げつけられることも時折あった)。また、それらの人々の日本に於ける生活基盤の確保、具体的には居住先・就職先の確保も容易ではなかったのは言うまでもない。
今回の事件で中国政府や日本総領事館の対応を非難する人々に聞きたい。では、あなたがたは今まで、日本への難民申請者のために何をしてきたか?そして、本当に北朝鮮からの難民とされる今回の5人を日本に受け入れる木があるのか?と。ただ単に中国政府非難の「口実」として今回の事件を利用するだけで、これまでの日本政府やわれわれ国民一人一人の難民申請者への対応をまったく批判も反省もせず、これからの難民受け入れ対策についても何ら改めようとしないのであれば、全くの「偽善」であり、見聞きに耐えない詭弁である。長年難民支援に携わった人間として、今回の日本政府やメディアの対応に憤りを禁じえない。
まぁ、うがった見方をすれば、日本政府の難民への冷酷な対応が今回の事件のきっかけになったと推測できないでもない。中国公安当局からすれば、日本は難民や亡命希望者を拒絶している(中国の民主化活動家たちの難民申請を日本政府はほとんど受け付けていないことを彼らは知っている)のだから、北朝鮮からの亡命希望者を領事館から引きずり出したところで日本側は文句は言うまい。かえって事前に厄介者を排除してくれたことを感謝するだろう、程度の認識ではなかったのか?
日本が難民を適切に扱い、受け入れることにも積極的な国であったら、こうした態度をとったであろうか?問われるのは日本国外務省・法務省、そして主権者である私たち国民一人一人の「人権感覚」だ。
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