<■94行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> ガンドラック氏: 大統領選挙に向けての最高の投資アイデアは長短金利差拡大 2024年9月30日 globalmacroresearch https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/54291DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がUBSによるインタビューで、11月のアメリカ大統領選挙に向けての投資戦略を公開している。 アメリカ経済減速 前回の記事では、ガンドラック氏のアメリカ経済の見通しを紹介した。 ガンドラック氏: アメリカの景気減速が止まらない理由、失業率上昇は悪化する Fed(連邦準備制度)のパウエル議長がソフトランディングを信じている一方で、ガンドラック氏はアメリカ経済はこのまま悪化すると予想している。
FOMC会合でソフトランディングを楽観するパウエル議長「超低金利はもう戻って来ない」 だが、それなら投資家はどうすれば良いだろうか。ガンドラック氏はこれまで大幅な利下げを予想してきたので、ガンドラック氏は短期の金利の下落に賭けるトレードをたびたび推奨してきた。 その予想は見事に当たり、今や金融市場は来年末までに政策金利が2%台にまで下がることを予想しているので、短期金利はもう既にかなり下落している。 ガンドラック氏の予想が見事に当たったわけだが、これから更に下がるにしてもそろそろ次のトレードを考えるべきだろうし、何より11月に大統領選挙があり、新大統領の発表するばら撒き次第では、単純な景気減速相場ではなくなる可能性も高い。
大統領選挙後のトランプ氏、インフレを起こさずに株価上昇を引き起こす余地があるか? アメリカの財政問題 そこでガンドラック氏は今回、11月の大統領選挙に向けてのトレードについて言及している。ガンドラック氏はまずアメリカの財政問題について次のように言っている。 どちらの候補もアメリカの財政問題に対処する気はないようだ。 今年に入って著名投資家の間で最大の懸念になっているのはアメリカの財政赤字だ。アメリカでは金利上昇によって莫大な政府債務についに利払いが発生している。だが米国政府にはお金がないので、国債の利払いのために国債を発行する状況に陥っている。 ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性 ガンドラック氏はこのままでは最終的に米国債は一部返済されないと予想している。国債が大量に発行されれば、債券市場では供給が需要を上回り国債の価格が下落することになる。 レイ・ダリオ氏: 米国債が投げ売りされて次の経済危機が始まる グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性 しかしトランプ氏もハリス氏もこの問題を真剣に捉えている様子はない。ガンドラック氏は次のように述べている。 民主党は低所得者に現金給付を行いたい。詳細は明らかになっていないが、少なくともそれが公約になっている。 一方で共和党はあらゆるニッチな層に減税を行いたがっている。チップ非課税、残業代非課税、年金非課税、ほとんど連想ゲームのようだ。 トランプ氏は前政権時に有効な減税策をやり尽くしてしまったので、チップ減税のような聞こえは良いが規模は多くない減税でお茶を濁そうとしているのである。 大統領選挙後のトランプ氏、インフレを起こさずに株価上昇を引き起こす余地があるか? ガンドラック氏の大統領選トレード この状況で投資家に何が出来るのか。ガンドラック氏は次のように述べている。 いずれにせよどちらの政党も財政赤字を拡大しようとしており、それは長期的に問題となる。 これらの政策が実行されれば、どちらの候補が勝ったとしても長短金利差が拡大する可能性が高い。 長短金利差とは、長期金利から短期金利を引いた金利差のことである。 コロナ後の利上げによって短期金利は大きく上がったが、その金融引き締めによって経済の長期見通しは悪化したため、長期金利は短期金利ほど上がらなかった。 結果として短期金利は長期金利よりも高くなり、長短金利差はマイナスになった。 長短金利差がマイナスになるのは景気の見通しが悪い時なので、長短金利逆転は景気後退のサインとなる。だがガンドラック氏の指摘によれば、本当に景気後退が来るのは長短金利差がマイナスになった時ではなく、長短金利差が一度マイナスになってからプラスに戻った時である。 そして長短金利差のチャートを見れば、それが今まさに起きている。 それはガンドラック氏がアメリカ経済の減速継続を予想している理由の1つでもある。
ガンドラック氏: アメリカの景気減速が止まらない理由、失業率上昇は悪化する 長短金利差は拡大を続ける ガンドラック氏は次のように述べている。 ここ6ヶ月で一番自信のあったわたしのアイデアは、長短金利差が拡大するというものだ。 そしてガンドラック氏は以前次のようにも言っていた。 ガンドラック氏: 米国経済の景気後退は確実、猶予はあと4ヶ月だ 歴史的には、一度プラスに転換した長短金利差はそのまま大きく上昇している。 実際、筆者も大統領選挙がその後押しになるのではないかと考えている。ハリス氏になれば恐らくガンドラック氏の言う通りこのまま景気減速が継続する可能性が高い。トランプ氏なら2016年のトランプ相場の再来になる可能性もあるが、景気刺激の余地が限られるなど2016年に比べて厳しい点もある。 大統領選挙後のトランプ氏、インフレを起こさずに株価上昇を引き起こす余地があるか? だが好景気シナリオでも不景気シナリオでもどちらにしても長短金利差は拡大する可能性が高い。長短金利差が下落するのは短期金利が下げられない場合だが、今はその状況ではない。 だから筆者の意見でも長短金利差の拡大に賭けるトレードは、大統領選挙に向けてのメインのマクロトレードなのである。ガンドラック氏は次のように述べている。 大統領選挙は長短金利差の更なる拡大を引き起こす。それが大統領選挙に向けて一番自信のあるアイデアだ。 つまりは短期国債を買って長期国債を空売りすることである。 20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が著書『貨幣論集』で予言していた「インフレ減速後の不景気」が来る。ハイエク氏は次のように書いている。 ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない 失業はインフレが加速をやめたときに、過去の誤った政策の帰結として、非常に残念だが不可避の結果として出現せざるをえない。
そのままなら景気後退、それを景気刺激で無理矢理止めようとしてもインフレ再燃である。そしてどちらの場合も長短金利差は拡大するだろう。 https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/54291
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