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インフレで起きる事
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1559.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 02 日 08:22:41: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ハイパーインフレとは 投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 17 日 21:00:02)

インフレで起きる事


インフレ対策銘柄7選!不安を解消しましょう
2021/02/26




 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 2021年3月02日 12:03:22 : FnXfRqdhm6 : NHdEMUozR20zbHc=[17] 報告
大規模金融緩和でインフレ起こるか?対策銘柄を紹介
2021/02/22




2. 中川隆[-6967] koaQ7Jey 2021年3月02日 12:12:56 : FnXfRqdhm6 : NHdEMUozR20zbHc=[18] 報告
世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で経済成長率は救える
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11736

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10616

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685

世界最大のヘッジファンド: ドルは既に紙くずになっている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11801

米国経済、個人消費が鈍化、インフレは止まらず
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11782

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762

世界最大のヘッジファンド、コロナ株高でも米国株買い増さず
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11643

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592

世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9934

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

「現金はゴミ」発言のレイ・ダリオ氏、リスクオフできず新型コロナ株安で20%損失
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9134

新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10392

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103

元米国財務長官ラリー・サマーズ氏が長期停滞論とは何かを語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/2489

ヘリコプターマネーはインフレをもたらすか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9767

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681

3. 中川隆[-6966] koaQ7Jey 2021年3月02日 12:17:03 : FnXfRqdhm6 : NHdEMUozR20zbHc=[19] 報告
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
2021年2月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
2021年2月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避
2021年2月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500

ジム・ロジャーズ氏: 物価高騰になれば中央銀行は緩和を止めるか
2021年2月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12581

米国GDPはコロナ禍から回復も低金利に依存、金利高騰で株価と共倒れへ
2021年2月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12654

4. 中川隆[-6965] koaQ7Jey 2021年3月02日 12:24:40 : FnXfRqdhm6 : NHdEMUozR20zbHc=[20] 報告
貨幣数量説 _ 貨幣の総量とその流通速度が物価の水準を決定している
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1065.html

紙幣の刷り過ぎでドルが暴落する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1039.html

インフレと失業率の関係
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1154.html

スタグフレーション
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/936.html

5. 2021年3月02日 21:33:16 : YhdtoSsgwM : UkpyU0lQcDVnTG8=[1] 報告
ガンドラック氏: 金利上昇で株価下落の新トレンドへ
2021年3月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12696
6. 2021年3月07日 11:02:39 : DXEy2Mr6T6 : QmJaNVc2U0tTbWs=[10] 報告
インフレを暗示する最新の米雇用統計、株価暴落か物価高騰かの二択に
2021年3月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12801

最近の記事ではデフレからインフレへの転換という大トレンドに関する内容が多かったので、今回は足元の経済状況からそのトレンドへ向かっていることを確認してゆく。

改善するもコロナ前には遠い労働市場

3月5日、アメリカの2月分の雇用統計が発表された。非農業部門労働者数は前月比379,000人増となり、市場予想の182,000人を大きく上回った。失業率も6.2%と前月の6.3%から低下している。

失業率の5年チャートを見ると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-feb-us-unemployment-rate-chart.png


失業率は着実に低下を続けているがコロナ前の水準からはかなり遠い。過去に失業率が6.2%だったのは2014年のことであり、そこからコロナ前の2020年1月の失業率に低下するまで5年以上掛かっていることを考えると、6.2%からコロナ前の状況に戻るには少なく見積もっても数年かかると考えた方が良いだろう。


ジレンマに陥るパウエル議長

この「着実に改善している」が「いまだ非常に高い」失業率はFed(連邦準備制度)のパウエル議長にとってかなり難しいジレンマとなるだろう。何故か? 労働市場は素早く改善していることはインフレの原因となるが、失業率がいまだ高いために金融引き締めができないからである。

アメリカの中央銀行は完全雇用を明示的な目的としている。パウエル議長もつい最近、労働市場が多少改善したからといって緩和をやめることはないと主張していた。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500


完全雇用が目的ということは6.2%の失業率が多少下がったからといって緩和を止めることはできないということである。しかし既にアメリカでは物価高騰の初期症状が表れている状況で少なくとも数年も同じような緩和を続ければ、例えば3年後にはアメリカのインフレ率はかなり取り返しの付かないところまで上がっているだろう。


物価高騰か株価暴落か

パウエル議長は緩和を続けて物価を高騰させるかインフレを退治するために緩和を止めて株価を暴落させるかの二者択一を迫られることになるだろう。ここ最近株式相場が多少荒れているのはそれが理由である。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-6-s-and-p-500-chart.png

しかし本当の二者択一に迫られるのはもう少し先だろう。今の市場の多少の動揺は将来の暴落を予感したわずかな余震のようなものに過ぎない。パウエル議長は現時点ではインフレを本気で心配しておらず、放置できないところまで株価が下落すれば躊躇なく金利を押し下げ、株式市場を持ち上げるだろうからである。

しかし繰り返しになるが、インフレ率が取り返しの付かないところまで上がれば容易に緩和はできなくなる。緩和すればインフレが加速してしまう。そうなればパウエル議長は物価高騰か株価暴落かどちらかを選ばなければならなくなるだろう。


結論

その道筋は10km先まで見える人間には今既に見えているが、3mしか見えないパウエル議長には見えていない。彼は2018年の市場暴落と同じ過ちをまたしても繰り返すだろう。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7959


しかし既に見えている将来の危機を察し、これまでのインフレ政策から撤退し始めている中央銀行が1つある。イングランド銀行である。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763


何事も逃げ足の早い人間から逃げ始める。日米欧はいまだインフレ主義に固執している。実は何十年も前からこの状況を予想していた人物も居たのだが、ケインズ経済学に毒された現代の経済学者や有権者が耳を傾けることはなかった。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

経済学者ハイエク氏の著書を今こそ読み返すべきなのである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12801

7. 2021年3月11日 12:53:37 : tMihqEAZ8k : OWp0eGdKVXNEQ3M=[37] 報告
【投資家必見】上昇相場はいつ終わる?投資家が気にすべきたった1つの指標。長期投資家が取るべき戦略も解説します
2020/11/28





8. 中川隆[-6554] koaQ7Jey 2021年3月15日 20:30:36 : ww05IaOXmY : czZLc3BxQU1mVkk=[21] 報告
2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
2021年3月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880


3月10日に最新のアメリカの消費者物価指数が公表され、2月のインフレ率の上昇は4.3%(前月比年率)となった。1月の3.1%を上回る数字であり、アメリカでインフレが加速している様子が伺われる。

物価上昇の原因

コロナ禍に行われた金融緩和と現金給付などの景気刺激策があまりに大規模だったために物価が高騰しドルが暴落するとの懸念がファンドマネージャーらの間で囁かれていた。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ


これに先んじて金融市場では昨年から貴金属や穀物などのコモディティ価格が高騰していた。このトレンドは今も続いている。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰

そしてついに金融市場での価格高騰が日用品の価格にまで影響を与えつつあるということである。アメリカのインフレ率のチャートを見てみよう。


ここ数ヶ月で急上昇しているのが分かる。

インフレ加速は続くか?

しかし前期比年率で4%程度のインフレという数字だけを見ればコロナ以前にもあった程度のインフレであり、本当の問題はこのインフレの加速傾向が続くのかどうかである。

考えるべきポイントは2つある。金融政策と財政出動である。

コロナ禍で市場経済に投入された莫大な資金の内、1つは金融緩和である。Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は新型コロナウィルスの世界的流行を受け、最大限の金融緩和を行なった。

コロナで未曾有の景気後退に陥った米国経済を押し上げるほどの緩和政策が副作用をもたらさないというのは無理なのである。それで物価が上がり始めている。

であれば、インフレが続くかという問題は金融緩和が続くかという問題に帰着する。答えはイエスである。パウエル議長自身がそう言っている。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避
実際には彼はインフレの脅威が分かっていないだけに過ぎない。インフレが本当に止まらなくなれば彼は慌て始めるだろう。しかし当面の間彼は「インフレは問題ない」と言い続け、緩和を続けるだろう。よって金融緩和によるインフレは続く。

バイデン政権の経済対策

ではもう1つの物価上昇要因、財政出動はどうだろうか。これまで物価を押し上げてきたのはトランプ政権のCARES Actであり、2.2兆ドルの景気刺激策である。これに加えて最近米国議会を通ったのがバイデン政権の景気刺激策であり、その予算は1.9兆ドルである。

2兆ドル規模の景気刺激が2年連続で行われようとしている。しかも1.9兆ドルはまだ経済に注ぎ込まれていないが、現在のインフレ率が物語る通り物価高騰は既に始まっている。実体経済の状態を表す上記の消費者物価に加えて、実体経済に先行する金融市場でものの値段がどれほど上がっているかを知りたければ、例えば大豆の価格チャートを見ればいい。


この状況で追加の1.9兆ドルが注ぎ込まれればインフレはどうなるだろうか? この新経済対策には1人あたり最大1,400ドルの現金給付が含まれている。パウエル議長曰く、インフレを心配する必要はないそうである。

結論

パウエル議長の妄言はさておき、投資家はどうすべきかを知っている。ここでは長らくコモディティに関する記事を書いてきたし、最近の価格高騰前からビットコインについて特集してきた。

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ビットコインもまたコモディティであり、インフレで上がる銘柄だからである。


長期的にはコモディティはどれもまだまだ上がる。しかし短中期的な動きは様々だろう。金利上昇で株式市場が動揺すれば短期的にはコモディティも影響を受ける可能性がある。

ガンドラック氏は数ヶ月下落しているゴールドを推しているようである。

ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

9. 中川隆[-6542] koaQ7Jey 2021年3月16日 13:26:28 : uWuDdDGU4s : NDR5d1dyMHVOb2s=[13] 報告
インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
2021年3月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900


ここでは連日報じてるが、コロナ対策の金融緩和と現金給付でアメリカでは物価高騰が始まっている。

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
金融市場ではこれに先んじて貴金属や燃料、穀物などコモディティ銘柄の上昇トレンドが始まっており、今回の記事では個人投資家でもコモディティ投資を行う方法を取り上げたい。

コモディティETF

コモディティは通常先物としてシカゴ商品取引所などで取引されている。しかし最低投資金額が比較的大きく、多くの個人投資家にとっては手を出しづらい世界かもしれない。

しかしアメリカの株式市場にはコモディティ先物に連動するETF(およびETN)が数多く取引されており、100ドル前後の資金でトレードできるのでこれを一気に紹介したい。チャートも載せるのでこれまでのコモディティ相場の状況も一気に確認できるだろう。

金 – SPDR Gold Shares

まずはゴールドである。SPDR Gold Shares(NYSEARCA:GLD)は機関投資家も取引している大手のゴールドETFで、コロナ以後のチャートは次のようになっている。


ゴールドについてはガンドラック氏が底打ちが近いと主張している。去年夏の高騰以降、軒並み上昇している他のコモディティより安くなっているのは確かだろう。

ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ
銀 – iShares Silver Trust

次は銀である。以下はiShares Silver Trust(NYSEARCA:SLV)のチャートであり、これまでのところ金より好調である。


短期的には金の方が安いと言えるが、長期的には銀の方が割安だとジム・ロジャーズ氏が勧めていたことを思い出したい。ロジャーズ氏はコモディティ全般に強気だが、特に銀を勧めていた。

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
銅 – United States Copper Index Fund

そして実はコモディティ相場でも随一のパフォーマンスを示しているのが銅である。United States Copper Index Fund(NYSEARCA:CPER)のチャートを見れば金や銀よりも上がっていることが一目瞭然だろう。


銅は中国で建設資材として使われることが多く、銅の上昇はレイ・ダリオ氏などのヘッジファンドマネージャーらがコロナ以後、中国経済に注目していることと無関係ではないのだろう。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
ドラッケンミラー氏、アジアの通貨に強気
プラチナ – Aberdeen Standard Platinum Shares

金属の最後はプラチナである。Aberdeen Standard Platinum Shares(NYSEARCA:PPLT)の上がり具合は銀と同じくらいだろうか。


プラチナはディーゼル車の排ガス浄化触媒に使われており、ディーゼル車の需要が価格に影響する。

原油 – United States Oil Fund

原油のETFで最大規模のものはUnited States Oil Fund(NYSEARCA:USO)だが、原油価格がマイナスになった時に先物の取り扱いを失敗したために先物価格より大分低い位置に留まっている。実際には原油価格はもっと上がっている。


この辺りがETF投資の難しいところである。原油価格がマイナスになるような事態はそうそう起きないが、こういう実例もあるという意味でそのまま載せておく。

大豆 – Teucrium Soybean Fund

穀物に移ろう。先ずは大豆だが、Teucrium Soybean Fund(NYSEARCA:SOYB)のチャートである。


穀物を投資先として考えたことはあるだろうか? なかなかの上昇率である。

とうもろこし – Teucrium Corn Fund

金融市場には色々なものが上場している。次はとうもろこしである。バイオエタノールの原料にもなるとうもろこしはある程度燃料価格に連動している。以下はTeucrium Corn Fund(NYSEARCA:CORN)のチャートである。


砂糖 – iPath Series B Bloomberg Sugar Subindex Total Return ETN

砂糖もまたバイオエタノールの原料であり、燃料価格と連動している。iPath Series B Bloomberg Sugar Subindex Total Return ETN(NYSEARCA:SGG)のチャートは次のようになっている。


砂糖については以下の記事で特集している。

ジム・ロジャーズ氏: 砂糖価格暴落の原因は原油価格暴落
結論

以上、米国市場で取引されている主なコモディティETFについて特集した。コモディティ相場全体の見通しについてはこれまで何度も記事にしているのでそちらを見てほしい。株式市場が荒れる場合、一時的に巻き込まれる可能性があるので注意が必要である。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ガントラック氏: ドルは下落へ、コモディティは買い、ジャンク債は売り
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
また、繰り返しになるがビットコインもコモディティである。

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
少し古い本にはなるが、ジム・ロジャーズ氏のコモディティ投資の入門書でもいくつかのコモディティの需要と供給について解説されているのでそちらも参考にしてもらいたい。このインフレ相場は投資家にとって大きなチャンスなのである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

10. 2021年3月18日 12:46:22 : dzHoUYWlyY : RjZTcGp4cTNLSms=[9] 報告
世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
2021年3月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927


世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が金利とドルの価値についてLinkedIn上の自身のブログで語っているので紹介したい。

金利上昇からドル下落へ

まず金利とインフレの話から始めよう。ここでは何度も取り上げている通り、アメリカでは現金給付などコロナ禍における未曾有の資金注入のために物価高騰の初期症状が始まっている。

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
そのために昨年後半から金融市場では長期金利が上昇している。アメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-3-17-us-10-year-treasury-yield-chart.png


これまで低金利に支えられてきた株式市場にとって金利上昇はネガティブな要因であり、株式市場が金利上昇に何処まで耐えられるのかということが市場では注目されている。

金利上昇とはつまり債券が売られているということである。債券はこのまま売られ続けるのだろうか? ダリオ氏はアメリカの債券が過大評価されていると主張する。そしてアメリカの債券がこれまで買われてきた理由を次のように説明する。

世界中の機関がアメリカの債券を保有しているのはドルの基軸通貨としての特権的地位があるためだ。

しかしここの読者には周知の通り、ダリオ氏はコロナを起点にアメリカの覇権国家としての地位は凋落すると予想している。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
基軸通貨ドルのターニングポイント

今回、ダリオ氏はその凋落のターニングポイントについて少し具体的なことを語っている。次のコメントを紹介しよう。

論理と歴史を考えれば分かることだが、債券の需給に問題が生じ金利が経済状況に望ましい以上に上がってしまうと中央銀行が判断した場合、中央銀行は紙幣を印刷し債券を買い入れ、債券利回りに実質的な上限を定めるようないわゆる「イールドカーブコントロール」を行う。しかしそれは貨幣の価値を毀損する。

米国ではまだイールドカーブコントロールは行われていない。日本では行われているが、幸か不幸か高税率が重しとなってデフレのままとなっている。しかしアメリカではインフレが進んでおり、インフレと金利上昇の組み合わせは貨幣価値に対して壊滅的な効果を持ってしまうだろう。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
アメリカの中央銀行はまだ金利を抑えようとはしていないため、米国の長期金利は自由に上がり続けている。結果としてドルは少なくとも円などに対してはまだ上がっている。ドル円のチャートは次のようになっている。


しかし紙幣の刷り過ぎでインフレが起こっている時に中央銀行が金利を無理矢理抑えようとするとき、ドルの最後の下落相場が始まってしまうだろう。以前のダリオ氏の記事も参考にしたい。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
結論

ダリオ氏は次のように言う。

中央銀行のそうした動きは長期の債務の膨張・収縮サイクルの一番最後に起こるもっとも破壊的な段階の始まりとなるだろう。

ダリオ氏の目には長らく続いたアメリカの覇権の終わりが本当にはっきりと見えているように聞こえる。そして恐らくアメリカ国民に対してかなりあからさまに警告している。

税の変化と資本統制に注意した方が良いだろう。

「金を取られるぞ」ということである。ハイエク氏による以下の論説も参考にされたい。

インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
しかし筆者が一番聞きたいのは次の点である。社会保険と所得税と消費税で既に収入の半分以上を政府に持っていかれている日本の方々はどうするのか? 数百万取られて10万返してもらって喜ぶのか? 日本は既に資本統制されているのである。お気づきだろうか。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927

11. 中川隆[-6463] koaQ7Jey 2021年3月20日 21:16:00 : LRGR9xOt0w : SElKY3RQejZJUFE=[41] 報告
金利上昇で下落するハイテク株、上昇する金融株
2021年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949


金融市場ではここのところインフレ懸念による金利上昇が話題となっている。低金利に支えられてきた株式市場にとっては金利上昇は一大事なのである。

一方で株式市場をセクターごとに見てゆくとその影響は様々である。今回の記事では高金利の影響をセクターごとに見ていきたい。

高金利で下落するハイテク株

先ずは長期金利のチャートから掲載しよう。


ここの読者には見慣れたチャートかもしれないが、それでもかなりの上昇率である。

この金利上昇で真っ先に影響を受けたのはこれまで上がってきたハイテク株である。先ずは比較対象として米国の株価指数S&P 500のチャートを掲載しよう。


そして次がAmazon.comのチャートである。


コロナ相場の初期には一番に上がってきたAmazon.comが全体の上昇相場において停滞している。特にここ1ヶ月ほどは金利がかなり高いレベルにまで上がってきたことを投資家が懸念しており、Amazon.comの株価も急落となっている。このトレンドは金利が上昇し続ける限り続く可能性がある。

逆境を予想していたドラッケンミラー氏

ここまで議論してここの読者ならば思い出すことがあるかもしれない。ドラッケンミラー氏がハイテク株に懸念を示しながらもハイテク株のホールドを選択していたことである。

ドラッケンミラー氏、Microsoftの買いを大幅増額
ドラッケンミラー氏は様々なハイテク株を買っているが、最大ポジションであるMicrosoftのチャートを掲載しよう。


銘柄選択の成果かAmazon.comよりは調子が良い。しかし2番目に大きいポジションはそのAmazon.comであり、こちらは下がっている。

ドラッケンミラー氏が次のように言っていたことを思い出したい。

難しい問題だ。これから数年4、5%のインフレが来るとすれば、高成長株が他の株に比べて非常に不利になることは歴史的に考えて異論の余地はない。

しかしコロナ禍におけるリモートワークへのシフトは始まったばかりだとして買いを継続していた。その後ドラッケンミラー氏の予想通り金利が上がり、ハイテク株には試練の時となっている。

高金利で上昇する金融株

一方で株式市場には金利上昇で恩恵を受ける銘柄もある。銀行や保険などの金融株である。

これらの企業は基本的に長期金利から収入を得る。銀行ならば預金者に短期の金利を払いながら預かった預金で長期国債を買って金利収入を得る。保険会社は得た保険料を同じく長期国債などに投資する。

したがって金融株にとっては金利上昇はポジティブなのである。例えば代表的な銀行株であるWells Fargoのチャートを見てみよう。


金利が上がり始めた去年の秋から株価が倍近くになっている。

また保険大手のMetlifeの株価は次のようになっている。


銀行株と同様の好調である。

結論

この記事で言いたいことは、一言で金利上昇と言ってもセクターによって反応は様々だということである。高金利が懸念されるとしても株式市場で生き残ることはできる。あるいはその時その時にふさわしい銘柄を見つけていけば、1つの銘柄に賭け続けるよりも大きなリターンを上げることはできるだろう。

一方で、確かに金利上昇は金融株にはプラスなのだが、債券を持っていてもインフレで価値が下がってしまうので皆が債券を売り、結果として金利高になっている状況で、債券の買い手である金融株が株式市場で随一のリターンを上げている状況に危うさも感じる。繰り返すが金融株はリターン(金利)がインフレ分より少ないという理由で皆が投げ売りしているものを買う側なのである。

金融株が現在の株式市場の筆頭セクターであるという状況は、今の株式市場について何かを語っている気がする。少なくともインフレと銀行株上昇が共存する状況は長くは続かないだろう。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12949

12. 中川隆[-6462] koaQ7Jey 2021年3月20日 21:17:33 : LRGR9xOt0w : SElKY3RQejZJUFE=[42] 報告
世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
2020年9月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が引き続き1970年代のアメリカのインフレ時代について語っている。

前回の記事ではダリオ氏は、1960年代に経済の弱まったアメリカが紙幣を印刷した結果、1970年代が物価急騰の時代となった様子を説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
アメリカの1970年代は先進国でもインフレになるということを証明する意味で経済学的には非常に興味深い。しかしインフレの時代とはどういうものだろうか。デフレに慣れて久しい現代人には遠い記憶ではないだろうか。

インフレの心理

インフレとは紙幣の価値が下がることであり、物価が上がることである。しかし当時の様子がどういうものだったのかは当時もアメリカに住んでウォール街で働いていたダリオ氏の経験を聞くのが良いだろう。ダリオ氏はこう書いている。

わたしはインフレの心理というものをよく覚えている。アメリカ人はこぞって借金をしたがり、給料日になるや否や「インフレに先回りする」ために物品を買い漁った。

1970年代のインフレの時代、人々は物品を買い漁った。しかし豊かにはならなかった。物が不足しているから人々は物を買い漁り、インフレになるからである。

紙幣の価値が暴落する時代には資産価値を保存できる別のものがブームになる。結果、金価格は暴騰した。もう一度当時の金価格チャートを掲載しておこう。


しかし株価はどうなっただろうか。インフレは1972年から急激に悪化しているが、株価はそれに呼応して下落している。


インフレとは紙幣の価値が下落することであり、すべてのものの値段が上がることである。しかし株価は下落した。

その理由はダリオ氏による上記の描写を読めばより分かりやすいだろう。当時のアメリカ国民は毎年高くなってゆく生活物資を買い集めることで必死になり、株式など買っている場合ではなくなったのである。インフレの時代にもすべての値段が上昇するわけではないというのは興味深い事実である。

価値が下落しているドル紙幣で換算して株価が半分にまで下落しているということは、実質ベースでは株式の価値はほとんど紙切れになったということである。インフレの第1波が収まり始めた1975年からは株価は一度持ち直した。当時のインフレ率も同じように掲載しておこう。


しかしインフレ第2波のピークとなる1980年の前後には株式市場は再び激しい値動きを見せることとなる。

ポール・ボルカー議長

1979年、カーター政権の元でポール・ボルカー氏が連邦準備制度の議長に選出された。ボルカー氏はインフレを抑えるために政策金利を20%まで引き上げた。現在では考えられない水準である。ダリオ氏はこう書いている。

金融政策によって引き起こされたインフレ危機に対抗するためにボルカー氏は金融引き締めを行なった。そのため金利はドイツのシュミット首相が「イエス・キリスト以来」と呼んだ水準まで高騰した。

実際、インフレ率は最高でも15%に満たなかったのだから、20%はインフレの時代でもかなりの高金利である。今の金融市場が低金利で支えられていることからも分かる通り、これほどの高金利が株式市場を崩壊させないはずはない。
結果、1980年前後の株式市場はボルカー氏の動きに翻弄されることになる。まずボルカー氏が政策金利をどう動かしたのかを見てみよう。


金利の波は2回来ている。1980年の初めと1981年である。そして株式市場はその2度の波に翻弄されるように2度下落相場を迎えている。


何とも激しい値動きである。しかもこの値動きは毎年10%ものインフレの最中に起こったことを思い出したい。

インフレの結果

このボルカー議長による強烈な金融引き締め政策によってインフレはこの時期にピークを迎えることとなった。しかし結果としてアメリカ経済は短期間に2度の景気後退を迎えており、そのような厳しい政策が政治的代償なしに行えるはずはない。ダリオ氏はこう書いている。

ボルカー氏は役目を果たした。しかしその代償としてカーター大統領は職を失うこととなった。

一方でボルカー氏の金融引き締めがなければドルはそのまま自由落下を続け、アメリカは既に覇権を失っていただろう。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
紙幣印刷がインフレに繋がるとき、国民はどちらかを選ばなければならないのである。

昨年亡くなったボルカー氏はダリオ氏とも個人的な繋がりがあり、ダリオ氏はボルカー氏のことを次のように評している。

幸いにもわたしはボルカー氏と個人的な交友を築くことができた。彼は偉大な人格者であり、素晴らしい能力と影響力があるにもかかわらず謙虚な人物で、ヒーローと呼べる人物が不足している今の経済界において古典的なヒーローの典型だと言えるだろう。

現代の政治が強烈な景気後退か通貨暴落のどちらかを選ばなければならなくなったとき、どちらを選ぶだろうか。それはそれで見てみたい光景ではあるのである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

13. 2021年4月01日 05:23:13 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[3] 報告
止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
2021年3月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098


コロナ禍における金融緩和と財政出動による過剰な資金がアメリカの金融市場と経済に流入している。金融市場では貴金属や穀物などのコモディティ価格が高騰しており、足元の経済でも日用品の物価が上がり始めていることは何度も報じている通りである。

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
そしてアメリカでは同時にコロナ禍には意外な資産まで値上がりしている。不動産である。しかもアメリカだけでなく、イギリスやオーストラリアでも起こっているグローバルな現象であるらしい。

コロナ禍における不動産

ウィルスの流行で観光地に閑古鳥が鳴き、日本では宿泊業界はようやく立ち直りかけているかというところだが、アメリカでは住宅価格は大して下落することがないままコロナを乗り切った上、昨年後半からかなりの価格高騰を続けている。ケース・シラー住宅価格指数の年間上昇率(前年同期比)のチャートは次のようになっている。


アメリカの住宅価格の上昇率は今や年間11%を超える勢いである。住宅ローンのバブルが問題だったサブプライムローン問題の時の最高値が14%だったことを考えれば、このまま加速すればその時の勢いに肉薄するほどの数字になることになる。

そして前述したようにこの現象はアメリカだけのものではない。イギリスの国家統計局によれば2021年1月の住宅価格年間上昇率は7.5%であり、インフレを懸念したイングランド銀行は低金利政策から撤収する準備をしている。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
またオーストラリアのシドニーでは3月の間に住宅価格が3.6%上がったという最新のデータが発表された。年間ではなく1ヶ月の間の上昇率である。これが仮に1年続けばシドニーの住宅価格は1年間で何十パーセントも上がることになる。

オーストラリアは昨年11月に量的緩和に踏み切っている。コロナで低迷する経済を持ち上げるための措置だが、市場は明らかに過剰な資金に舞い上がっている。オーストラリア準備銀行のフィリップ・ロウ総裁はインフレによって利上げを余儀なくされる可能性を打ち消そうと必死である。

空前絶後のバブル相場

一部の人々はもう気付いているが、誰もインフレを止められなくなるだろう。貴金属や農作物などのコモディティ価格は未曾有のバブルを経験することになる。

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
しかし経済はどうなるだろうか。何度も言うが紙幣を刷ったところでものが増えるわけではない。人々は政府から現金が入金されて喜んでいるが、日用品の物価の上昇が止まらなくなってようやく我に返るだろう。

1980年代にアメリカに起きたことを人類はまた繰り返しいる。投資家を長年続けて確信していることが一つある。人は決して学ばないということである。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
インフレを避けるため、海外の投資家はコモディティを買い漁るだろう。個人投資家が貴金属や農作物に投資する方法もある。

インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
しかしコモディティの中でも一番上がるのはビットコインだろう。今年に入ってからこれを言い続けている。そしてビットコイン価格は悪魔のように上がっている。


仮に短期的な調整があるとしても長期的な目標価格はまだまだ遠い。

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
そしてまだまだ先の話だが、ビットコインが仮に目標価格に達したとしても暗号通貨自体の上げ相場はそこで終わりではないだろう。そこからはビットコインに代わる新たな通貨探しが始まる。暗号通貨の本領はそこからなのである。

ジョージ・ソロス氏、暗号通貨インフラに投資
投資家は常に相場の大きさを意識しなければならない。そうでなければ足元の微小な値動きに囚われて大局を見失ってしまうだろう。コモディティバブル、ビットコインバブルはようやく道半ば、暗号通貨自体はまだまだ初期の初期である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

14. 中川隆[-6181] koaQ7Jey 2021年4月01日 05:43:00 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[4] 報告

【ゆっくり解説】経済成長ってなに?【政府支出が増えると経済成長する?】
2020/11/14






今、ネットで話題になっているのが「政府支出が増えると経済成長する」というもの。
本当にそうなのでしょうか? 解説しました。
15. 中川隆[-6179] koaQ7Jey 2021年4月01日 05:45:28 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[6] 報告
金融緩和や財政出動をするとこういう結果になる

【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ〜経済学を変えた世紀の対決









経済学に限らずその後の歴史を変えた二人の経済学者の世紀の対決、その後編です。
果たして市場に必要なのは「自由」なのか「介入」なのか?




【ゆっくり解説】ハイエクvsケインズ・完結編〜経済学を変えた世紀の対決〜ケインズの遺したスタグフレーション





【ゆっくり解説】ニューディール政策は失敗だった?





【ゆっくり解説】ナチスドイツの経済政策【ヒトラーはドイツ経済を救った?】〜しくじり財政破綻〜





ヒトラーの戦争はドイツを滅ぼしたが、経済政策はドイツを復興させた。
そう説明されることも最近、増えましたが本当でしょうか??
解説します。



【ゆっくり解説】英国IMF危機〜しくじり財政破綻〜【英国病・福祉国家の末路】




ゆりかごから墓場までの福祉国家であった英国の財政破綻。
なぜ大きな政府は破綻したのか?
解説します。
16. 中川隆[-6168] koaQ7Jey 2021年4月01日 10:07:27 : ioAjLYoQAE : YUlsd0dYaE9mS0U=[18] 報告
新型コロナの世界的流行で経済が深刻な景気後退に陥ったことで、各国は金融緩和と現金給付などの財政出動を行なった。しかしリーマンショックの倍ほどの経済危機を資金注入で無理矢理持ち上げようとすると副作用が生じる。紙幣を刷り過ぎたためアメリカでは物価高騰の初期症状が見られている。
金融市場では物価上昇に先んじて貴金属や農作物などのコモディティ資産が高騰しているのは去年より報じている通りである。紙幣の価値が下がることが懸念されているため、紙幣を紙幣以外の何かに取り替えることが流行しているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13062


紙幣を刷ったところでものが増えるわけではない。人々は政府から現金が入金されて喜んでいるが、日用品の物価の上昇が止まらなくなってようやく我に返るだろう。インフレを避けるため、海外の投資家はコモディティを買い漁るだろう。個人投資家が貴金属や農作物に投資する方法もある。


インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
2021年3月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
2021年3月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
2021年3月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
2021年2月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
2021年2月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
2020年3月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
2021年1月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
2021年1月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

17. 中川隆[-5835] koaQ7Jey 2021年4月11日 07:35:32 : QAcplW15Vw : UDVHQXBaTUZoLjY=[25] 報告
最強経済を謳歌する米国で始まった「強烈なインフレ」は世界と日本に何をもたらすか?=高島康司
2021年4月11日
https://www.mag2.com/p/money/1040198


アメリカ経済急回復の背後で起こっている事態について解説したい。いま起こっているインフレは、アメリカ社会の基底部にまだ存在している社会不安の根深さを現している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


アメリカ経済急回復の背後で起こっていること

アメリカの速いペースの経済回復の背後で起こっている事態について解説したい。意外な状況が見えてくる。

アジア系に対するヘイトクライムや激しい人種差別のニュースはまだ多いものの、日本にいると経済状況についての詳細は伝わってこない。

バイデン政権になってからアメリカはめざましい経済回復を実現しつつある。以下が中国、アメリカ、そして日本の成長率だ。左が2020年、右が2021年の数値だ。

     2020年 2021年
中国    2.3%  8.4%
アメリカ −3.5%   6.4%
日本   −4.6%   3.3%

2020年度には主要国では唯一プラス成長を維持した中国がこの成長率であるのは不自然ではないものの、アメリカのマイナス3.5%からいきなりプラス6.4%のリバウンドはあまりに高い成長率だ。この数値が予想通りに実現すると、実に37年ぶりの高い成長になる。

これは主に次の4つの要因によってもたらされたものだ。

<米国経済「急成長」の要因>
1)巨額の経済政策
2)ウイルス接種の進展による社会活動の再開
3)相場の上昇による消費拡大
4)FRBの金融緩和策

まず(1)だが、バイデン政権は国民1人当たり15万円の直接給付を含む200兆円の経済政策を実施している。これは日本の国家予算の約2倍の規模だ。さらに、今後20年間で220兆円のインフラ建設計画が議会で審議されている。

これは史上まれに見る規模の経済政策で、アメリカのGDPの15%にも匹敵する。これはEUの7%、日本の4%の経済政策と比較しても群を抜いて大きな規模だ。これが国内の消費を後押している。

また、消費を一気に加速させることになったのは、(2)のワクチン接種の進展による行動規制の解除である。これまでロックダウンなどで押さえられてきた人々の行動が開放され、消費の拡大をさらに加速させている。

こうしたトレンドをさらに後押ししているのが、(3)の相場の上昇である。アメリカでは富裕層のみならず中間層も、株式を中心になんらかの投資を行っている。バイデン政権の経済政策によって莫大な資金が市場に流れ、これが株価の大幅の上昇をもたらした。これで利益を得た人々の消費が拡大した。

そして最後に(4)、FRBのゼロ金利を含む金融緩和政策がある。ローン金利は極端に低いので、住宅や車の売れ行きが好調だ。

始まったインフレ
こうした状況で懸念されているのが、インフレである。

米政府は3%程度のインフレになると予測していたが、米労働省が発表した2月の生産物価指数を見ると、次のようにかなりの価格上昇になっているものもある。

鉄鋼:22%
石油製品:11%
住宅:13.4%(6月の見通し)

これは相当な上昇幅だ。バイデン政権は巨額の経済政策の実施によって、ドルの供給量は増大している。これがインフレの原因であるような印象を持つかもしれない。しかし、通貨供給量の増大だけでは実際にインフレは発生しないケースがほとんどだ。2%のインフレを目標にして通貨供給量を増大させたアベノミクスがよい例だろう。2%のインフレ目標はついに実現できなかった。

インフレの昂進の原因となるのは、供給をはるかに上回る需要の存在である。需給ギャップがある状況で通貨供給量を増加させると、インフレは加速する。

いまアメリカでは、国民への直接現金給付を含む大規模な経済政策やワクチン接種による行動規制の緩和などが背景となり、これまでコロナ禍で抑制されていた消費は一気に拡大している。これが急激な需要の増大になり、かねてからの通貨供給量の増大とあいまってインフレを引き起こしている状況だ。

インフレを招いた「住宅の需要増大」
そうしたなかでも、インフレのけん引役のひとつとみなされているのが、特に郊外の住宅に対する需要の大きな増大だ。いま住宅は飛ぶように売れている。

以下のような要因がその原因として指摘されている。

1)リモートワークの普及により進む郊外移転
2)住宅ローンの金利低下
3)ミレニアル世代の持ち家需要の増大
4)戸建ての慢性的な供給不足

新型コロナウイルスのパンデミックの行動規制によってリモートワークが一般的になったところに、かねてからの金融緩和策によって住宅ローン金利が低下したため、特に30代のミレニアル世代を中心に条件のよい郊外の戸建ての需要が高まったということだ。もちろん、国民の直接現金給付なども含むバイデン政権の経済政策も住宅の購買を後押しした。

そして、一度住宅価格が上昇すると、投資のための需要も活発になるため、さらに住宅価格が上昇するという循環になった。

こうした住宅市場の活性化は、材木などの原材料の価格の大幅なインフレを引き起こしている。特にインフレ幅が大きいのは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で需要が大きく落ち込んだため、供給量を減らしていた材木の価格高騰である。特に需給が逼迫している南部テネシー州のような地域では、なんと3倍にもなっている。

これは材木だけではない。住宅建設は、周辺産業の多い裾野の広い分野である。住宅に関連したあらゆる産業で需要が増加するので、住宅建設は製品価格を押し上げる、いわばインフレのけん引役にもなっている。

住宅価格高騰の暗い背景
もし、住宅価格の高騰が上で示したような原因でもたらされているのであれば、それは健全なことだ。

新型コロナウイルスのパンデミックで加速したリモートワークは、住宅需要を増大させ、経済成長にプラスの効果をもたらしたと楽観的に解釈できる。

パンデミックが終わってもリモートワークは定着するので、バイデン政権の経済対策と低金利政策に後押しされ、アメリカの力強い経済成長をけん引するこという見方だ。

しかし、調べて見ると、そんな単純なものではないことが見えてくる。実は住宅価格高騰の背景には、「アメリカの一層の分断と混乱」を示す状況が背景にあるのである。

社会を混乱させる悪循環
アメリカは、2020年5月にミネソタ州、ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警察官によって殺害されてから、全米5,000カ所で人種差別の撤廃を要求する「BLM」運動が、燎原の火のごとく盛り上がった。過激な極左の「アンティファ」などの扇動で、激しい暴力的な抗議も各地で行われた。

それに、トランプの熱烈な支持者である白人至上主義者などとの激しい衝突が頻繁に起こった。ポートランド、シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ミネアポリスなどの大都市の中心部は騒然とした状況に陥った。

警察官は憎しみの対象となり、殺害されたり暴力を奮われた。また多くの都市で警察予算が削減された。

その結果、警察官の退職や警察署の規模が縮小され、都市の治安が悪化した。どの主要都市でも殺人や強盗などの犯罪件数は極端に増加し、非常に危険な状態になった。

これに対処するため、多くの市民は銃を購入し、銃の販売は一気に増加した。

そして、かねてから拡大していたリモートワークが追い風となり、都市の中心部の高価なアパートや住宅から、人々が治安のよい周辺の州の郊外に戸建てを購入し、移動したのである。この結果、大都市中心部の地価は下落し、郊外の地価が急上昇するといった逆転現象が見られるようになった。

一方、人口が減少した都市の税収は大幅に減った。これが背景となり、警察予算がさらに削減された結果、治安が一層悪化するという悪循環になった。

住宅価格高騰といまも続く悪循環
これは2020年の状況である。この光景を主要メディアなどを通して目にした我々は、アメリカの分断の深刻さを思い知った気分になった。

その分断の象徴として起こったのが、今年の1月6日に発生した米連邦議会議事堂への侵入事件であった。

【関連】トランプ支持派の報道されぬ末路とは?議会侵入者は全員逮捕、テロリスト指定で徹底排除へ=高島康司
https://www.mag2.com/p/money/1037485

いまバイデン政権に変わり、巨額の経済政策とワクチン接種の拡大を背景にして、急速な経済回復が進んでいる。アメリカは元に戻りつつあるような印象を受ける。そのため、今年の1月まで続いていたアメリカ国内の騒然とした状況を我々は忘れがちになる。もうこれは、トランプ政権時代の過去の出来事のような印象を持つ。

しかしながら、実は社会の存続さえ脅かしかねないこの悪循環はいまも続いている。ただ報道されなくなっただけなのだ。

最近FBIが公表したデータでは、全米37の主要都市で、昨年の3月よりも殺人件数は平均で20%も増加していた。

また銃の販売数も、分断と混乱が拡大した昨年を上回っている。ほとんどのアメリカの州では、銃を購入する場合、購入者の身元が確認される。この確認を担当するのは全米のFBIの支局である。銃砲店から送られる身元確認の件数から、銃の販売数をおおよそ予測できる。今年の2月の身元確認要求を前年同月比で見ると、23%も増加している。市民は護身用の銃の購入に、いまだに殺到しているのだ。


そして、銃を購入している人々を見ると、アメリカが荒れた昨年と同じような傾向があるという。これまで銃などはまったく手にしたこともない主婦やOL、また普通のサラリーマンのような人々が銃を購入している。

やはりこれは、バイデン政権になってもアメリカの都市部の治安悪化は継続し、先に記した悪循環がまだ存在していることを示唆している。

治安悪化の都市脱出を示す住宅価格高騰
もちろん住宅価格高騰とそれがけん引するインフレは、バイデン政権の経済政策とワクチン接種による行動制限解除の効果があることは間違いない。

しかし、それだけではないことも確かだ。住宅価格高騰の背景には、アメリカの分断を背景とした都市部の治安悪化がある。

このアメリカのきわどい状況は、高い経済成長によって見えにくくなっている。経済成長が予測通りに続くなら、国内のこうした矛盾もある程度抑制されるだろう。

しかし反対に、ワクチンの効果が限定的な変異種の蔓延による新たな感染拡大が起こるなら、住宅価格の高騰が象徴する分断と矛盾も再燃するはずだ。

2020年の状況に逆戻りするか、もっと悪化するかもしれない。

暗号資産とゴールドの上昇
さて、このように見ると、いまアメリカで起こっているインフレは、アメリカ社会の基底部にまだ存在している社会不安の根深さを現している。

このインフレは通貨供給量の増大と需給ギャップだけが原因で発生しているものではない。通貨価値が下落するインフレでは、現物資産に人気が集まり高騰する。だが、さらに背後に将来的な社会不安の可能性があると、現物資産への資金の移動が一層進むのかも知れない。

いまあらゆる暗号資産が高騰しているが、その背景にもこうした事情がありそうだ。

18. 中川隆[-5799] koaQ7Jey 2021年4月12日 14:09:28 : F28bjgJ4Vg : aHFqN2tuN21FdDY=[24] 報告
量的緩和で上がらなかった物価が現金給付で高騰する理由
2021年4月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296


2008年のリーマンショック以後、アメリカや日本などの先進国は紙幣を印刷する量的緩和政策を行なってきた。紙幣印刷を乱用すればインフレが起こるという懸念があったが、実際にはデフレ圧力は根強くインフレは起こらなかった。

現在、金融市場ではコロナ禍の現金給付などの財政政策で物価高騰が懸念されている。お金をばら撒けばインフレになるだろうということである。

金融市場で取引される貴金属や穀物などのコモディティ価格は日用品の価格に先行して上がっており、インフレでコモディティが上がると踏んだファンドマネージャーらの資金がコモディティ市場に向かっているのは明らかである。例えば以下は銅価格のチャートである。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-11-copper-chart.png

以下は大豆価格のチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-11-soybean-chart.png


機関投資家の資金が入っていることが見て取れる。価格はかなり上がっているが、バイデン政権のインフラ投資がこれから行われることを考えても、そうしたインフレ予想が正しければこれらのコモディティバブルはまだまだ中盤ということになるだろう。

本当にインフレは来るのか?

一方で物価上昇予想に対する疑念の声もあるだろう。これまでいくら紙幣を刷ってもインフレにはならなかったからである。「今回は違う」と言うことが出来るのだろうか? しかしインフレ予想に限っては今回は違うということを数字で示すことが出来るのである。

それはマネーサプライである。マネーサプライとは中央銀行が発行した現金(紙幣と硬貨)に銀行に預けられている預金を足したものであり、つまり「世の中にどれだけお金があるか」を示している。

これは量的緩和で増加するマネタリーベースとは違う。マネタリーベースは現金に市中の銀行が中央銀行に預けている預金を足したものであり、これは消費者や企業の持つ口座にある預金とは異なる。

量的緩和では中央銀行が銀行の持つ国債を買うことで現金と入れ替え、銀行の持つ現金の量(マネタリーベース)を増やす。

しかし銀行がいくらお金を持っていようとも、消費者や企業の銀行口座に入っていなければそのお金は使われることがない。銀行はこれを人や企業に貸し出すことでマネタリーベースはマネーサプライになるのである。

つまり、マネタリーベース(銀行の持っているお金)が増えようともマネーサプライ(消費者や企業が持っているお金)が増えなければインフレにはならない。リーマンショック以後の金融緩和ではマネーサプライは大して増えなかった。では今はどうなっているだろうか? アメリカのマネーサプライの増加率(前年同月比)のチャートは次のようになっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-money-stock-growth-chart.png


最新3月のマネーサプライは前年同月に比べて25%以上の増加となっており、これは過去30年に遡っても比べられる時期の存在しない増加スピードである。

何故そうなったか。トランプ氏とバイデン氏が立て続けに国民の銀行口座に直接お金を注入したからである。量的緩和と現金給付はマネタリーベースとマネーサプライのどちらを増やすのかという意味でマクロ経済学的に大きく異なる。

それが筆者が「今回は違う」「物価高騰が起こる」と考えている根拠である。このマネーサプライのチャートは長年マクロ経済学をやってきた人間からすると仰天のチャートなのだが、それが分かってもらえるだろうか。パウエル議長はそれがどれだけ分かっているだろうか。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500

結論

ということで筆者も著名ファンドマネージャーらもコモディティに大きく投資している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

ガントラック氏: ドルは下落へ、コモディティは買い、ジャンク債は売り
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7051

貴金属や穀物は実は日本の個人投資家でも買える。その方法については以下の記事で解説している。

インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900

コモディティはどれも大分上がっているが、コモディティバブルはまだ中盤だと筆者は見ている。ここ1ヶ月ほど横ばいになっているのはインフレ懸念で金利が上がってきたからである。しかしインフレ懸念による金利上昇とコモディティ価格の低迷が長期的に両立することはないだろう。

そして一番上がるのは何よりビットコインである。ビットコインもコモディティであり、最近の金利上昇もものともせずに上がり続けている。ビットコイン相場の今後の推移については以下の記事を参考にしてもらいたい。

ビットコイン価格高騰の理由と今後の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13194

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296

19. 中川隆[-5735] koaQ7Jey 2021年4月14日 13:17:33 : FQrGsP3YVY : VUVVL3ZhT3JrRms=[17] 報告
現金給付でも日本がインフレにならない理由
2021年4月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13311


前回の記事ではアメリカで現金給付が物価高騰を引き起こし始めている理由について説明した。

量的緩和で上がらなかった物価が現金給付で高騰する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13296


しかし同じく現金給付のあった日本では現状ではアメリカほどのインフレは始まっていない。今回の記事ではその違いについて説明したい。

コロナ禍の現金給付

2020年、コロナ禍における緊急事態宣言を受け、日本政府は1人あたり一律10万円の現金給付を決定した。その総額はおよそ13兆円となった。

日本政府にはお金がないため、この予算は国債を発行して賄われ、その国債は日銀が量的緩和によって引き受けている状態である。

つまり、アメリカも同じだが、この現金給付は実質的には中央銀行が紙幣を刷って国民に配ったということになる。こうした政策を行なった場合に一般に懸念されるのが物価上昇、つまりインフレである。しかし日本経済には今のところ大きなインフレの兆候は見られない。消費者物価指数は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-jan-japan-cpi-chart.png


今のところは2020年に入ってからコロナの影響で下落トレンドに入っており、現金給付の影響は確認できないように見える。チャートを見て分かるように今年に入ってからは少し跳ね上がっており、その後のデータを待ちたいが、少なくともアメリカのように明らかなインフレにはまだなっていない。


2月の米国インフレ率は4.3%、追加現金給付で更に加速へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12880

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13098

インフレにならない日本

この違いは何だろうか。1つには現金給付の金額とやり方だろう。日本では1人あたり10万円が配られた一方、アメリカではトランプ政権が1,200ドル(13万円)、バイデン政権が1,400ドル(15万円)と2年連続の給付となっている。

しかもトランプ政権においては現金給付だけではなく、失業保険にも現金給付に匹敵する金額を振り分けた結果、働くよりも失業して失業保険をもらった方が儲かるとも言われたほどであり、総合して考えると日本とはそもそも給付の金額が違うということになる。

では日本国民の預金は現金給付で実際どれくらい増えたのだろうか。現金(紙幣と硬貨)と預金の合計であるマネーサプライの上昇率(前年同月比)は次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-jan-japan-money-stock-growth-chart.png


前年比で14%の伸びとなっており、増加しているのは事実である。しかし前回の記事で取り上げたアメリカのデータと比べればどうだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-money-stock-growth-chart.png


アメリカでは25%以上もの伸びとなっており、日本とは比較にならない。

日本ではアメリカほどインフレにならないのも当然である。そしてこれは、日本はアメリカほどお金を刷っていないので、円の価値はドルほど毀損していないということにもなる。アメリカの金利が上がってもドル円がそれほどドル高に振れなくなっている一因はそれだろう。近年ドル円はめっきり上がらなくなっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-13-usdjpy-chart.png


平均的には裕福な日本

また、デフレの原因の1つには日本はアメリカほど貧富の差が激しくないこともあるだろう。例えば貯金がほとんどない人に10万円を渡した場合にはその人は少なくとも数万は使う可能性が高いだろうが、1億円持っている人に10万円を渡したとしてもその人の消費行動にはほとんど影響を与えないだろう。

つまり、貧乏な人が多い国ほど現金給付でインフレになる可能性が高いと言える。アメリカ人は実際にはほとんど預金を持っていない。お金を持っているのは極一部の超富裕層である。そういう意味でアメリカではやはりインフレになりやすく、それはドルが下落しやすいという意味でもある。Bridgewaterのレイ・ダリオ氏などがドル下落をしきりに懸念しているのはそういう理由なのである。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


一方で日本人は給付された現金をアメリカ人ほどは使っていない。それらのお金は単に日本人の預金に追加され、国債で賄われたその資金は後で消費税増税などのやり方で回収されることになるのである。

国の借金を軽く考えている日本国民は多いが、消費税は恐らく20%までは軽く上がるだろう。そして10万円のつけを何倍にも返すことになる。本当にGO TOトラベルや東京オリンピックに自分の金が使われている現状は良いのだろうか? もう少ししっかり考えてもらいたいものである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13311

20. 中川隆[-5686] koaQ7Jey 2021年4月15日 15:52:19 : 2WCnPZKA5U : aFYyNHFXQVpEVEk=[24] 報告
 10年前に比べて実感として2倍になっている食品価格
2021年04月15日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1464.html


 とにかく、食品が高い。生鮮野菜が高い。肉が高い。スーパーに行って店頭の価格表示を見ただけでげんなりして、とても手が出ない。
 私のような超低年金老人は、エンゲル係数が50%程度はあるので、スーパーに行くのは、値引き売り尽くしサービスが始まる17時以降に限られてくる。

 とにかく、安い食品を探して鵜の目鷹の目で陳列棚を漁る。買うのは割引表示のある消費期限が近いものばかり。アジの干物が大好物なのだが、私の買う半額干物は、生臭くて美味しくない。
 結局、何を食べているかというと、ドラッグストア(当地ではバロードラッグ)で売ってる18円のうどんと焼きそばばかりだ。バロー白だしで味をつけて、切り落としベーコンとカット野菜を入れて食べる。毎回毎回同じメニューで飽きたわい。

 野菜も高いので、バロードラッグでカット野菜の売れ残り値引き品ばかり買っている。春になれば、畑を耕して、苗を植え付け、なるべく自給自足にする。
 今年植え付けたものは、大根・トマト・茄子・キュウリ・蕪・ネギというところ。だが何よりも、肥料がめちゃくちゃ上がった。中袋500円だった油かすが二倍の1000円になっている。だから、使いたくないが安い化成肥料を使うことにした。

 この時期は、まだ凍結・遅霜が五月まで続くので、屋根のない場所に置いたら一発アウト、だからベランダの屋根の下で大きめのプランターで育てるしかない。
 種やら支柱やら、肥料やら、いろいろ金がかかって決して経済的なわけではないが、安心できる食材ということだ。

 コンポストを使いたいが、うちはカラスや野生動物に狙われて、発酵する前にむちゃくちゃ荒らされる。鶏糞は鳥インフルエンザ以来、石灰の量が増えて、酸性を好む芋類ができなくなる。
 畑の野菜も、アライグマに荒らされるので、まともな収量は期待できない。アライグマは知能が高いので、獣害対策など平気ですり抜けてくるのだ。
 野ネズミも凄い数がいて、芋類を荒らしまくる。
 
食料品が高くなり始めたのは、たぶん昨年の春頃からだ。一説によればコロナ禍の影響ともいわれるが、たぶん違う。これは世界的な蝗害と、中国の食料不足が影響を及ぼしているのだ。
 現在、主要食料としては、小麦粉が1割ほど値上げされている。米はあまり上がっていない。トウモロコシは、消費者レベルでは分かりにくいが、畜産飼料としては深刻な状態だといわれる。

 食料価格推移をネット上で調べているが、分かりやすい資料が少ない。2021年度データが含まれているのは以下くらいしかない。
 https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20210215_1

syokuryou001.jpg


 上の解説をみると、中国が大規模に食料買い付けに走っている事情が見える。
 結局、食料品価格の上昇の大元には、昨年の蝗害と、中国の大水害による不作がありそうだと見えてくる。
 上のグラフは、残念ながら、都市の街角での食料品価格を反映しているようには見えないが、今年2021年は2006年のちょうど二倍に達していることが分かる。

 もっと直接的な日清製粉の小麦粉価格を見てみよう。
 https://kona-mon.com/%E6%9C%80%E8%BF%91%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E7%89%A9%E4%BE%A1%E3%81%AE%E6%8E%A8%E7%A7%BB/

 syokuryou002.jpg

上のグラフは、2013年、キロ225円だった小麦粉が、2018年255円に上昇したことを示す。
 以下は、2020年データを含むGDFREAKのグラフ。
 https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050006070101020/3
syokuryouhin003.jpg

 上の小麦粉指数では、2006年77程度だったものが、2020年には、111まで上昇している。これは過去最大の上昇であると書かれていて、やはり原因が中国の食料危機にあることを示している。
 メディアは、このことを、ほとんど報道していないが、実際には、昨年の蝗害と大水害の影響が、我々の食料価格に深刻に反映されているのだ。
 なぜ、メディアは伝えないのか?

 こうして調べてゆくと、昨年春から上昇が続く食料価格が、簡単には終わりそうもないとわかり、今年、再び、蝗害と中国大水害が続くなら、日本列島もとんでもない事態になる可能性を考えなければならない。食料危機が始まっているのだ!

 モス、串カツ田中、丸亀が「一斉値上げ」…ウラにある「世界の物資争奪戦」のヤバい実態 2021年4月14日(現代ビジネス)
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82211

 日本ではデフレが続いていると喧伝されており、物価は下がっているとイメージしていた人も多い。だが生活必需品は一貫して値上げが続いており、事業者側はそれを悟られないよう価格を据え置いて内容量を減らす、いわゆるステルス値上げを行ってきた。

 だが、こうした小手先の対応も今年あたりで限界となる可能性が高い。世界経済はコロナ危機と米中デカップリングが重なり、サプライチェーンが混乱あるいは縮小しており、物資の争奪戦となっている。資材価格や食料価格が急騰しており、いずれ最終製品に転嫁される可能性が高まっている。

 始まった物資の争奪戦

 今年の4月から小売店や外食などで商品やサービスの値上げが相次いでいる。ファストフードのモスバーガーが主力商品を20〜30円値上したほか、居酒屋の串カツ田中も全商品の9割について平均10円程度の値上げを実施。丸亀製麺も「かけうどん(並)」や「ぶっかけうどん(並)を300円から320円に改定するなど一部商品の値上げを行った。

 4月は消費税の総額表示義務化のタイミングと重なっており、これが価格改定のきっかけとなっているのは間違いない。だが、値上げの根本的な原因は表示の問題ではなく、全世界的な原材料価格の高騰である。

 小売店で売られる食品も価格が上がっている。食用油などを製造する昭和産業は、消費者向けのサラダ油ハンディやキャノーラ油を3月に値上げしたが、6月にも値上げキロあたり30円の値上げを行う。日清オイリオグループ、J−オイルミルズも4月に続いて6月の再値上げを決めている。

 今のところ最終商品の価格には反映されていないが、砂糖は卸価格が上昇中であり、小麦粉については政府の売り渡し価格が4月から5.5%引き上げられた。小麦は国内生産者保護のため基本的に政府が買い付けているが、2007年以降、政府の売り渡し価格は市場価格に連動する仕組みになっているので、このまま上昇が続くとパンなどにも影響が出てくるだろう。

 コロナ危機で不景気が続いているので、食品価格の上昇について疑問を持つ読者の方もいると思うが、実はコロナ危機こそが食品価格上昇の元凶となっている。

 新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、全世界的に物流網に混乱が生じており、コンテナ船の運賃は下がるどころか逆に跳ね上がった。航空機も便数が減った分、搭載できる貨物の量が減っており、必要な量の物資を運べないという状況が続いている。このため航空貨物の運賃も上がる一方である。

 一方で、日本を除く先進各国ではワクチン接種が順調に進んでいることから、各企業はすでにコロナ後の景気回復を見込んで、商材の確保に躍起となっている。物流が混乱しているところに、コロナ後を見据えた物資の争奪戦が加わっているので、食料を中心に世界のコモディティ価格が跳ね上がっているのだ。

 国連食糧農業機関(FAO)が産出する世界食料価格指数は、2月時点で116を突破しており、コロナ前をはるかに上回っている。食料だけでなく、半導体や金属類など物資の争奪戦が始まっており、あらゆる資材の価格が急上昇している。

 トランプ政権がもたらした「中国の台頭」

 しかも、困ったことにこの動きは一時的なものではない可能性が高まっている。その理由は、トランプ政権が始めた米中分離(デカップリング)政策である。

 トランプ政権は中国からの輸入に高関税をかけて、中国からの輸入を制限した。その結果、中国は東南アジアとの貿易を拡大させ、米中の経済的関係が急速に希薄化した。これまで、米国が中国からの輸入を制限することは、中国にとって最大の脅威だったが、実際に米国が関税をかけても、思った程、中国の経済は悪化しなかった。このため、中国は米国の通商政策を恐れる必要がなくなり、米国に対して強気に出るようになってしまった。

 3月にアラスカで行われた米中会談では、冒頭から激しい議論の応酬となったが、ここまで中国側が強気のスタンスを見せたことはなかった。米国側はトランプ政権が関税カードを使い切ってしまったため、十分な交渉カードを持っていない。

 バイデン政権は人権問題を前面に出して争う構えだが、中国側から譲歩を引き出すのは容易ではないだろう。実際、ウイグル問題で東南アジア各国は、制裁を強く主張する米国には同調しない方針を明確にしつつある(困った事に米国に同調しない国の中には日本も含まれている)。

 このまま米中分離(および東南アジアと中国の一体化)が進んだ場合、世界経済は米中欧という3つの大国を核にブロック化が進むことになる。ブロック経済下においては、近隣諸国との貿易比率が高まるのは確実なので、従来のような全世界的なサプライチェーンは縮小する。

 サプライチェーンが縮小すると、遠距離の輸送コストは上昇し、仮に遠隔地から買う方が価格安い場合でも、輸送コストの関係から採算が合わないケースが出てくる。結局は多少、コストが高くても、近くの経済圏から調達する割合が高くなるので、これは価格上昇要因となる。

 脱炭素で逆に原油価格が上昇する

 コスト上昇要因はそれだけではない。このところ電気料金やガス料金など光熱費も値上げが続いているのだが、これもコロナ後の景気回復期待から原油価格が上昇した影響が大きい。だが景気回復期待が一服すれば、原油価格は下がるのかというと、そうはいかないというのが市場関係者の一般的な見方だ。

 その理由は、今後、脱炭素シフトが進むことで石油の需要減少が見込まれることから、産油国が収益を維持するため、価格を引き上げる可能性が高いからである。

 現時点においても、産油国が増産を決断すれば原油価格は下がる可能性が高いが、産油国は減産維持で一致している。脱炭素で原油の消費量が減っていくのは確実なので、産油国は需要の低下に合わせて価格を高めに誘導していくだろう。

 再生可能エネルギーの発電コストは、すでに火力の半分以下となっており、脱炭素シフトが順調に進めば、長期的にはエネルギー価格は低下が予想される。だが、これは10年〜20年というスパンの話であり、近いタームでは、産業界は値上がりした原油価格に大きな影響を受けてしまう。

 つまり、資材価格、食料品価格、エネルギー価格のいずれも上昇が続いており、世界経済の構造転換によってそれが恒常化する可能性が高まっているのだ。

 実は海外では日本ほど露骨にステルス値上げが行われるケースは少なく、原材料コストが上昇した場合には、そのまま製品価格に転嫁されることが多い。日本でステルス値上げが横行しているのは、日本経済の貧困化によって消費者の購買力が著しく低下しており、価格を上げると販売数量が激減してしまうからである。

 だが、事業者がステルス値上げで対処するにしても物事には限度というものがある。ここまで各種コストが上昇してしまうと、製品価格に転嫁できなければ、企業は利益を維持出来なくなる。筆者は、これまで継続してきたステルス値上げは今年あたりで終了になると予想している。今後、仕入れコストの上昇に直面した事業者は、いよいよ最終製品に価格を転嫁していくことになるだろう。

 どういうわけか、ネット上では「日本はデフレだ」と声高に主張する意見が多い。だが、消費者物価指数はほぼ毎年のように上昇しているし(繰り返すが、上昇率が鈍いだけで、絶対値は確実に上がっている)、何より日常的な買い物をしていれば、値上げが続いていることは一目瞭然である。

 筆者は「この人たちはスーパーに買い物に行かないのだろうか」といつも不思議に思っているのだが、いくらデフレだと叫んだところで、名目価格が露骨に上昇すれば、さすがに物価が上がっていることに気付くはずだ。公務員など特別な環境にいる人を除いて、多くの労働者の賃金は大幅に下がっているので、ほとんどの人にとって、生活はますます苦しくなる。
********************************************************
 引用以上

 上で語られていることを要約すると
 @ 昨春から始まった食料品値上げブームは、これまで価格を上げずに内容量を減らすステルス値上げで行われてきたが、すでに限界に達していて、これからは実質的値上げに転嫁される。

 A 現在、食用油・砂糖・小麦粉の値上げが予定されているので、食パン値上げが避けられない。

 B コロナ危機が物流停滞、輸送費上昇を招いている。

 C ワクチン普及後の経済回復を視野に入れて、物資争奪戦が始まっている。

 D トランプ政権の中国孤立化政策のため、逆に中国の台頭を許している。

 E このままでは、米中対立は、世界ブロック閉鎖経済を生み出す。

 F 全世界的サプライチェーンは縮小し、グローバルスタンダードは後退する。

 G 「脱炭素」政策で、石油需要が減少することで、投機筋は市場縮小を前提に、石油価格を上げてくるので、これも食料価格を押し上げる。

 H 日本はデフレではない。すべての価格が上がるスタッグフレーションに移行する。

だいたい、こんなところだが、昨年の巨大な蝗害被害や中国大水害に触れていない。
 実は、蝗害は1年だけの突発はなく、最低でも3年続くといわれているので、今年もまた昨年並みの蝗害が起きる可能性が強い。
 中国大水害も、本当の原因は、中国がインドに渇水不作をもたらすため、ヒマラヤ山麓(チベット高原)に数万カ所のヨウ化銀射出装置を設置したことで、降雨が「東亜三角弧」=長江流域のような特異地形に集中したせいと言われている。

 中国は、ヨウ化銀人工降雨政策をやめていないので、今年も、大水害が繰り返される可能性が強い。
 
長江大洪水と天河計画 2020年07月28日
 https://f2.proxypy.org/o/6c6d74682e393931312d7972746e652d676f6c622f6d6f632e3263662e3936676f6c622e616d6169616b6f742f2f3a70747468

 もしも、昨年と同じような農業被害が生じるなら、今年の食料危機は半端なものにならない可能性がある。
 あらゆる食品の大規模な値上げが避けられなくなり、本当の品不足も生じるだろう。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1464.html

21. 中川隆[-5555] koaQ7Jey 2021年4月18日 10:09:37 : cVvh3vnihc : SkQ4eVFEeU43Y0U=[35] 報告
米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
2021年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336


4月13日に最新の米国消費者物価指数(CPI)が発表され、3月のインフレ率は前月比年率で7.7%まで高騰したことが明らかになった。

物価上昇止まらず

前月の4.3%も十分に高かったが、これでコロナ禍の現金給付とインフラ投資がアメリカ経済に過剰な資金を流し込み、物価の高騰を招いていることが明確となった。ここでは去年から言い続けていることであり、投資家としては貴金属や穀物などのコモディティへの投資を当然継続ということになる。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11801


まずはインフレ率のチャートを掲載しよう。過去10年間のインフレ率(前月比年率)を掲載するが、7.7%という数字は過去10年間で最高である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-mar-us-cpi-growth-chart.png


しかし前月の時も書いた通り、本当に考えるべきは数字自体ではない。この物価高騰の裏にあるのがトランプ政権とバイデン政権の巨額の財政支出であるということであり、バイデン政権のインフラ投資はこれから行われてインフレ率を更に押し上げることになる。アメリカ政府は完全にやり過ぎたのである。


今後の金融政策と金融市場

ではこれから相場はどうなるか? 現時点ではインフレを懸念していないと主張しているFed(連邦準備制度)のパウエル議長もそろそろインフレが冗談では済まなくなりつつあることに気付くかもしれない。筆者は2月の時点で指摘しておいたが、彼はいつも後になってからでなければ気付かない。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避 (2021/2/24)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12500


恐らくはFedは今年の後半にかけて金融引き締めの可能性を恐る恐る示唆し始めるだろう。2018年にはパウエル議長はインフレ率が上がっていないにもかかわらず引き締めを強行して株価暴落を引き起こした。当時のことは以下の記事に纏めてある。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7959


当時の株価暴落は結局パウエル議長が引き締めを取り下げたことで解決した。逆に言えば引き締めを容易に取り下げられたからこそ当時の株価暴落は止まった。しかし今回は違う。引き締めを行わなければインフレ率はどんどん上がっていくだろう。

ずっと言い続けていることだが、中央銀行は今年の後半には金融引き締めを行なって株価を下落させるか、引き締めを行わずに物価高騰が止まらないかの二択を選ばなければならなくなるだろう。ここまで順調に来ている株式市場もそろそろレイ・ダリオ氏の懸念が実現してしまうタイミングに近づいてきたということである。

世界最大のヘッジファンド: 2021年、株高は続かない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12032


コモディティは上昇再開

しかしまだもう少しの時間の猶予はあるだろう。金利上昇が一服したこともあり、かねてより推奨しているコモディティ価格も再上昇を開始している。

まずはコモディティバブル銘柄筆頭の銅価格チャートを掲載する

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-copper-chart.png


銅相場はコロナの影響が少ない中国経済の好調に助けられており、金利上昇懸念で数ヶ月の間は停滞していたが、やや上向きに再始動を始めた。しかしやはり筆頭よりは出遅れに注目したい。当面の間停滞していた金相場が再び動き始めている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-gold-chart.png


金についてはソロスファンドのCIO(最高投資責任者)がビットコインに需要を取られているという見方を表明していた。

ジョージ・ソロス氏、暗号通貨インフラに投資
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13062


しかしインフレになって金相場だけが上がらないということは考えづらいだろう。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏もいずれ需要は金に戻ってくると述べていた。3月前半の記事なので金相場の底をきっちり当てた主張となっており、流石はガンドラック氏と言うべきだろう。

ガンドラック氏の金価格推移予想: 政府債務はインフレで返済へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12846


穀物で調子が良いのはコーンだろうか。数ヶ月横ばいにはなっていたが、ほぼ下がることなく上昇トレンドを継続している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-corn-chart.png


そして今年の初めから推し続けているビットコインは怒涛の勢いで上がっている。今年はこれだけで他の仕事をしなくても良いくらいである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/04/2021-4-17-btcusd-chart.png


ビットコインもまた通貨でなければコモディティの一種である。これだけ上がってもマイナード氏の目標価格まではまだ10倍の上昇余地がある。

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175


また、最近上場した暗号通貨取引所のCoinbase Globalに投資をするという選択肢もある。紹介記事の時点から少し上がってしまったが、まだまだ割安である。

暗号通貨取引所のCoinbase上場、規制リスクを除けば株価は非常に割安
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13328


いつものことだが、中央銀行が何かを甘く見ている間はトレンドは続く。コモディティバブルはまだまだ半ばを過ぎた辺りであり、終盤ではない。中央銀行はすべてが手遅れになってからようやく動き始めるだろう。投資家は中央銀行で遊ぶのが仕事のようである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336

22. 中川隆[-5048] koaQ7Jey 2021年5月04日 05:23:18 : 6g3hl1MK3s : ZGxQcUswWnJzNVk=[9] 報告
第1四半期米国GDPは加速、コロナ前の水準を超えて上昇する個人消費の理由
2021年5月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13456


2021年1-3月期の米国のGDP統計が発表され、実質経済成長率が前期比年率で6.4%となったことが分かった。前期の4.3%から更に加速している。アメリカのGDPは少なくとも数字の上ではコロナ禍による去年の落ち込みから急速に回復しているようである。

GDPで経済を計測する限り、米国経済は全国的ロックダウンのあった去年のダメージから順調に回復しているように見える。事実、実質GDPはコロナ前の水準まで戻りそうな勢いである。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-gdp-chart.png


コロナは依然として世界中で流行している。しかしアメリカのGDPは回復しているようである。それはどういうことなのだろうか。通常ニュースではGDPそのものの数字しか報じていないが、GDPは内訳を眺めて初めてその意味が分かる。そして何故こういう数字になったのかが分からなければ、今後どうなるかも分からないのである。


GDP回復の理由

ということでGDPの構成要素を見てゆこう。まずは実質個人消費である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-personal-consumption-expenditures-chart.png


個人消費は実は既にコロナ前の水準を超えて上昇している。その理由は実体経済の回復ではない。トランプ政権とバイデン政権が2年連続で大規模な現金給付を行なったからである。振り込まれた現金を使ってアメリカ国民は消費をしている。

次に投資を眺めてみよう。個人消費との対比が面白い。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-1q-us-real-gross-private-domestic-investment-chart.png


投資もかなり回復しているが、この第1四半期はマイナス成長となった。理由は明らかに長期金利の上昇だろう。アメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-3-us-10-year-treasury-yield-chart.png

新型コロナによる景気後退と中央銀行の金融緩和でアメリカの金利は一旦急落した。一時はそれが株式市場と実体経済を支えていた。しかしGDPが回復するにつれて金利もほぼ元の水準に戻っている。

長期金利は企業の投資のための貸出金利などを通じて実体経済に影響を与える。金利が高いということは企業がお金を借りにくいということである。

投資が今回マイナス成長になったのは金利高の影響が大きいだろう。金利がこの水準で留まるか更に上昇する場合、企業投資はしばらく足踏みする可能性が高い。

一方で個人消費も自動車ローンなどを通じて金利の影響を受けるのだが、現状では現金給付の威力が勝っているということである。

ここまで話せばアメリカ経済がどういう状況かよく分かるだろう。低金利のサポートもない今、アメリカ経済は現金給付などの財政支出でもっている。GDPの数字の上では好調に見えるアメリカ経済も、2年続いている莫大な財政支出の薬が切れれば立ちどころに弱り始めるだろう。

迫りくるインフレ

そこでインフレが問題になるのである。経済成長を今の水準に保とうと思えば財政支出の水準を維持しなければならない。だが現在の財政赤字はGDPの15%近くに達している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2020-us-budget-surplus-to-gdp-chart.png


リーマンショックの頃の財政赤字さえ小さく見えるほどの赤字幅である。この水準の財政赤字を続けてお金をばら撒き続けると当たり前のことだがインフレになる。アメリカでは物価高騰が既に始まっている。

米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13336


そこで米国政府は選択を迫られる。経済成長を維持するためにこの規模の赤字を垂れ流し続けて物価高騰が止まらなくなるか、インフレを止めるために財政赤字を縮小して経済成長を諦めるかである。

結論

どちらにしても実体経済には良いことにはならない。だから債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は財政出動に反対したのである。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


しかし彼の忠告を誰も聞かなかった。ファンドマネージャーは金の亡者のように言われることもあるが、本当に金の亡者なのは政治家と、財政出動を支持する全有権者である。

経済学者ハイエク氏はインフレ主義に科学的根拠などないと何十年も前に主張した。しかし誰も耳を貸そうとはしなかった。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


誰も正しい主張など求めていないのである。求められているのは耳障りの良い主張と自分に都合の良い主張である。それはアメリカでも日本でも変わらない。自民党支持者は給与所得の半分以上を五輪のための税金と返ってこない社会保険に持って行かれて幸せを感じる自虐趣味者ばかりなのである。

他の国民が愚かでも投資家は自衛をすることが出来る。それで皆、コモディティに賭けているのである。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182

ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12322

インフレ相場で個人投資家でもコモディティに投資する方法
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12900


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13456

23. 中川隆[-4874] koaQ7Jey 2021年5月11日 13:59:29 : yXfuG4Z41k : bHRLOVJvWU0vWGs=[23] 報告
アメリカの現金給付の威力を確認する
2021年5月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521#more-13521


コロナ禍における経済対策の一環として日本では2020年に10万円の現金給付が行われたが、アメリカではトランプ政権時に2回、バイデン政権時に1回、合計3回の現金給付が行われている。

1度目はアメリカで全国的ロックダウンのあった2020年3月に1人あたり最大1,200ドル(約12万円)、同年12月に追加の最大600ドル、そして新政権に代わった今年の3月に最大1,400ドルが配られた。

日本の10万円に対してアメリカの現金給付の合計は最大3,200ドル(約32万円)であり、これらの資金はコロナでアメリカ経済に空いた穴を埋めるとともに物価高騰のきざしを生み出している。アメリカでは日用品や不動産の価格が上がり始めている。

米国の3月インフレ率が年率7.7%まで高騰、今年後半に株価下落の懸念
止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中
しかしインフレの要因は低金利など他にもあるだろう。そこで今回はアメリカ人に送られた現金がどのように実体経済に波及しているのかを経済指標から検証してみよう。

現金給付と経済指標

先ずアメリカ国民に現金が送られたことで当然ながらアメリカ国民の収入が増えた。以下はアメリカの実質個人可処分所得のグラフである。


2020年の4月、2021年の1月、同年の3月に所得が大きく増えていることが分かる。これが現金給付の影響である。

そして収入が増えれば消費も増える。以下は実質個人消費のグラフである。


グラフが細かいが今年の1月と3月に所得のチャートと同じ2つの山が出来ているのがお分かりだろうか。一方で全国的なロックダウンとなっていた2020年4月には、現金給付は使われず消費は落ち込んだままとなっている。送金された現金はその後使われたのだろう。

こうした観点から先日報じたアメリカのGDPを見ればその意味がもう少しよく分かるだろう。

第1四半期米国GDPは加速、コロナ前の水準を超えて上昇する個人消費の理由
2021年1-3月期のアメリカのGDPはかなり良い数字になったが、それはGDPの構成要素である個人消費が上記のように現金給付によって底上げされた要因が大きい。

このように経済の供給能力が変わっていないかむしろ下がったにもかかわらず、需要だけが無理矢理拡大された場合、当然ながらものの価格は上昇する。消費者物価指数の上昇率(前月比年率)をもう一度掲載しよう。


最新の3月のインフレ率は7.7%と10年来の高い数字となった。

今後の資金の流れ

このインフレ率は続くのだろうか? ヒントは貯蓄率の水準にある。


貯蓄率とは可処分所得の内どれだけが消費に使われず残されたかを示す数値である。2020年4月は現金が送られたにもかかわらずロックダウンで消費が出来なかったのだから、貯蓄率は高い。その数字は徐々に下がってきたがその後の2度の現金給付で1月と3月にまた上がっている。

そして2020年4月の現金給付の影響が収まった2020年後半においても貯蓄率の水準はコロナ以前よりもかなり高くなったままだった。

つまり、アメリカ国民はロックダウンの有無にかかわらずまだまだ消費を躊躇っているということである。コロナが終息するかどうかは分からないが、人々が状況に慣れてくるにつれてこれらの資金は実際に使われてゆくことになるだろう。つまり現金給付の影響はこれからだということである。

そして最後の問いはこれである。現金給付の効果が切れればインフレも収まるのか? その答えはイエスである。しかしアメリカ経済はそれに耐えられるだろうか。アメリカのGDPはほとんど現金給付でもっているのである。株価も現金給付でもっていると言ってもいい。

現金給付の効果が剥がれる頃には「コロナはまだ終息していない」の掛け声のもと、同じような経済対策が有権者から要求されるようになるだろう。現金給付は麻薬と同じで、依存すれば依存するほど止められなくなってゆくのである。止めてしまえば経済成長も株価も台無しになるだろう。

インフレは根深い問題である。有権者と政治家の共依存が強まるほどコモディティ価格は上がってゆく。投資家は別にそれで良いのだが、国民はそれで良いのだろうか。


ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521#more-13521

24. 中川隆[-4765] koaQ7Jey 2021年5月15日 16:34:08 : aAI8B5VOhA : aVNDSnNoSWkydVE=[19] 報告

ドラッケンミラー氏: 中央銀行はインフレで火遊びをしている
2021年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556

かつてジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたスタンレー・ドラッケンミラー氏がコロナ禍の量的緩和をやり過ぎだと批判している。CNBCによるインタビューをこの記事では取り上げたい。

コロナ禍とドラッケンミラー氏

昨年は多くのヘッジファンドマネージャーが株価の回復を予想できなかった。筆者も失敗した1人であり、ドラッケンミラー氏も同様である。

ドラッケンミラー氏: 量的緩和はコロナから株式市場を救えない、株のリスク・リワード比は過去最悪 (2020/5/13)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10768


今回のインタビューでドラッケンミラー氏はその失敗を率直に反省している。彼は次のように述べている。

去年の今頃、ある経済クラブで経済のV字回復はおとぎ話だと主張したが、それはどうしようもなく間違っていた。

去年の株価回復は政府による現金給付が個人消費を押し上げ、それが企業利益も潤して株価に還元された。現金給付の効果については以下の記事で詳しく説明している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


こうした背景を踏まえてドラッケンミラー氏は次のように続ける。

中央銀行と米国議会がやったことは理解できる。リスクとリワードの観点から言えばそれは正しい決断だったのだろう。

だがその後どうなったか。市場経済に注ぎ込まれた資金が過多となったためアメリカでは物価高騰が始まっている。そしてそれは株価をも圧迫し始めている。

グロース株急落の理由は止まらない期待インフレ率上昇
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13541


最古参の投資家の1人であるドラッケンミラー氏は当然これを心配している。資金が過多となって株価がバブルになるのも問題だが、資金過多で物価が高騰し市民が苦しむ上に株価も下がるとすれば、緩和政策に何の意味があるのだろうか。

ドラッケンミラー氏は次のように主張する。

状況が変われば彼らも変わらなければならない。状況はあれから劇的に変わっている。

去年の春、中央銀行はたった6週間の間に、2009年から2018年に行われた量的緩和の量を超える量的緩和を行なった。

それは劇的な量的緩和だった。ドラッケンミラー氏は本来、量的緩和政策には賛成していない。彼は先進国経済が低成長なのは量的緩和政策のせいだと考えている。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


しかしV字回復を読み間違えたドラッケンミラー氏は中央銀行が去年行なった措置を責めることはない。

はっきり言ってそのことに問題があるとは思っていない。去年、経済はブラックホールの中で、何処に向かっているのか誰にもわからない状況だった。

だが問題は別にある。彼はこう続ける。

問題があると思っているのは、中央銀行がワクチンの後に、そして小売店売上が通常以上の水準まで上がった後にも、2.5兆ドルの量的緩和を予定していることだ。

ブラックホールは起こらなかった。それは良いことだ。しかし彼らはいまだブラックホールの中にいるかのように振る舞っている。そして経済は実際には加速している。

中央銀行の現在の政策は完全に不適切だ。

止まらなくなるインフレ

筆者と同じように、ドラッケンミラー氏も早くからインフレに警鐘を鳴らしていた投資家の1人である。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182


彼もわたしも今年はそれで大いに儲けている。しかし投資家はどういう状況でも儲けられる。インフレでなくなれば別の投資を行うだろう。

しかし心配すべきは経済がどうなるかである。経済を救う名目で行われた緩和政策が日用品の価格を高騰させようとしている。株価についてもインフレは必ずしもプラス要因ではないことは以下の記事で解説しておいた。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


中央銀行の不適切な政策の結果は何だろうか? ドラッケンミラー氏によれば、それはドルの暴落である。

このインタビューの中でドラッケンミラー氏はドルの下落予想について詳細な解説を行なっている。示唆に富んでいるがやや難しいので分かりやすく噛み砕く必要があるだろう。また別の記事で個別に取り上げたいと思う。それまではレイ・ダリオ氏による同じ予想を読み返しながら待っていてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556


▲△▽▼

ドラッケンミラー氏: 現金給付がドルを暴落させる理由
2021年5月15日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560


前回に引き続きCNBCによるスタンレー・ドラッケンミラー氏のインタビューである。

財政出動と中央銀行

2020年初頭に新型コロナウィルスが世界的流行となった後、日本やアメリカの政府は大規模な景気刺激策を行なった。アメリカではトランプ政権が2.2兆ドル、バイデン政権が1.9兆ドルの財政政策を行なっており、これが景気回復と株価の高騰を支えている。

日本もアメリカもコロナ以前に既に莫大な政府債務を抱えていた。にもかかわらずこのような大盤振る舞いが可能だったのはなぜか。ドラッケンミラー氏は次のように説明している。

このような財政出動は中央銀行の助けなしには不可能だっただろう。中央銀行が紙幣を刷ってそのための資金を作っている。

正確な数字は覚えていないが、債券の発行額を一気に6割も増やすようなことをすれば、中央銀行の助けなしには債券市場は崩壊していただろう。

しかしそうはならなかった。中央銀行が市場にあふれるはずだった債券を買い上げたからである。結果として金融市場は今、物価が高騰するのではないかとの懸念で持ちきりである。前回の記事を置いておこう。

ドラッケンミラー氏: 中央銀行はインフレで火遊びをしている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13556


長らく出なかった紙幣印刷の副作用がついにアメリカでは出つつある。しかし景気刺激をすることはとりあえず出来ている。ドラッケンミラー氏は次のように続ける。

だからこの大規模な財政政策を可能にしているのは中央銀行だ。問題は、もしインフレになるとすれば、いや仮にならないとしても、負債は莫大なものになるということだ。

これは議会予算局の想定でわたしではないが、中央銀行の支えがなくなれば10年物国債の金利は4.9%になるという。そうすれば政府支出の30%が国債の利払いで飛ぶことになる。

中央銀行の支えがなければそういう世界になるのである。その結果どうなるか? ドラッケンミラー氏はこう続ける。

そうすると中央銀行はそれをマネタイズせざるを得なくなる。そして中央銀行がそれをマネタイズするとき、それはドルにとって酷い結果となるだろう。

当然そういう結果になるだろう。インフレとはそういうことである。インフレとは貨幣の価値が下落することであり、つまりはドルの価値が下落することである。

インフレとドル安の違い

しかし市場経済は面白いもので、物価の上昇と為替の下落は必ずしも同じ時期に起こるものではない。例えば1980年代においてはレーガン大統領が同じような政策を行なったが、その結果としてドル安が起きたのは何年か後のことだった。

ジョージ・ソロス氏: 財政出動でドルが上昇して下落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13260


この記事で少し説明してあるが、コロナ相場でドルが実際に下落するのはいつになるだろうか。このことについてはもっと詳しく検証する必要があるだろう。

多くのファンドマネージャーがドルの下がるタイミングを狙っている。世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏もその1人である。

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12927

そろそろドル下落をしっかり考えなければならない時期だろう。ドル円は今のところ次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-15-usdjpy-chart.png


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13560

25. 中川隆[-4712] koaQ7Jey 2021年5月19日 08:47:46 : Kpt2nOGYwY : ZmVhb01GanViNnM=[3] 報告
ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
2021年5月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574
引き続きYahoo! FinanceによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

今回取り上げるテーマはインフレと中央銀行である。莫大な現金給付などの景気刺激の結果アメリカでは物価高騰の初期症状が始まっており、筆者や多くのファンドマネージャーの予測した通りとなっている。

実現したインフレとその見通し

ガンドラック氏も未曾有の景気刺激策による経済への歪みをコロナ相場の初期から心配していたが、インフレは現実のものとなりつつある。CPI(消費者物価指数)は市場予想を上回る速度で上昇し、それが株価急落の引き金となった。

しかしガンドラック氏によればCPIに表れている物価高騰はインフレの本当の実態を表していないと言う。彼は次のように述べている。

CPIは実態を表していない。住宅価格のインフレを計算するための家主のみなし賃料(訳注:家を所有している人が賃料を払っているものと想定して算出する数値)は12ヶ月で2%の上昇となっているが、住宅価格の上昇は17%だ。

家主のみなし賃料を住宅価格で置き換えて計算すると現在のインフレ率は年間8%ということになる。

CPIは様々な品目の物価を集めて1つの指数としたものだが、その品目の1つである家主のみなし賃料の数字がおかしいとガンドラック氏は主張している。何度か取り上げたように、住宅価格は世界中でかなり上がっている。

止まらないインフレ、米国で住宅価格が暴騰中

既に上がっているCPIだが、インフレの実態はそれ以上のものであるということである。

インフレは止まるのか

しかしガンドラック氏によればそのインフレ率はまだ上がり続けるという。彼は次のように述べている。

DoubleLineにはインフレを予測するためのモデルがあり、直近数ヶ月の予想をするためにかなり役立っている。

そしてそのモデルによればインフレ率は今後数ヶ月上昇を続けるだろう。7月にピークとなるかもしれないが、もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば、経済にとって深刻な懸念となるだろう。

インフレなどの経済指標は金融市場に大きな影響を持つが、各々のヘッジファンドにはそれを予想するための独自のノウハウを持っている。ガンドラック氏は債券の専門家なので彼のインフレ予想モデルは非常に興味深い。

そのモデルによれば、7月にピークになる「かもしれない」そうだが、この予想には筆者も頷ける。アメリカで行われた3回の現金給付について書いた記事を読んだ読者にもその意味が分かるだろう。

アメリカの現金給付の威力を確認する
つまりインフレ率などの指標は現金給付によって持ち上げられており、最後に行われた3回目の現金給付の効果が7月頃には薄くなってくるだろうということである。

一方で「もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば」という言葉の意味は、現金給付の効力が切れても物価高騰が止まらないのであればというように解釈できる。前回の記事で取り上げた箇所でガンドラック氏は、失業保険を手厚くし過ぎた結果人々は働くよりも失業保険を受け取って家でNetflixを見ていると指摘していた。

ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる
コロナ禍の莫大な景気刺激策はこうした歪みを多く生み出している。

政策による歪みがインフレを生む

働き手が減れば物価は上昇する。現金給付による単純な貨幣インフレだけではなく、こうした構造的な歪みが物価高騰を引き起こしているのだとすれば、インフレ率は7月以降も上がり続けるだろう。だからその後のインフレ率を見ておくことは投資家にとって非常に重要となるのである。

ガンドラック氏などの投資家がこうした懸念を真剣に考えているのに対して、何も考えていない人もいる。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長である。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ
パウエル議長はインフレは一時的なもので心配ないと言い続けている。中央銀行の話になるにつれてガンドラック氏の口調が厳しくなってゆく。

Fedは「一時的」と言うのが好きだ。Fedは実際にはインフレ率が国債の金利よりも高い時が一番満足なのだろう。彼らはその状態を目指してきた。

だから「インフレは一時的だ」ということにすることで人々を心配させないようにしているが、根拠は何なのだ? こんな未曾有の状況でそれが一時的かどうか誰に分かるだろうか。

インフレは良いものだという主張に何の根拠もなければ、インフレが一時的だという主張にも何の根拠もない。中央銀行の主張には基本的に何の根拠もないのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信

ガンドラック氏の中央銀行批判は続く。彼はリーマンショック当時にバーナンキ議長がリーマンショックの原因となったアメリカの住宅ローン危機の深刻さを甘く見た時のことを話している。

ベン・バーナンキが住宅ローン危機について完全に間違った時のことを忘れてはならない。彼はサブプライムローンだけの限定的な問題だと主張したが実際には被害はその何十倍も大きかった。

だから彼らが「インフレを一時的」だと言うとき、どうやって判断しているのかと思う。

これは判断というよりは投資家をミスリードするための洗脳のやり方なのではないか。

なかなか痛烈な批判ではないか。

こう考えるのはガンドラック氏だけではないだろうが、これまで中央銀行は基本的にすべての経済危機を見誤っている。リーマンショックもジョージ・ソロス氏などの投資家は事前に警鐘を鳴らしていたが中央銀行は聞きもしなかった。

今回のインフレについてもガンドラック氏、ドラッケンミラー氏などの優れた金融家が事前に警鐘を鳴らしているが、中央銀行は全く別の方向に突っ走っている。いつも同じことである。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
好きな方向に突っ走れば良いだろう。責任を負わされるのは日用品の価格が高騰して買えなくなる国民である。しかしこれはすべて彼らがインフレ政策を支持した結果なのだから何を言うことが出来るだろうか。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574


ガンドラック氏: インフレが止まらなければ株価急落へ
2021年5月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13593

前回に引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

ガンドラック氏のインフレ予想

コロナ禍における現金給付などの景気刺激策で市場経済に多額の資金が注ぎ込まれたことで、アメリカでは物価高騰の初期症状が始まっている。

インフレ懸念についてはここでは去年から報じてきたことであり、筆者を含め多くの機関投資家たちが金属や穀物の価格上昇に賭けて既に儲けている。


金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


しかし株式市場は今になってようやくインフレが懸念材料だと気付き始めたようであり、今後アメリカの物価がどうなるのかが投資家の注目を集めている。前回の記事で報じたように、ガンドラック氏は今後のインフレについて次のように述べていた。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574

インフレ率は今後数ヶ月上昇を続けるだろう。7月にピークとなるかもしれないが、もしそこからも上昇を続けるようなことがあれば、経済にとって深刻な懸念となるだろう。

7月が分水嶺となる理由については前回解説したのでそれを参照してもらいたい。今回論じるのは7月以降インフレが止まらなかった場合株式市場がどうなるのかである。

インフレと株式市場

インフレは金利上昇を通じて株式市場に影響を与える。株式市場は長年低金利によって支えられてきたからである。しかし低金利は中央銀行が国債を買い入れる量的緩和によって実現してきた。

ガンドラック氏によれば、その他の買い手は米国債の保有に及び腰になっているという。ガンドラック氏は国債の金利は保有のリスクに見合っていないと説明する。

アメリカの超長期国債は去年ちょうど1.00%まで下がったが、今では2.4%まで上昇している。(訳注:金利上昇は債券価格下落を意味するので)どれだけの資金が失われたか投資家は分かっていない。

去年の3月か4月に投資家が超長期国債に殺到した時の買い手がその後の価格下落で被った損失は30%とかなり大きい。株式を保有した場合に覚悟するような損失だ。一方でリワードは1%の金利を30年貰い続けることだ。

コロナ以後、国債のリスク・リワードはかなりおかしなことになっている。

そのような状態で国債を保有したい投資家は果たしているだろうか。ガンドラック氏は次のように続ける。

金利が上がった時、米国債を買いたい投資家は多くない。外国の投資家はもう何年も米国債を売っている。国内の投資家も国債保有を減らしつつある。もう中央銀行しか残っていない。

だから現在上がっている金利については中央銀行がどう動くのかによって今後の見通しが変わってくる。アメリカの長期金利は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/05/2021-5-18-us-10-year-treasury-yield-chart.png


この金利がどうなるかによって株式市場の命運が決まる。ガンドラック氏は次のように予告している。

インフレが夏以降も上がり続けた場合、金利上昇が中央銀行の覚悟を試すような展開になるだろう。中央銀行は無制限の量的緩和を行うと主張している。どうなるか見てみよう。

買い手が減り続けている米国債を中央銀行が吸収できず金利が上昇してしまった場合、これまで低金利に依存してきた株価にとって大きな問題となるだろう。

結論

ガンドラック氏に限らず、金利が上がってきたことで株価の水準に危機感を持っている著名投資家が増えてきた。同じく債券投資家のスコット・マイナード氏も同じ理由で2021年の株式市場は下落すると予想していた。マイナード氏の方が今後の推移を詳しく説明しているのでこちらも参考にしてもらいたい。

マイナード氏の2021年株式市場の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12828

実際に株価は上値が重たくなっているようである。2人の債券投資家の予想は当たるだろうか。インフレ指標には今後も注目である。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13593

26. 中川隆[-4682] koaQ7Jey 2021年5月21日 08:18:31 : tKbYp4q0Yg : WFlqNGZCelhaS3c=[3] 報告
ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
2021年5月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619


引き続きYahoo! Financeによるジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は量的緩和と現金給付が貧富の差を是正するかという議論だが、ガンドラック氏の論点は示唆に富んでいる。

コロナと財政政策

コロナで職を失ったり商売が立ち行かなくなった人が大勢いる。それで現金給付のような政策が支持されており、アメリカでは増税と景気刺激の組み合わせを行おうとしているバイデン政権が選ばれたのである。

しかし国民から多く徴収して多くばらまくという政策には経済学的には疑問も残る。増税をすればその分国民は消費が出来なくなるだろう。その分を政府が代わりに投資するというコンセプトなのだが、これは実際にはライブのチケットを買おうとする音楽ファンの国民からチケット代を取り上げ、代わりに五輪のチケットを渡す政策に等しい。

日本で自民党が行なっている増税・財政支出の組み合わせも同じである。このような経済政策が機能するだろうか。それを考えるためには、歴史上同じような政策が採用された例を探せば良い。ガンドラック氏は次のように論じている。

現在のような節操のない金融・財政政策を行なった結果を歴史上の例から探すと、かなり悲惨な結果となる。その結果は大体内戦か革命だ。

歴史的に著名な例はフランスの王政である。ガンドラック氏はフランス革命の時にも現在と同じような経済政策が取られたとし、次のように述べる。

例えばフランス革命だろう。フランスは1770年代に金本位制度から離脱したが、1780年代には食糧を求めて暴動が起きた。パンが不足してパンの価格が高騰したので、女性たちはヴェルサイユ宮殿にいるルイ16性と王妃マリー=アントワネットに対してデモを起こした。

金本位制度からの離脱とは、元々中央銀行が紙幣と金を交換する約束をしていたのをその約束を反故にし、紙幣を持ってきても金は渡さないと宣言することである。

つまり金本位制度からの離脱は中央銀行の債務不履行であり、紙幣の価値を下落させる量的緩和と基本的に同じである。アメリカでは1970年代に同じことが起こり、ニクソンショックと呼ばれた。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


それと同じことがフランス革命においても起こった。当時パンの価格が高騰したことは、現在金融市場において物価高騰が懸念されている状況と重なる。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12182


現金がばら撒かれたにもかかわらず、何故フランスの人々はデモを起こさなければならなかったのか。ガンドラック氏はこう語る。

何故それが起こったか。紙幣印刷と現金給付によって中流階級が貧乏になり、貧困階級は死ぬほど飢えた。一方で紙幣印刷のレバーを握っている側は更に裕福になった。

量的緩和がどういう理由で行われているかを考えればそれは明らかだろう。量的緩和は政府債務を支えるために行われている。金利を低く抑えられなければ政府は膨大な借金の利払いで他の支出が出来なくなる。他の支出が出来なくなれば何故困るのか。政府予算に依存して利益を得ている人々が利益を得られなくなるからである。

だからばら撒き政策は既得権益層をますます裕福にし、その恩恵は中間層には返ってくることはない。

アメリカの消費と中国の輸出

ガンドラック氏は今の状況に照らし合わせてより具体的な話もしている。

こうした政策はアメリカの消費を促進している。だがアメリカの生産者にはほとんど関係のない話だ。消費は増えたが、消費されるものは中国から来ている。アメリカ人が中国のものを大量に消費しているので中国のGDPはどんどん上がっている。

現金給付によりGDPの構成要素である個人消費は上がった。現金給付によって毎月の消費が押し上げられる様子は以下の記事で解説している。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


しかし消費される商品は何処から来ているのか。これらの商品の多くは現代においては中国で作られている。つまりアメリカの資金が中国に流れているのである。アメリカは借金をしてこれらの政策を行なっているので、アメリカは実質的には借金をして中国に貢いでいることになる。

更に言えばその資金は何を通して中国に流れてゆくのだろうか。ガンドラック氏によれば、その資金はAmazon.comなどのオンラインストアを通して中国に流れてゆく。

こうした消費はどうやって起こるか。単純化して言えばこうした消費はアマゾンを通して行われている。アマゾンはこうしたビジネスで大きなシェアを獲得している。だからジェフ・ベゾス(訳注:Amazon.comのCEO)のようなシリコンバレーの億万長者が政府の現金給付によって相当に豊かになる。

しかしその資金は中流階級の自国民には返ってこないのである。中間層に何が起こるかと言えば、後に残った莫大な政府債務を返すために増税のくびきに掛けられることになる。

大きな政府と小さな政府

増税と財政出動を組み合わせ、国民から大きく吸い取り大きく吐き出す政府のことを大きな政府と言うが、予算の大きな政府の政治家達が資金を吐き出す時には当然ながら彼らの利益となる場所に資金吐き出すことになる。

日本政府が消費増税を行いオリンピックやGO TOトラベルを強行する理由は何か。一般国民から吸い取って自分の票田である宿泊業界や大手メディア、広告代理店などに吐き出すためである。保守派とは伝統的にこうした政府の利権を認めず政府の予算を縮小しようとする立場のことを言うので、自民党は保守ではない。何度も言っているのだが大半の日本人にはこれが分からないらしい。

純粋に資本主義的な存在であるガンドラック氏やドラッケンミラー氏などの大物ファンドマネージャーらが、政治家たちの政治的な言い分とは距離をおいて本当に国民のためになる政策とは何かという話が出来るのは興味深い。実力のある人間は利権がなくとも金を儲けられてしまうので反利権派になるのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13574

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619

27. 中川隆[-4548] koaQ7Jey 2021年5月29日 07:24:58 : GnRMpOkTQU : R25CMktuWjhaeFE=[15] 報告
コモディティバブルはまだ終わっていない
2021年5月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13717


アメリカでインフレ懸念が起こっている。日本の何倍もの規模で行われた現金給付などの景気刺激策が物価や不動産価格の高騰を招いている。

インフレとコモディティ

そのトレンドの先駆けとなったのが、金融市場における金属や農作物などのコモディティ銘柄の高騰である。政府が注入した資金はまず金融市場に入り、その後日用品の価格にまで波及した。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
アメリカでインフレ止まらず、4月は年率9.6%
コモディティ銘柄の上昇相場は去年からのものであり、従って既にかなり上がっている。主要銘柄で一番上がったのは恐らく銅である。コロナ後好調な中国の需要も受けて飛ぶ鳥を落とす勢いである。価格チャートを掲載する。


以下は大豆の価格チャートである。


カテゴリーの異なる銅と大豆が同じような動きをしていることから、これがコモディティ全体の上昇トレンドであることが分かる。他のコモディティも多かれ少なかれ同じ動きである。

期待インフレ率とコモディティ

コモディティ市場全体を支配する大きなトレンドを引っ張っている1つの数字が存在する。市場の期待インフレ率である。10年物のアメリカの物価連動国債から算出される市場の期待インフレ率は次のように推移している。


物価が高騰すると市場が予想しているから、先回りして金属や農作物が買われている。このトレンドが続くかどうかである。

インフレ率の見通しについては著名投資家でも判断の難しいところである。インフレ率は債券の価格に関わるので、債券投資家の領分である。もっとも著名なのは恐らくジェフリー・ガンドラック氏だろう。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判
彼はこの記事で、アメリカのインフレは7月にピークになるかもしれないと述べている。そうなる理由はこの記事で説明しているので参照してもらいたいが、短く言えばここまでインフレを押し上げていた短期的なインフレ要因が剥落するからである。

短期的要因が剥落した後にインフレがどれくらい強いかということには専門家の中でも議論がある。経済学者ラリー・サマーズ氏はインフレが長期に及ぶ可能性を指摘している。

ラリー・サマーズ氏: インフレリスクは本物、利上げで景気後退へ
問題は7月以降インフレがどうなるかということである。

コモディティの相場見通し

期待インフレが短期的に収まれば、短期的にはコモディティ価格に大きな影響を及ぼす。ガンドラック氏は上記のインフレ見通しもあり、コモディティが一時調整局面に入るとの見方を示している。

ガンドラック氏: ビットコインとコモディティは調整へ
しかし長期的にどうなるかを考える時には、問題はより簡単となる。

順に考えよう。インフレがこのまま上がり続ける場合、コモディティ価格はどうなるか?

上で述べた通り、これまでコモディティは期待インフレ率の上昇に導かれて上がってきた。中央銀行の内部では一部これを懸念する声もあるが、議長のパウエル氏は何の根拠もなくインフレは一時的であると言い張っている。

4月FOMC会合結果: パウエル議長のインフレ無視は続く コモディティバブル継続へ
ガンドラック氏やサマーズ氏のような才能が必死になって頭を働かせている時に、中央銀行のトップは何も考えなくて良い。気楽な仕事である。

しかしこれは、期待インフレ率がもう少し上昇しなければ中央銀行は動かないということを意味している。2018年に自分の金融引き締めで株式市場を暴落させて以来、パウエル氏は金融引き締めをやりたくないのである。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因
したがって、期待インフレ率が上がり続ける場合、コモディティ相場にはまだ上昇余地があるということになる。

一方で期待インフレ率が下がる場合、短期的にはコモディティ価格は下落するかもしれない。これがガンドラック氏が想定するシナリオである。

長期見通し

しかし長期的にはどうなるか? この相場の出口は何処だろうか。

期待インフレ率が下がり、金利が下がることになれば、金融市場は更に加熱することになる。読者にはもうお分かりかもしれないが、このゲームは市場が加熱しすぎて金融引き締めに追い込まれるまで決して終わらないゲームなのである。

したがって期待インフレ率が下落する場合も一旦の調整を経た後、加熱し過ぎるまでコモディティ価格は上がり続けるだろう。これが長期の見通しである。

バブルは終わるまで終わらないのである。そしてこのコモディティ相場予想は暗号通貨に対しても適応される。暗号通貨はコモディティの一種である。筆者の推しているイーサリウムの価格推移は次の通りである。


筆者がビットコインよりもイーサリウムを推す理由については以下の記事を参考にしてもらいたい。

停滞するビットコイン、暴騰止まらぬイーサリウム
株式市場に関しても筆者はコモディティの推移と同じような見方をしているが、バリュエーションの問題から株式よりはコモディティを選ぶだろう。

インフレ懸念が株式市場バブルの終わりではない理由


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13717

28. 中川隆[-5171] koaQ7Jey 2021年7月02日 17:46:39 : gGFm0tJbPw : bFJOOXFDREFDS28=[32] 報告
「怖いインフレの可能性」パイレーツ・ラジオ@clubhouse(Live配信2021/7/1) - YouTube


29. 中川隆[-5137] koaQ7Jey 2021年7月04日 10:38:18 : oK8CEMlMsc : dnU4eC52a0R2cC4=[16] 報告
マイナード氏: 短期では株価下落から金利低下へ
2021年7月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321

Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏がFOX Businessのインタビューで金利と株価について語っている。

テーパリングで金利低下

Fed(連邦準備制度)は6月のFOMC会合で利上げとテーパリング(量的緩和縮小)を示唆した。金利を上げて現在のアメリカの物価上昇を抑えるためである。

しかしマイナード氏は逆に、利上げとテーパリングは金利低下要因になると予想していた。

マイナード氏: 株価下落と金利低下の理由、今後の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14114


その後アメリカの長期金利はどうなったか? 見事にマイナード氏の予想通り、下落トレンドを続けている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-3-us-10-year-treasury-yield-chart.png


債券のスペシャリストの面目躍如である。

マイナード氏の論理によれば、利上げとテーパリングはインフレを抑えるので金利低下要因だと言う。金利の動きを纏めれば、今年前半は中央銀行の引き締めのない環境でインフレが進むことを懸念しての金利上昇、テーパリング示唆後は中央銀行が対処しインフレが収まることを予想しての金利低下ということだろう。

同じく債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏や経済学者のラリー・サマーズ氏とは違い、マイナード氏は今回のインタビューでも金利上昇シナリオは心配ないと主張している。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037

サマーズ氏: アメリカのインフレ率は5%まで上がり、今年後半に株式市場は荒れる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14272


マイナード氏は次のように述べている。

金利についてそれほど心配すべきことはない。われわれのリサーチによれば、経済に存在する債務の量、特に政府債務の量を考えれば、金利が2%に近づけば経済は減速を始めることになる。

債務の量が多過ぎるのである。特にコロナ後にアメリカの政府債務は激増した。少しでも金利が上がれば利払いが多くなり、経済が滞ってしまう。一度金利が上がってもそれが重しとなって金利はそれほど上昇できないという論理である。

世間では債務の量を懸念しない人々も多いが、このように債務は経済の専門家以外には見えにくい形で既に先進国経済にのしかかっている。だからファンドマネージャーには財政支出反対派が多い。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


しかし財政出動依存症の人々には永遠に理解できないだろう。

また、マイナード氏は株式市場の動向も金利低下要因だと言う。

景気拡大の2年目には株式市場にかなり大きな調整があることが多い。だから夏の間に調整があると予想している。そうなれば金利にとっては上昇ではなく低下の要因となるだろう。

株式市場が下落すると金利は一般に低下する。株式の代わりに債券が買われる(債券価格上昇イコール金利低下)からである。

しかしこれはどうだろう? 筆者はこの論理を少し疑っている。問題は金利が低下しているということである。

筆者は現在の長期金利低下を株式にとってプラスの要因だと思っている。よって金利がそのまま上昇を続けていれば株式の下落もそれほど遠くなかっただろうが、今回金利が低下したことによって少なくとも当面は株価下落の脅威が去ったと考えている。

特に恩恵を受けるのは、これまでインフレ懸念が重しとなっていたグロース株である。この点については以下の記事で説明しているので参考にしてもらいたい。

テーパリング示唆でハイテク株が上昇している理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14293


マイナード氏の長期株式見通し

一方で、マイナード氏は長期的には株式に強気らしい。彼は米国の株価指数S&P 500について次のように述べている。

今後2年でS&P 500は5000に達するだろう。S&P 500の1株当たり純利益が250になるのはたやすいだろうし、ゼロ金利下における20倍の株価収益率は完全に合理的に思える。

景気の良い話だがこれはどうだろう? S&P 500の1株当たり純利益は2021年の予想値で175ドルなので、250ドルと言えばここから40%以上となる。2年で達成できるだろうか? ちなみにS&P 500は現在4342辺りを推移している。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-3-s-and-p-500-chart.png


総合すると、マイナード氏は短期で株式に弱気、長期では強気ということになる。彼は次のように纏めている。

わたしはタイミングを考えるからもっと安く買いたいと思っているが、長期投資家なら今でも買い持ちにしているべきだろう。

ちなみに長期では彼はほとんど何に対しても強気である。株価下落で中央銀行が緩和再開を強いられると読んでいるのである。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13742

マイナード氏: ビットコイン価格は機関投資家の資金流入で15倍に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12175


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321

30. 中川隆[-5115] koaQ7Jey 2021年7月05日 09:57:45 : VQ9QaQgG0g : WW1vUERhelh2MU0=[7] 報告
中国の為替操作で日本にも悪性の物価上昇が迫っている

07-05 日本にも悪性の物価上昇が迫っている!
2021/07/05




人民元のガチガチの取引規制(などの為替操作)で中国が資源爆買いできる状況がおかしい。
31. 中川隆[-16114] koaQ7Jey 2021年7月21日 10:44:34 : dG8JfygVp2 : UUhFNHpwREMyZm8=[8] 報告
株価下落と金利低下の理由
2021年7月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14531

株式市場が多少荒れてきた。最近怒涛の勢いで予想を当てているスコット・マイナード氏の株価下落予想が当たりそうでまだ当たっていない状況が続いている。

マイナード氏: 短期では株価下落から金利低下へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14321


短期的な値動きに反応して記事を書くのは性分ではないが、現在の金融市場の状況を一度纏めておこう。

株価下落の原因

株価が荒れる材料があるとすれば、まず好材料が出尽くしたことだろう。2020年3月の底値からここまで、コロナの流行にもかかわらず株価が上昇してきた理由は金融緩和と政府の現金給付・インフラ投資である。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-s-and-p-500-chart.png


一番の要因は現金給付で、その威力については以下の記事で解説しておいた。

アメリカの現金給付の威力を確認する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13521


トランプ政権から現在のバイデン政権まで、アメリカで現金給付は都度3回行われたが、今年3月の3回目の給付を最後に次の給付は目処が立っていない。

インフラ投資もバイデン政権が発表してから数ヶ月が立っており、株式市場にとって材料として目新しいものではなくなっている。

そして追加の緩和があるとすれば中間選挙のある2022年11月に向けてということになるだろうから、年内は基本的に何も出ない可能性が高く、株式市場は材料のないまま6ヶ月を過ごさなければならないということになる。「噂で買って事実で売る」の言葉通り、金融市場ではニュースは事前に織り込まれてしまい、新しいニュースが出なくなった時点で株価が下落することはよくあることである。

一方で金融緩和がどうかと言えばこちらも雲行きが怪しい。Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は「インフレは一時的」と言い続けていたが、Fedは6月の会合でいきなり利上げとテーパリング(量的緩和縮小)を示唆した。他のメンバーが上昇を続けるインフレ率を見て淡々と利上げを支持したものと思われる。

パウエル議長の玉虫色の議会証言に惑わされるな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14480


そしてインフレはまだ止まっていない。

好材料のない株式市場

ということで、目下株式市場には好材料が特にない。あえて言えば長期金利が低下していることだろうか。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-us-10-year-treasury-yield-chart.png


しかしコロナも変異株が世界的に流行を開始している今、経済再開が株価を押し上げるというシナリオもないだろう。株式市場が独自の買い材料が何もないまま今年後半を過ごさなければならないことは事実で、これまであらゆる好材料(コロナによる景気後退も、それ以上の資金注入があれば株式には好材料である)を織り込み続けてきた株式市場である程度の手仕舞いがあってもおかしくはない。

この状況はいつ変わるだろうか? まずは追加の財政刺激が議論されそうな時期だが、上に述べた通り中間選挙が2022年11月なので早くても年明けになる。

これより早い転換点はインフレ相場の再開だろう。勿論インフレはハイテク株にはマイナスになるので株式市場にとって一概にプラスとは言えないが、株式もコモディティも一様に調整局面にある現在の相場とは様相の違った新たな相場になるはずである。

その転換点は物価統計から今年3月の現金給付や半導体不足による自動車不足などの短期要因が消え、その後に現在のインフレは短期要因だけではないということがはっきりしてくるタイミングということになる。

現在、物価統計は短期要因の剥落が予想されてはいるが、剥落はまだ始まっていない。

6月米インフレは再加速、原油高騰で火に油か
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14462


剥落が始まってから数ヶ月後がそのタイミングになるだろうから、これもやはり年末か遅ければ年始ということになるだろう。

結論

よって株式市場は少なくとも数ヶ月「何もない相場」を続けそうである。

この期間をどうトレードするか? もしマイナード氏の言うように株式市場に調整があるとすれば、為替相場にチャンスがあるかもしれない。

世界最大のヘッジファンド: ドルから人民元への逃避が始まる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14095


政府債務の急激な増加によりドルの暴落を多くの著名投資家が警戒しているが、前にも述べたようにそのタイミングは必ずしも債務増加に連動するわけではない。

ダリオ氏とサマーズ氏のドル下落に関する論争
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14160


債務増加により経済が見かけ上上手く行っているように見えている間はドルも好調となる場合は多い。しかしそのツケはその仮面が剥がれてくる時にこそ起きる。

だとすれば、株式市場にとって喜ばしくない時期は、逆に言えば本来上がるべきだが上がっていなかった通貨(例えば日本円やスイスフラン)にスポットライトが当たる時期になる可能性がある。

ドル円のチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-usdjpy-chart.png


ユーロスイスフランのチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/07/2021-7-20-eurchf-chart.png


特にコロナを比較的少ない財政支出で切り抜けているスイスの通貨は本来もっと上がるべきだが、恐らくその上昇(ユーロスイスフランの下落)は株式市場のリスクオフと一緒になって一気に来る性質のものだろう。借金のツケが実体経済に来るのが不況のときで、そのマイナス効果は見かけ上好況が続いている時には見えないというのと同じである。

新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10248


また、株式を買い持ちにしている投資家にとってはこうしたポジションを持っておくことはヘッジになると思われる。いずれにせよ色々準備が必要な半年間になりそうである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14531

32. 中川隆[-16071] koaQ7Jey 2021年7月24日 18:15:21 : vm2m0Yb61c : OVJpa2FtQ0tMUlU=[19] 報告
米連銀は火に油を注ぎ続けるか?低所得者にインフレ直撃、フルタイム労働でもホームレスに=矢口新
2021年7月20日
https://www.mag2.com/p/money/1081219

米国では物価上昇に賃金アップが追いつかず、明日の住居、明日の生活に脅える人々が急増している。このことは、大規模な政府の財政出動や中央銀行の金融緩和を負担しているのは、低中所得者層であることを強く示唆している。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)


中古車や住宅など身近な品目が値上がりする米国経済

米6月の消費者物価指数は前月比+0.9%、前年比+5.4%だった。コア指数は前月比+0.9%、前年比+4.5%だった。パンデミックからの需要の急回復に供給不足が重なり、前年比では、それぞれ約13年ぶり、約30年ぶりの伸び率だった。

半導体不足で自動車生産が滞り、中古車価格が19年比で+41%となるなど、国民に身近な品目も値上がりが続いている。

また、米4月のS&Pケース・シラー20都市住宅価格指数は、前月比+1.6%、前年比+14.9%だった。前年比では、1987年の統計開始以来の最高の伸び率を記録した。米5月の中古住宅販売価格中央値は、前年比23.6%の35万300ドルで、全米不動産協会が記録を取り始めた1999年以降で最大の上昇率となった。

そのため、レントも上がり、米国のどの州でも、どの郡でも、どの都市でも、フルタイムで週に40時間働く最低賃金労働者では、2ベッドルームの賃貸住宅の家賃が払えないことが、全米低所得者住宅連合の報告書でわかった。1ベッドルームの賃貸住宅でも、フルタイムの最低賃金労働者が家賃を払える郡は、全米で3,000以上ある郡の7%(218郡)だけとなった。
※参考:Minimum wage workers can’t afford rent anywhere in America – CNN(2021年7月15日配信)

回復遅れる労働市場。パウエル議長の「燃料」投下は続く
一方、米連銀のパウエル議長は「米経済は資産購入の縮小を開始できるだけの進展をまだ見せていない」と強調。「インフレは一時的なもの」で、警戒感を持ちながらも緩和的な金融政策を続けるとした。

パウエル議長が言及する経済回復の進展とは、労働市場の回復だ。ピーク時には2,500万人を超えていた失業保険の継続受給者が、先週発表の数値では324万1,000人にまで減少したが、まだ多いと言えば多い。

一方で、米5月のJOLTS求人件数は920万9,000件で、6月の雇用統計による5月の失業者数931万6,000人とほぼ一致していた。求職しながら求人に応じない理由としては、対人職の求人が多くコロナ感染が恐いため、失業手当を受け取っているため、子育て対策が不十分なためなどが挙げられている。

このことは、金融緩和により労働市場の回復がこれ以上進展するとしても、パウエル議長が望む水準にまで達成するには、相当期間を要することが見込まれることだ。

つまり、それまでは失業保険の継続受給者が2,500万人を超えていた時期と、同規模の金融緩和を継続する「懸念」があることを暗示している。

インフレの炎が、パウエル議長が見なしているように仮に「くすぶっている」だけだとしても、コロナ禍の最悪期に始めた、ほぼゼロ金利と大量の資金供給いう前代未聞の規模の「燃料」を注ぎ続けると言うのだ。

家賃高騰、週40時間労働でもホームレスに
ところが、米国にはインフレの鎮静化を相当期間も待てない人々がいる。

6月の住宅保護期限切れで、何百万人もの米国人が立ち退きに直面か、1,100万人以上の米国人たちが家賃を滞納している。そして、全国的な立ち退き強制禁止期間が期限切れとなる6月に、多くが自宅から追い出されるかも知れない。

CDCの立ち退き猶予9月から実施されていたが、6月30日に失効する。

立ち退き率は州によってバラツキが出る見込みだ。

例えば、予算と政策優先センターによれば、フロリダ州やサウスカロライナ州では賃貸者の4人に1人が家賃を滞納しているのに対し、メーン州やケンタッキー州では6%にとどまっている。

出典:Millions of Americans could face eviction as housing protection expires in June(2021年5月31日配信)

フルタイムで週に40時間働いてもホームレスになるとすれば、条件の合わない求人に応じることはできない。

米連銀の金融緩和でますます住宅価格が上がるとすれば、これ以上の労働市場の改善はむしろ望み薄になってくる可能性がある。

物価上昇に苦しむ低所得者、報酬が上がり続けるCEO
資産運用会社のブラックロックは、インフレ率の上昇を受け、9月からすべての従業員のベースサラリーを8%引き上げると報道された。状況次第では2022年初めにも追加で賃上げを行うという。

一方で、一般の米大企業の従業員たちはそこまで恵まれてはいない。

S&P500企業のCEOの平均報酬は昨年、平均的な労働者の給与の299倍だったと、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議が年次「役員報酬監視」報告書で発表した。

CEOたちは平均報酬総額1550万ドルを受け取った。過去10年間で毎年26万ドル以上の報酬増だった。その一方で、2020年の生産部門と非管理職の労働者の平均所得は4万3,512ドルで、過去10年間で毎年ほんの957ドルの上昇だった。

出典:Millions of Americans could face eviction as housing protection expires in June(2021年7月15日配信)

バイデン政権は大規模な財政出動の財源を賄うため、大企業や富裕層に増税を課すことはあっても、低中所得層に負担を強いることはないと公言してきた。しかし、賃金の上昇が物価の上昇に追いつかず、明日の住居、明日の生活に脅える人々が急増している。

このことは、大規模な政府の財政出動や中央銀行の金融緩和を「事実上」負担しているのは、低中所得者層であることを強く示唆している。

33. 中川隆[-17534] koaQ7Jey 2021年8月03日 04:00:42 : BTQjMJokpg : dDk5YjkvNHovTE0=[17] 報告
絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
2021年8月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681


2021年第2四半期のGDP速報値が発表され、実質GDP成長率は6.5%(前期比年率、以下同じ)となった。第1四半期の6.3%から少し加速した形となる。

実質GDPはコロナ前の水準を突破

アメリカでは物価高騰が懸念される中、今やGDP成長率よりもインフレ率の方が大切な統計となっているが、GDPの内訳にも投資家に大きな情報を与えてくれるものがある。絶好調に見える全体の数字に騙されてはいけないのである。

順番に見てゆくが、先ずは実質GDP全体の推移をチャートで見てみよう。成長率ではなくGDPの数値そのもののチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-gdp-chart.png


ついにアメリカのGDPはコロナ前の水準を突破した。

この規模の景気後退がこれだけの速度で回復したのは史上例がないのではないか。これは明らかにコロナ後に行われた現金給付やインフラ投資などの刺激策のお陰である。コロナ初期にジェフリー・ガンドラック氏が過剰と批判した刺激策の結果がこういうものになった。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


全体の数字だけを見れば絶好調のように思えるアメリカ経済だが、内訳を見れば懸念すべき点がはっきりしてくるのである。

横ばいの個人消費

懸念すべき点とはまず個人消費の動向である。実質個人消費は11.8%の成長となり、前期の11.4%をやや上回る高成長を維持している。

しかし状況はそう楽観できるものではない、GDPの内訳のうち個人消費については四半期ごとではなく月ごとのデータが出ているので、そのチャートを掲載すると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-real-personal-consumption-expenditures-chart.png


3月に急上昇し、その後4月、5月、6月とほぼ横ばいになっているのが分かるだろうか。

これは何故か? アメリカでは3月にコロナ後3度目となる現金給付が行われたからである。そしてその後は伸び悩んでいる。第2四半期は4月から6月なので第1四半期の1月から3月に比べて成長率は高い数字になるが、月次のチャートを見ればその後の成長がないことが読み取れる。

減速する投資

見ての通り個人消費は明らかに現金給付頼みである。それが弾切れになると何故まずいのか。企業投資が縮小し続けているからである。

実質国内民間総投資は-3.5%のマイナス成長となり、年末のピークから更に下降した。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-real-gross-private-domestic-investment-chart.png


チャートが下を向いている。

原因はいくつかあるだろう。コロナで状況を見通しにくい中で企業が設備投資を渋っている。特にリモートワークが主流になると物理的な施設が必要ではなくなり、設備投資をするにしてもその金額は減るだろう。

しかし一番の理由は昨年からの長期金利の上昇かもしれない。企業が設備投資を行うには銀行から融資を受けることが多いが、その金利が上昇すれば企業はお金を借りにくくなる。

ただ、長期金利は春頃から再び下落を始めている。この低金利トレンドが続けば、設備投資もある程度は持ち直す可能性がある。詳しくはスコット・マイナード氏の記事を参考にしてほしい。

マイナード氏が金利予想訂正、長期金利はやはり1%以下に下落へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14417


政府支出も頭打ち

そしてまた重要なのが政府支出・投資である。実質政府支出・投資は-1.5%のマイナス成長となった。しかしチャートを見た方が状況は分かりやすいだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-government-consumption-expenditures-and-gross-investment-chart.png


高水準で推移しているが成長率は鈍い。

政府支出がGDPの直接の構成要素であるため財政出動をすればGDPはその分だけ増加することにはなるが、GDPの成長を維持するためには増加した支出をその後も続けなければならない。そうでなければマイナス成長になってしまう。そして高成長を続けようと思えばどんどん支出を増やさなければならないのである。

それで政府支出による成長率の底上げ効果も、高水準の支出が続いているにも関わらず打ち止めとなっている。現金給付に依存していた個人消費と同じ状況である。

急降下の貿易収支

最後に輸出入だが、元々赤字だったアメリカの輸出入はコロナ後に急降下している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-2q-us-real-net-exports-for-goods-and-services-chart.png


現金給付などの刺激策で輸入が増えたのだろう。ガンドラック氏はアメリカの緩和策がアメリカではなく中国を潤していると言っていたが、こういうことである。

ガンドラック氏: 量的緩和は権力者と中国を裕福にし貧乏人をより貧乏にする
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/13619


輸出入がアメリカのGDPを底上げすることは期待できそうにない。

結論

ということで、株式市場だけ見れば絶好調のアメリカ経済だが、GDPを内訳まで見ると良いところがまるでないことが分かる。完全に現金給付と低金利に依存しており、現金給付の方は打ち止めとなっている。

ここまで考えると「これ以上ない好景気」だから売りだと主張しているマイナード氏の言い分が分かる。

マイナード氏: 今が売り時だ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14658


そしてガンドラック氏は追加緩和で物価高騰か、追加緩和なしで景気後退かどちらかの選択肢しかないと言っている。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037


アメリカ経済は実際にはかなり満身創痍である。そしてこの状況は、これだけ政府が散財してもドルがまだ下落していないという一点に支えられている。以下はドル円のチャートである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-8-2-usdjpy-chart.png


だがそれもいつまで持つだろうか。

ドルが最後の砦である。ドルが緩和策に反応して下落し始めたら、いくら緩和しても外貨建てで見ればアメリカ経済は沈んでゆく。

レイ・ダリオ氏の言う通り、ドルが下落したらアメリカは終わりなのである。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681

34. 中川隆[-16826] koaQ7Jey 2021年8月27日 04:47:01 : uPBhgG61YE : Q29mZlM4WkdxRE0=[5] 報告
ガンドラック氏: 立ち退き猶予失効で賃料爆上げ、インフレ加速へ
2021年8月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092


DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が既に高止まりしているアメリカのインフレ率が更に上がると主張している。Yahoo! Financeが伝えている。

アメリカのインフレ

コロナ禍でアメリカでは膨大な現金給付が行われ、アメリカでは物価が上がっているが、現在のところ短期的な減速状態にある。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14848


3月の現金給付の短期的影響が剥がれつつあるからである。この傾向は数ヶ月続くだろう。

減速するインフレ率にもかかわらず、ガンドラック氏はインフレ予想を崩していない。また、あるいはインフレが減速するならば経済成長率はもっと減速するだろうというのがガンドラック氏の予想である。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14037


ガンドラック氏はコロナ対策として政府によって行われている失業保険の拡充を批判している。

何処へ行ってどんな職業の人に聞いても、労働者を確保するのが難しいと言う。当然だ。みな失業することによって給料かそれ以上のお金を得ているのだから。政府がそれを支援している。

失業保険が手厚すぎるのである。そしてアメリカ経済にとってもう1つの急所が立ち退き猶予である。

アメリカの立ち退き猶予

現在、アメリカでは家賃を払えない人々に対する立ち退き要請が一部禁止されている。つまり、借り主が家賃を払えない場合にも家主が立ち退き要請を行うことが出来ない。

しかも奇妙なことに、この禁止を行なっているのがCDC(米国疾病対策センター)である。日本で言えば、尾身会長率いるコロナ分科会が家主の財産権を制限したようなものである。

実はこの命令には法的根拠がなく裁判所も合法性を疑問視しているが、裁判所はバイデン大統領からの黙認要請を受けて禁止を継続させている。

当然ながら家主からは猛反発を受けており、訴訟も行われているが裁判所はバイデン氏の言いなりである。日経新聞には「Housing is a human right(居住は人権)」と書かれた紙を持ったデモの人々の写真が掲載されている。アメリカ民主党は基本的に、自分では何もしないが自分の権利だけは要求する人々で出来ている。

さて、この状況が経済にとって何を意味するか? ガンドラック氏は次のように述べている。

景気刺激策や立ち退き猶予が終わる時、経済には途方もない歪みが生じることになる。立ち退き猶予が終わる時にはあらゆる結果が生じるだろう。家賃は高騰する。

アメリカの住宅市場はもう既にバブル状態である。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14575


しかしガンドラック氏によれば、立ち退き猶予が終わればここから更に家賃の高騰が始まる。賃金を払わない借り主が立ち退いて、払える借り主が入ってくるからである。

それは当然ながらインフレを押し上げる。一方で、失業保険の拡充が終われば人々は仕事に戻るだろうが、アメリカ全体の限られた賃金の量をより多くの人々で奪い合うことになる。失業者の数は減るが、限られたパイを奪い合うようになるため消費が減ってデフレになるだろう。

結論

現在、アメリカ経済には相反するように見える2つの力が働いている。1つはインフレ圧力であり、もう1つはデフレと景気後退の圧力である。

これらは一見相反しているように見える。その結果が一時的に減速しているインフレ率である。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14848


しかしこの2つの圧力には1つ共通することがある。両方とも経済にとってはマイナスであるということである。

GDP速報でも報じた通り、刺激策によって数字の上では絶好調に見えるアメリカ経済は実際にはかなり危うい状況にある。刺激策がなくなればかなりのスピードで空中分解することになるだろう。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681


ガンドラック氏は次のように述べている。

政府は虎の尾を掴んでいる。だから今のところは引っかかれたり襲われたりはしていない。しかしひとたび虎の尾を離せば、間違いなく襲われるだろう。それが起きようとしている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092  

35. 中川隆[-16765] koaQ7Jey 2021年8月28日 14:07:22 : pOtbpYEQOg : ZnRVRVNBUXpBWTY=[45] 報告
既に停滞しているアメリカのマネーサプライ
2021年8月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15116


コロナ後の景気回復と株高の要因を色々な観点から解説することはできる。しかし1つだけ原因を挙げろと言われれば、マネーサプライの増加と答えるだろう。

マネーサプライ

現金給付などあらゆる緩和策の成果はこの指標1つに集約される。マネーサプライである。マネーサプライとは、発行されている紙幣と硬貨に、企業や消費者が銀行口座に保有している金額を合わせたものである。

量的緩和で直接操作できるマネタリーベースは紙幣と硬貨に銀行が中央銀行に預けている資金を足したものであり、企業や消費者が直接引き出せる金額とは異なる。マネーサプライは直接経済に投入されうる資金の総額なのである。

本来、どれだけ緩和してもインフレにはならないというのが経済界の共通認識だった。事実、どれだけ量的緩和を行なっても、マネタリーベースは増えてもマネーサプライは増えなかった。

しかし逆に言えば、これまでインフレにならなかったのは、マネーサプライが上がらなかったからだと言える。しかしコロナ後の現金給付で消費者の口座に現金が直接振り込まれた結果、マネーサプライが上昇した。そして先進国では久々のインフレとなったのである。

サマーズ氏が今後3%のインフレ率が定着するプロセスを説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14895

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14575


現金給付終了後のマネーサプライ

しかし3回行われたアメリカの現金給付は3月を最後に打ち止めとなっている。マネーサプライがインフレの原因であったならば、マネーサプライが今後のインフレを決定するということになる。

そこで今回はマネーサプライの現状を見てみたいと思う。マネーサプライのチャートは次のようになっている。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-aug-us-m2-money-stock-chart.png


コロナ後に大きく伸びている。これは1回目の現金給付である。その後年末および3月の現金給付で更に伸びて、その後は多少落ち着いている。

勿論高止まりはしているのだが、重要なのは伸び率である。この3月の再上昇より後の伸び率は、果たしてコロナ前の伸び率と比べてどうなのだろうか? それほど急角度で上昇しているようには見えない。

そこでこのデータを週次から月次にし、前月比年率の上昇率をチャートにして表示すると次のようになる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-aug-us-m2-money-stock-growth-chart.png


3月の現金給付によって3月と4月が上向いたあと、5月、6月、7月の上昇率は1.3%、7.0%、7.5%となっている。コロナ前の2019年後半の数字は10%前後だったので、この数字はここ数ヶ月のマネーサプライの上昇率がコロナ前よりも低い水準になっていることを示している。

マネーサプライと株価とインフレ

最近のアメリカの経済指標は調子が良くない。個人消費の先行指標である小売店売上高が減速していることは以前報じた通りである。

7月米小売店売上高はマイナス成長続く 追加緩和なしには景気後退か
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015


小売店売上高とマネーサプライは、両方とも追加緩和なしにはアメリカ経済が沈んでゆくことを示唆している。

問題は不況でデフレなのか、不況でインフレなのかである。インフレについては強気と弱気両方の意見がある。

ガンドラック氏: 立ち退き猶予失効で賃料爆上げ、インフレ加速へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15092

サマーズ氏が今後3%のインフレ率が定着するプロセスを説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14895

マイナード氏: インフレは一時的で続かない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14005


これはなかなか難しい問題だが、小売店売上高とマネーサプライはデフレを示しているように見える。

結論

最終的なシナリオは変わらないのである。ただ、経済が一度沈んでから追加緩和があり物価高騰になるのか、追加緩和なしでも物価高騰になるのかの違いである。

しかしやはり当分はデフレシナリオが続きそうな気はしている。レイ・ダリオ氏やジョージ・ソロス氏らはデフレに備えたポートフォリオを組んでいたので、そちらも参考にしてもらいたい。

世界最大のヘッジファンド、米国株を大幅買い増し
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14919

ジョージ・ソロス氏も米国株買い増し ビットコインで大儲けか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14943

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15116

36. 中川隆[-16703] koaQ7Jey 2021年8月30日 08:08:09 : 8AEwqZnhmE : WlBlQUpoZDhFMHc=[7] 報告
7月米小売店売上高はマイナス成長続く 追加緩和なしには景気後退か
2021年8月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015

さて、Form 13Fの話が続いたが、今回はアメリカの消費を占う先行指標である小売店売上高を取り上げよう。

小売店売上高

小売店売上高はアメリカの消費に関する最速の指標の1つである。GDPの直接の構成要素である個人消費のデータは毎月発表されるが、月の終わりから1ヶ月ほど経ってからしか発表されない。

一方で個人消費のうち小売店で売られているもの(サービスなどを除く)の統計である小売店売上高は月末から半月ほどで発表されるため、アメリカの消費者の動向をいち早く知ることが出来る指標なのである。

現在はやはり小売店売上高のデータが重要な状況だと言える。これまで進んできたインフレが、半導体不足による自動車価格の高騰などの短期要因が剥落するにつれて後退しているからである。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
インフレが後退しているにもかかわらず経済成長が落ちないならば、何も言うことはない。高成長の時代である。

しかしインフレと同時に経済成長も後退しなければならないならば、やはり追加緩和が来るということである。そのシナリオに向けて経済が進んでいる(あるいは後退している)かどうかを知るためには、やはり小売店売上高を見なければならない。

減速続く小売店売上高

しかしここの読者には結果はある程度予想出来てしまうだろう。7月の実質小売店売上高は前月比年率で-17.5%のマイナス成長となり、4月のピークから更なる後退となった。チャートは分かりやすいように成長率ではなく実際の数字を載せている。


この小売店売上高のチャートは以前スタンレー・ドラッケンミラー氏が経済過熱の証拠として上げていたものである。

ドラッケンミラー氏: 緩和終了でバブル終了へ
元々景気刺激策の名目は何だったか? コロナ禍で経済に空いた穴を埋めるためのものだったはずである。しかし上記のチャートを見て分かる通り、2020年前半に小売店売上高に空いた穴は早々と塞がれた上に、元々のトレンドラインを大きく超えて上方向に上昇していた。

この上昇はアメリカでは3回も行われた現金給付が原因である。そして現金給付は今年3月のものを最後に打ち止めとなっている。だから小売店売上高は4月をピークに下落しているのである。

現金給付で無理矢理上げたものは、現金給付がなければ元の水準に戻ると考えるのが妥当だろう。そう考えれば今回の小売店売上高の下落はまだまだ初動に過ぎないことが分かる。CPI(消費者物価指数)と同じように、ここから数ヶ月は逆風が吹くことになる。

景気はどこまで落ち込むか

投資家にとっては考えなければならないことがいくつかある。先ずはこの現金給付のあとの失速によってアメリカ経済が何処まで落ち込むかということである。

現在、アメリカの実質GDPは数字だけ見れば年率6.5%の成長と絶好調の状態にある。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
しかし小売店売上高のチャートが元の水準に戻るとすれば、ここからかなりの逆風がアメリカ経済を待ち受けているということになる。

問題は来年の経済成長がどうなるかということである。問題は勿論、6.5%の経済成長が維持できるかどうかなどではない。むしろ、現金給付で持ち上げられた今年の高いGDPを来年のGDPは上回ることが出来るのだろうか? 上回ることが出来なければ、当然ながら定義上景気後退ということになる。

現在、中央銀行がテーパリング(量的緩和縮小)を示唆しているにもかかわらず、アメリカの長期金利が低下している。


この動きはここからの景気減速を事前に織り込んでいるものではないか。

このトレンドを見事に的中させた債券投資家のスコット・マイナード氏は、長期金利は1%以下にまで下がると予想している。

マイナード氏が金利予想訂正、長期金利はやはり1%以下に下落へ
そして同じく債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏も同じようなシナリオを予想していた。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
追加緩和が来るまで、アメリカ経済は暗い数か月を過ごすことになりそうである。機関投資家たちは、低金利で恩恵を受ける銘柄に投資している。

世界最大のヘッジファンド、米国株を大幅買い増し
ジョージ・ソロス氏も米国株買い増し ビットコインで大儲けか

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15015

ガンドラック氏: 緩和継続ならゴールドよりビットコイン
2021年8月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15078


引き続きYahoo! FinanceによるDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。今回は金相場と暗号通貨について語っている部分を紹介する。

アメリカの量的緩和

コロナ以後、アメリカでは強力な量的緩和が続いているが、最近のアメリカにおける物価上昇を受けてFed(連邦準備制度)の委員たちはテーパリング(量的緩和縮小)を考え始めている。

パウエル議長に反旗を翻し始めた連銀総裁たち
ついにカシュカリ氏までテーパリングを支持
これまで株価を高く保っていた片翼がコロナ禍における現金給付であるとすれば、もう片翼は金融緩和だろう。それが少なくとも緩和縮小されそうである。これについてガンドラック氏は次のように述べている。

Fedがテーパリングを開始するかもしれないという噂がある。

しかし少なくとも量的緩和が行われている間は金利は非常に低い水準に保たれるだろう。CPI(訳注:消費者物価指数)が全体で5.4%、コア4.3%で上昇する中、実質金利は1970年代のジミー・カーターの時代に匹敵するマイナスとなっている。どちらの数字を取るにしても、実質金利は-3%か-4%ということになる。

ガンドラック氏が注目するのは名目金利からインフレ率を引いた実質金利である。金利が名目で高くとも、インフレ率も高ければ、実質金利は低くなる。そして経済に実際に影響を与えるのは実質金利である。

アメリカの実質金利(市場の予想値)は次のように推移している。


実質金利は低く保たれるのか

インフレ懸念でテーパリングだとは言っても、実質金利まで上がるとは限らない。インフレが上がる分だけ金利を上昇させるだけで済めば、実質金利には影響しないということになる。

少なくとも上のチャートを見る限り、状況はまだまだ十分に緩和的である。そしてインフレ率も上がっている。にもかかわらず調子の悪い資産クラスがある。ゴールドである。

ガンドラック氏は金相場について次のように語っている。

金価格は1,800ドルで停滞しているようだ。今われわれが話している現在、価格は丁度1,800ドル近辺だろう。一度2,000ドルまで上がって諦めた。およそ1年前のことだ。そして今、1,750ドルから1,850ドルの間を右往左往している。

金価格は現在次のように推移している。


金価格の停滞については、最近の短期的反発の前の記事だが、その反発の理由も含めて以下の記事で既に説明してある。

金価格急落の理由と今後の推移予想
しかしガンドラック氏はゴールドが他の資産に需要を吸い取られているのだと言う。ビットコインである。

緩和銘柄ビットコイン

ガンドラック氏はビットコインについて次のように話している。

ビットコインは過激なジェットコースターのような動きをしている。しかし長期的には大きく上昇した資産だ。この動きは政府が現金給付を行なって景気刺激したことが原因だろう。そして現金を受け取った人々は、恐らくゴールドを買うよりもビットコインを買うことになる。

だから景気刺激が暗号通貨の相対的パフォーマンスを決定する要因だ。

ガンドラック氏は以前よりビットコインを市場に注ぎ込まれている資金のバロメーターとして扱っている。ビットコインが上昇している間は市場に資金が溢れており、枯渇し始めるとビットコインが下落するということである。

そしてそのビットコインは次のように推移している。


どうも市場に資金は枯渇していないようだ。4月からのビットコイン急落を的中させたスコット・マイナード氏は、ビットコインは更に下がると言っていたが、これは残念ながら的中していない。

マイナード氏: ビットコインはここから更に半分以上下がる (2021/7/1)
そして最近のビットコイン下落のなか暗躍していたSoros Fund Managementにとっては大きな勝利となったようだ。

ソロスファンド、暴落中のビットコインをトレード開始 (2021/7/5)
両方とも同じ時期の報道である。

結論

金価格とビットコインのチャートを見比べると、ガンドラック氏の言う通りやはりビットコインが勝っているように見える。コロナで落ち込んだ経済を緩和で無理矢理持ち上げる相場においては、ゴールドより暗号通貨が向いているのかもしれない。

一方でガンドラック氏はビットコインを保有しているかどうかを聞かれて、次のように答えている。

持っていない。わたしにはリスキー過ぎる。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15078

37. 中川隆[-16599] koaQ7Jey 2021年9月05日 00:53:34 : mEmbBb0uLI : TmFqTk9kSFR4dVU=[3] 報告
低調な雇用統計、テーパリング懸念後退で金利上昇となった理由
2021https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15181

年9月4日 GLOBALMACRORESEARCH

注目していた読者も多いと思うが、9月3日に米国の8月分の雇用統計が発表された。失業率は5.2%(7月は5.4%)と悪くなかったが、問題は非農業部門労働者数である。

低調だった雇用統計

非農業部門労働者数は前月比23万5,000人増となり、予想の72万8,000人を大きく下回った。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-aug-us-all-employees-total-nonfarm-chart.png


GDPや個人消費が数字の上ではコロナ前の水準を上回っている一方で、労働者の数は以前の水準にまったく達しておらず、増加スピードは鈍化しているというのが今回の雇用統計の結果である。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP


個人消費のチャートをもう一度掲載してみれば、その違いが分かりやすいだろう。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-jul-us-real-persona-consumption-expenditures-chart.png

これはどういうことか。労働者は職場に戻っておらず、コロナ対策で大量にばら撒かれた現金給付や失業保険などの資金でコロナ前以上に消費しているということである。

これこそがアメリカで起こっているインフレの原因である。労働者が戻っていないということは、製品やサービスが生産されないということである。供給は限られ、需要はばら撒かれた現金によって強引に増やされている。

供給過少と需要過剰の結果は、当然ながら物価上昇である。まさにジェフリー・ガンドラック氏の予想通りの展開となっている。

ガンドラック氏: 現金給付と失業保険が失業を悪化させる
雇用統計と9月FOMC会合

今回の低調な雇用統計は明らかにアメリカにおけるデルタ株の流行が原因である。日本と同じくアメリカでも感染者数が増えており、職探しを延期した人も多かったのだろう。

ここで問題となるのがFed(連邦準備制度)の動きである。Fedはインフレを抑えるためにテーパリング(量的緩和縮小)を行おうとしており、何人かの連銀総裁らは今月のFOMC会合でのテーパリング発表を支持している。

連銀総裁らが次々に9月のテーパリング発表を支持 パウエル氏に反乱
しかしその内の何人かは今回の雇用統計が良い結果になることを条件に9月発表を支持していた。例えばアトランタ連銀総裁のボスティック氏は次のように述べていた。

8月の雇用の伸びが6月、7月並みの100万人近くになれば、10月というタイミングは適当だろうと思う。

10月開始、つまり9月発表である。しかし今回の雇用統計は100万人に大きく届かなかった。

また、ウォラー理事も次のように言っていた。

秋の初めにはテーパリングを開始したい。来年まで待つ理由は見当たらない。来週の雇用統計で非常に悪い数字でも出れば話は別だが、そういう状況も予想していない。

今回の数字が「非常に悪い」かどうかは彼次第だが、かなり悪いことは間違いがない。

以前よりテーパリングを支持していたブラード氏やカプラン氏はそれでもテーパリングを主張するかもしれないが、上記の2人はこれで年末まで待つ方向に動くかもしれない。またもやスコット・マイナード氏の予想が当たる方向に向かっている。

マイナード氏: 9月のテーパリング発表は起こらない
市場の反応

さて、低調な雇用統計を受けて金融市場はどう動いたか? まずアメリカの長期金利だが、面白いことに発表を受けて上昇した。


早期のテーパリング懸念が後退したにもかかわらずである。これもマイナード氏によって予想されていたことだが、奇妙なことにアメリカの長期金利はテーパリングを下落要因として動いている。

これは債券市場がアメリカ経済をかなり悲観していることを意味している。テーパリングが行われれば経済成長もインフレも両方沈んでゆく、一方でテーパリングが延期されればバブルが続き、物価が高騰するということである。どちらに転んでもどうしようもないアメリカ経済の現状を象徴した動きである。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ
そして金価格はどうなったかと言えば、テーパリング懸念後退を受けて素直に上昇している。


テーパリングが金価格に及ぼす悪影響については以下の記事で説明した上で、ここ数ヶ月に関してはトレンドが逆転するということもそれぞれ事前に説明済みである。

金相場はテーパリングで暴落するか? 価格の推移予想と見通し
金価格急落の理由と今後の推移予想
そして同じようにドル円も下落している。


アメリカ経済の減速懸念についてはドル円の売りが有効であるということも既に説明済みである。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
特に株式を買い持ちにしている投資家には、ドル円の売りは株価下落時の良いリスクヘッジになってくれるだろう。

以上のように状況は大体予想通りに進んでいる。そろそろ数ヶ月のデフレ相場を抜けた後にどうなるかを真剣に考え始めるべきなのだろう。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15181

38. 中川隆[-16568] koaQ7Jey 2021年9月06日 01:52:04 : tQG9jXw8Tg : UzB3NWlzNFdDRE0=[6] 報告
長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2021年9月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210

アメリカではテーパリング(量的緩和縮小)が始まろうとしている。金融緩和と財政出動で株価と経済を押し上げた流動性相場が終わり、別の新たな相場が始まろうとしている。

催促相場の始まり

この新たな相場の1つの特徴はドルが上がりにくくなることである。直ちに下がるとは言わないが、以下の記事ではトランプ相場の例を挙げ、流動性相場ではドルが上がるがその後の催促相場(市場が「緩和なしでは駄目だ」と言い始める相場)ではドルが上がりにくいことを説明した。


ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ

では金利はどうなるだろうか? アメリカの長期金利はテーパリングが噂された春頃から下がり始めたものの、8月からは小反発している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-9-4-us-10-year-treasury-yield-chart.png

これまで金利を低く抑えてきた量的緩和を縮小するテーパリング予想で金利が下がった。しかし最近の経済統計で経済活動が鈍化している状況が確認されるとテーパリングが先延ばしにされると観測され、金利は逆に上昇した。

予想通り7月インフレ率は急減速、数ヶ月のデフレ相場へ
低調な雇用統計、テーパリング懸念後退で金利上昇となった理由

実体経済の様子


これが現在の状況である。テーパリングが行われるのは、当然ながらコロナ禍で行われた現金給付などの刺激策がアメリカで物価高騰を引き起こしているからである。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
一方で個人消費などの経済活動は、刺激策がなければアメリカ経済は成長しないというシナリオを支持している。個人消費は今年3月の現金給付で跳ね上がって以降、横ばいを続けている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-jul-us-real-persona-consumption-expenditures-chart-1.png

4月以降の横ばいのチャートが、緩和がない場合のアメリカ経済の姿である。

米国政府はどうするだろうか? 緩和がなければ、実体経済は恐らく2022年には横ばいか、悪ければマイナス成長となるだろう。

しかし現金給付などの緩和を行えば、ただでさえ高騰している住宅価格は手が付けられないほど上昇し、アメリカ国民はインフレに苦しむだろう。

金利の推移見通し

長期金利がテーパリングで下がっているのはそれが理由である。債券市場は緩和を撤回すると実体経済が沈むということを理解している。そして緩和を続けるとインフレが止まらなくなることも理解している。だからテーパリング懸念で金利低下、テーパリング延期で金利上昇なのである。

だからその両方のシナリオを考えてみよう。テーパリングが強行され、利上げが行われる場合、アメリカ経済は高い確率でそれに耐えられない。短期金利が利上げに連動して上がる一方で、長期金利はそれほど上がらないか、むしろ下がってゆくだろう。

ではテーパリングと利上げがそれほど進まず、緩和的な環境が続く場合はどうか? この場合は物価の高騰が進み、短期的には長期金利は上昇するものの、最後には中央銀行は利上げでインフレに対応しなければならなくなり、その引き締めは今すぐ引き締めした場合よりも苛酷なものになるだろう。

こうした場合、債券投資家によく知られている結末は、長短金利差の縮小である。つまり、利上げによって短期金利は上がらざるを得ないが、長期金利は利上げと景気後退の両方の影響を受けるので、短期金利ほどは上がることが出来ないのである。

長短金利差の縮小

上記の考察により、どちらの場合にも最終的には長期金利は短期金利よりも上がらない、つまり長短金利差が縮小するという結論が得られた。これはインフレシナリオにもデフレシナリオにも対応できる投資戦略である。

典型的なのはアメリカで物価が高騰した1980年前後の状況である。インフレ率が15%以上を記録する中で長期金利も高騰した時代だが、短期金利と比較すると長期金利はむしろ大幅に下がった。つまり、長短金利差は縮小した。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-9-5-us-10-year-treasury-yield-minus-2-year-treasury-yield-chart.png


チャートを見ての通り、1980年前後には長短金利差は縮小するだけでなくマイナスになり、長期金利より短期金利の方が高い状況が続いている。

つまり、インフレシナリオになる場合、(金利と債券価格は逆相関なので、)短期国債を売って長期国債を買えば、短期金利上昇と長期金利低下の恩恵を受けられるということである。この場合、恐らく1980年と同様の長短金利差逆転が起きると筆者は推測している。

では引き締め政策でデフレシナリオになる場合はどうだろうか? その場合はこれまで投資家が長らく慣れてきた相場、つまりゼロ金利相場に戻ることになるだろう。短期金利も長期金利もゼロになる。現在の長短金利差は1%なので、金利差の下落余地は大いにあるということである。

結論

短期的には考えることが様々あるが、中長期的にはこのシナリオは不可避であるように思える。そしてこのシナリオは市場にまだ織り込まれていない、投資家に利益のチャンスがあるシナリオである。

現在、金融市場は緩和をして経済が浮揚して何の副作用もないという夢のようなシナリオを信じている。しかしその夢が崩れる時は確実に近づいている。

レイ・ダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏であれば、その副作用とは将来のドル下落だと言うだろう。

世界最大のヘッジファンド: ドル下落の時は近い
ガンドラック氏: ドル暴落は何年かの内に 米国株から避難せよ
あるいはスコット・マイナード氏であれば金価格の高騰だと言うかもしれない。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
しかし著名投資家もあまり注目していない第3の副作用が存在する。長短金利差の縮小である。

このトレードはもはやあとはタイミングだけの問題であるように思える。ドルの推移予想についても以下の記事で書いているので、そちらも参考にしてもらいたい。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210

39. 中川隆[-16248] koaQ7Jey 2021年9月21日 04:58:23 : ZgWVSspngo : MUExTnU5T2lJaGs=[7] 報告
ガンドラック氏: 永遠に追加緩和か、景気後退か
2021年9月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15663


中国恒大集団のニュースと交互になっているが、引き続きValuetainmentによる債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏のインタビューである。

日本を見てみろ

日本やアメリカなどの先進国政府は多額の負債を抱えている。その負債はコロナ禍で更に膨張した。これまではいくら緩和しても何も問題が起こらないかのように見えたが、アメリカで3回行われた現金給付によってアメリカの物価はついに上がり始めた。

米住宅は価格上昇で販売数減少、インフレ激化の兆し
債券の専門家であるガンドラック氏はこのことについて次のように述べている。

人々は言う。「日本を見てみろ。負債を心配する必要はない。日本のGDP比負債はアメリカより多い。」金利がゼロだからだ。政治家も最近ようやくこの困難な数学を理解したようだ。ゼロかける100兆は…ゼロだ。

現代マネタリー理論の論者に聞かれたことがある。「GDP比負債を気にする必要があるのか? インフレが起こらない限り、この考え方の何が悪いんだ?」わたしは答えた。「…インフレが起こっている。」

「インフレが起こらない限り」の決め台詞もアメリカではもう駄目になってしまったようだ。しかし何故アメリカでは物価は上昇したのだろうか? 量的緩和で紙幣をいくら印刷しても今のところ日本でインフレが起きていないのは事実である。では日本とアメリカでは何が違ったのか?

物価上昇の理由

1つ目の理由は現金給付である。量的緩和とは印刷した紙幣を使って中央銀行が銀行などから債券を買い上げる政策だが、それは中央銀行と金融業者のやり取りであり、その時点では消費者の懐とは関係のない取引である。銀行の持つ現金は増える(マネタリーベースが増加する)が、消費者や一般企業の預金(マネーサプライ)に影響はない。

しかしアメリカでは日本の3倍以上の規模の現金給付が行われたことで、消費者の銀行口座に直接資金が注入され、消費者が使えるお金(マネーサプライ)が急増してしまったのである。アメリカのマネーサプライのチャートは次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/09/2021-aug-us-m2-money-stock-chart.png


コロナ後に急増していることが分かる。これがインフレを引き起こした原因である。

そしてもう1つの理由は、アメリカ人に貯金がないことである。

アメリカ人は日本人より貧しいのだろうか? 全体で見ればそうではないかもしれない。しかし平均的にそこそこの貯金のある日本人とは違い、貧富の差のおかげで大多数のアメリカ人には貯金がないのである。

アメリカではリボ払いによってクレジットカードの支払い残高を残す設定をデフォルトにしている人も少なくない。後で払えば良いのだから、何故今払わなければならないのかということである。日本人には信じられないがこういうアメリカ人が本当に実在する。彼らは日本の位置を聞かれてインドを指差す人々である。

だから貯金が10万円もないアメリカ人もかなり多い。むしろ支払い残高を含めるとマイナスになっているかもしれない。

ある程度貯金がある人々が10万円を渡されても、まったく使わないか、ある程度は残すだろう。しかしこうした人々が10万円を渡されたらかなりの部分使ってしまうに決まっている。そしてインフレが起こったのである。

使われてしまった紙幣印刷

結局、当たり前の話なのだが、紙幣印刷がインフレを引き起こすかどうかは、刷られた紙幣が使われるかどうかにかかっている。

貯金がある間は紙幣が配られてもそれほどは使われない。しかし問題は、ガンドラック氏によれば量的緩和政策が経済の低成長を引き起こすということである。

ガンドラック氏: 量的緩和はデフレの原因
量的緩和で印刷された紙幣は最初のうちは使われず、インフレも起こらないが経済成長率はじりじりと下がってゆく。結果として経済成長が高かった時代に蓄えた貯金も徐々に減ってくる。そうして貯金がなくなった時に臨界点は訪れ、物価が高騰するのである。

貧富の差と3倍の現金給付のお陰でアメリカはついにそのターニングポイントに到達してしまったようである。現金給付がなければ金がないターニングポイントである。コロナでそうなったわけではない。コロナが最後の後押しをしただけである。

ガンドラック氏は言う。

永遠に緩和し続けなければ、アメリカ経済は景気後退に陥るだろう。

緩和を止めるどころか、緩和を減らすことさえ景気後退なしには出来ないだろう。

その兆候は既に出ている。現金給付が今年3月を最後に途絶えると、アメリカでは既に景気減速の兆しが見られている。

予想通り減速の8月米インフレ率、デフレ相場に中国の不動産バブル崩壊の追い打ちか
現金給付がなくなったので、デフレと低成長へ逆戻りである。そしてそこに中国恒大集団の問題がのしかかってくる。

恒大集団の倒産危機と中国不動産バブル崩壊懸念まとめ
恒大集団倒産と中国不動産バブル崩壊で空売りすべき銘柄リスト
恐らくはこのまま進めばアメリカ経済は来年には景気後退に陥るだろう。来年11月には中間選挙があるので、バイデン政権は追加緩和なしで景気後退とデフレよりは、追加緩和の道を選ぶだろう。

しかしその時がアメリカにおける本物の物価高騰の始まりとなる。これまで一時的な上昇に留まった金属や農作物などのコモディティ市場も、もはや留まるところを知らない上昇トレンドに乗ることになる。スコット・マイナード氏の言う「金価格5倍」の世界である。

マイナード氏: インフレ懸念で金価格は最大5倍になる
しかしそれよりも恒大集団と中国の不動産バブルの問題に取り掛かるのが先だろう。それと同時並行でアメリカの短期デフレ相場が続く。

短期デフレ相場に対処するための以下のポジションは、投資家が恒大集団の問題を対処するために役立ってくれるはずである。ドル円と米国債である。こちらの記事も参考にしてもらいたい。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15663

40. 中川隆[-15825] koaQ7Jey 2021年10月25日 23:24:36 : TB9yu1cbVQ : TGVnMUt0dC5KQXc=[43] 報告
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
2021年10月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

ブラック・マンデーを予測したことで有名な投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏がCNBCのインタビューでインフレについて語っている。

インフレ危機

ジョーンズ氏は次のように断言する。

今投資家が直面している最大の問題はインフレだ。

Fed(連邦準備制度)がインフレは一時的だと言い張る中でそうではないと言い続けてきたジョーンズ氏だから、今こう発言することに不思議はないだろう。彼はこう続ける。

インフレが一時的ではないことは明らかだ。このまま居座り、間違いなく金融市場に対する脅威となり、そして恐らくは社会全体への脅威となるだろう。

事実、ガソリン価格が高騰しているのは日本人でも実感しているはずだ。金融市場では原油価格は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/10/2021-10-25-wti-crude-oil-chart.png


去年マイナスになった原油価格を高値まで押し上げたのは、現金給付と西洋のリベラル派が推し進めた脱炭素政策である。需要があるにもかかわらず、化石燃料の生産を無理矢理抑制した結果がこれである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16442


高騰するエネルギー価格が既に高くなっている物価を更に押し上げてゆくとジョーンズ氏は主張する。

5.4%というCPI(消費者物価指数)の数字は本当に驚きだ。30年来の高い数字で、もちろんここから数ヶ月で更に上がってゆく。

原油価格の高騰はそこから数ヶ月の遅れを経て、原油を原料として作られる様々な製品のインフレへと転嫁されてゆくからである。

インフレを招く現金給付

そしてインフレの原因となっているのは脱炭素政策だけではない。マネーサプライ、つまり銀行口座に存在する貨幣の量についてもジョーンズ氏は言及する。

経済の需要の側を考えよう。つまりM2(訳注:マネーサプライ)だ。M2は新型コロナの流行が始まってから5.4兆ドルも増えた。この増加量は本来の増加量よりも3.5兆ドル多い。

3.5兆ドル、つまりGDPの16%分が預金として待機しており、株式や暗号通貨や不動産や消費に使われるのを待っている。

アメリカでマネーサプライが増加したのは明らかに現金給付が原因である。アメリカでは都度3回、合計で1人あたり30万円以上の現金が給付されており、これが銀行預金残高の爆発的増加と物価の上昇をもたらした。

そしてこれは対岸の火事ではない。日本にも遠からずインフレの時代が来るだろう。何故ならば、日本も再び現金給付を考え始めているからである。

日本でもインフレ近づく

アメリカで既に日用品の値段が上がって年間で10万円どころではない損失になっている消費者も多いだろうに、負け確定の戦略に後から率先して飛び込んでゆくあたりは流石、第2次世界大戦で負けた日本らしいというべきだろうか。脱炭素政策についても同じことで、先導していた菅氏と小泉氏はいなくなったが、それでも日本政府は西洋の間違いを今後も真似するのだろう。

現金給付に関しては経済学者ミルトン・フリードマン氏が述べた現金給付の本質をもう一度思い出してほしい。

ミルトン・フリードマン氏: リベラリズムは衆愚政治である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12998


こうした政策の中身は、現実には政府がまったく恣意的に国民の一部から税金を略奪して国民の他の一部に補助金として与えるということでしかない。

結局GO TOトラベルも現金給付もそういうものでしかなかったにもかかわらず、前者を否定する人も後者には気を引かれるらしい。しかし国民がそういう道を選ぶならば、来年か再来年には日本にもアメリカのような物価高騰が待ち受けているだろう。

皮肉なのは、現金給付と脱炭素政策という物価高騰の二大原因が両方とも政治家によって引き起こされた、つまり政治家が何もしなければ問題は生じなかっただろうということである。経済学者ハイエク氏は本当に慧眼だったと言わざるを得ない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


政府が自分の頭で考えて行動しようとすれば、その被害は増大するように思われる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

41. 中川隆[-15293] koaQ7Jey 2021年11月14日 10:40:42 : GOGU4P3R6A : RVliVmZjWkd0bi4=[13] 報告
世界最大のヘッジファンド: 資産価格が上昇しても裕福にはならない
2021年11月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、LinkedInのブログでますます高まるアメリカのインフレについてコメントしている。

止まらないアメリカの物価高騰

先日、アメリカではCPI(消費者物価指数)が発表され、物価上昇が30年ぶりの高水準であることが示された。

10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
かねてより紙幣印刷が最終的にはインフレを生むと主張してきたダリオ氏がこれに反応したのは当然だろう。彼は次のように述べている。

昨日のインフレ統計はインフレが高まっており、人々の財産を溶かしていることを示している。これは当然である。

去年コロナの流行が始まり、現金給付や様々な救済措置が発表された時から筆者やダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏のような投資家たちは当たり前のように物価高騰が起こるとして警告を続けてきた。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
そしてそれが当たり前のように現実となっている。

まともな金融家には何の驚きもない、政治家によって引き起こされた経済危機がアメリカを襲っている。政治家が国民を襲っていると言っても良いだろう。票田にばら撒くために国民の生活を犠牲にしたからである。そして日本では、国民は自分を害した政治家に対して犬のように寝転んで腹を撫でられようとしている。自民党支持者のことである。

不可避の物価高騰

好む好まざるに関わらず、インフレは来る。日本でもガソリン価格が高騰しているが、こんなものはまだまだ序の口である。ダリオ氏は次のように続ける。

一部の人々は資産価格が上がって裕福になったと勘違いしているが、自分の購買力がどれだけ溶けているかを考えていない。一番被害を受けるのは、資産を現金で持っている人だ。

ダリオ氏は数年前から現金はゴミだと言い続けてきた。

世界最大のヘッジファンド: 現金はゴミ、別のものに投資を
それは当時は現金よりも金融資産をという意味だったが、今では現金を持っていてもものは買えないという意味に変わった。それがインフレの意味である。そういう時代が来ようとしている。

状況を上手く説明するために、ダリオ氏は4つの定式を立てている。

資産 = 購買力
資産 ≠ 金融資産
資産の創造 = 生産すること
資産の減少 = 購買力の減少
要するに、資産価格が上がってもそれを売却してものが買えなければ何の意味もないとダリオ氏は言っているのである。そして豊かになるためには紙幣を印刷するのではなく、ものを生産する必要がある。ダリオ氏は以前言っていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
紙幣は食べられない。

インフレ対策

人々はどうするべきだろうか。例えば株式の購入はインフレには勝てないのだろうか。

1970年代から80年代のアメリカのインフレでは、株価はインフレに大いに負け、インフレを差し引いた実質リターンでは酷い状況に陥っている。以下の記事は再読の価値があるが、当時の株価をインフレ率で割ったチャートを再掲載しよう。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる

アメリカ株が10年間マイナスリターンだった時代があったのである。そしてそれはインフレによってもたらされた。この意味が今の投資家に分かるだろうか。

アメリカの凋落

物価高騰とは貨幣価値の暴落であり、それは一定のタイムラグを経て為替相場におけるドルの暴落に繋がる。ダリオ氏がその先に見ているのはアメリカの凋落である。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
ダリオ氏は人々が政府から降ってくるお金でリッチになった気分になる代わりに貧困に突入するのではなく、ものを生産することで豊かになってほしいと願っている。

アメリカは収入よりもよほど多くの消費をしており、しかもそれをばら撒かれて減価している紙幣で支払っている。状況を改善するには協力してより生産するしかない。今のところ、われわれは間違った方向に進んでいる。

だが人々がダリオ氏の賢明な助言を聞くことはないだろう。人々は賢明ではないからである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277

42. 中川隆[-14747] koaQ7Jey 2021年12月07日 12:08:23 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[82] 報告
サマーズ氏: 市場を急落させても4回の利上げが必要
2021年12月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17915


アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューでアメリカの来年の利上げについて語っている。

パウエル議長への注文

Fed(連邦準備制度)のパウエル議長は長らくインフレを一時的だと言い張っていたが、先日の議会証言でそれを撤回するとようやく宣言した。

パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆
筆者を含め多くの金融家はパウエル氏の主張には根拠がないと指摘していたが、経済学の世界からパウエル氏を批判していた急先鋒がサマーズ氏である。ようやく起こったパウエル氏の心変わりにサマーズ氏は次のようにコメントしている。

パウエル氏が議会証言でインフレの議論から「一時的」という言葉を引退させると主張したのは良いことだと思う。そもそもそんな主張が必要なければ一番良かったが、インフレの現実を考えると議長の発言を喜ばしく思う。

去年現金給付を目の当たりにした時からインフレを警告していた多くの人々が同じように思っているだろう。

さて、問題は中央銀行の次の動きである。間違いを1つ認めたパウエル氏に対して、サマーズ氏は次の注文を付けている。

パウエル氏が次に認識する必要があるのは、様々な意味で金融政策のもっとも単純な指標である、市場で織り込まれている今後1年の金利から市場の期待インフレ率を引いた実質金利が史上最低水準だということだ。この数字はいまや-3%を大きく下回り、-4%に近づいている。

経済に対する影響を見る上でもっとも大事なのは実質金利である。

例えばトルコの政策金利は15%だが、金利が高いから金融政策が引き締め的なのかと言えば、インフレ率20%よりも大幅に低いため全然引き締め的ではない。金利はインフレ率との関係で見なければならないのである。

この意味では、インフレ率が先進国としてはかなり高くなっているにもかかわらず低金利が保たれているアメリカの金融政策は、トルコとそれほど変わらない水準で緩和的だということになる。

サマーズ氏は次のように続ける。

この状況では緩和的な金融政策はふさわしくない。だから量的緩和やモーゲージ債の買い入れを続ける理由はまったく無いこと、量的緩和をすぐに止めるべきではない理由はないこと、インフレが目標より十分高いときに始めるべきことを始める必要があるということを、パウエル氏は表明すべきだろう。

アメリカはようやくテーパリング(量的緩和縮小)を開始したが、逆に言えば物価が高騰する中でいまだに量的緩和を終了していないということである。

何故緩和を止められないのか? リーマンショック以来緩和の薬漬けになってしまった市場経済は、緩和がなければ空中分解するからである。

しかし緩和を続けても結局株価も経済も空中分解するだろう。その結果が株価暴落か、物価高騰かというだけの違いであって、量的緩和と現金給付で作り上げた砂上の楼閣はせいぜい10年か15年しか保たないのである。

債券投資家のスコット・マイナード氏はこの状況について次のように述べていた。

マイナード氏: 利上げ強化でアメリカ経済は墜落するがそれまでは株高継続へ
ここでは何かが起こっている。わたしが自分のキャリアで見たこともなく、歴史上に例も見つからないような何かだ。実質金利がこれほど低いにもかかわらず、それでせいぜい経済成長を何とか維持することしか出来ない。

明らかにサマーズ氏と同じものを見ている。

それでも利上げが必要になる

来年の金融政策はどうなるだろうか。サマーズ氏は次のように述べている。

わたしが議長なら、インフレが今後どう推移するかにもよるが、来年に4回の利上げを示唆するだろう。

インフレが一時的でないことをようやく認めたパウエル氏は、次にインフレ圧力がかなり強力であることを認めなければならなくなるだろうということである。

しかし市場や実体経済は4回の利上げに耐えられるだろうか? サマーズ氏は次のように続ける。

それは衝撃になるだろうが、金融政策が作用するまでのタイムラグを考えると、信任を取り戻すためには衝撃が必要なのだ。

結論

先進国の人々は今、金融緩和を繰り返して通貨下落が止まらなくなったトルコのエルドアン大統領を笑っているが、はっきり言うが遠くない将来多くの先進国も同じことになるだろう。アメリカもヨーロッパも日本も同じことをしているのである。

物価高騰と金融緩和でトルコリラが暴落中
利上げについては筆者は金利だけ考えれば株式市場は5回以上の利上げには耐えられないと以前説明した。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
一方で、中国の不動産バブル崩壊など他の要因によってそれが早められる可能性があるとした。総合すると利上げ3〜5回で株価崩壊となり、サマーズ氏も含め皆大体同じくらいの利上げ回数を考えていることになる。

著名投資家は既に株式市場から撤退を始めているようだ。あと1年にも満たない株式市場の上昇の可能性を追うよりは、他の市場で儲ける方が良いだろう。

ジョージ・ソロス氏、インフレトレードを継続 ハイテク株は一部利益確定
ドラッケンミラー氏、やはりインフレ懸念でハイテク株を利益確定


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17915

43. 中川隆[-14742] koaQ7Jey 2021年12月07日 17:37:07 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[91] 報告

現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない
2021年12月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17958


金融市場がアメリカの物価上昇を懸念し始めてから数ヶ月が経つが、実際今後のインフレ率はどう推移してゆくだろうか。筆者がここで議論したいのは、恐らくインフレ率は一方的に上昇を続けてゆくわけでもなければ、中央銀行の引き締めで一方的に下がってゆくわけでもないだろうということである。

今後のアメリカのインフレ見通し

リーマンショック以来の紙幣印刷が現金給付によって臨界点を超え、世界経済は風前の灯となってしまった。そして風前の灯となった経済がどう振る舞うかということは、それほど単純ではないだろう。

アメリカでは明らかに物価が上がっており、投資家ではない普通の人々さえもインフレを懸念している。このインフレの勢いは来年には輸入物価を通して日本にも入ってくるだろう。

10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
今後の推移は2パターンしかないように見える。Fed(連邦準備制度)が金融引き締めを強めて株価と経済を墜落させ、物価はデフレに向かうのか、金融政策を十分引き締めることが出来ずに物価高騰が止まらなくなるかである。

しかし実際のところ、今後の物価見通しはそれほど単純ではない。それを示唆するのが米国債の金利である。


まず、2年物国債の金利はこのように上がっている。短期金利である2年物国債の金利は、今後の政策金利の見通しに影響される。Fedのパウエル議長はようやくインフレ抑制にやる気を見せ、今後利上げが行われるとの観測をそのまま反映しているのである。

一方で長期金利と呼ばれる10年物国債の金利はそれほど上がっていないどころか、やや下がり気味である。


この差はここでは何度も取り上げている通りである。

長短金利差の実体

しかしこの差は何を表しているのだろうか? もう少し詳しく見るために、市場の期待インフレ率のチャートも並べてみたい。

以下は10年物国債の金利(名目金利)から10年物のインフレ調整済み国債の金利(実質金利)を引くことで導出した、市場の期待インフレ率である。


これは10年物国債の金利から割り出した期待インフレ率なので、今後10年のインフレ率が年率で2.4%になると市場が予想しているということである。

ではこれを5年物国債について同じ計算をした期待インフレ率と比べてみるとどうなるだろうか?


5年の期待インフレ率は2.7%であり、10年のものよりも高く、しかもチャートの上がり方も激しいことが分かる。市場は今後10年のインフレよりも今後5年のインフレの方が酷くなると考えている。

今後の中長期的なインフレ率

この事実は、これから何年かインフレは上昇するが、今後必要となる金融引き締め政策のお陰で10年以内には沈静化する、つまりインフレ率はこれから上がって下がるという予想を市場がしていることが分かる。

そして恐らくそれは事実だろう。そして経済成長率も同じようになると想定される。恐らくは株価もである。

だが状況はそれで終わりというわけでもないというのが本稿の趣旨である。何故かと言えば、まずは前回アメリカがインフレに苦しんだ1970年代のインフレ率と、それにアメリカの政策金利を並べたチャートを見てもらいたい。


波が3回来ているのが分かる。もうお分かりだと思うが、コロナと同じように今のアメリカのインフレは第1波に過ぎないのである。

まずチャートの第1波の部分に注目してもらいたい。インフレ率は6%付近まで上がっており、この数字は今の前年同月比のインフレ率にほぼ等しい。

チャートを見て分かるように、この時はFedは9%近くまで利上げをし、結果としてインフレは沈静化された。

しかしそれでは終わらなかったのである。チャートの影がかかっている部分はアメリカ経済が景気後退に陥った部分であり、利上げをする度に経済が景気後退に陥っているのが分かる。

インフレでやむなく利上げをし、インフレはようやく落ち着いたが経済は死んでいる。人々が何を望むかお分かりだろうか? 緩和である。

それでもう一度金利は下がり、結果としてインフレ率は再び上がることになる。経済はコロナのために今でも十分疲弊しているが、今後利上げによる景気後退を経験すれば更に疲弊した状態になるだろう。

経済成長を維持するためには更に強力な緩和が必要になる。それでインフレの第2波は第1波より高いものになる。これが何度も続いて経済が壊滅的な物価高騰を経験するところまで行ってしまうというのが1970年代の教訓であり、恐らくこれから同じようになる可能性は高い。

結論

これまではインフレ第1波のことだけを書いてきたが、市場がようやく第1波を警戒し始めたので、ここではそろそろ第2波について考え始めても良い頃だろう。他人より早く先を読むことが投資家の仕事だからである。

しかし世界経済は本当に気の滅入る先行きになってきたようだ。リフレ派の人々は果たして責任を取るだろうか。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17958

44. 中川隆[-14520] koaQ7Jey 2021年12月20日 09:15:00 : r6Bg08QnFk : OGxIUmNIYWdJaFU=[10] 報告
日本銀行は日本政府の子会社である
2021-12-19
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12716442466.html


 先日の安倍元総理の、
「日本銀行は国の子会社。立派な中央銀行だが、5割は政府が株を持っているから、連結決算上は債務ではないという考え方も成立する」
 に、日刊ゲンダイが噛みついています。

『安倍元首相またまた妄言「日銀は国の子会社」…円の信認ガタ落ちで通貨危機に現実味
 安倍元首相の発言がまた物議を醸している。首相在任中のアベノミクスと放漫財政を正当化するためなのか、赤字国債は国の借金ではなく「背負っているのは日本銀行」などと言い出した。(後略)』

 いや、とりあえず「日銀は政府の子会社」は、否定できない事実ですよ。
 
『日本銀行法 第八条(出資金) 日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2 前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。』

 日銀の資本金は一億円で、その内、政府が5500万円を持っているため、日本銀行は政府の子会社です。


 ちなみに、日本銀行はホームページで、
『日本銀行はわが国唯一の中央銀行です。日本銀行は、日本銀行法によりそのあり方が定められている認可法人であり、政府機関や株式会社ではありません。』
 と、説明していますが、実はJASDAQに上場していたりします。
 一応、JASDAQで取引されているのは「出資証券」であり、株式ではないという建前になっていますが、「資本」の売買がなされているのは同じです。しかも、JASDAQは「株式市場」であり、日本銀行の出資証券の価格は「株価」として掲載されます。


 ちなみに、日銀の株式を持っていたところで、何しろ「株主総会」は開かれず、株主に議決権はなく、配当金も制限されています。何か、頻繁に「日本銀行を支配しているのは国際金融資本だろ」と、凄まれるのですが、いや、日本政府です。何しろ、株式の55%を所有している。
 残りの45%を買い占めたところで、日銀に影響力を振るうことはできません。


 日銀は、自分たちは認可法人であり、株式会社ではないと主張していますが、55%の株を持つ日本政府が「親会社」であることに変わりはありません。親会社、子会社間のお金の貸し借り、利払いは、連結決算で相殺です。これは株式会社だろうが、認可法人であろうが、協同組合であろうが同じです。会計のルールがそうなっているのです。(日本政府は日銀保有国債の利払いをしていますが、日銀決算後に国庫納付金として政府に戻り、税外収入に組み込まれています)


 現在、政府の国債の48%は子会社の日本銀行が「貸し手」であるため、安倍元総理の発言は(用語の厳密性はともかく)正しい。

 ゲンダイの記事を読むと、
「建前であっても、中央銀行の独立性を元首相が否定したら円の信認に関わる」(日銀関係者)
「財政法が禁じる直接買い入れを事実上、認めるようなもの。日銀を私物化したアベノミクスの本質が発言に表れている」(財務省関係者)
 といった日銀「関係者」や財務省「関係者」のコメントが載っています。


「日銀は政府の子会社」
 は単なる事実であり、しかも日銀の独立性は「手段の独立」です。安倍・元総理のコメントが、なぜ「日銀の手段の独立」を否定したことになるのか、さっぱり分かりません。そもそも「円の信認」って、何でしょう?


 また、安倍・元総理は「市場を通じて日本銀行に買ってもらった」と、正しいことを主張している。日本銀行が市場から国債を買うことは、財政法五条とは関係ありません。というか、日銀は国債を買わなければ、通貨供給ができません。

 もっとも、日銀「関係者」や財務省「関係者」にしても、「日銀は政府の子会社ではない」とは主張できないようですね。事実に反してしまうから。


 さらに、ゲンダイは、
『(引用)それに、子会社に借金をツケ回して逃げるのは、バブル崩壊後に横行した「飛ばし」の手法である。山一証券はそれで倒産した。元首相の立場でこんな妄言を繰り返せば円の信認はガタ落ちで、それこそ通貨危機を招きかねない。』
 などと世迷言を言っていますが、民間の金融機関と日本銀行を同一視するわけですから、そのレベルの低さにあきれ果ててしまいます。


 日本銀行は「利益」を目的とした機関ではないため、時価会計を採用していません。国債を買い取り、地球滅亡の日まで借り換えをすればいいだけで、インフレ率が高騰しない限り、何の問題もない。


 さらに、日銀が買う国債は、すでに「政府支出」が終わった既発債で、インフレ効果は完了しています。


「日銀は政府の子会社」
 という、安倍・元総理の認識は正しい。そして、この認識こそが、
「日本円建ての国債の債務不履行はあり得ない」
 を導くのです。


 というわけで、本日は「日銀は日本政府の子会社」について、論点をまとめてみました。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12716442466.html

45. 中川隆[-14516] koaQ7Jey 2021年12月20日 09:37:05 : r6Bg08QnFk : OGxIUmNIYWdJaFU=[14] 報告
イギリスの先見性 _ 物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行


物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763


コロナ禍による景気後退で先進国のほとんどは野放図に量的緩和と現金給付を行なっている。アメリカでは既に物価高騰の初期症状が出ているが、気に留めている政治家は見られない。一方でインフレの危険性に気付いてインフレ主義から逃げ出そうとしている国がある。イギリスである。

米国がインフレが2%を超えて推移しても直ちに金融引き締めはしないと主張していることは以下の記事で報じておいた。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避


そしてアメリカでのインフレ懸念による金利高騰につられて金利が上がっているユーロ圏では、金利高騰を抑えようとECB(ヨーロッパ中央銀行)のパネッタ専務理事は債券買い入れの増額をほのめかしている。

パンデミック緊急買い入れプログラムの買い入れ枠すべて、あるいは必要ならばそれ以上の買い入れを行うことを躊躇するべきではない。

そんな中でひとり違う方向を見ている中央銀行がある。イングランド銀行である。

わが道を行くイギリス

日米欧がインフレを考慮せず緩和を続けるなか、イングランド銀行の主席エコノミストであるアンディ・ハルデーン氏は先月末の公演でインフレへの懸念を表明した。氏は公演のなかで次のように述べている。

フリードリヒ・フォン・ハイエクはかつてインフレ制御は虎の尾を掴もうとすることに似ていると言った。

ハルデーン氏が持ち出すのはここの読者にお馴染みの経済学者ハイエク氏である。財政出動を正当化したケインズ氏と論陣を張り合ったハイエク氏は、政府が財政出動にともなう利権を増やすために科学的根拠のないインフレ主義を隠れ蓑にしていると主張していた。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
世界最大のヘッジファンド運用者レイ・ダリオ氏の最近の主張もどうもハイエク氏の経済学を基盤にしているような論調であり、優れた論客は自然とハイエク経済学に集まるようである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
20世紀最大の経済学者(ケインズ氏ではない)に敬意を払うハルデーン氏は、コロナ禍による景気刺激によってインフレの虎が覚醒しつつあると主張する。

過去12ヶ月における未曾有の出来事と政策による対応で、虎はいまや興奮状態にある。

特に世界的にコロナの新規感染者数が減り、しかもアメリカでも日本でも更なる財政出動が予定されている今、インフレ率はどうなってゆくだろうか。ハルデーン氏は次のように続ける。

これから需要が回復し、供給に制約があるとすれば、予想よりも鋭くかつ持続的な物価の上昇がイギリスに起こり、インフレ目標をオーバーシュートする可能性があると判断している。

世界の金融市場はこの可能性を織り込み始めている。期待インフレ率は米国で上昇しており、ユーロ圏でも米国ほどではないが上昇している。

ハルデーン氏は中央銀行家というよりはヘッジファンドマネージャーのように経済を見る人物である。これまでの記事を既読の読者もそう思ったのではないか。彼は金融市場の動きを理解している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


イングランド銀行の先見性

Fed(連邦準備制度)や日銀が無視しているリスクをイングランド銀行は見つめている。個人的に面白く思うのはこのインフレゲームはイギリスが始めたものだという事実である。

中央銀行によるマネーゲームはイギリスによって発明された。イングランド銀行は世界初の中央銀行だからである。イングランド銀行が財政ファイナンスのために設立されたことは以下の記事で説明した通りである。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
その後、中央銀行というシステムは政治家にとって便利だということが判明したため各国も追随した。

そして今、イギリスが始めたマネーゲームからイギリスだけが逃げ出そうとしている。非常にイギリスらしいことである。グローバリズムもいわば大英帝国によって広められたものではなかったか。そこから最初に逃げ出したのもイギリスであった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
イギリス人は危険を察知する嗅覚に長けている。中国主導のアジアインフラ投資銀行も欧州勢が参加を躊躇している中でまっさきに手を挙げ、欧州勢の出資を促して中国に恩を売ったかと思うと実際の資金はドイツに任せて自分の金はほとんど出さなかった。世界大戦でも元々中核に居たはずなのだがいつの間にか戦争は日本とドイツのせいだということになっていた。

そのイギリスがインフレ政策から手を引こうとしている。優れたファンドマネージャー並みのエコノミストを有していたことがイングランド銀行にとっての幸運だろう。そして筆者が懸念しているのが、最後まで沈みゆく船に乗り続けるのがまたもや日本になるのではないかということである。

第2次世界大戦でも西欧諸国が始めた植民地政策の後始末を何故か担当することになったのが引き際を理解しなかった日本とドイツである。世界大戦は日本とドイツの責任ということになっている。始めたのはスペイン、ポルトガル、イギリス、フランスである。

中央銀行というイギリスが始めたマネーゲームに最後まで乗っているのも恐らく日本になるだろう。中央銀行などそもそも必要ないのである。日本人がそれに気付く日はいつ来るだろうか。多分来ないだろう。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか
2021年12月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194


世界的にインフレが大きな懸念となる中、各国の中央銀行は物価高騰を抑えるための金融引き締めを渋っている。アメリカはいまだ量的緩和を終了できておらず、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は金融緩和を続ける構えで「マダム・インフレーション」と揶揄されている。誰もみずから株価を下落させたくないのである。

そうした中で痛みを伴ってでも早く行動し早く傷口を塞ぐために利上げを開始した国がある。イギリスである。

イングランド銀行、予想外の利上げ

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は12月16日、予告なしに政策金利を0.1%から0.25%へ利上げした。ベイリー総裁は中央銀行にとって事前にガイダンスを出すことは有害だと考えている中央銀行家だから、Fed(連邦準備制度)のように事前に予告しなかったことに驚きはないだろう。

イギリスの現在のインフレ率は5.1%(前年同月比、以下同じ)であり、莫大な現金給付を行なったアメリカの6%よりも多少ましである。グラフは最新月の分を含んでいないが次のようになっている。


それでもイングランド銀行は先に動いた。内部でいち早くインフレの危険性を指摘したのは以下の記事で報じたようにハルデーン氏だった。3月の時点でインフレの危険性を指摘できた中央銀行家が他に居ただろうか。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行 (2021/3/4)
そして最終的にはベイリー総裁もそれに同意したということである。今回の利上げは8対1の多数によって支持されている。

開始された利上げ

イングランド銀行は今後、イギリスのインフレ率は冬のあいだ5%前後、春には6%まで上がると予想している。ちなみにこの予想は11月の予想に比べて上方修正を余儀なくされている。

しかしそれでもイングランド銀行は他よりも早く動いた。アメリカは量的緩和を3月頃までに終了、その後利上げを行うと考えられている。アメリカが金利を上げない間、つまりインフレ率が6%であるにもかかわらずゼロ金利をいまだに維持している間に、インフレは更に加速するだろう。

利上げは当然経済と株式市場にとってマイナスとなる。ただ、イギリスの株式市場は今のところ過剰反応はしていないようだ。


歴史的には、1回目の利上げですぐに株価暴落となることは少ない。以下の記事を参考にしてもらいたい。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
マイナード氏: 利上げの初期には株を買え


しかしそれでもコロナで疲弊した現在の実体経済は何処の国も脆弱であり、株式市場もそれほど長くは耐えられないだろう。

結論

それでもイギリスはいち早く利上げを開始した。個人的にはこれが正しい選択だと思う。火は小さい内に消火するに限るからである。そうすれば消費者に及ぶ物価高騰の被害もアメリカやユーロ圏、そして日本よりも小さくなるだろう。

筆者はどの国が先にインフレに向き合うか興味を持って見ていたが、やはりイギリスだった。中東人をヨーロッパに甘言でおびき寄せて地中海で溺れさせる移民政策から一番最初に手を引いたのもイギリスだった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
そしてもっと言えば、2度の世界大戦で2度とも勝っているのもイギリスなのである。それは偶然でもイギリスが軍事的に強かったためでもない。イギリス人は沈みゆく船を嗅ぎ分けることに関して天賦の才を持っている。インフレ政策は沈みゆく船だということである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194  

46. 中川隆[-14506] koaQ7Jey 2021年12月21日 20:02:28 : Tcpj8XXBCE : RHV1SU9zZTg0ZHM=[4] 報告

2021年12月21日
アメリカはインフレ警戒で利上げ、世界は同時不況の法則

インフレを解消するため政府は意図的に不況を作り出す


米利上げが終わらせる10年来の金融資産バブル

世界では新型コロナ異種のオミクロンが再流行しているが、オミクロン以上にインフレが恐れられれている。

各国の物価上昇率は1年前と比べて、アメリカ、ドイツが6%台で高く、イギリス4%台、フランス、中国は2%台だった。

日本は主要国唯一の1%未満となる0。1%で、マスコミはインフレ危機をあおっているが実際はデフレです。

インフレ率は相対的なものなので日本はアメリカと比べて年2%、中国と比べても年2%デフレです。

アメリカはインフレを警戒していて、不況下で物価だけが上がるスタグフレーションや、ハイパーインフレを懸念している。

スタグフレーションは1年で物価が10%上がるのに、成長率はマイナス10%になるような状況です。


日本もバブル期にはインフレに悩まされ、悩んだあげく急激な利上げでバブル崩壊させた。

アメリカもインフレ退治のために利上げを決断し、2022年は3回ほど利上げする。

米政策金利は現在0.25%だが過去には利上げによって世界的な不況を引き起こしている。


一般的に米金利が5%を越えると不況になり、日本や外国もその影響を受ける。

5%はまだ遠いがこれも相対的もので、0%から3%程度に利上げすれば、2%から5%になったのに等しい。

過去の世界的不況の多くには米利上げが関わっていて、逆に世界的好景気には米利下げが関わっている。

世界不況の震源地はいつもアメリカ

例えばリーマンショック以降の世界金融バブルはアメリカが不況対策で利下げを10年以上続けたので起きた。

コロナによる金融バブル、株価バブルもアメリカが数百兆円ものお金をばらまいたので起きた。

利上げは逆にお金を回収する事なので、株価は下落し金融バブルは縮小します。


例えばソフトバンクは新興企業を買収しては上場し、巨額の資産を築いてきました。

その大元のお金はFRBが利下げや緩和政策でばらまいたお金で、決して孫正義の千里眼とかではない。

アメリカの利上げは最初目立った影響がないが、これも過去の利上げではそうでした。


最初の小出しの利上げは効果が薄いので、どんどん追加利上げをし、インフレが収まるまで無限に利上げします。

利上げが2年目、3年目になると目に見えて株価が下がり、景気が悪化していきます。

こうなると全世界同時不況になり、新たな経済ショックが発生します

https://www.thutmosev.com/archives/87383457.html

47. 中川隆[-14472] koaQ7Jey 2021年12月24日 05:10:47 : zPeXbWXQFc : RlBrUHl2NnpoOEU=[7] 報告
3回で足りるわけない米利上げ。2022年の米国経済は低速成長、日本株は20%超の下落も=藤井まり子
2021年12月22日
https://www.mag2.com/p/money/1140016


12月FOMCの結果は、市場の予想通りであり大きな波乱は起きずに済みました。しかし現在の米国経済のインフレ状況を見てみると、今のFRBの方針では抑えこむことは不可能です。2022年以降、FRBは掌返しで利上げを激しく行う可能性が高くなってきました。2022年以降の世界経済の行方について解説します。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)


パウエルFRBの「一日天下」
12月14〜15日に行われたFOMCの結果(=中身)と、その影響は15日当日だけの「わずか1日」だったことは、当メルマガ12月14日号で解説した通りになりました。

すなわち、パウエルFRBは、この日のFOMCの金利見通しを、金利先物市場の「のんびりと間違った金利予想」にこれ幸いと便乗して追随、「来年の利上げはおよそ年3回程度」としました。

記者会見も成功しました。議長は上手にしらばっくれて「内心のパニック」を市場に見透かされることはありませんでした。

その結果、内外の株式市場はほっと肩をなで下ろしました。アメリカ時間で12月15日当日は、アメリカ株式市場は「大幅上昇」で反応。翌日16日の日本株式市場もこのアメリカ株式市場に追随して、「爆上げ」で反応しました。

しかしながら、12月15日の「大幅上昇」は、よくよく調べてみるとその内実は「今回のFOMCの失敗」に賭けていた投機筋が、想定外の上昇に踏まれて、「売りポジション」を強制的に解消させられたことから起きていました。やはり、彼ら投機筋は「下げ」に賭けていたのです。

ですから、パウエル議長の「大芝居」が効力を発揮できたのは、踏み上げの起きたわずか1日だけでした。

一部の内外の市場関係者は、翌々日からは、もう一度改めて「FRBの来年の利上げ見通し」について精査を開始し始めた模様です。

12月16日、アメリカドル国債はさらに買い進められて、長期金利は再び1.40%台まで低下。 イールドカーブもフラット化したまま。 近い将来のアメリカ経済に「暗い見通し」を示します。

どちらにしろアメリカ経済はスローダウンする
これはローレンス・サマーズ元財務長官の指摘するように、ドル国債の金利市場が、次のことを警戒しはじめたことの現れでしょう。

すなわち、パウエルFRBは、来年3回しか利上げしない。つまり、インフレ退治を放棄して高インフレを放任する。その結果、アメリカ経済は向こう数年間スタグフレーション的な状態に陥って、成長はスローダウンする。

あるいは、FRBのインフレ退治のためのビシバシ利上げで、向こう2年以内にアメリカ経済がスローダウン、もしかしたらリセッション入りするかもしれない。

つまりは、「どっちみち、アメリカ経済はスローダウンする」ことを、市場が警戒していることの現れでしょう。

16日から、内外の株式市場は弱含みに転じて、調整局面入りへ。やはり、年末から年始にかけて、10%調整は巻き起こりそうです。

今年12月の株式市場は、「ドル国債市場の異変」すなわち「ドル国債のイールドカーブのフラット化」「アメリカ経済の近い将来の異変への懸念」に追随して、いつ調整を開始しても不思議では無かったのです。


2022年にFRBは激しい利上げをする
2022年は、FRBが「ビシバシ利上げ」を開始する最初の年です。

ところが、金利先物市場の来年の利上げ予測は、いまだに「のんびりと間違ってる」まま。先物市場は、来年2022年のFRBの利上げを3回くらいしか織り込んでいません。

パウエルFRBも、この「金利先物市場の間違っている、のんびり予測」に便乗して、FRBも12月のFOMCでは「しらばっくれて」います。

しかしながら、FRBがいま現在の「アメリカの7%近い高インフレ」を抑え込みたいならば、FRBが政策金利を中立金利よりもはるかに高いところまで引き上げることが必須です。

今のアメリカの中立金利は、「2.00〜3.00%」と推定されています(分りやすくするために、今後は、その中間を取って「中立金利:2.50%」と記します)。

すなわち、パウエルFRBが高インフレを退治したいならば、FRBは政策金利を「2.50%」よりはるかに高い水準へ、「ビシバシ」引き上げて、加熱気味のアメリカの内需をクールダウンさせて、アメリカ経済をスローダウンさせることが、必須です。

来年2022年のパウエルFRBは、7%近い高インフレを抑え込みたいならば、本当のところは、「1回の引き上げ率が0.25%ならば、1年間で8回をはるかに上回る政策金利の引き上げが必要」なのです。

2022年の米利上げは、年8回以上も必要?
ところが、年8回以上の利上げは、ものすごい勢いの利上げです。今のパウエルFRBは「とても厳しい現実」に直面しているのです。

「イールドカーブがフラット化して、長期金利が極度に低いまま」のドル国債の金利市場は、「後手後手に回り過ぎたパウエルFRBがさっさとインフレ退治を諦めて、今後はたいした利上げを行なわないまま、アメリカ経済をスローダウンさせてゆく」ことを織り込んでいるかもしれないのです。

一方、ローレン・サマーズ元財務長官によれば、もしかするとひょっとすると、「今のパウエルFRBさえも、この『厳しい現実』については、ちゃんと理解していない」かもしれないとのことです。

この「厳しい現実」を知った時、パウエルFRBは改めてパニックに陥って、内外の株式市場も震かんすることでしょう。

2022年はジェットコースター相場。どこかで20%の調整も
来年2022年のFRBは、どこかのFOMC会合で「間違っている市場予想」を大きく裏切りながら「今年は年8回の利上げが必要だ」と正直宣言して「タカ派へ急旋回」するかもしれません。この時、内外の株式市場は20%くらいの大幅調整をすることでしょう。

あるいは、来年2022年のFRBは、FOMCの会合が開かれるたびに、「2022年の利上げ見通し」を幾度も幾度も「小幅のタカ派修正」をして、幾度も幾度も「間違っている市場予想」をちょっとずつ驚かせていくかもしれません。

この場合は、内外の株式市場は5〜10%調整を繰り返すでしょう。が、どこかの時点で市場は、「自分たちもFRBも大きく間違っている」ことに気がついて、大幅調整するかもしれません。

いずれにせよ、来年2022年は、FOMCの会合が開かれるたびに、内外の株式市場は「市場予想を大きく上回る利上げ予告」に、動揺して調整することでしょう。

かくして、2022年は株式市場は乱高下が激しくなり、どこかの時点で、20%調整も起こり得るでしょう。

すなわち、来年2022年の内外の株式市場は、おそらく、「毎年株価が弱含む春から秋」(?)にかけて、一時的に20%くらいの大幅下落などなど、乱高下の激しい年になることが今から警戒されています。

それでも、2022年は、アメリカ経済では実質金利はマイナスのままです。S&P500は年間を通じては、まだ5〜6%の運用益は得られるだろと予想されています。 1年を平均してみると、おおむね株式ブームは継続することでしょう。

2022年末の株価目標は、とてもとてもザックリですが(2022年の予測は今までで一番ざっくりした予測です!)S&P500は、5,000〜5,100ポイント。2022年末のS&P500の株価目標については、モルガン・スタンレーなどの弱気派は(12月に入ってからさらに下方修正して)4,400ポイントとしています。ちなみに、モルガン・スタンレーは毎年弱気派です。

ヨーロッパ株式市場:高パフォーマンスが期待できる
ヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも「出遅れ感」が強いです。2022年のヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも高パーフォーマンスが期待されています。

日本株式市場:アメリカよりもさらに売り込まれる
主体性の無い動きを続ける日本株式市場は、来年もアメリカ株式市場の動きに追随することでしょう。

岸田政権による経済刺激策は、張りボテなだけで「中身はしょぼい」のが実態です。日本経済は、引き続き内需が弱い状態が続きそう。

ですから、日本では2022年においてもたいしたインフレは起きないでしょう。

さらに、2022年の日本経済は引き続き中国経済の影響も強く受けます。が、その中国経済も2022年に入っても不動産バブル崩壊の後始末に手こずったまま、来年は成長が大きくスローダウンすることが見込まれています。

結果、来年アメリカ株が大きく売り込まれたときは、日本株はアメリカ株よりももっと売り込まれることでしょう。来年は、おそらく春から秋にかけて、一時的にせよ日経平均が2万4,000円を大きく割り込むなんて「悪夢」が現実になるかもしれません。裏を返すと、「ビック・チャンス」なのですが…。

2022年末の日経平均は、2万9,500円〜3万0,500円と予想しています。

中国株式市場とその他の新興国株式市場
中国は、来年も「大型不動産バブルの後始末」に追われて成長が大きくスローダウンしそうです。株式市場の大幅な上昇は、あまり期待できません。

中国と関係の深い新興国株式市場もあまり期待はできないでしょう。

ただし、2022年のどこかの時点で、「ドル安」基調が始まって、「ドル安新興国通貨高」トレンドが始まるならば、この限りではありません。

「ドル安トレンド」が始まるならば、中国株式や新興国株式にもチャンスが訪れるかも知れません。


アメリカの高インフレは向こう3年は続く?
繰り返しになりますが、今のアメリカでは7%近い高インフレが猛威をふるっています!

今から記すことは、2022年内はあまり心配しなくても良いかもしれません。心配し始めたほうがよいのは、再来年(2023年)以降でしょう。

この高インフレは向こう3年くらいは続くことでしょう。

来年2022年は、パウエルFRBが「高インフレと戦うために、ビシバシ利上げをする、向こう2〜3年間の『最初の年』」です。

FRBが「大きく後手後手に回っている、回り過ぎている」ために、今の7%近い高インフレは、今後もますます燃えさかっていく可能性が高いです(夏場には、二桁近いインフレが起きても不思議ではないです)。

さて、繰り返しになりますが、この高インフレを抑え込むためには、「中立金利:2.5%」よりもはるかに高い政策金利が必須になります。

パウエルFRBが「来年1年間で0.25%の政策金利の引き上げを8回行なった」としても、「来年末の政策金利は2.00%」です。まだ「中立金利:2.50%」には及びません。「政策金利:2.00%」では、まだ高インフレを抑え込むことはできないのです。すなわち、この「2.00%」水準では、来年末になっても、7%近い高インフレは加速することはあっても、沈静化したり、下火にはなっていないのです。

さらに、「金融引き締めによるインフレ退治」には、半年か1年のタイムラグが必要です。大変驚くべきことかもしれませんが、アメリカの政策金利が2.50%よりも遙かに高くなった時点から、さらに半年から1年の時間が経過しないと、高インフレは沈静化し始めないのです。

すなわち、来年2022年は無理だとしても、再来年の2023年のどこかに時点で、FRBの政策金利が「中立金利2.50%」よりはるかに高くなるかもしれません。そして2023年に、やっとこさ、はるかに高くなったとしても、7%近い高インフレは2023年末になっても燃えさかっているはず。FRBがここまでバカスカがんばっても、アメリカで高インフレが止まるのは、2024年に入ってから。これが、パウエルFRBが後手後手に回ってしまった結果の「厳しい現実」なのです。

かくして、パウエルFRBがどんなにうまくやっても、現在進行形の高インフレは2024年に入って「やっと静まり始める」程度でしょう。

パウエルFRBの「高インフレとの戦い」、言い換えると、「ビシバシ利上げを続ける年」は、少なくとも「向こう2〜3年間は続く」のです。

3年間の「高インフレ」がアメリカ経済に及ぼす影響
7%を軽く上回るようなインフレが向こう2〜3年間は続くと、アメリカ経済はどうなるのか?

2022年から2023年のどこかの時点で、インフレが二桁に近づいたりすると、パウエルFRBがますますパニックに陥りやすくなります。パウエルFRBがパニックに陥って利上げをし過ぎて、アメリカ経済が大きくスローダウン、リセッション入りしてしまう可能性は、かくして生まれるわけです。確率としては30%〜40%。

反対に、パウエルFRBが中央銀行としての責任を放棄する可能性もあります。パニックに陥り過ぎて、無気力になったFRBは、何もしなくなる可能性があるのです。すなわち、驚きべきことに、FRBはビシバシ利上げなどは行なわずに、高インフレを放置する可能性が今から指摘されているのです。

来年2022年の利上げでは、パウエルFRBは「市場予測通りの年3回の利上げ」だけに留めて、インフレ退治を最初から諦めてしまう可能性があるのです。

結果、アメリカ経済は向こう数年間は「スタグフレーション的」な状態に陥って、やはり経済成長は大きくスローダウンしてしまうことでしょう。最終的には、アメリカは数年後あたり(?)にアメリカ経済は正真正銘のスタグフレーション(不況の中の物価高)に陥ってしまうことでしょう。確率としては、33%くらいと読んでいます。

かくして、アメリカ経済が無事にソフトランディングする確率は20〜25%くらいに低下しています。  

48. 中川隆[-14406] koaQ7Jey 2021年12月28日 11:17:48 : Y4RaJLU9Ds : VDdQZHR4alRReXc=[12] 報告

2021年12月28日
サマーズ元財務長官、アメリカはスタグフレーションになると予言

大きな不況ではその場に留まれず下に落ちていく


リセッションが目前に迫っている

今アメリカ人が最も恐れているのはコロナではなくインフレと不況で、非常に高い確率で現実化すると予想されている。

サマーズ元米財務長官は最近、アメリカはリセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあると語った。

日本語では「深刻な不況とハイパーインフレが同時に起きるだろう」とでも翻訳でき、かなり強い表現でした。

今まで10年ほどアメリカの経済関係者は「世界がどうなろうとアメリカ経済は無敵」のような発言を繰り返してきた。

それが今はみんなインフレ、リセッション、スタグフレーション、利上げなどの話をしている。

事の始まりは2007年のサブプライムショックで、ホームレス向け住宅ローンである事を隠して投資家に販売していた。


こんな物がうまく行く訳がないのだが、成るべくしてサブプライムは破綻し、連鎖的にリーマンショックに至った。

当時の状況はアメリカの破綻は秒読み、ドルは明日にもデフォルトし紙切れになるとされていました。

大手メディアもすべてアメリカ破産の現実味を記事にしていて、もうアメリカは復活しないと思われていた。


ところがバーナンキというFRB議長が「お金は使えば使うほど増えていく」というヘリコプター理論を展開した。

「金がなければ空から撒けば良い」という名言を残して無限大の金融緩和を行い、政府も無限大の支出をした。

この結果アメリカ政府は破綻したりせず、面白いようにお金が増えてあっと言う間に経済回復しました。

再びリーマン級の不況がやってくる

これがMMT理論の始まりで、アメリカが実際にやってみて大成功したが日本政府は拒否しています。

中央銀行がお金を無限に発行し、政府は無限大の支出をし、それでGDPが増えて税収が増えるので良いじゃないかという考えです。

こうしてアメリカ経済は奇跡の復活を遂げ、2020年まで空前の好景気を続けました。


ここでコロナウイルスがアメリカを襲い、アメリカはまたまた無限のお金を発行し政府は無限の支出をしました。

アメリカは2020年の1年間だけでコロナ対策で数百兆円を使い、国民は受け取った金で消費し空前の好景気になった。

土地や住宅から株からビットコイン、自動車にPS5まであらゆる商品が売れまくりました。


その結果2021年のインフレ率は6%を超え、これはアメリカでは危険な水準と認識されている。

日本のバブル経済と同じ話で、景気を良くし過ぎたらインフレになったので、インフレ鎮静化する必要が生じた。

インフレ率を下げるには利上げが有効だが、利上げは「お金を動かなくする」ので景気を悪化させます。


サマーズ元財務長官は、利上げをしてもハイパーインフレを防げず、不況とインフレが同時に起きると予言している。

実際そうなったらアメリカだけでなく、日本や全世界がリーマンショック級の不況に陥るでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/87423256.html

49. 中川隆[-14153] koaQ7Jey 2022年1月18日 07:51:21 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[10] 報告
サマーズ氏、インフレを強欲な企業のせいとした民主党を批判
2022年1月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、先週発表されたCPI(消費者物価指数)を受けてインフレについてコメントしている。

1970年代の物価高騰を繰り返す

12月のアメリカのインフレ率は遂に7%台に到達した。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
この発表を受け、サマーズ氏はこの水準がどれだけ高いか説明している。

インフレ率が去年の2/3の水準だった時にニクソン大統領は賃金の統制を行なった。現在のインフレ水準はベトナム戦争に起因する物価高騰の頂点よりもなお高い。

これはつまり、アメリカで物価高騰が止まらなくなった1970年代におけるインフレ第1波より高い水準にあるということである。当時のインフレ率は以下のようになっている。


少し前まで1970年代のインフレのようにはならないと言っている人が何人も居たが、現在のインフレ率は既に当時の水準に達しているということである。

インフレは一時的ではない

何故物価がここまで上昇するまで放置されてきたかと言えば、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長やバイデン政権の政治家たちが何の根拠もなくインフレは一時的だと主張してきたからである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
彼らは最初何の根拠もなくそう主張し、次に債券投資家のスコット・マイナード氏らがコロナによる一時的な半導体不足で中古車市場が高騰していると指摘すると、その主張をオウムのように繰り返してきた。

しかしインフレはそうした一時的な要素だけではないと何度も主張してきたのが、経済学者のなかで恐らく世界で唯一、金融の実務家にも一目置かれるサマーズ氏である。この状況をこれまで警告し続けてきたサマーズ氏は次のように言う。

経済統計はわたしが言い続けた通りの展開となっている。確かにインフレのいくらかの要素は一時的なもので、それらは後退するが、全体としては根強い物価上昇に向かっている。それはインフレ期待にも賃金の上昇にも労働力不足にも表れている。

労働市場はかなりの過熱状態にある。失業者に対する求人の比率はかなりの期間なかったほど高い。カウンセラーからマクドナルドの店員まで、労働者は何処でも不足している。経済の生産能力に比べて購買力と需要は過剰となっている。

このままではインフレは高止まりするだけでなく、加速し続けるだろう。

問題はもはやコロナで一時的に生産不足となった一部の商品だけのものではなく、経済全体のものとなっている。その証拠の1つは労働市場であり、もう1つの証拠は以下の記事でジェフリー・ガンドラック氏が言及していた住宅バブルだろう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
インフレが止まらなければ、これまで経済と株価を支えてきた低金利政策を撤回して利上げなど金融引き締めを行わなければならなくなる。これまで低金利に依存してきた経済と株価がどれだけ耐えられるかは、あまり希望のある話ではない。

サマーズ氏は次のように言う。

実体経済は過熱しており、Fedは混乱を招くことなしに経済を冷却するという本当の困難に直面するだろうが、それに成功した例は過去にほとんどない。

目を背け続ける政治家たち

しかしどうやらFedとバイデン政権はインフレに上手く対処できそうにない。そもそもインフレという事実を1年以上の間認めなかった彼らに何が出来るだろうか。

彼らは最近になってようやくインフレの事実を認めたものの、今度はその原因を他人に押し付けようとしている。

アメリカ民主党のエリザベス・ウォーレン議員などは、現在の物価上昇は「強欲な企業たち」のせいで起こったと企業を非難している。自分たちの現金給付と脱炭素政策で起こったインフレに対してあまりにも馬鹿げたことである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
サマーズ氏はこうした政治家たちを次のように批判する。

政治家たちが現在のインフレは企業の強欲さから引き起こされたと主張するとき、雇用の安定とインフレの沈静化の両方を達成できる日はどんどん遠のいてゆく。

上で述べたように今や物価高騰は労働市場と住宅バブルの問題となっており、コロナによる一時的な供給減少の問題、あるいはウォーレン氏の主張するように(何の根拠があるのだろう?)個別の企業の問題ではなくなっている。

インフレは加速する

現在のインフレが政策金利が1%以下の低金利下で続くとき、間違いなく1970年代のような2桁のインフレ率が待ち受けているだろう。

サマーズ氏: 中央銀行と市場はインフレを過小評価、政策金利は2.5%以上まで上がる
1970年代には当時のFed議長ポール・ボルカー氏が強烈な利上げを行い、厳しい不況と引き換えにインフレを沈静化させた。サマーズ氏はその繰り返しが起こらないよう祈っている。

ポール・ボルカー氏がFedの議長となった時に必要とされたような過激な経済縮小を回避できることを祈っているし、避けられるとも思っている。

しかしインフレの原因を企業の強欲さや特定の業界のせいにするような政治家たちのやり方は、経済を最終的に景気後退に導くリスクを生じさせる。

だがバイデン政権がサマーズ氏の期待に応えるようなことはありそうもない。もはや問題は、単に経済と株式市場はいつまでもつかということなのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する
レイ・ダリオ氏など一部の投資家は、まだもう少し猶予があると考えている。

世界最大のヘッジファンド: インフレでも株式は魅力的な投資先


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

50. 中川隆[-14147] koaQ7Jey 2022年1月18日 11:05:18 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[18] 報告
金利上昇で高騰する銀行株の買い時・売り時を解説!
2022/01/14



金利上昇で高騰「銀行株」は買いか売りかホールドか?日本特有の値動きを考慮したトレード戦略=栫井駿介
2022年1月18日
https://www.mag2.com/p/money/1148067


金利上昇で株価が上がっている銀行株について、主にファンダメンタルズの方面から詳しく分析します。銀行株を持っている、またはこれから買おうとしている場合、どのような行動を取るべきでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)


銀行の利益はどこから?
アメリカの長期金利が上昇していて、2021年末には1.5%ほどだったものが2022年に入ると一時は1.8%を超えるまでになりました。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

これを受けて、「金利の上昇と言えば銀行株」ということで銀行株の株価が上昇しています。

220118_kakoi_1

しかし、PERを見てみるとまだかなり低い水準となっています。

株価が上昇しているのにPERは割安なので、まだ買えるのではないかと思えてしまいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。



まず、銀行のビジネスモデルを簡単に説明します。

銀行は、人々からの預金を企業に貸し出したり有価証券で運用したりします。

220118_kakoi_2

企業に貸し出して回収するときの利息から、人々からの預金に付く利息を差し引いたものが利ざやとなり、そこから人件費などのコストを引いたものが最終的な銀行の利益となります。(図は預金利息を0.1%、企業への貸出利息を2.0%と仮定したもの)

このように銀行のビジネスモデルは非常に単純なものとなっています。



企業に貸し出す金利は市場金利+αという形で決まるので、市場金利が上昇すれば企業への貸出金利も上がることになります。

よって、【金利の上昇=銀行株の上昇】という連想が生まれるのです。


日本の金利は上がらない!?
では、アメリカの金利が上がったからと言って日本の金利も上がるのかというところです。

短期的に見ると、確かにある程度の連動性はあります。



日本の10年利回り国債金利も今年に入って大きく上がっています。

日本国債10年 日足(SBI証券提供)
日本国債10年 日足(SBI証券提供)

そもそもなぜアメリカが金利を上げようとしているかというと、最大の理由はインフレの抑制のためです。

これはアメリカのCPI(消費者物価指数)の推移です。

米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

物流の混乱や生産者の不足などでものの価格が上がっているところにさらに金融緩和でお金をばらまいていて、物価の上昇に拍車がかかっています。



2021年12月にはなんと7%も価格が上昇しました。

これが続くと、低所得者層や年金生活者は苦しくなってしまうので、これを抑えるために金利を引き上げて物価を下げるという動きを行わなければなりません。

ところが、今の日本のCPIはこのようになっています。

全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

確かに物価は上がっていますが、数字を見ると、0.6%に過ぎません。

アメリカの7%に対して0.6%なので、大して上がっていないというのが正直なところです。

日本も物価が上がり始めてはいますが、これは金融緩和によるものではなく、物流費や原油価格の上昇によるいわゆる“コストプッシュ型”のインフレなので、利上げを行ったところで物価にはさほど影響がないということになります。

国内情勢だけを見ると、日本は金利を上げる必要は必ずしもありません。

しかし、アメリカの金利に合わせて上げなければならないケースもあります。

アメリカの金利が上がると、自国で運用するよりアメリカに持って行って運用するほうが利益が出るということになるので、世界中からアメリカにお金が集まる、つまりドルが買われ、ドル高となります。

円安ドル高となってしまうと輸入物価が上昇してしまうので、それを抑えるために利上げを行ってアメリカに流れてしまったお金を引き戻さなければならないという側面があります。

一方で、日本には輸出企業が多く、円安になると海外競争力があがるので、円安はどちらかというと歓迎される向きがあります。

したがって、円安になったからと言ってそう簡単に利上げを行うかというと必ずしもそうではありません。

また、ドル/円のレートを見ても、今は1ドル=115円といったところで、過去と比べてもそこまで円安の状況ではありません。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)


【関連】1ドル130円超に備えよ。日銀が円安を放置する3つの理由とは?逆風・追い風が吹く企業も解説=栫井駿介
https://www.mag2.com/p/money/1127780


この間も日本の政策金利はほぼゼロでしたから、それでもそこまで円安になっていないので、日本はそう簡単に金利を上げないのではないかというのが私の考えです。


銀行の業績と金利の関係
しかしながら、メカニズムとしてはアメリカの金利が上がれば日本の金利も上がりやすいというところがあるので、仮に日本の金利が上がった時のことを考えてみましょう。

三菱UFJフィナンシャルグループを例に、金利と業績の関係を見てみます。



220118_kakoi_5

直近10年で、日本の金利は右肩下がりとなっていて、1%あったものがほぼゼロというところになっています。

しかし、1株当たりの利益は横ばいで、業績(株価)もほぼ横ばいとなっています。

長期的に見ると、金利と業績はあまり連動していないという結論がここから導き出せます。

したがって、今、金利の上昇で銀行株が上がっていますが、そんなに長くは続かないのではないか、という仮説が立てられるわけです。



では、金利と業績がなぜ連動しないのかということを考えてみます。

1つ目の仮説として、1%以下の微々たる金利変動では業績にそれほど影響は与えないのではないかというものです。

金利に対する業績の感応度はそれほど高くないということです。

逆に言えば、金利が2%3%と大きく上がっていくようであれば業績(株価)にも影響が出る可能性があると考えます。

2つ目の仮説は、銀行の利益の本質は「長短金利差」なのではないかということです。

先ほどは銀行の利益は運用金利(企業への貸出金利)から調達金利(預金利息)を引いたものと言いましたが、運用金利が上がる時には同時に調達金利も上がることになるので、単純に金利が上がったからと言って利益が増えるというわけではありません。

これは「イールドカーブ」と呼ばれるもので、金利とその償却期間の相関関係を表したものです。

220118_kakoi_6

期間が長くなるほど金利が上がっています。

預金者には6ヶ月や1年など比較的短い期間で利息を払い、企業には3年・5年といった長い期間で貸し出し、その金利の差が銀行の利益となります。

この長期と短期の金利差が大きくならないと銀行の利益は上がらないということになります。

イールドカーブの傾きが上がった時(スティープ化)、初めて銀行の利益が上がります。

しかし、長い期間で貸し出すと当然リスクも大きくなるので、今日本の銀行はそのリスクを下げようとして貸出期間を短くするという動きをしています。(レギュレーションの短期化)

それによって、この長短金利差の恩恵をあまり受けられなくなっているのです。

3つ目の仮説として、オーバーバンキングによる金利競争というものがあります。

実は今、預金量自体はどんどん増えています。

しかし、それを貸し出す先が無いのです。

国債で運用してもそれこそ金利がゼロに近いですから、できれば安定的に金利を払ってくれる優良企業に貸したいところですが、企業の方にも資金需要があまり無く、仮に借りたい企業があったとしても、貸したい銀行がたくさんあるので、より金利が低い銀行から借りようとし、どんどん金利が引き下がることになります。



長期金利とは直接関係なく、銀行は利益を得にくくなっているところです。

以上のことから、短期的な株価を見れば、金利が上がれば銀行株が上がりやすい側面がありますが、長期的に見ると、株価が上がり続けるためのベースとなる業績は簡単には上がらないということが言えます。


売る?買う?ホールド?銀行株の扱い方
結論としてはこうなります。

1. 国内金利が米国と連動して上がるかどうかは不透明
2. 国内金利が上昇したとして、過去10年の業績・株価の連動性は低い
3. 上昇基調の継続あるいはイールドカーブの鋭化があれば、長期的な株価の伸びも期待できる
(3)に関しては、金利やイールドカーブの状況によるので、事前に予測するのはなかなか難しいと思われます。



これを受けて、投資家はどのように動くべきか、私から提案させていただきます。

割安感もあり、既に銀行株を保有しているなら、もう利確のタイミングを探っても良いのではないかと思います。

このグラフを見れば分かるように、株価はボックス圏で、上がったり下がったりを繰り返しています。

(SBI証券提供)
(SBI証券提供)

なぜこのような動きをするかというと、銀行に成長性が見込まれておらず、上がったら早めに売ろうと考えている投資家が多いからです。



これから右肩上がりで上昇し続けることは、よほど金利が上がり続けたり長短金利差が広がり続けない限り、難しいと思われます。

したがって、ここまで上がればラッキーと思っていったん売るということを検討するべきだと思います。

配当目的で保有しているのなら、配当利回りは4%くらいあり、配当としては手堅いので、そのまま持ち続けても良いと思います。

1つの方法として、先ほども示した通り株価はボックス圏で動いているので、上がった時に売って下がったら買いなおすというのも配当株の買い方としておすすめです。

今、上昇しているのでこれから買おうとしている方も多いと思います。

確かにこの上昇トレンドでPERも低いので、上昇がしばらく続く可能性も大いにあります。

しかし、やはり成長性は厳しいですから、どこかで下げに転じることが考えられます。

今から買ってすっと放置というわけではなく、どこで売るかを意識したうえでエントリーするべきだと考えます。

まとめ
1. 割安感で保有していた人 → 利確のタイミングを探る
2. 配当目的で保有していた人 → 基本保有継続だが利確もアリ
3. これから買おうと思っている人 → まだ悪くないかもしれないが、売りどきは意識
51. 中川隆[-14133] koaQ7Jey 2022年1月19日 20:46:55 : HuHSGoKygw : WWpVMi5ZRnhCRC4=[12] 報告
金融市場、今年5回以上の利上げを織り込み始める 株式市場は風前の灯火
2022年1月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18899


アメリカのインフレが止まらない。そして同じように、インフレを抑制するための利上げも止まらなくなりそうだ。利上げで間違いなくダメージを受ける株式市場の運命は風前の灯火である。

金融引き締め加速へ

覚えている読者がいるかどうかも分からなくなってきたが、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長が当面の間は量的緩和とゼロ金利を継続すると言っていたのはたった2ヶ月前の話である。

それがテーパリング(量的緩和縮小)の加速に追い込まれ、その後2020年内に3回の利上げを表明するところまで本当にたった数週間程度の話だった。

パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆 (2020/12/1)
12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇 (2020/12/16)
そしてそれももはや変わるかもしれない。アメリカの債券市場が3回どころか今年中に5回以上の利上げを織り込み始めたからである。

止まらない短期金利上昇

以下の記事で債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が言っていたように、そもそも緩和を続けたかったパウエル議長が利上げに追い込まれたのは、物価高騰で利上げは不可避と見た債券市場が、今後の利上げ予想を織り込んで推移する2年物国債の金利を上昇させ始めたからである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
それでパウエル氏も慌てて追従することとなった。ガンドラック氏はどうせ2年物国債が政策金利を決定するのだからFedは要らないではないかと言っていたが、パウエル氏に代わって中央銀行業務を行なっている2年物国債の金利がその後どうなっているかと言えば、次のようになっている。


これがアメリカの中央銀行の仕事ぶりである。パウエル氏はこれを見て、そろそろ利上げ回数を3回から増やさなければならないと思い始めているだろう。Netflixを眺めているティーンエイジャーでも同じ仕事が出来るのではないか。

上の記事でガンドラック氏の言っていたことをもう一度思い出したい。

2年物国債がゼロ近辺にある時には、利上げがないと分かる。0.75%まで上がれば、2022年に恐らく3回の利上げがあるということが分かる。何故か? 他でもない2年物の金利が利上げ3回と同じ水準まで上がったからである。

では1.1%という現在の水準が利上げ何回分かと言えば、1回の利上げは0.25%なので、4回か5回である。

これとは別に金利先物市場における年末までの利上げ回数の織り込みを見てみると、次のようになっている。

2回: 5.2%
3回: 18.2%
4回: 31.4%
5回: 28.5%
6回: 13.3%
7回: 2.7%
少し前まで年内3回の利上げがメインシナリオだったものが、4回がメインシナリオになり、しかも5回の利上げがある確率と拮抗し始めている。このまま行けば5回がメインシナリオとなり、6回の可能性も見えてくるだろう。

利上げと株式市場

言うまでもなく、これまで金融緩和で上昇してきた株式市場にとって利上げはマイナス要因である。

株式市場は大丈夫なのだろうか? ガンドラック氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ここ何ヶ月かの債券市場の動きを見ていると、現在の市場では政策金利が1.25%まで上がっただけで市場が崩壊してしまいそうだ。

その水準まで既にかなり近づいている。その他にもマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏などは4回の利上げが危ないと指摘し、筆者も4回前後が限界だと見ているが、今年の金利予想は既にほぼその水準に到達しているということである。

サマーズ氏: 市場を急落させても4回の利上げが必要
利上げでインフレは止まるか

言うまでもなくそれはインフレを抑えるために必要だからである。

だが考えてもらいたいのだが、仮に5回利上げしたとして、政策金利は1.25%になるが、現在のインフレ率は7.1%である。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
7.1%のインフレ率に対して1.25%の政策金利、つまりそれは超低金利である。

金融緩和で自国通貨を暴落させたトルコのエルドアン大統領の息の掛かったトルコの中央銀行は、インフレ率が19.9%で政策金利が15%となっている状態を「金融引き締め」と呼んだ。

物価高騰と金融緩和でトルコリラが暴落中
西洋諸国はこれを笑っていた。しかし考えてほしいのだが、インフレ率を差し引いたトルコの実質金利はおよそ-5%、一方でアメリカの実質金利はおよそ-6%となり、(仮に5回の利上げが行われたとしても)むしろアメリカの方が常軌を逸した金融緩和状態なのである。ちなみに利上げがまだ行われていない現在の実質金利は-7.1%である。

結論

どう考えても利上げはインフレを止めるには不十分であり、株式市場を暴落させるには十分な水準に到達しつつある。インフレは止まらなくなるだろう。今年の半ばにはインフレ率が2桁を越えている可能性も十分にある。その段階で利上げはまだ1回か2回しか行われていない計算である。

筆者の予想では、株式市場を暴落させる水準まで利上げをしなければならないという事実が春か夏頃までには明らかになり、市場はパニックになるだろう。

それまで株式市場は上昇するという見方もある。だが間違いなくプロ向けのチキンレースであり、筆者はお勧めしない。

マイナード氏: 利上げの初期には株を買え
世界最大のヘッジファンド: インフレでも株式は魅力的な投資先
この相場で必要なのはスタグフレーションに賭けるポジションである。もう何十年もスタグフレーションは起こったことがないので、これに対応できる投資家はほとんどいないだろう。以下の記事などを参考にしながらこの難しい相場を乗り切ってもらいたい。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18899

52. 中川隆[-14039] koaQ7Jey 2022年1月27日 09:35:35 : sUlbBSxYZw : VDIxWXo3Vmwud3c=[21] 報告
マイナード氏: アメリカは2018年世界同時株安を繰り返そうとしている
2022年1月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117


Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が顧客向けのレポートでアメリカの利上げがインフレではなく株価を殺してしまう可能性について語っている。やはり優れた投資家は誰もが2018年の株安を思い出しているようである。

量的引き締めの脅威

Fed(連邦準備制度)は元々インフレは一時的なものに過ぎないのでゼロ金利政策を当面維持すると言っていたが、ここ数ヶ月の間にまず量的緩和を縮小し始め、次に今年3回の利上げを宣言し、しかも最近では一部メンバーがバランスシートを拡大した量的緩和を逆回し(縮小)する量的引き締めにまで言及するという豹変ぶりを見せている。

12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇

量的引き締めとはつまり、市場に資金を注入する量的緩和とは反対に市場から資金を吸い上げるということである。Fedの一部メンバーは物価高騰を止めるために量的引き締めもやむを得ないと考えている。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


この状況についてマイナード氏は次のように述べている。

2018年にFedが利上げを行いながら実行した前回のバランスシート縮小が金融市場にどれほど酷い結果をもたらしたかを考えれば、Fedがまた利上げとバランスシート縮小を同時にやろうとしていることは興味深いことだ。

Fedが最後に行なった金融引き締めは、2018年の世界同時株安を引き起こした。以下は当時の株価チャートである。


当時の議長も今と同じパウエル氏であり、今回インフレが一時的なものではないと長らく認めなかったのと全く同じように、当時彼は株安が自分の金融引き締めのせいだということを認めようとはしなかった。

12月FOMC会合結果は空売り派への満額回答 (2018/12/20)
これは当時も書いたことだが、そもそも量的緩和で投資家がどれだけ株を買ってきたかということを考えれば当たり前のことである。

量的緩和で株価が大いに上がったのだから、量的引き締めでは株価が大いに下がらなければ理屈が合わない。2018年の相場では筆者だけがこの当たり前の理屈を暴落前から主張し続けたが、株価の高騰にのぼせ上がった周囲のファンドマネージャーやバンカーは誰も耳を貸さなかった。バブルとはそういうものである。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)


インフレが量的緩和バブルにとどめを刺す

だが今回の相場では2018年と違う点が1つある。インフレになっているということである。

2018年の世界同時株安は最終的にパウエル氏が間違いを認め、金融引き締めを撤回したことで収束した。

しかし今回は金融引き締めを撤回すると物価高騰がそのまま継続してしまう。株価が暴落してもインフレは金融引き締めを強いるだろう。金融引き締めが止められないとなれば、株価は何処まで下がってゆくだろうか。

特に根拠もなくリフレ派に騙されてインフレを賛美していた人々は、インフレになってようやく物価は安い方が良いという当たり前の事実に気付くようになる。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


12才児でも分かるような事実に誰も気付かなくなる現象のことをバブルと呼ぶのである。あるいは人間は元々12才児よりも頭が悪いのかもしれない。筆者はもうこれはどうしようもないと思っている。人はあまりに簡単に騙されてしまう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


マイナード氏は次のように言う。

明らかに金融市場は投機家の天国となった。ミーム株、ジャンク債、アート、住宅市場、ほとんどすべてのものが青天井に上がっている。

この状況にどう収拾を付けられるだろうか。金融引き締めは緩和によって引き起こされたバブルに終止符を打ち、インフレを抑制できるだろうか。

マイナード氏の答えは、バブルに終止符を打つことは出来るがインフレは抑制できないという何とも悲観的なものである。

もし市場に予想外のショックが与えられれば、それはインフレには即座に影響を与えはしないが、既に過大評価されている資産価格には即座に影響を与え、消費者心理を冷やし経済を不安定化させるだろう。

だが予想外のショックを与えないならば、つまりインフレ率が7.1%の状況で市場の織り込み通り政策金利を1%程度までにしか上げないならば、間違いなく物価高騰は継続するだろう。

結論

現状の問題は明らかである。金融引き締めを行えばインフレよりも先に株式市場が死んでしまう。しかし行わなければ物価が高騰し、後でより大きな金融引き締めを強いられる。アメリカ経済はもう詰んでいるのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する


投資家に出来ることはいくつかある。まず前回金融引き締めが行われた2018年の世界同時株安を勉強することである。

2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る


そしてその上でどういう投資が出来るのか考えてみるべきだろう。繰り返しになるが2022年はかなり難しい相場になる。読者の幸運を祈りたい。

2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117

53. 中川隆[-14026] koaQ7Jey 2022年1月28日 10:30:29 : 8BXFZ7d3Hw : blVPV25wWkNUY3M=[4] 報告
アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
2022年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181


やってしまったと言うか、他にどうしようもなかったと言うか、どうだろうか。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を米国時間1月26日に発表し、政策金利の維持を決定した。

しかし問題は同時に発表された量的引き締めである。

「バランスシート縮小の原則」

まず、ゼロ金利が今回の会合で維持されることは事前に説明したように織り込み済みである。市場では利上げ1回目は3月と織り込まれており、今回発表された声明文でも以下のようにアナウンスして3月の利上げを確認している。

雇用の最大化と2%のインフレ目標達成のため、政策金利を上げることがもうすぐ適切になると予想している。

だが今回のFOMC会合ではいつもの声明文および記者会見とは別に「バランスシート縮小の減速」と銘打たれた文書が公開された。この文章の最初にはこう書かれている。

FOMCはバランスシートの規模を大きく縮小する計画的なやり方についての情報を今回の会合で公開することが適切であるとの合意に達した。

ここの読者には説明不要かもしれないが、量的緩和とは中央銀行が債券などを買い入れて市場に現金を供給する金融緩和であった。中央銀行が保有する証券の量が膨らむので、量的緩和はバランスシート拡大とも言われた。

今回発表されたのはそれを逆回しにする「バランスシート縮小」である。つまり中央銀行が保有する債券の量を減らすことで市場から資金を吸い上げる量的引き締め政策なのである。

量的引き締めと株価暴落

量的引き締めが最後に行われたのは2017年の秋で、これは結局2018年終盤の世界同時株安を引き起こすまで続いた。2018年の株価暴落のチャートをもう一度掲載しておこう。


当時の株式市場は量的引き締めが開始されてから4ヶ月後の2018年1月末に一度下落し、そこから再上昇してから2018年終盤に大きく下落した。

だがこれから起こる今回2022年の暴落に比べれば当時の20%の下落などほとんど下落していないに等しいだろう。当時は結局Fedのパウエル議長が金融引き締めを撤回したから株価は戻ったのだが、今回は金融引き締めを撤回できない理由がある。インフレである。

インフレと金融引き締め

日本の3倍以上の規模で行われた現金給付と化石燃料の供給を無理に減らす脱炭素政策によって、アメリカのインフレ率は7.1%に達している。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


経済の中に資金が多すぎ、脱炭素やコロナのお陰でものの供給は少なすぎるのである。物価高騰を抑制するためには資金を吸い上げなければならない。パウエル氏はまず今年3回の利上げを宣言し、そして今回量的引き締めを発表した。

前回の量的引き締めでは開始から4ヶ月で株価の下落が始まった。では今回の量的引き締めはいつから始まるのだろうか? 例の「バランスシート縮小の原則」には次のように書かれている。

バランスシートの縮小は政策金利を上げるプロセスが開始された後に始まると予想している。

上記のように利上げは3月に始まるから、量的引き締めは早ければ春には開始されるというシグナルをFedは送っているわけである。

金融引き締めと株価の今後

前回の量的引き締めがトランプ政権の強力な経済政策でかなり強かった市場経済を4ヶ月で屈服させ始めたことを考えれば、コロナで弱体化している今の経済では株価は今年の半ばまでも持たないということはほぼ間違いがないだろう。それが春の量的引き締め開始が意味することである。

また、パウエル議長は記者会見でかなり無責任なことを言っている。

バランスシート縮小の詳細は最大雇用と物価安定の目標に応じて決められることになる。

縮小の具体的なタイミングやペースやその他の詳細については何も決めていない。

実際には何も決めていないのではなく、決められないのである。

パウエル氏の心中

今回の会合はどちらかと言えばタカ派側に振れたと思う。そしてその理由を考えれば、金融引き締めが今後どのように決められるかが分かる。

パウエル氏は金融引き締めをずっと躊躇っていた。物価がどんどん高騰していたにもかかわらず、特に根拠もなく「インフレは一時的」だと言い張っていた。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ


だが物価高騰がアメリカで社会問題となり、バイデン大統領がインフレ抑制を要請して初めて金融引き締めに取り掛かり、そして今度は動揺する株式市場を無視して量的引き締めを行おうとしている。

このパウエル氏の変わり身をどう解釈すべきだろうか? 筆者が思い出したのは、ジム・ロジャーズ氏の以下のコメントである。

ジム・ロジャーズ氏: 金融市場でまだ安いのはコモディティだけ


長らく相場にいた結果、こういう人々の言うことには耳を貸しても仕方がないということを学んだ。彼らが気にしているのは自分の職を維持することで、あなたやわたしや子供たちのこと考えているわけではない。彼らは自分の職のことしか考えていない。

つまり、パウエル氏は人々が「インフレはまだ大丈夫」と思っている間から早期にインフレ対処のために金融引き締めを行い、市場を暴落させて自分の責任になることを嫌って緩和を続けていたが、人々がインフレを気にし始めたならば、金融引き締めを行なって株価が暴落しても「そうしなければインフレが酷くなった」との言い訳が成り立つ。

パウエル氏が自分の職と責任のことしか考えていないということは投資家にとって非常に重要である。筆者はこの推論から、今のパウエル氏は株価をある程度犠牲にしてもインフレが収まるまで金融引き締めを続けると予想している。

いや、ある程度どころか、仮に株価が暴落してもインフレが高止まりしていた場合、金融引き締めをそれでも継続するかもしれない。そうなれば、株式市場の下げ幅は2018年の20%ではなく、以前アメリカが物価高騰で金融引き締めを止められなかった1970年代の60%下落になりかねない。


ちなみにこの場合ドル円も下落するので、米国株を為替ヘッジなしで買っている日本の投資家は株安とドル安で本当に死ぬことになる。この点についてはここでは何度も警告してきたので、ここの読者にそういう人は流石にいないだろう。

今後の見通し

2022年前半の市場と経済はどうなるだろうか。Fedが3月に利上げをしてもインフレ率7.1%に対して政策金利0.25%である。インフレが止まるはずがない。

Fedのタカ派的なスタンスにもかかわらず、4月にかけてインフレはますます酷くなり、Fedが何もしなくても市場では金利が上がってゆき、株価にはかなりの重しになってゆくだろう。以下の記事で説明した通り、結局金利を決めているのは市場であってパウエル氏ではないのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


パウエル氏が何も気付かないとしても、4月頃には現在織り込まれているような4回程度の利上げ(つまり1%程度の政策金利)では7%のインフレは止まらないということに市場は気づき始めるだろう。そして金利は株式市場が耐えられる水準を越えて上がってゆく。中央銀行が何もしなくともそうなるだろう。

著名投資家の中には株価の天井はまだだと踏んでチキンレースを繰り広げている人々もいるが、筆者は今回の量的引き締め発表で株価は遅くとも今年半ばまでの命だということを確信した。

仮にここから株価が短期的に反発したとしても、それに乗ることは本当にお勧めできない。仮に株高基調に戻ったとしても数ヶ月の命だからである。

そもそも何故この状況で株高に賭けなければならないのだろうか? 以下の記事で書いた通り、この相場で儲ける方法ならいくらでもあるのである。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181

54. 中川隆[-13643] koaQ7Jey 2022年2月24日 10:57:43 : fCdzHcj1RA : eHVuQXh4bXYxNUE=[5] 報告
12月のアメリカの住宅価格は18.8%上昇、サブプライムバブルを大きく上回る
2022年2月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231


これまでは逐次報じることはしていなかったが、インフレの世界で気にしなければならない経済データといえば住宅価格だろう。12月分のケース・シラー米国住宅価格指数が発表され、前年同月比で18.8%の上昇となった。

アメリカの住宅バブル

ほとんど20%に達している。それがどれくらいのインフレかを実感するために少し長めの期間でチャートを見てみよう。


これを見て気付く読者は気付くと思うのだが、リーマン・ショックを引き起こした2007年までの住宅バブル以上のバブルが今アメリカで起こっているのである。

現在の物価高騰全般の原因は現金給付と低金利だが、住宅価格については低金利の影響が大きいだろう。インフレを警戒して去年末に利上げを始めたイギリスと違い、アメリカではまだ利上げを行なっておらず、したがって7.5%のインフレが起こっている状況で政策金利はゼロである。

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか (2021/12/19)
一方で住宅市場に影響を与えるのは長期金利である。長期金利をもとに住宅ローン金利が決定され、住宅ローン金利が低ければ購入者がローンを組みやすくなる。

ローンを組むということは、お金を持っていなくとも住宅を買えるということである。しかしコストがかかる。コストとは住宅ローンの金利である。

だがこの金利がコストにならない場合がある。購入した住宅の価値が金利を上回るペースで上がる場合である。

現在、アメリカの住宅価格は年間18.8%のペースで上がっており、住宅だけでなく食料品やガソリン代なども上がってる中、アメリカ国民はこれからインフレになることを実感しつつある。

こうした住宅価格の高騰がこれからも続くならば、仮にローン金利が10%でも買った住宅の価値が年に18.8%上昇すれば元が取れてしまう。しかもローンとはお金を借りることだから、お金を持っていなくても買えてしまうのである。

ではローン金利の基盤となる長期金利が今どの水準かと言うと、次のような水準で推移している。


年間18.8%価格上昇するものを手に入れるためのコストは年間2%である。あるいは逆に住宅を買わずに賃貸で住み続ければ、家賃が18.8%上昇することになる。

アメリカに住んでいて住宅を買わない理由があるだろうか?

結論

一部の人はいまだに時間が経てばインフレが落ち着くと何の根拠もなく主張しているが、そんな訳がないということが分かってもらえたと思う。

インフレとは自然に悪化するものである。これからものの値段が上がるなら、先に買えるものは先に買っておこうとするだろう。食料品は難しいが、先に買ってそのまま持っておける現物資産といえばまず不動産である。

だからインフレが更なるインフレの原因になり、状況はどんどん悪化してゆく。

資本主義経済は金利上昇という自制機能を備えているが、金利がマクロ経済について何も知らない役人に操作されている間はインフレは悪化し続けるだろう。だからジェフリー・ガンドラック氏は政策金利を撤廃して市場に短期金利を決めさせろと言っているのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
筆者は実際のところそれが将来起きると予想している。だが物価高騰が本当に1970年代のレベルに達するまでそれは起きないだろう。手遅れにならなければ何もしないのが役人と政治家だからである。彼らの存在意義は何なのだろうか。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231

55. 中川隆[-13345] koaQ7Jey 2022年4月10日 11:02:24 : mqTygPfupR : VFI4SVNtS1hVVEk=[1] 報告
世界最大のヘッジファンド: 人々がどんどんインフレマインドに変わってゆく
2022年4月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22710

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がYahoo! Financeによるインタビューで物価上昇という大きなトレンドについて語っている。

世界中で物価高騰

インフレが世界経済を襲っている。正確には現金給付と脱炭素政策とNATOの対ロシア戦略が人々を襲っているのだが、人々はむしろそれらのものを好んでいる。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
ポズサー氏: 制裁合戦で金本位制復活、コモディティ高騰でインフレ危機へ
自民党を再選させた日本人のように、人間は自分を害するものを好むものだから、それ自体は自然現象である。

だがインフレを恐れながらインフレを生じさせている原因を好む人々の行動は、インフレをますます悪化させてゆくだろう。

ダリオ氏はこれをパラダイムシフトと呼んでいる。彼は次のように言う。

パラダイムシフトが始まっている。人々の考え方がどんどん変わってゆく。

低インフレの時代が終わったのである。

そもそも政府の言うデフレ脱却は笑い話に過ぎない。大学では経済学部で学部生が最初に習うような話なのだが、デフレとは需要より供給が勝っている状態で、つまりはものが十分にある状況である。インフレとは需要に対して供給が足りない状況で、ものが不足している状態である。

つまりインフレを好むということはものが不足している状態を好むということで、今まさに人々の望み通りにものが不足している状態が起きているわけだ。

5倍に高騰しているヨーロッパの天然ガス価格とインフレ危機
望み通りになって良かったではないか。人類には本当に馬鹿しかいないのではないかと思う。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
インフレという新たなパラダイム

さて、誰が何を言おうがインフレは進んでゆく。この新たな世界では何が起きるだろうか。ダリオ氏は次のように説明する。

これまでは、人々は低いインフレに慣れていた。その状況下では人々は債券や現金を保有していた。それがやり方だった。

人々は何も心配していなかったし、家を買い急いだりはしなかった。会社も在庫の量を増やす必要性などを心配したりはしなかった。

しかしそれは変わり始めている。以下の記事で書いた通り、アメリカでは既に住宅価格が年率20%近い上昇率となっている。

金融引き締めはインフレ率より先に株価を退治してしまうだろう
住宅価格の上昇は時間差で家賃に転嫁される。だからアメリカ人は急いで家を買っているのである。

そしてダリオ氏によると、このトレンドはますます強くなってゆくだろう。彼は次のように説明する。

一度シフトが始まると自己強化プロセスが始まる。これまではみな債券を持っていた。債券は40年間強気相場だった。債券を保有することに何の問題もなかった。

しかしパラダイムシフトが起きると、新たなパラダイムにおけるトレンドを強化する行動の変化が生じる。

債券は誰かの借金であると同時に誰かの資産なので、人々が債券を売り始めるとその代わりに買うものは何だろうか。

住宅については上で述べたが、アメリカでは事態はもはや住宅バブルだけの話ではない。消費者物価が7.9%で上昇しているアメリカではインフレは既に消費者を悩ませており、貯蓄を削ってでも物価が上がる前にものを買おうとしている消費者の姿が統計に表れている。

アメリカの消費者はインフレで貯金を削ってものを買い漁っている
日本ではまだインフレは始まったばかりだ。投資家は去年からコモディティを買ってインフレに備えているが、日本の一般消費者はまだほとんど何にも気付いていないだろう。

だがこれが去年から今年、今年から来年のトレンドになってゆくと、多くの日本人も流石にインフレに気付き始めるだろう。

保存の利く食料は蓄え始めるかもしれないし、家を買おうとする人も増えるかもしれない。インフレが人々を動かし、人々の行動がインフレを増強してゆく。トレンド自身がトレンドを強化する。それが自己強化的なトレンドである。そしてますますインフレは酷くなってゆく。

結論

だからFed(連邦準備制度)のパウエル議長が去年「インフレは一時的だ」と語ったとき、それはもうどうしようもなく完全に間違っていたのである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
それはインフレが去年のうちに収まるかどうかというタイムフレームの予測が間違っていたという意味ではない。インフレがそもそも自己強化的だという経済学的事実をパウエル氏は見落としていたのであり、それは経済の仕組みが何も分かっていないということである。

そして今、中央銀行は金利を現在のインフレ率よりも4%以上も低いところに利上げするという「緩和」政策を行っている。

経済学者ラリー・サマーズ氏の言うように最終的にはより急激な利上げに追い込まれるのだが、Fedがこうして呑気に低金利している間にインフレはどんどん酷くなるだろう。

サマーズ氏: インフレ速度よりも急激な利上げが必要
そしてそれを支持しているのは有権者だという事実を忘れてはならない。日銀が今何をしているかについては、本当にただの笑い話でしかない。対価として人々はインフレを受け取るだろう。彼らはそれを望んでいたのだから、それを喜ぶべきなのだ。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22710

56. 中川隆[-13344] koaQ7Jey 2022年4月10日 11:04:01 : mqTygPfupR : VFI4SVNtS1hVVEk=[2] 報告
世界最大のヘッジファンド、アメリカ経済がもう手遅れであることを認める
2022年4月9日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22771


引き続きYahoo! Financeによる世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者レイ・ダリオ氏のインタビューである。今回はインフレと利上げについて語っている部分を取り上げたい。

利上げと株式市場

アメリカでは物価が高騰しており、Fed(連邦準備制度)は今年かなりの速度での利上げを行おうとしている。

3月FOMC会合結果は利上げ開始、政策金利は年内に2%以上となり株価暴落へ
見通しでは政策金利は今年中に2%以上の水準になるという。だがダリオ氏はこの金利見通しについて次のように述べている。

7回の利上げとは何と多いんだと皆が言っているのを見ると笑ってしまう。金利を2%か何かに上げたとして、それは確かに資本市場を苦しめ、株式の保有者にとって難しいことになり始めるだろう。

債券や預金のリターンが上がり、資金が引き締まり、リスク資産など他のものの魅力を減らしてしまう。ハイテク株などキャッシュフローの想定期間が長いものは特にそうだ。

金利が高くなれば、上下動の激しい株式を保有するリスクを取らなくとも国債を保有するだけである程度のリターンが得られてしまう。

例えば今後の利上げを織り込んで2年物国債の金利はほとんど2.6%に達している。


国債を2年保有していれば2.6%のリターンが得られるということである。

一方の米国株は金融引き締めでぐらついており、2年で果たして同じリターンを達成できるだろうか。


これが株式の投資家が直面している問題である。2.6%の2年物国債は既に株価と実体経済に悪影響を及ぼしつつあり、以下の記事で書いたように今後の悪化は債券市場では既に織り込まれている。

サマーズ氏: 長短金利の逆転は景気後退を引き起こさない
利上げは十分か

一方でダリオ氏は金利が2%に上がるだけではインフレ抑制には不足だという。彼は次のように続ける。

だがそれでも金利は2%か2%を少し上回る程度で、インフレ率はそれよりもかなり高い7%だ。長期的には5%くらいに収まるだろうか。

そうすると、2%の金利があっても実質的には(債券や預金の保持者は)インフレに対して資産を失ってゆくことになる。

それで人々は債券や預金から離れ、インフレをヘッジするために貴金属や農作物などのコモディティに投資するようになる。ものが買われるのでインフレは止まらない。それが前回の話である。

世界最大のヘッジファンド: 人々がどんどんインフレマインドに変わってゆく
だが中央銀行はインフレ抑制のために十分な利上げを行うことができない。ダリオ氏は次のように続ける。

Fedがインフレに対応するために十分な引き締めを行えば、株価と実体経済が沈んでしまう。

だからこれから1年でFedはかなり難しい立ち位置に置かれることになる。インフレ率はまだまだ高く、それが市場と経済にのしかかっている。

結論

どうすれば良いのか? ダリオ氏はそう聞かれて絶望的な答えを返している。

中央銀行はますます難しい選択に迫られており、この状況はスタグフレーションをもたらすだろう。

インフレを抑制したいが、インフレが抑制できるほど金利が高いと経済が死んでしまう。

中央銀行に何が出来るか? 何も出来ない。彼らは既にその状態に置かれている。

中央銀行が対処しなければならないこの問題は彼らの処理能力を完全に超えている。

アメリカ人にはよくあることだが、彼らは出来る限り楽観的であろうとする。経済学者ラリー・サマーズ氏との対談の時にはダリオ氏はこの状況に警鐘を鳴らしながらも「だがわたしたちは両方間違っているかもしれない」とスタグフレーション回避に含みを持たせた。

だが今回はここまではっきり言ってしまった。やはりどう考えてもこの状況では物価高騰か株価暴落のどちらかは回避できないからである。

2022年の株式市場: パーティは終わっているのにまだ踊っている人がいる
聞き手は絶望的な顔をしながらダリオ氏に恐る恐るソフトランディングは絵に書いた餅(原文:pie in the sky)かと尋ねる。

ダリオ氏は最後まで楽観的であろうと頑張り、かなりためらいながら次のように言った。

んー、ソフトランディングと言うのは…あー、どうだろう。ええと…んー。…そうだ。絵に書いた餅だ。高確率でわれわれはスタグフレーションに突入するだろう。

2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22771

57. 中川隆[-8014] koaQ7Jey 2025年1月06日 07:03:41 : 8PDGD1z8rg : enJyOFFKSElrcUE=[4] 報告
<■56行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
植草一秀の『知られざる真実』2025年1月 5日
失われた30年という現実
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

世界は変わる。

変わる世界を認識し、自らを変えなければ変化に対応することはできない。

世界のなかで取り残される日本。

経済成長のない10年、20年、30年が経過した。

その原因はどこにあるか。

2012年12月に政権交代があった。

「アベノミクス」が叫ばれた。

2013年7月の参院選で「ねじれ」が解消。

安倍政治が長期間存続した。

私は2013年6月に「アベノリスク」(講談社)を上梓した。


「日本を融解させる7つの大罪」

として以下の問題を提示した。

第1の罪 インフレ 第2の罪 増税 第3の罪 TPP参加 第4の罪 原発再開 第5の罪 シロアリ公務員温存 第6の罪 改憲 第7の罪 戦争へ

安倍政治によって日本の悲劇が生じることを予言した。

安倍政治は「成長戦略」を掲げたが、日本は成長しなかった。

安倍政治が掲げた「成長」は「大企業利益の成長」であって、「国民利益の成長」ではなかった。

日銀が掲げた「インフレ誘導」

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2年以内に消費者物価上昇率を2%以上に引き上げると「公約」したが実現しなかった。

拙著で私は2%公約が実現しない可能性が高いと記述した。

短期金融市場に資金を注入しても金融機関の与信が増えなければマネーストックは増大しない。

マネーストックが増大しなければインフレは実現しない。

このことから2%公約の達成が困難であると記述した。

2023年に4%インフレが発生したのは日銀の政策誘導によるものでない。

海外初のインフレが日本に波及したと同時に、日銀が日本円暴落誘導を実行したからだ。

4%インフレを容認することはできない。

日銀はインフレ抑止に舵を切るべきだったが、黒田日銀は最後までインフレ誘導の旗を振った。

その結果、4%インフレを招いてしまった。

「賃上げ」を誘導すると主張されたが、労働者にとって重要なのは名目賃金の上昇ではない。

名目賃金が上昇してもインフレがこれを上回れば実質賃金は減少する。

過去27年間に実質賃金が小幅増加したことが5回ある。

そのすべては物価下落の局面。

物価下落=デフレの局面でのみ実質賃金が小幅増加した。

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元々、インフレ誘導は実質賃金を引き下げるために発案された。

1990年代以降、世界の大競争激化のなかで先進国産業の価格競争力が低下した。

新興国に対抗するために労働コスト引き下げが求められた。

「賃上げ」は可能だが「賃下げ」は困難である。

実質的に賃金コストを抑制するには、インフレが生じる際に賃上げをしなければよい。

そうすれば実質賃金の切り下げが可能になる。

このためにインフレ誘導が提案された。

インフレ誘導は労働者のための施策ではなく、実質賃金切り下げを狙う資本のために提案された政策だった。

ここに「アベノミクス」の欺瞞性があった。

「アベノミクス」の柱である「成長戦略」は以下の五つを柱にした。

1.農業自由化
2.医療自由化
3.解雇自由化=労働規制撤廃=実質賃金引き下げ
4.法人税減税
5.特区創設

このすべては、「大企業利益の成長」戦略であり、「労働者不利益の成長」戦略だった。

「法人税減税」の裏側は何か。

「消費税大増税」である。

「大企業利益の成長」だけを追求して日本経済の長期低迷を招いてきた。

この経済政策全体を根底から改変しなければ日本経済は浮上しない。

経済政策の抜本転換が2025年の課題である。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-6d6c13.html

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