http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/619.html
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(回答先: 株式市場が織り込み始めた次の景気後退 米国株に不吉な兆候増加リセッションの可能性 ビットコイン年間下落率最悪断トツの急減 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 26 日 20:08:17)
米利上げ停止、株式市場からのSOSだけでは不十分
歴史が示唆
Emily Barrett、John Authers
2018年11月26日 13:39 JST
• 2019年に3回の利上げというFOMC見通しを市場は疑問視
• 株式相場下落で「パウエル・プット」への期待が浮上
米国株の売りで金融当局の引き締め軌道を疑問視し始めた投資家は、過去の市場の波乱を振り返ってみた。かつては当局が市場の救援に駆け付けたことがあったが、最近は経済から警戒信号が発せられない限り支援はしていないようだ。
12月の利上げはほぼ確実視されているが、連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に示した2019年に3回の利上げという見通しは疑問視されている。株価が同月に付けた日中取引での最高値から10%余り下落したことで、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による「パウエル・プット」への期待が広がり始めた。
グリーンスパン元FRB議長の時代には「グリーンスパン・プット」があった。ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメントの1998年9月の破綻や新興市場危機に際して、グリーンスパン氏は利下げで対応したが、それは株式相場の下落と強く連動していた。
後任のバーナンキ元FRB議長も2007、08年の景気後退に際して利下げし、金利がほぼゼロになった後は量的緩和(QE)に訴えた。
とはいえ、バーナンキ氏は株式相場の大幅下落のたびに行動したわけではなく、その次のイエレン前議長もそうはしなかった。最近の世界的市場混乱に現議長がどう対応するか、市場は計りかねている。
ジャン・ハッチウス氏らゴールドマンのエコノミストは1994年からの株安を分析した結果、「当局が緩和的になるのは信用スプレッドなど他の金融環境指標も大きく悪化した場合か成長が長期的トレンドを下回った場合だけだった」として、今回は当局が利上げを停止しないとの結論に達した。
原題:History Shows Fed Pause May Require More Than an SOS From Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-26/PIS7786JTSE801?srnd=cojp-v2
外為フォーラムコラム2018年11月26日 / 15:21 / 3時間前更新
コラム:「既視感」溢れるイタリア問題、抜本策は何か=井上哲也氏
井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
4 分で読む
[東京 26日] - 2019年の予算を巡るイタリア政府と欧州委員会との対立が、いよいよ正念場を迎えている。トリア経済相は欧州委との調整が決裂する事態を回避したい意向を示しているが、欧州委と妥協する可能性は低いように見える。
連立政権を支える「五つ星運動」と「同盟」の党首をそれぞれ務めるディマイオ、サルビーニ両副首相が、来年の欧州議会での影響力強化を目指していることも背景にある。最終的にイタリアが課徴金を課される事態に至るかどうかは不透明としても、欧州委による何らかの是正措置を免れることは難しいようだ。
<既視感ある展開>
しかし、冷静に考えれば、少なくとも2018年春の総選挙の時点で、こうした事態を予想することは難しいことではなかった。なぜなら、現在政権政党となっている「同盟」と「五つ星運動」だけでなく、レンツィ元首相やベルルスコーニ元首相がそれぞれ率いた中道政党も含め、主要な政党が全て財政拡張政策を主張していたからである。つまり、どの政党が政権を獲得しても、財政健全化を巡る欧州委員会との対立は不可避だった訳である。
イタリア国内でそうした政治環境を演出したのは、国民の「緊縮疲れ」とも呼べる世論であった。実は、前出の両副首相が欧州委に対して主張しているように、イタリアはこれまで財政健全化を着実に進めてきていた。さらに言えば、もう一つの構造問題である銀行の不良債権についても、不動産価格の底打ちもあって、新規の発生には歯止めが掛かりつつあった。
しかし、そうした施策が経済成長率の底上げを実現するまでには時間がかかる中で、国民の間で低成長に対する不満が抑制できなくなったものとみられる。
加えて、筆者が非常に残念に思うのは、2008年の世界金融危機や2009年以降の欧州債務危機において顕在化した問題が、今回少なからず再現されつつあることだ。
例えば、国際金融市場は、18年春の選挙後にはグローバルな「リスクオン」の投資環境の中でイタリア財政をほとんど問題視していなかったにもかかわらず、夏以降にさまざまな不安要因が生じてから、急にイタリア国債利回りへの上昇圧力をかけ始めた。こうしたいわば正循環的な反応では、財政拡張に対する有効な歯止めの役割を果たすことはできない。格付け会社も、欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れへの深刻な打撃となることを考慮したのか、事態の推移に対して格付見直しが遅延気味になっている。
しかも、10月ECB理事会の議事要旨が示唆するように、イタリアでは、強力な金融緩和にもかかわらず、ここへきて銀行貸出の金利が上昇したり、銀行が優良な借り手に対しても貸出をためらうといった、この10年間さまざまな国で観察された金融仲介機能の低下までもが再現されつつあるようだ。イタリア当局にとっては、世界金融危機後に講じてきた銀行システムの頑健性向上に向けた取り組みを考えると、無力感にさいなまれる事態とも言えよう。
<ECBが取り得る一手>
ECBが18年末で量的緩和策を停止する方針にある下で、イタリア国債の利回りが上昇しつつ不安定化した場合、ECBに対してイタリア国債の買い入れ継続を求める声が高まることが考えられる。しかし、ECBからみれば、そうした要求に屈することは、イタリア政権による財政運営に決定的なモラルハザードを招くだけでなく、中央銀行による財政ファイナンスそのものになるだけに、受け入れがたい選択肢である。
もっとも、上記のようにイタリア国内で財政規律の問題が金融仲介を脅かす事態になりつつあるとすれば、域内の金融システム安定をマンデートの一つとするECBにとっても看過できないことになる。
そこでECBが取り得る対応として注目されるのは、前述の理事会議事要旨が示唆するように、貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)のような中長期の資金供給オペをイタリアの銀行に対して実行する案である。ECBがイタリア国債を買うのに比べると、直接の政策効果が銀行に生じる点で望ましいことは明らかだ。
しかし、それでもざまざまな課題が残る。まず、イタリアの銀行が金融仲介機能を低下させている最大の原因が大量に保有しているイタリア国債の価格下落、あるいはその懸念だとすれば、問題の本質は自己資本の充実度ということになる。その場合、中長期オペの供与のような流動性対策では抜本的な解決は望みがたい。
実際、少なくとも域内主要国の中で唯一、イタリアの銀行は自国の国債保有を増やし続けてきた。その背景は必ずしも明確ではないが、景気や物価低迷による金利低下期待と、国内預金の回復、そして国内貸出の低迷による資産運用上の要請が考えられる。
加えて、イタリアの銀行は、国際金融市場での「風評」を恐れるあまり、ECBが提供する中長期オペの利用を逡巡するかもしれない。これもまた、世界金融危機後に欧米市場で実際に生じた既視感を覚える事態であると同時に、有効な対応の見出しがたい問題である。
<本質的な対応は>
イタリア経済を回復軌道に乗せる上で金融仲介の活性化が必要であるのに、イタリアの銀行がソブリンリスクの負担に圧迫されているのであれば、それを何らかの形で除去することが有効な解決策となる。
つまり、かつての日銀が銀行の保有する株式を買い取ったのと同様な対応ができればよいが、今回は中央銀行以外の買い手の登場が望まれる。その意味では、かねて欧州委が検討を進めてきた、ユーロ圏救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)の機能拡充が最も実効性のある対応となろう。
さらに、もともとの財政規律の問題に関しても、域内国に対して一律のハードルを設定する現在の安定成長協定の枠組みには再検討の余地もあるように思われる。例えば、同協定の基準が適用される時間軸や経費支出の内容に柔軟性を高めるといった対応が考えられよう。
もちろん、この問題を究極的に解決するのは、域内国の間で財政面での統合を進めることである。来年の欧州議会を展望すると厳しい外部環境にあるにもかかわらず、フランスやドイツが粘り強く財政統合促進の道を模索していることにも、今回のイタリア問題が少なからぬ影響を与えているのかもしれない。
*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。
*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
(編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/column-inoue-tetsuya-idJPKCN1NV0E2
トップニュース2018年11月26日 / 13:38 / 5時間前更新
焦点:合意なき英EU離脱の回避へ、頼みは市場暴落か
2 分で読む
[ロンドン 23日 ロイター] - メイ英首相の欧州連合(EU)離脱素案に反対する英議員に再考を促したいなら、最高の妙薬は金融市場が暴落することだ。ポンドや株価がどの程度下落すれば、英議会が素案を拒否して合意なき離脱(ハード・ブレグジット)に突き進むのを回避できるだろうか。
議会は12月半ばに離脱案の採決を行う見通し。離脱案への反対は与野党を問わず強く、否決されればハード・ブレグジットが現実味を増す。投資家はポンドの下落やボラティリティー(相場の変動率)の上昇から身を守るため、オプション取引などで備え始めている。
ただ今のところ、金融市場が暴落して離脱素案に反対する議員を転向させる兆しは見えない。
つまり投資家は依然、合意に基づく円滑な離脱の可能性が最も高いと考えているようだ。
スミス・アンド・ウィリアムソンの債券ディレクター、ロビン・マーシャル氏は「政治家を真剣にさせるには、資産価格がもっと大幅に下落する必要がある」とし、ポンドと株価が5─7%急落すれば政治家も腰を上げると予想した。
<TARPシナリオ>
12月の採決でメイ氏の離脱案が否決された場合、市場が暴落して議員らはすぐに転向し、小幅な修正を加えた離脱案が再投票で可決される──。ブラックロックのポートフォリオマネジャー、ルパート・ハリソン氏は、こうしたシナリオを「TARP」モデルと名付けた。
TARPとは2008年の世界金融危機時に米政府が打ち出した銀行救済策「不良資産救済プログラム」の略称。当時、米下院がTARPを否決すると米国株は10%近く暴落し、4日後に下院が方向転換した経緯がある。
こうした事例には事欠かない。例えばギリシャでは2015年、EUに課された緊縮策の撤回を公約したチプラス氏が首相に選出されたが、市場の暴落でギリシャ銀の経営が危うくなると公約を撤回した。
英国は1992年、投機筋のポンド売りを防衛し切れず欧州為替レート・メカニズム(ERM)を離脱し、その後大幅な利上げを余儀なくされた経験がある。いわゆる「ブラック・ウエンズデー(暗黒の水曜日)」だ。
ハード・ブレグジットになれば、英国経済は当時と同様に悲惨な状況に陥るかもしれない。UBSの試算では、この場合、英国の国内総生産(GDP)は10%減少する。もっとも、合意に基づく離脱でも6%減少するという。
<ショックが不十分>
ただ、EU離脱の是非を問う2016年6月の国民投票で離脱派が勝利し、ポンドが急落したにもかかわらず、議員は離脱への見解を変えていない。
ロンバード・オディエの首席投資ストラテジスト、サルマン・アハメド氏は「ポンドがもっと強い売り圧力にさらされなければ、混乱状態には陥らない」と指摘。ギリシャの場合は銀行セクターの悪化がチプラス首相に妥協を促したが、「英国はショックが足りないので、そうした事がまだ起こっていない」と言う。
アハメド氏は、合意なき離脱になればポンドはさらに10─12%下げて過去30年強の安値である1ポンド=1.13ドルに近付くと予想した。
議会が12月に離脱案を否決するとの見方が強まり、市場への織り込みが進んだこと自体が、TARPシナリオの可能性を遠ざけている面もある。
12月にいったん否決されても、最終的にはハードブレグジットよりも円滑な離脱、場合によっては国民投票の再実施に至る可能性の方が高いとの認識が広がっているようだ。そうなればポンドは急反発する可能性があるため、投資家はポンドを裸で売るのを怖がり、代わりにデリバティブを利用している。
本当に厳しい状況になれば、ポンド以外の資産にも影響は広がりそうだ。閣僚の間で「メイおろし」の機運が高まった今月半ばには、英国株とポンドの逆相関が崩れ、ポンドと株がそろって下落する珍しい事態となった。
不動産株や銀行株も急落し、経済全般に混乱が広がる兆しも垣間見えた。
BNYメロンのストラテジスト、サイモン・デリック氏は、離脱案が否決されそうな12月から、議会が再採決を試みそうな1月までの期間は、年末年始で流動性が薄くなると指摘。こうした時期に英国市場が混乱すると、世界的に余波が伝わりやすいと警告を発した。
(Tommy Wilkes記者 Dhara Ranasinghe記者)
https://jp.reuters.com/article/brexit-market-analysis-idJPKCN1NV08H
外為フォーラムコラム2018年11月26日 / 15:21 / 3時間前更新
コラム:
「既視感」溢れるイタリア問題、抜本策は何か
井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
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[東京 26日] - 2019年の予算を巡るイタリア政府と欧州委員会との対立が、いよいよ正念場を迎えている。トリア経済相は欧州委との調整が決裂する事態を回避したい意向を示しているが、欧州委と妥協する可能性は低いように見える。
連立政権を支える「五つ星運動」と「同盟」の党首をそれぞれ務めるディマイオ、サルビーニ両副首相が、来年の欧州議会での影響力強化を目指していることも背景にある。最終的にイタリアが課徴金を課される事態に至るかどうかは不透明としても、欧州委による何らかの是正措置を免れることは難しいようだ。
<既視感ある展開>
しかし、冷静に考えれば、少なくとも2018年春の総選挙の時点で、こうした事態を予想することは難しいことではなかった。なぜなら、現在政権政党となっている「同盟」と「五つ星運動」だけでなく、レンツィ元首相やベルルスコーニ元首相がそれぞれ率いた中道政党も含め、主要な政党が全て財政拡張政策を主張していたからである。つまり、どの政党が政権を獲得しても、財政健全化を巡る欧州委員会との対立は不可避だった訳である。
イタリア国内でそうした政治環境を演出したのは、国民の「緊縮疲れ」とも呼べる世論であった。実は、前出の両副首相が欧州委に対して主張しているように、イタリアはこれまで財政健全化を着実に進めてきていた。さらに言えば、もう一つの構造問題である銀行の不良債権についても、不動産価格の底打ちもあって、新規の発生には歯止めが掛かりつつあった。
しかし、そうした施策が経済成長率の底上げを実現するまでには時間がかかる中で、国民の間で低成長に対する不満が抑制できなくなったものとみられる。
加えて、筆者が非常に残念に思うのは、2008年の世界金融危機や2009年以降の欧州債務危機において顕在化した問題が、今回少なからず再現されつつあることだ。
例えば、国際金融市場は、18年春の選挙後にはグローバルな「リスクオン」の投資環境の中でイタリア財政をほとんど問題視していなかったにもかかわらず、夏以降にさまざまな不安要因が生じてから、急にイタリア国債利回りへの上昇圧力をかけ始めた。こうしたいわば正循環的な反応では、財政拡張に対する有効な歯止めの役割を果たすことはできない。格付け会社も、欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れへの深刻な打撃となることを考慮したのか、事態の推移に対して格付見直しが遅延気味になっている。
しかも、10月ECB理事会の議事要旨が示唆するように、イタリアでは、強力な金融緩和にもかかわらず、ここへきて銀行貸出の金利が上昇したり、銀行が優良な借り手に対しても貸出をためらうといった、この10年間さまざまな国で観察された金融仲介機能の低下までもが再現されつつあるようだ。イタリア当局にとっては、世界金融危機後に講じてきた銀行システムの頑健性向上に向けた取り組みを考えると、無力感にさいなまれる事態とも言えよう。
<ECBが取り得る一手>
ECBが18年末で量的緩和策を停止する方針にある下で、イタリア国債の利回りが上昇しつつ不安定化した場合、ECBに対してイタリア国債の買い入れ継続を求める声が高まることが考えられる。しかし、ECBからみれば、そうした要求に屈することは、イタリア政権による財政運営に決定的なモラルハザードを招くだけでなく、中央銀行による財政ファイナンスそのものになるだけに、受け入れがたい選択肢である。
もっとも、上記のようにイタリア国内で財政規律の問題が金融仲介を脅かす事態になりつつあるとすれば、域内の金融システム安定をマンデートの一つとするECBにとっても看過できないことになる。
そこでECBが取り得る対応として注目されるのは、前述の理事会議事要旨が示唆するように、貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)のような中長期の資金供給オペをイタリアの銀行に対して実行する案である。ECBがイタリア国債を買うのに比べると、直接の政策効果が銀行に生じる点で望ましいことは明らかだ。
しかし、それでもざまざまな課題が残る。まず、イタリアの銀行が金融仲介機能を低下させている最大の原因が大量に保有しているイタリア国債の価格下落、あるいはその懸念だとすれば、問題の本質は自己資本の充実度ということになる。その場合、中長期オペの供与のような流動性対策では抜本的な解決は望みがたい。
実際、少なくとも域内主要国の中で唯一、イタリアの銀行は自国の国債保有を増やし続けてきた。その背景は必ずしも明確ではないが、景気や物価低迷による金利低下期待と、国内預金の回復、そして国内貸出の低迷による資産運用上の要請が考えられる。
加えて、イタリアの銀行は、国際金融市場での「風評」を恐れるあまり、ECBが提供する中長期オペの利用を逡巡するかもしれない。これもまた、世界金融危機後に欧米市場で実際に生じた既視感を覚える事態であると同時に、有効な対応の見出しがたい問題である。
<本質的な対応は>
イタリア経済を回復軌道に乗せる上で金融仲介の活性化が必要であるのに、イタリアの銀行がソブリンリスクの負担に圧迫されているのであれば、それを何らかの形で除去することが有効な解決策となる。
つまり、かつての日銀が銀行の保有する株式を買い取ったのと同様な対応ができればよいが、今回は中央銀行以外の買い手の登場が望まれる。その意味では、かねて欧州委が検討を進めてきた、ユーロ圏救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)の機能拡充が最も実効性のある対応となろう。
さらに、もともとの財政規律の問題に関しても、域内国に対して一律のハードルを設定する現在の安定成長協定の枠組みには再検討の余地もあるように思われる。例えば、同協定の基準が適用される時間軸や経費支出の内容に柔軟性を高めるといった対応が考えられよう。
もちろん、この問題を究極的に解決するのは、域内国の間で財政面での統合を進めることである。来年の欧州議会を展望すると厳しい外部環境にあるにもかかわらず、フランスやドイツが粘り強く財政統合促進の道を模索していることにも、今回のイタリア問題が少なからぬ影響を与えているのかもしれない。
*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。
*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
(編集:山口香子)
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