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中国で意外な「トランプ人気」トランプ発言で原油価格急落、減産も小幅 中国不動産2桁調達コスト 米国第一主義と軍備増強矛盾
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/620.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 26 日 20:24:35: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 米利上げ停止、株式市場からのSOSだけでは不十分歴史が示唆 合意なき英EU離脱回避、頼みは暴落 既視感溢れるイタリア問題 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 26 日 20:14:35)

コラム2018年11月24日 / 08:17 / 2時間前更新

中国で意外な「トランプ人気」
Rob Cox
2 分で読む

[香港 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は中国に貿易戦争を仕掛けている。しかし意外なことに、中国の民間セクターの一部には、密かに同氏を支持する心情がある。

中国の企業家は自国経済の開放と競争の導入を望んでいるが、国内で習近平国家主席に圧力をかけることはしない。トランプ氏が中国に突きつける改革要求に頼るしかないのが実態だ。

対外的には、中国の高官や企業人、政府系メディアは結束して米国の「保護主義」に反対している。王毅国務委員兼外相は19日に外務省ウェブサイトで、特定の国が「保護主義と一国主義を正当化」していると非難した。米政府を指しているのは明らかだ。

同時にここ数カ月、中国国内では経済問題、とりわけ対米貿易に関する報道への検閲が強まっている。しかし水面下をのぞくと、もっと複雑な構図が浮かび上がる。

米国の輸入関税引き上げや投資規制の強化が恩恵をもたらすとは、中国の民間企業幹部も政策参謀も考えていない。直感に反するトランプ氏への支持は、別のところから来ている。中国は故トウ小平政権下の1980年代から「中国独自の社会主義」という理念の下で市場経済の要素を取り入れたが、その機運が途絶え、理念に合致する改革ですら滞っていることへの不満が根底にあるのだ。

不満を抱く人々にとって、習氏は経済問題にほぼ無関心で「中国共産党を再び偉大にする」ことに集中しているように映る。例えば党による国有企業への統制を強化し、企業の定款に党の役割を挿入するなどの措置を進めた。政府高官らも厳しい改革の推進には及び腰のように見える。

その上、政府による一部産業への関与、特に消費者向けハイテク分野への介入がここ1年で目に見えて強まった。政府は騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の人気ゲーム販売について、近視や中毒の恐れがあるとして新規認可を凍結し、同社は第2・四半期に2005年以来初めての減益となった。

またコンテンツ配信プラットフォーム運営の北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)は今年、政府高官から人気のニュースアプリ「今日頭条」のダウンロードを閉鎖させられるなどして、創業者が謝罪する事態となった。総合的に見て、中国の民間セクターが暗い政策見通しを抱くのも無理はない。

この結果、改革派はトランプ氏が外圧によって変革を促してくれることに期待を寄せている。

関税引き上げという乱暴な道具を振りかざして中国指導部を動かすことができれば、党幹部らが本来避けて通りたい市場開放につながるかもしれない、というわけだ。そうなれば民間企業の競争が進み、とりわけ国有企業と戦いやすくなるかもしれない。

この理屈には一理ある。外資系自動車メーカーや金融サービス業者による合弁企業への出資制限撤廃など、過去1年ほどで発表された数少ない自由化策は、米政府の働きかけに対応したものだったからだ。

習氏その他の高官はここ数週間、雇用を生み出せるのは民間企業しかないとして、企業家のアニマルスピリットを鼓舞する発言を始めた。習氏は今月北京で開いた民間企業のシンポジウムで、民間企業と企業家に「揺るぎない支援」を約束。減税や資金調達の改善、国有企業と民間企業の競争条件の平等化も誓った。

その後、李克強首相ら高官や人民日報などの有力メディアも同様のメッセージを発し、民間企業を持ち上げた。これがある程度まで米国の圧力のおかげなのか、単に民間部門の重要性を認識したからなのかは分からない。いずれにせよ、中国の企業幹部らは内心、自国の政府よりトランプ氏に改革の期待をかけている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/trump-china-breakingviews-idJPKCN1NR090

 

 

2018年11月26日 芥田知至 :三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員
トランプ発言で原油価格急落 産油国減産も小幅の見通し
 10月3日の原油相場では、米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル当たり76.90ドル、欧州の北海ブレントは同86.74ドルと、共に2014年11月以来の高値を付けた。
 背景には、米国の対イラン制裁による需給逼迫懸念や、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の合意で貿易摩擦への懸念が後退したことなどがあった。

拡大画像表示
 しかし、その後、サウジアラビアとロシアが非公式に増産で合意していたとの報道や、世界的な株式相場の急落を背景に原油相場は下落した。
 10月下旬まで増産姿勢を示していたサウジだが、11月に入ると一転、減産を志向するようになった。サウジにとっては、足元の原油の需給緩和や相場下落が想定外だったということであろう。
 11月2日には、米政府がイラン産原油の禁輸措置について、日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾の8カ国・地域は180日間、適用除外とする方針を明らかにしたことがサプライズとなって、需給逼迫への懸念が和らいだ。
 11日に、OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国は、アブダビでJMMC(共同閣僚監視委員会)を開催し、原油市場の状況について議論が行われたようだ。
 その結果を踏まえて、翌12日にはサウジのファリハ・エネルギー相が、19年は18年10月比で日量100万バレルの減産が必要との分析結果で産油国が一致したと表明した。サウジ自身は12月に50万バレルの減産を行う方針も明らかにした。これらを受けて、需給引き締まり観測が強まり、原油相場は上昇していった。
 しかし、その後、トランプ米大統領がツイッターで「サウジとOPECが減産しないことを望む。原油価格は供給量に基づきもっと引き下げられるべきだ」と述べた。これにより売り圧力が強まり、結局、この日に下落しただけではなく、翌13日も大幅下落した。
 トランプ氏は原油相場を高過ぎるとしていたのに対して、サウジは原油安を懸念し、減産で相場下落に歯止めをかけたい意向とみられる。ロシアは少なくとも13日の相場急落前までは、原油相場は適正水準に近いとの見方であった。
 12月6〜7日に予定されるOPEC総会と非加盟産油国も参加するOPECプラス閣僚会合では、19年の減産の是非などが協議される。トランプ氏からの圧力はあるが、産油国の事情が優勢され、減産が決定される可能性が高い。
 ただし、サウジは日量140万バレルの大幅減産を検討しているのに対して、ロシアは大幅減産には消極的とされる。現時点での落としどころは、やや小幅な減産となるだろう。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

https://diamond.jp/articles/-/186480

 

2018年11月26日 ロイター
中国不動産デベロッパー「新常態」は2桁の調達コスト

11月20日、中国の不動産デベロッパーは高い利回りでの社債発行が常態化し、調達コストの膨張が顕著だ。写真は河北省の建設現場。8月撮影(2018年 ロイター/Joyce Zhou)
[香港 20日 ロイター] - 中国の不動産デベロッパーは高い利回りでの社債発行が常態化し、調達コストの膨張が顕著だ。利回り上昇の背景には、中国不動産市場の冷え込みに投資家がリスク回避姿勢を強めていることや米金利の上昇がある。

 時代中国(旧時代地産)が1月に3年物を起債した際の発行利回りは6.25%だったが、最近の2年物起債では11%と約2倍の水準を強いられた。

 中国の不動産投資は10月に伸びが10ヵ月ぶりの水準に鈍り、住宅販売も再び減少。市況の軟化に直面した不動産開発業者は事業拡大計画を棚上げした。

 今月初めの18億ドルの起債で表面金利が当時最高だった中国恒大集団も、19日の2年物、10億ドルの追加発行では11%となった。

 中国恒大が18億ドルを起債した際には、負債額の大きい同社が高い表面金利で社債を発行すれば同業他社への圧力が増し、借り入れコストを全体的に押し上げると、銀行関係者やアナリストが警鐘を鳴らした。実際に開発業者は今年のオフショアでの借り入れ割り当てが期限切れとなる前に、高い表面金利で投資家の買いを呼び込もうと雪崩を打って起債に走り、こうした危惧が現実のものとなっている。

 ANZの社債アナリストのオーウェン・ガリモア氏は「ダブルB格付けの発行体は2年という短めの社債発行で10─11%の利回りを求められており、発行利回りの水準は毎週のように上がっている。最悪の場合は10%台半ばもあり得る」と述べた。

 雅居楽集団は7月に3年物の発行利回りが8.5%だったが、先週の2年物、4億ドル(S&Pの格付けがダブルB)の起債は9.5%だった。

 ロイターが入手したタームシートによると、緑地香港控股も今週の1年半、2億ドルの社債の発行利回りが9.25%となった。6月の1年物起債では7.875%だった。

 リフィニティブのデータでは、過去2年間に期間2年の社債を1億ドル以上の規模で起債し、発行利回りが2桁に達したのはわずか15社で、うち12社が中国の不動産開発会社だ。

 リフィニティブによると、来年償還期限を迎える社債はオンショアとオフショアの両方の起債分の合計が961億ドルとなり、発行利回りの見直しが進んでいる。

 銀行関係者の話によると、投資家はジャンク(投資不適格級)の社債を購入する際にはより大きなプレミアムを要求し、期間の長い社債を敬遠しており、起債を実行に移すのはどんどん難しくなっている。

 シティグループのクレジット部門のスペシャリスト、マンジェシュ・ベルマ氏は「以前は7%でも投資家の関心を集められたが、今は7%どころか、9%でもまったくだめだ」と話した。

 発行利回りの上昇を受けて発行済み社債の価格は下落し、今年は債券投資家にとって極めてさえない年になった。

 時代中国が1月に発行した社債は現在、1ドルに対して90.8セントの水準で取引されており、利回りは11.16%に上昇。雅居楽集団が7月に発行した社債も価格が1ドルに対して96.6セントに下がり、利回りは9.94%に上がった。

(Julia Fioretti記者)
https://diamond.jp/articles/-/186660

 


 
 
露呈した「米国第一主義」と軍備増強の矛盾

2018/11/26

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 トランプ政権の看板スローガン「米国第一主義」と表裏一体で進められた大幅減税。しかしその結果、財政赤字が深刻化、このままでは自ら再選を目指す2年後の大統領選で国民の批判にさらされることを恐れる大統領は、早々と来年10月に向けて2020年度予算の切り詰めを全省庁に言い渡した。この中には、聖域扱いされてきた軍事予算も含まれており、ペンタゴンをあわてさせている。

 「全省庁例外なしに、予算カットを覚悟してほしい」―トランプ大統領は去る10月16日、ホワイトハウスでの閣議で次のようにまくしたてた。


富裕層減税が、国防費カットの結果に……。写真は、21日に香港に寄港した空母ロナルド・レーガンの乗組員(Imaginechina/AFLO)
 「2020年度予算だが、本日出席の閣僚たちには最低でも5%はカットをお願いしたい。いやもっとやってもらいたい。そうすればみんながハッピーになれる。各省庁の脂肪部分や無駄を除去すべきだ。私はあなたたち全員がこれを達成できることを信じている。努力すれば(財政赤字削減の)インパクトはとてつもなく大きい……」

 この異例の要請は、たまたまその2日前の14日、ホワイトハウスが公表した「米国財政見通し」を受けたもので、それによると、本年度財政赤字は2012年以来、最悪の7790億ドル(約80兆円)を記録、さらに2019年度には1兆ドルを突破した後、その後も同レベルの苦しい状況が続くと見込まれている。

 これとは対照的に、トランプ氏が頭ごなしに批判を続けてきたオバマ前政権下では、とくに2期目の在任期間中に着実に財政赤字が減り始め、ブッシュ政権当時の1兆3000億ドルからトランプ政権発足前の2016年会計年度では5850億ドルと5割以上の顕著な減少となった。

 ところが、「小さな政府」を標榜したはずのトランプ政権下で、2019年にはオバマ政権時の倍近い赤字にまで再び膨れ上がって来ることが明らかになり、大統領の尻に火がついた格好だ。

 赤字増の最大要因とされているのが昨年10月以来、実施されてきた大幅減税による税収減であり、しかもその減税効果が富裕層優先で、中産階級には及んでいないことから批判が高まった結果、11月中間選挙では下院で共和党が敗北するなど、国民の手痛いしっぺ返しを受けていた。

 予算カット要求をいきなり突き付けられた各省庁の中で、最も注目されるのが国防・軍事関係であることはいうまでもない。

 この点に関して大統領は詳細には触れず、閣議後の記者団とのやりとりの中で「おそらく(2020年国防関係予算は)7000億ドルぐらいだろう。軍事関係でやるべきことはすでにやっているからだ」と述べた。

 2018年度の国防関係予算は7000億ドルだったが、10月からスタートしたばかりの2019年度予算では7160億ドルにまで引き上げられることになっている。しかし今回の大統領指示により2020年には再び7000億ドルに戻ることになり、結果として5%ではなく、2.23%の削減にとどまるという。

 この間の事情について大統領は「つい少し前までは5200億ドルだったが、私が大統領になって7000億ドルに、そして7160億ドルに増額し、新型艦船の建造にあてた。わが国は眼を見張るような新世代潜水艦を造りだしている。それでも2020年度は自分としては7000億ドルに抑えるつもりだ」と説明した。

ペンタゴン関係者は不満を隠さない
 しかし、他の省庁並みの5%カットは免れたもののそれでも、ペンタゴン関係者は不満を隠さない。

 軍事専門紙「ディフェンス・ニュース」によると、国防総省高官は「今後のインフレ上昇分を差し引いた上で、人件費増、技術開発投資なども含め要件を満たすためには最低毎年2〜3%の予算増は絶対必要だ……とくに2020年度には物価上昇率が目立つ時とぶつかるだけに、逆に予算のアップではなくダウンとなるのは困ったものだ」と厳しい表情で語っている。

 さらに大統領の国防費カット方針については、去る11月14日公表された「国防戦略委員会」報告書でも厳しい批判が展開された。同委員会は連邦議会によって民主、共和両党の元国防関係当局者14人から構成され、「2018年トランプ政権国家防衛戦略」についての評価を目的として審議を進めてきたもので、報告書では主に以下のような点が指摘されている。

世界の新たなる大国間競争の時代にあって、アメリカの軍事的優位はすでに危険なレベルにまで低下し、将来中国およびロシアとの戦争で敗北しかねない状況になりつつある
政府は強いアメリカというビジョンを実行に移すためのスピードと十分な投資を行っておらず、このままではアメリカの軍事的優位性が一層失われ、国家安全保障上の非常事態を惹起することになる
この点、権威主義国家である中国およびロシア両国はアメリカと対等な軍事力増強に着手、当該地域における優位性の確保とグローバルな軍事力展開を模索している
アメリカは過去何十年にもわたり間違いなく軍事的優位性を維持してきたものの、その後、現状をよしとし、冷戦を想起させる中国やロシアとの軍事力レースに勝ち残るために不可欠なあらゆる資源調達(予算獲得、技術開発など)、イノベーションといった 必要な努力を怠ってきた、
欧州、アジア、中東において同盟諸国の信頼を損ない地域紛争の危険性が高まるにつれてアメリカの軍事バランスは悪化してきた
こうした状況下にあって、同委員会としては必要な軍事予算規模に言及する立場にはないものの、将来的な対中国およびロシア戦争での勝利を確実にするためには、従来の国防関連予算だけでは不十分であることは明白だ
 同報告書は超党派委員会の性格上、トランプ政権を名指しで批判はしていないものの、大統領自身が就任以来、「アメリカ・ファースト」を錦の御旗に掲げる一方、NATO(北大西洋条約機構)など西側同盟関係の重要性に疑問を投げかけ、メイ英国首相、マクロン仏大統領、メルケル独首相などへの個人批判発言などを通じ、対米関係がとくに動揺を来していることや、中国やロシアがその間隙をぬって軍事攻勢を強めつつあることへの危機感を随所ににじませたものとなっている。

メキシコの壁への莫大な支出
 しかも、このように世界情勢が緊迫の度を深め、アメリカの確固たる軍事対応が求められる重要な時期に、国防予算を犠牲にしてまでも大統領が「アメリカ・ファースト」の象徴でもあるメキシコ国境沿いの「壁」建設計画のために莫大な支出を要求し続けているのも、皮肉といえば皮肉だ。

 同計画は言うまでもなく、中米諸国からの不法移民取り締まりを目的としたものであり、「国防戦略委員会」が警告する「国家安全保障上の危機」とはまったく無縁だ。それにもかかわらず、大統領は全長2000キロにおよぶアメリカ版“万里の長城”建設に固執し続け、そのための第1次段階費用として議会に対し50億ドルの支出を要請している。しかし、専門家の試算によると、完成のための必要総コストは200~300億ドルにも達するという。

 さらに「アメリカ・ファースト」の一環として今後莫大な予算計上が予定されているのが、国内道路、線路、河川、港湾、橋梁など老朽化したインフラ整備のための大規模投資だ。

 今年初めに明らかにされたホワイトハウス「インフラ整備10年計画」によると、総額1兆5000億ドルにおよぶ壮大なもので、その大半は州、市町村、民間に負担させる一方、連邦政府としては2000億ドルの出資を見込んでいる。ただ、財政難にあえぐ一部の市町村の中には、自己負担を渋るところもあり、結果的に連邦政府負担分が当初よりさらに膨らむ可能性も指摘されている。

 インフラ投資は長期的に見た場合、アメリカの経済成長維持のためにきわめて重要であることは確かだが、短期的には、大幅減税による減収と合わせ財政赤字をより一層、拡大させることになりかねない。
 
 次の大統領選挙を2年後に控え、「アメリカ・ファースト」戦略にこだわるあまり同盟諸国との関係悪化を招き、中国およびロシア相手の軍事的優位性確保が困難になる一方で、国内的な財政状況の悪化にどう対処していくのか―トランプ大統領が今後直面する課題はきわめて深刻と言わざるを得ないだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14608


 

2018年11月26日 芥田知至 :三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員
トランプ発言で原油価格急落 産油国減産も小幅の見通し
 10月3日の原油相場では、米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル当たり76.90ドル、欧州の北海ブレントは同86.74ドルと、共に2014年11月以来の高値を付けた。
 背景には、米国の対イラン制裁による需給逼迫懸念や、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の合意で貿易摩擦への懸念が後退したことなどがあった。

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 しかし、その後、サウジアラビアとロシアが非公式に増産で合意していたとの報道や、世界的な株式相場の急落を背景に原油相場は下落した。
 10月下旬まで増産姿勢を示していたサウジだが、11月に入ると一転、減産を志向するようになった。サウジにとっては、足元の原油の需給緩和や相場下落が想定外だったということであろう。
 11月2日には、米政府がイラン産原油の禁輸措置について、日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾の8カ国・地域は180日間、適用除外とする方針を明らかにしたことがサプライズとなって、需給逼迫への懸念が和らいだ。
 11日に、OPEC(石油輸出国機構)と非加盟産油国は、アブダビでJMMC(共同閣僚監視委員会)を開催し、原油市場の状況について議論が行われたようだ。
 その結果を踏まえて、翌12日にはサウジのファリハ・エネルギー相が、19年は18年10月比で日量100万バレルの減産が必要との分析結果で産油国が一致したと表明した。サウジ自身は12月に50万バレルの減産を行う方針も明らかにした。これらを受けて、需給引き締まり観測が強まり、原油相場は上昇していった。
 しかし、その後、トランプ米大統領がツイッターで「サウジとOPECが減産しないことを望む。原油価格は供給量に基づきもっと引き下げられるべきだ」と述べた。これにより売り圧力が強まり、結局、この日に下落しただけではなく、翌13日も大幅下落した。
 トランプ氏は原油相場を高過ぎるとしていたのに対して、サウジは原油安を懸念し、減産で相場下落に歯止めをかけたい意向とみられる。ロシアは少なくとも13日の相場急落前までは、原油相場は適正水準に近いとの見方であった。
 12月6〜7日に予定されるOPEC総会と非加盟産油国も参加するOPECプラス閣僚会合では、19年の減産の是非などが協議される。トランプ氏からの圧力はあるが、産油国の事情が優勢され、減産が決定される可能性が高い。
 ただし、サウジは日量140万バレルの大幅減産を検討しているのに対して、ロシアは大幅減産には消極的とされる。現時点での落としどころは、やや小幅な減産となるだろう。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

https://diamond.jp/articles/-/186480
 

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コメント
1. 2018年11月26日 20:44:53 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[153] 報告
巨大市場を失ったドルガバが中国で踏んだ2つの地雷 中国人の行動原理はこうなっている(その1)
2018.11.24(土) 近藤 大介
ドルガバが上海でのショー中止 インスタ投稿への差別批判広がる
伊ミラノで行われたファッションショーで拍手を受けるステファノ・ガッバーナ氏(奥、2018年9月23日撮影、資料写真)。(c)Miguel MEDINA / AFP〔AFPBB News〕

(ジャーナリスト・近藤大介)

 中国人民というのは、恐ろしいのである。ドルチェ&ガッバーナ(以下、D&G)の炎上事件を見ていて、そのことを再認識した。

 話はいきなり大きくなるが、悠久の中国史において、王朝が滅亡するパターンは、概ね3通りしかない。後継者争いを巡る宮中のお家騒動、強力な異民族の侵入、そして人民の蜂起である。

 いまの共産党政権は、「中南海」(最高幹部の職住地)でお家騒動が起こらないよう、10年に一度、慎重にトップを変えている。例外は習近平主席で、今年(2018年)3月に憲法を改正し、国家主席の任期を取っ払ってしまった。それに先立って、昨年7月には、有力後継者だった孫政才・前重慶市党委書記をひっ捕らえ、後顧の憂いを消している。

 また、異民族の侵入に関しては、21世紀の初めに当時の江沢民主席が、「わが国は歴史上初めて、平穏な世を迎えた」と宣言した。どういうことかと言えば、中国は14カ国と陸の国境を接しているが、その14カ国中、ただ1カ国たりとも、中国を侵略する意図を持っていないと確信したということだ。中国人はそんな「幸福感」を、4000年の歴史上、ほとんど味わったことがなかったため、江主席が胸を張ったのだ。その後、胡錦濤時代の2004年には、約4300qに及ぶロシアとの国境を完全に確定させ、安心感はますます増した。

中国人民の怒りを噴出させないための4つの掟
 そんな中で、習近平政権が相変わらず恐れているのが、人民の蜂起なのである。「水は舟を進ませもし、転覆させもする」(水能戴舟、亦能覆舟)という故事がある。戦国時代の『荀子・王制篇』が出典で、君子を舟に見立て、人民を水に見立てているのだ。中国においては古代から現在に至るまで、人民は常に執政者を恐れているが、執政者もまた人民を恐れているのである。換言すれば、中国という国は、執政者と人民との不断の緊張関係の上に成り立っている。

 それでも普段、人民の怒りが噴出しないのは、以下の4つの執政者側の自助努力による。

 第一に人民を強く抑え込み、第二に人民に適度のガス抜きを与え、第三に人民の「地雷」を踏まぬよう気をつけ、そして第四に怒れる人民が一致団結しないようにしているからだ。執政者側がこの4つの「掟」を1つでも破ったら、たちまち人民が暴発するリスクが高まることになる。

 ここから話を本題に戻すが、今回のD&Gは、あろうことか第三と第四の掟を破ってしまったのだ。これは、中国の俗語で言うところの「完了!」(ワンラ)、すなわち「もうおしまい」というものだ。

 今回のD&G事件は、そもそもイタリアの高級ブランドメーカーのD&Gが、最大の顧客となりつつある中国人富裕層に向けて、さらに販路を拡張しようとして、11月21日の晩に、上海で大々的なファッションショーを計画したことから始まる。

 折りしも同月5日から10日まで、上海では第1回中国国際輸入博覧会が開催され、初日には習近平主席が演説して、「今後15年で40兆ドル(約4500兆円)分の製品、商品を輸入する」とブチ上げた。加えて、これからやって来る「3つの商戦」(クリスマス、新年、春節)を控え、ファッションショーで景気づけを行うには、まさに絶好のタイミングだった。

 D&Gは、ファッションショーの予告のため、4日前の17日から、自社のSNSで、プロモーション動画『箸で食べよう』を、3つのバージョンでアップした。D&Gとしては、話題を呼ぶよう奇抜な内容に仕上げたのだろうが、私は3本とも、見て唖然としてしまった。箸を持った中国人の女の子が、四苦八苦しながらイタリアのピザとパスタとデザートを食べようとしている滑稽な映像なのだ。

世界最大の市場を一瞬にして失ったD&G
 同じイタリアの文化人で、作曲家プッチーニのオペラ『トゥーランドット』や、ベルトリッチ監督の映画『ラスト・エンペラー』などでも、中国人蔑視を、端々に感じることはあったが、これほどひどくはなかった。何も知らずにこの3つの映像を見たら、これらは反中に凝り固まったイタリアのネトウヨが作ったものと思うに違いない。

 さらに、19日から21日にかけては、ガッバーナ氏が中国に対する差別的発言をSNSで行っていたことが、次々に暴露された。「中国は無知で汚くて臭いマフィアだ」といった類いの発言だ。

 それらによって、中国2大ECサイトの天猫(アリババ)と京東が、D&Gのコーナーを削除した。また、ファッションショーに参加予定だった女優の李冰冰(リー・ビンビン)や歌手の王俊凱(ワン・ジュンカイ)などが、次々に不参加を表明。女優の章子怡(チャン・ツィイー)に至っては、「今後二度とD&Gの商品を使わない」と、訣別宣言した。

 D&Gは、当初は「サイトがハッキングされた」などと言い訳をしていたが、23日になって謝罪文をアップした。だが、すべては後の祭りで、D&Gは一瞬にして、世界最大の市場を失ってしまった。

中国ECサイトから姿消す 「ドルチェ&ガッバーナ」デザイナーの「侮辱行為」で
上海で予定されていたドルチェ&ガッバーナ―のショー会場(2018年11月22日撮影)。(c)CNS/康玉湛〔AFPBB News〕

 こうした中国人の激しい反発の背景には、多くの人が指摘している「蔑視への怒り」の他にも、2つの要素があると、私は見ている。

『習近平と米中衝突ー「中華帝国」2021年の野望』(近藤大介著・NHK出版新書)
 1つ目は、昨今の米中貿易戦争から来る人民のストレスである。3月22日にトランプ大統領が「宣戦布告」し、7月6日に「開戦」した対中貿易戦争は、明らかにボディブローが効き、中国はノックアウトはされていないが、かなり足元がふらついてきている。特にダメージを受けているのは、富裕層ではなくて庶民である。そうした貿易戦争による鬱々とした「人民のストレス」が、富裕層しか手が出せないD&Gに対して炸裂したのである。つまり、D&Gは「人民のサンドバッグ」というわけだ。D&Gの商品は中国人にとっての必需品ではないため、いまのところ習近平政権も沈黙を保っている。

「D&G批判」で政権への忠誠を示す芸能人たち
 2つ目は、范冰冰(ファン・ビンビン)事件の影響である。中国ナンバー1女優の巨額脱税事件の影響で、中国の著名芸能人たちは現在、「2つの誓い」を迫られている。1つは、習近平政権に対する誓いである。范冰冰は10月3日に発表した短い謝罪文で、「国家」という単語を5回も挙げている。社会主義の中国においては、自由奔放に見える芸能人といえども、習近平政権の有形無形の「庇護」のもとに生きている。だから芸能人たちにとって、D&Gを非難することは、中国(習近平政権)に対する「忠誠」を意味するのである。

 もう1つの誓いは、中国人民に対するものだ。「芸能人たちは高額所得を脱税しているのではないか」と白い目を向けられている中、「私は皆さんと同じ愛国者です」ということを示す絶好の機会が到来したのである。

 思い起こせば、イタリアと中国が交易を開始したのは、シルクロードが整備されたローマ帝国と漢帝国の時代で、当時の両国は東西の両雄だった。

 だが、現在の中国はイタリアの約6.2倍のGDPを誇り、イタリアが唯一誇ってきた外国人観光客数でも、ついに中国が抜いてしまった。その意味では、D&G炎上事件は、イタリア人の嫉妬心が招いた災いとも言えるのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54764


 


中国寄り政策に非難集中、フィリピンのドゥテルテ大統領
日本の10倍の金利で融資を受けるも、インフラ整備は遅々として進まず
2018.11.26(月) 末永 恵
習氏が比を公式訪問、中国首脳として13年ぶり 関係強化目指す
フィリピン首都マニラの中国領事館前で、中国の習近平国家主席の訪問に抗議する人々(2018年11月20日撮影)。(c)Noel CELIS / AFP〔AFPBB News〕

 「雨上がりの虹のようだ」――。フィリピンのメディアにそう語り、上機嫌でフィリピンを後にした“プーさん”。

 (くまの子)プーさんとは、中国ネット社会では御馴染み、「習近平国家主席」のことだ。

 中国政府に反対する人たちの間で抵抗勢力のシンボルとして愛され、プーさんは中国では検閲対象になってきた。

 前置きはともかく、この数日間、このプーさん、大層、ご機嫌だった。

 というのも、11月21日までの2日間、2005年の胡錦濤氏以来13年ぶりに中国国家主席として訪問したフィリピンで、南シナ海において天然ガスと石油を共同で資源探査する覚書をドゥテルテ大統領と交わしたからだ。

 フィリピンは、これまで南シナ海問題で、中国を国際的な仲裁裁判所に訴え、中国が主張する管轄権を全面否定する勝利を勝ち取るなど、対中国でアジアで最も強硬な姿勢を崩さなかった。

 覚書の内容は公表されず、法的拘束力はないものの、中国としては国家の死活問題であるエネルギー確保で、長年の懸案だったフィリピンとの関係強化を図る第一歩が踏めたことになる。

 習政権にとって極めて重要な外交得点となったと見ているだろう。そのため、中国では連日、習政権の歴史的外交成果としてメディアが大々的に報道し、内外にアピールしている。

 さらに、両首脳は、習主席主導の新シルクロード経済構想の一帯一路でも覚書に署名。

 マニラ首都圏に水供給のダム建設や、マニラとルソン島を結ぶフィリピン国有鉄道再建などのインフラ整備で、29件の経済支援でも合意した。

 フィリピンのドゥテルテ氏はアキノ前政権時代に下った上述の南シナ海における国際的司法判断を踏襲せず、棚上げすることで、中国から最大限の経済・財政支援を引き出し、遅れているインフラ整備や資源開発を進めたい考えだ。

 そうした意味で、今回の中国の習国家主席のフィリピン訪問は双方の利害を一致させただけでなく、今月末にアルゼンチンで開催されるG20での米中首脳会談前に、南シナ海での中国のプレゼンスを強調できる大きな成果と、「中国は大歓迎」している。

 しかし、その期待通り、事態は進みそうにない。

 「フィリピンは、中国に騙された」

 フィリピンの外交問題研究家、ヘーダリアン氏は、習国家主席の訪問前に、そう中国を非難し、ドゥテルテ大統領の対中政策を批判した。

 2016年10月、同大統領は北京訪問時、中国の習国家主席と会談し、27件の協定に署名。

 中国は港湾、鉄道、採鉱、エネルギーなどのインフラ整備などに対する150億ドルに上る直接投資、さらに90億ドルの低利融資など、支援規模総額240億ドルを約束した。

 しかし、2年が過ぎた今でも、投資プロジェクトは殆ど、実施されていない。

 それどころか、当時、総工費10億ドルをかけ、フィリピンのエネルギー会社と中国の電力会社が水力発電所の共同建設で合意したが、中国側が再三延期を申し出。

 最終的に2017年2月まで延期と公表したが、着工の目処が立たず、フィリピン側から契約を中止させた経緯がある。

 中国支援による借款協定は、7300万ドルの灌漑プロジェクト1件で、今年7月に入って橋梁建設が2件始まっただけ。

 「計画は大幅に遅れ、2018年の中国からの純投資額は約2億ドルのみ」(ペルニア国家経済開発庁長官)と大国中国にしてはお粗末な額だ。

 さらに、ディオクノ予算長官も次のように批判する。

 「中国の官僚主導の政治決断は遅い。早期着手するよう中国政府の尻を叩く必要がある。習国家主席がフィリピンに2年前約束したすべてのプロジェクトが遂行されるよう圧力をかけるべきだ」

 ドゥテルテ氏は、2年半前の大統領就任後、中国からの投資促進を目的に強硬派のアキノ前政権から「対中太陽政策」に180度転換。

 一方、欧米とは経済面、軍事面で距離を置いた。だが、中国依存政策は結局、フィリピンに実質的な収益をもたらしていない。

 ドゥテルテ大統領就任後、中国はフィリピンにとって最大の貿易相手国に躍り出て、中国からの対フィリピン直接投資は約20倍に膨れ上がった。

 しかし、海外直接投資では日本、米国、韓国、オランダ、シンガポールに大きく水を空けられている。

 不満を募らせるペルニア国家経済開発庁長官は「融資でも、中国より日本の方が条件がずっといいし、決断が早い」と中国の優位性に疑問を呈する。

 ドゥテルテ大統領は現在、約80件の主要プロジェクトのうち半分を、中国からの経済支援で見込んでいるが、利率は日本の融資の10倍以上で、実は「高利融資」だ。

 日本政府は11月、マレーシアに2000億円のサムライ債の経済支援を決めたが、利率は0.65%。

 マハティール首相は「親中派だったナジブ前首相が中国から借り入れた利率は6〜7%。日本政府の融資の10倍の高利貸しだ」と中国政府が主張する“ソフトローン(低利融資)”の定義を覆す批判を展開した。

 そうしたなかドゥテルテ氏は、中国による軍事拠点化を批判することも、中国に中国の主権主張を退けた仲裁裁判所判決を受諾するよう圧力をかけることも拒み、結局、中国の軍事拠点である人工島の建設を“後押し”する結果を招いてしまった。

 さらに、中国が爆撃機をフィリピンが領有権を主張する場所に着陸させ、南沙諸島のサンディ・ケイで存在感を誇示した時も、ドゥテルテ氏は強硬な対応を示さなかった。

 この軟弱な姿勢に、中国に服従していると国内で批判の声が高まり、ドゥテルテ氏に対し、南シナ海問題で強硬姿勢で臨むよう圧力がかかっている。

 今回の習国家主席の歴史的なフィリピン訪問でも、国内のメディアも、国民もドゥテルテの対中政策に疑問を呈し、非難した。

 「ドゥテルテよ、フィリピン(母国)を中国に身売りするな!」

 「フィリピンの海域を守れ!」

 「中国は南シナ海から出て行け!」

 こうシュプレヒコールを挙げ、マニラの中国大使館前には、何千人ものフィリピン国民が習国家主席のフィリピン訪問に抗議した。

 習国家主席訪問直前に実施された世論調査では、「南シナ海での中国のインフラや軍事拠点開発に反対」が84%、「中国が違法占拠する領土を奪回すべき」が87%で、そのため「海軍を中心としたフィリピンの軍事力拡大が不可欠」が86%にも達した。

 また、その解決策として、「国際機関(ASEAN=東南アジア諸国連合、国連、国際仲裁裁判所など)主導による南シナ海問題の仲介を求める」には74%が賛成している。

 さらに、フィリピン人の中国に対する信頼度は、ドゥテルテ氏の大統領就任前の最低水準を更新し、一方、米国への信頼度は高まっている。

 ドゥテルテ氏は、中国からの経済財政援助によるインフラ開発で高い支持率を維持したいところだが、このままでは中国からの援助は、現実どころか「虚構」の泡と化し、南シナ海の深海に消えてなくなるだろうう。

 米国の戦略国際問題研究所のポーリング研究員は、フィリピンと中国の関係改善に伴う恩恵は、両国政府が目指す「大きな規模からは程遠い」と強調。

 中国が表明する融資や支援は、プロジェクト実施には結びつかず、貿易や投資パートナーとしても中国は、他国に大きく出遅れると分析している。

 一方、フィリピン政府は今年8月、日本のサムライ債を8年ぶりに発行した。ドミンゲス財務相らが主導し、日本の投資家の需要が強く、想定していた10億ドルを大きく上回る1542億円となった。

 日本政府は、中国の実質投資が「減速」する中、フィリピンへの財政支援を拡大し、域内の覇権の奪回を目指すべきだ。

 一方、中国の経済援助が実現化されない場合、ドゥテルテ大統領は、2022年の大統領選を占う2019年5月の中間選挙で、後継者選びで苦戦する「悪夢」に苛まれる結果に直面するという、「チャイナ・リスク」を抱えることになるだろう。

(取材・文 末永 恵)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54750


 


 
2018年11月26日 ロイター
台湾「締め出し」狙う中国の戦略、裏目に出るか

11月19日、台湾が望んでいたのは、アジア各国のチームが参加するラグビーの試合を主催することだった。写真は中国と台湾の旗。台北で2016年5月撮影(2018年 ロイター/Tyrone Siu)
[台北 19日 ロイター] - 台湾が望んでいたのは、アジア各国のチームが参加するラグビーの試合を主催することだった。だが、中国がこの夏、横槍を入れた。台湾に変わって中国が、このイベントを主催すべきだと主張したのだ。

 1ヵ月に及ぶ交渉を経て、中国と台湾は今後6年間、交互にイベントを主催することで合意した。

 ラグビーは、中国でも台湾でもマイナーなスポーツだ。今回の件は、ささいなことでも台湾の邪魔をしようという中国側の姿勢を如実に物語っていると、外交官や政府関係者は言う。

「彼らは、私たちのスポーツイベントを全て阻止したいと考えている。何かを主催するなら、彼らはそれをつぶすか、主催する権利を取り上げようとする」と、中華台北ラグビーフットボール協会のジェレミー・パイ事務局長はロイターに語った。

 一方の中国ラグビーフットボール協会は、単に中国でラグビーの浸透を図りたかっただけで、政治的な動機はないとしている。

 オーストラリアで生徒が描いた台湾の旗が、中国の抗議を受けて消された件から、2019年に台湾で開催が予定されていた「東アジアユース競技大会」の中止、さらには台湾で開催されたゴルフ大会に中国人選手2人が突然出場を取りやめたことに至るまで、中国は、さまざまな国際的なステージを利用して、台湾に対する主権を主張している。

 中国は、台湾を自国領土とみなしており、台湾の蔡英文政権が正式な独立に向けて動いているとの猜疑心を強めている。

 2020年の総統選に向けて与党勢力を試す前哨戦となる今月の市長選や行政長官選を控え、軍事演習だけでなく台湾を国として承認している国に対する揺さぶりも含め、中国からの圧力は高まっている。

 台湾の立場を脅かすためなら、中国はどんな機会でも利用することをいとわない様子だ、と外交官や関係筋は語る。最近では、航空会社エア・カナダから米アパレル小売り大手ギャップまで、企業による台湾の表記にも目を光らせている。

 中国は、台湾を米中関係における最もセンシティブな問題と考えており、国際的な場面で台湾の名前が出されることすら排除しようとしていると、前出の外交官らは言う。

「中国は、偏狭な国益を追求するために国際的な規範を破ることも辞さない」と、事情に詳しい人物は語った。

諸刃の剣
 今年5月、豪ロックハンプトンで開かれたイベントで、牛の像に生徒が描いた台湾旗が、中国領事館職員から「問題」があると連絡を受けた地元当局者によって塗りつぶされた。

「オーストラリアは台湾を独立国として認証しないというのが、オーストラリア政府と中国の間の合意事項だ」と、ロックハンプトン市長はこの件について声明で説明した。

 しかし、台湾当局者は、中国の圧力は世論の反発を招くことになり、非生産的だと主張する。

 台湾の大陸委員会が8月に行った世論調査によると、台湾人の8割以上が、国際的舞台から台湾を締め出そうとする中国の動きは、中台関係を損なうものだと答えている。

「中国は、こうした動きが裏目に出るかどうかを考えた方がいい」。蔡英文総統のアドバイザーを務める姚嘉文氏はこう語り、中国の「諸刃の剣」は、独立を志向する蔡氏の民進党に対する世論の支持を強めることになりかねないと指摘した。

 中国に対抗する動きも出ている。中国は台湾に対する武力行使の可能性を排除していない。

 今月の選挙では、若い台湾人の支持を集めている住民投票も同時に行われる。2020年の東京五輪大会に、台湾代表が1970年代の合意を受けて使われている「中華台北」ではなく、「台湾」の名で参加すべきかを問う内容だ。

 中国をいらだたせることを狙ったようにもみえる。

「台湾に対する中国の抑圧は、中国が台湾を併合するまで終わらない」。台湾のバレーボール選手、?培?さんが、住民投票への支持を呼びかけたこの投稿は、フェイスブック上で広くシェアされている。「台湾の呼称の変更に向けて力を貸して欲しい」

(Yimou Lee 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
https://diamond.jp/articles/-/186645

2. 2018年11月26日 20:48:02 : G5D6FEvRq2 : TCTC0rq01SQ[142] 報告
トランプの お陰でできた 口実が
3. 2018年11月26日 20:49:34 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[155] 報告
幼子に「7つの罪を持つ大統領」と教えるマザーグース
名誉棄損免除のパロディで「トランプ退場要求」を謳い上げた傑作
2018.11.26(月) 高濱 賛
Goodnight Trump By Erich Origen and Gan Golan Little, Brown and Company, 2018
ベッドタイムに読んでもらう「グッドナイト・ムーン」
 物心ついた子供たちが夜寝る前に母親や父親にベッドで読んでもらう本のことを「Book before bedtime 」という。
 その中で一番ポピュラーなのは、マーガレット・ワイズ・ブラウン氏が書いた絵本「Goodnight Moon」(グッドナイト・ムーン=お月様おやすみなさい)だ。
 米国生まれ、米国育ちの人で、この本にご厄介にならなかったものはいないはずだ。1947年に初版が出てから圧倒的な人気を誇っている。
 その絵本の書き出しはこうだ。
 広いグリーンのお部屋(In a great green room)
 受話器が一台(There was a telephone)
 赤い風船が一つ(And a red balloon)
 そしてお月様を飛び越える牛のモーさん*1の絵(And a picture of --- The cow jumping over the moon)
*1=英米でポピュラーな童謡「へイ、ディドル・ディドル」に出てくるライム(押韻詩)の一節。
「グッドナイト・トランプ」が登場
 表紙も装丁もこの「グッドナイト・ムーン」をそっくり真似たパロディが11月13日に発売され、大人の間で回し読みされている。
 特に民主党支持者のリベラル派のミレニアムに受けているらしい。
 筆者の知人で地方公務員の白人女性は、「面白いことこの上ない。特にトランプ嫌いの連中はおなかを抱えて笑ってるわ」と言って貸してくれた一冊の本。
 タイトルは「Goodnight Trump:A Parody」。体裁はイラスト入りの子供向けの「ナーサリー・ライム」(子守歌)。
 書き出しは、「グッドナイト・ムーン」をなぞるように――。
 とてもシックなお部屋(In the very classy room)
 黄金の額縁の鏡(There was a golden mirror)
 そして銀のスプーン(And a silver spoon)
 フェイクニュースを垂れ流すテレビ局の中途半端なニュース(And a broadcast of --
 A half-baked story from a fake newsroom)
 自分の意見と願望だけを伝える億万長者たちの絵(And there were billionaires sending thoughts and prayers)・・・」
名誉棄損で訴えられないパロディの世界
Goodnight Trump By Erich Origen and Gan Golan Little, Brown and Company, 2018
 政治風刺を得意とするグラフィック・ライターのエリック・オリゲン氏とガン・ゴラン氏の共著だ。
 オリゲン氏は南カリフォルニア大学(USC)映画芸術学部を出ている。
 ゴラン氏とは大学卒業と同時に働き出した『サイエンス』誌での同僚の一人だった。
Goodnight Moon
 2008年には同じような手法で『Goodnight Bush: A Parody』を書いて、「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーになった。
 その後10年には『The Adventure of Unemployed Man』(失業者の冒険)を刊行、今回は第3弾だ。
 ブッシュ氏に次いで今度はトランプ氏で「柳の下の2匹のドジョウ」を狙ったわけだ。
 『Goodnight Bush: A Parody』は、長期化するイラク戦争と大不況でにっちもさっちもいかななかったジョージ・W・ブッシュ第43代大統領の政策を手厳しく批判。
 瀕死の重傷のブッシュ大統領を叩きに叩いた。
 批評家の中には「Grave Dancing(墓場で踊った)」と表現した人も。日本で言う「どぶに落ちた犬を叩く」パロディだった。
 今回の「グッドナイト・トランプ:パロディ」は、風刺という点ではブッシュものより強烈な個所が少なくない。
 読みようによっては名誉棄損で訴えられかねない詩文とイラストが出てくる。
 名誉棄損と言えば、NBCテレビが毎週土曜日の午前零時から90分間ナマ放送している「サタデーナイトライブ」(SNL)も日本的スタンダードでは名誉棄損になってもおかしくないような中身だらけだ。
 この番組は1975年から現在まで続いている長者番組。
 特に俳優や女優が時の大統領や側近や政治家に扮してその活躍やスキャンダルをネタに風刺するパロディはNBCテレビのドル箱になっている。
 2016年の大統領選の最中から現在に至るまでトランプ大統領や側近は何度も取り上げられ、茶化されている。
 パロディという名のもとに公的人物を風刺することは許されている。それでも中には見るに堪えないようなパフォーマンスも見かける。
KKKの衣装、ナチスの紋章、ロシア人形、召喚状の山
 本の表紙は一見すると、「グッドナイト・ムーン」と同じように見える。
 しかし、よく見ると窓越しの満月と星は、月のない真っ暗闇に恐ろし気な木とワニのシルエット。
 暖炉の前には「マラー」(マラー特別検察官)と書かれたボックス、上にはうなだれた自由の女神像が置かれている。
 見開きのカラーのイラストには、トランプ大統領の寝室が描かれている。
 カーペットの中央には最初は米大統領の紋章がついていたものが、ページをめくるうちにナチスの紋章に変わっていく。
 箪笥の引き出しは裁判所やモラー特別検察官が送りつけてきた召喚状でいっぱい。部屋の壁には「7つの罪*2」と書かれた1枚の紙が張りつけてある。
 7つすべてにチェックマークがつけてある。つまりトランプ大統領は7つすべてをパスしているというわけだ。
*2=7つの罪とは、Lust(肉欲)、Greed(貪欲)、Gluttony (暴飲)、Pride (自惚れ)、Envy (妬み)、Wrath(憤り)、Sloth(ものぐさ)。
 ベッドのスプレッドの上には白人至上主義集団「クー・クラックス・クラン(KKK)」が被る白い衣装、本棚の上にはロシアのマトリョーシカ人形が置かれている。
 トランプ大統領が極右に同情的なことやロシアとのコネクションを風刺したイラストである。
 床にはネズミ叩き(ネズミならぬ閣僚を叩くゲーム)やスロットマシン(カジノ経営のトランプ)や作りかけのレゴの壁(違法移民阻止のために建設中の国境沿いの壁)が散らばっている。
 揺れ椅子には等身大の女性のウサギが座っている。両手はバンドで縛りつけられている。膝にはドル袋。
 やがてウサギはバンドを外して立ち上がり、トランプ大統領を放り投げる。いつの間にかトランプ大統領の心臓部分には大きな穴が開いてしまっている。
 詩文はさらに続き、最後にこう締めくくっている。
 グッドナイトは古き栄光をぶち壊す(Goodnight upended Old Glory)
 グッドナイトは魂に穴が開いて空っぽになる(Goodnight hole in the soul)
 トランプの嘘やトランプが真実だと言い張る真実よ、グッドナイト(Goodnight to the lies and the truths he evades)
 トランプとすべての悲しきシャレードよ、グッドナイト(Goodnight Trump and his whole sad charade)
 グッドナイト、グッドナイト、永久のグッドナイト、そうなることを祈りつつ、おやすみなさい(Goodnight, Goodnight, Goodnight at last , to all that --forever, let's hope)
 「この本を以下の人たちに捧げたい」
 「両親から引き裂かれて抑留所に入れている子供たち、亡命を拒否された難民の子供たち、銃暴力によって命を奪われた生徒たち、ヘルスケアが受けられずに苦しんでいる母親と彼女たちの赤ちゃん、気の遠くなるほどの多くの話し合いを通じても問題が解決できないでいる両親たちへ」
 「この本があなたたちのユーモアを少しでも取り戻し、そしてグッドナイトと言えるのに役立つように」
子供たちが大人になってあざ笑うのは誰?
 カリフォルニア大学バークレイ校の政治学教授の一人は本書についてこうコメントしている。
 「オリゲン、ゴラン両氏は『ナーサリーライム』という形式を借用して、トランプ氏についてこれまで明るみに出てきた同氏の生きざま、政治スタンス、しがらみ、精神構造、そして醜聞や疑惑についてすべてを網羅している」
 「風刺本としても天下一品だ」
 「その一方で、もし、この本を寝る前に親に読んでもらった子供たちは自分たちの大統領はこんな人間?と子供心に忘れがたいイメージを持ってしまうと思うと、ちょっと恐ろしい気がする」
 「大人たちがトランプ氏を大統領に選んだ罪の重さは計り知れない」
 この本を読んで聞かせてもらった子供たちがこれから10年後、20年後、大人になった時、あざ笑うのは、何もトランプ氏だけではない。
 そんな大統領を選んだ、その時代の有権者たちもあざ笑われるのだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54751


 
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

中東の地政学的変化、主役はトルコ岡崎研究所

2018/11/26

 中東では、歴史的に主要国の関係に地殻変動が起きてきた。主要国とはイラン、イラク、イスラエル、サウジ、トルコであるが、最近まで、米国がイスラエル、アラブの湾岸諸国の大半、それにトルコと組んでイランに対抗してきた。最近の主要な変化は、トルコが米国から離れ、イランとロシアに接近したことである。その結果、新たにトルコ、イラン、ロシアの同盟が生まれているように見える。


(Pomogayev/chaberkus/iStock)
 ランド研究所政治学者のクラークとタバタバイは、Foreign Affairs誌ウェブサイトのSnapshot欄に10月31日付けで掲載された論説、‘Is Major Realignment Taking Place in the Middle East?’で、その要因について次のように分析している。

 1.2014年にエルドアンはトルコの大統領になったが、エルドアンの世界観はイランとロシアと共通点をいくつか持っている。トルコは今やかつてないほど反西欧であり、NATOから離れつつある。

 2.エルドアンは自らをスンニ派の指導者とみなしているようであり、トルコが「イスラム世界を指導できる唯一の国」とすら述べている。サウジは同盟国ではなく競争者となる。カショギ殺害事件は、トルコとサウジの緊張を高める一連の動きの最新のものに過ぎない。

 3.トルコは、シリアの安定を望んでいる。この目的は、イランとロシアの目的と一致する。ロシアとイランは、アサドの権力維持と自らの地域における地位を確保すべく、シリアで協力している。シリアの領土の一体性を保持し、地域の分断や国家破綻を回避することは、三国の関心事である。

 4.トルコはISよりクルドを懸念している。トルコが、米国、サウジよりイラン、ロシアと組むいま一つの要因である。特に、イランはクルドが勢力を得ることを脅威と感じているようである。エルドアンは、アルカイダと結びつきのあるテログループTahrir al-Shamとの関係を強め、同グループを、米国とサウジが支持しているシリアのクルドYPGに対抗させようと考えているようである。

参考:Colin P. Clarke & Ariane M. Tabatabai,’ Is Major Realignment Taking Place in the Middle East?’(Foreign Affairs, October 31, 2018)
https://www.foreignaffairs.com/articles/turkey/2018-10-31/major-realignment-taking-place-middle-east

 中東では主要国の関係が変わり、地政学的変化が起きているが、その主役はトルコである。中東では、かつてはエジプト、イラク、シリアと言ったアラブの強国が大きな影響力を持っていたが、これら諸国はそれぞれの事情で影響力を失った。残されたアラブの大国はサウジであるが、ムハンマド皇太子が音頭を取ったカタールの孤立化、イエメン内戦への深入りは、いずれも外交上の失政であった。そこにカショギ殺害事件が起き、サウジの評価は地に落ちた。トルコの台頭の背景には、地域のアラブ主要国の影響力の低下がある。

 エルドアンはサウジに対抗して、トルコがスンニ派イスラム世界の指導者であると自らを任じているようであるが、それは難しいだろう。サウジの強みは、メッカ、メディナというイスラムの二大聖地の所在国であることである。特に毎年行われるメッカ詣での巡礼を主宰することで、イスラム世界に隠然たる影響力を持っており、トルコは太刀打ちできない。

 クラークとタバタバイは上記論説で、トルコはいまやかつてないほど反西欧であり、NATOから離れつつある、と指摘しているが、トルコがNATOから離脱することはないだろう。エルドアンは11月2日付のワシントン・ポスト紙に投稿し(‘Saudi Arabia still has many questions to answer about Jamal Khashoggi’s killing’)、カショギ殺害事件について「何者もNATO同盟国の地で、そのような行動をとるべきでない」と述べ、トルコがNATO同盟国であることを明らかにしている。トルコはロシアからS-400ミサイルシステムを買おうとしているが、これはNATOから離脱することを意味するものではなく、NATOを牽制しようとするエルドアン一流の策であろう。

 エルドアンの頭痛の種は経済不振である。経済の活性化には米国、EUとの関係が欠かせない。米国との関係ではトランプが強く要求していたブランソン牧師の釈放に応じ、米国との関係改善の意思を表した。エルドアンは多くの点で利害の一致するイラン、ロシアとの関係強化に努める一方で、NATO同盟国の地位は確保し続け、米国とEUとの関係の改善にも努めるだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14567

 
トップニュース2018年11月25日 / 08:36 / 1時間前更新
アングル:北朝鮮に「無知」な韓国人、統一教育見直しへ
Joyce Lee and Jeongmin Kim
3 分で読む

[ソウル 22日 ロイター] - いまだ戦争状態にある韓国と北朝鮮が、何らかの形で統一を見るのはまだかなり先の話だとしても、この1年の融和ムードにより、関係強化の見通しが立ち始めた。

だが、韓国の一般的な学校では、はっきりそうとは言えないかもしれない。

「何も知らない。年に2度、学校で統一や国家の安全保障、北朝鮮人の生活について学ぶが、大体いつも聞き流している」と、17歳のノ・ハナさんは言う。

今年進展した南北間の緊張緩和は、北の隣人に関する韓国人の無知を露呈させたと多くの専門家は指摘する。韓国政府は、国民が北朝鮮と統一について学ぶ方法を改善しようと努めている。

現在の教育方法では、若い韓国人に北朝鮮やその国民、同国の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長について微妙なニュアンスを理解する大切さを教えることはできないと、韓国統一教育院を率いるBaek Jun-kee氏は指摘する。

「中学校や高校で、この問題に合理的にアプローチし、この問題が(生徒の)私生活にどう影響するのかを示すことができなければ、生徒たちの関心を引きつけておくことは難しいだろう」

南北間における文化交流や政府間の交流が増える中、北朝鮮専門家はますます重要になっているが、こうした教育上の欠点が一因で、官民双方の研究機関でこうした専門家が不足していると、専門家は口をそろえる。

「地方政府はどこも南北交流計画を打ち出しているが、専門家はおらず、知識もネットワークもない」と、韓国統一研究院(KINU)のホン・ミン研究員は指摘。「韓国大企業トップの一行が9月に平壌で開かれた南北首脳会議に同行したが、彼らのほとんどは社内に北朝鮮専門家を置いていなかった」

韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は今月、国会の公聴会で教育プログラムの財源削減を巡り批判を受け、統一に関する新たなカリキュラム作成は「喫緊の課題」だと語った。

<時間の無駄>

朝鮮戦争(1950─53年)が平和条約ではなく休戦協定により終結したため、厳密に言えば、北朝鮮とはいまだ戦争状態にあり、70年も分断されているせいで、多くの韓国人は統一を遠くて非現実的なゴールと思うようになっている。

各世論調査によると、若い世代の韓国人はとりわけ北の隣人について無知であったり無関心で、北朝鮮人のことを仕事や学校といったより差し迫って重要な問題から気をそらす厄介者と考えている。

高校生17人に取材した結果、大半が、この10年間における北朝鮮問題で鍵となる「並進」路線について一度も聞いたことがないと回答。また、ほとんどが北朝鮮経済で広がる民間市場について知らなかった。

「歴史の授業で朝鮮戦争について習ったほかに、学校ではこのような北朝鮮の問題を聞いたことがない」と、17歳の女子高生は話す。

「分断されていることが当たり前になっているので、友人たちもあまり関心がないみたい」

韓国の教育は大学受験に重点が置かれており、高校最後の年に全国で試験が実施され、プレッシャーは最高潮に達する。生徒は受験に将来を賭ける。

北朝鮮は「試験に出ない」と、生徒や教師は言う。したがって、「貴重な時間の無駄」だと思われていると、ある高校教師は話した。

一般的に、北朝鮮は1つの章として教科書で取り上げられ、小学校4年生と6年生のときに年に1度、中学校では簡潔に、また高校では1度だけ教えられると教師2人が語った。

一方、高等教育では近年、韓国の大学にあった北朝鮮研究を行う学部6つのうち5つが閉鎖されたり、他のプログラムに変更されたりした。志願者不足がその一因だ。

 11月22日、いまだ戦争状態にある韓国と北朝鮮だが、この1年の融和ムードにより、関係強化の見通しが立ち始めた。だが、韓国の一般的な学校では、はっきりそうとは言えないかもしれない。写真は小学校に掲示された統一を願う子どもたちのメッセージ。韓国・坡州で2016年11月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)
<活発な議論>

韓国とは対照的に、北朝鮮では学校で韓国についてよく議論されているようだ。脱北者たちは、プロパガンダに加え、韓国ついて事細かに教えられたと話す。

「韓国の地理について、各地方ではどんな鉱物や穀物がとれるかということまで教わった。韓国の地で何が起きたかという歴史も学んだ」と、平壌で朝鮮語と文学を教えていた脱北者は言う。現在は韓国の首都ソウルで脱北者の子どもたちに教えている。

「韓国人が北朝鮮のどこに何があるかについてほとんど何も知らないことにショックを受けた」とこの脱北者は言い、知らないことで北朝鮮人への共感がなくなりかねないと指摘する。

ロイターが取材した韓国の教育者5人は、北朝鮮という頭の痛い問題をうまく教える態勢が整っていないと感じている。ある高校教師は、北朝鮮について「敵であり、長年失われた兄弟であり、国境を共有する分断された国など、誰に聞くかで変わってくる」と答えた。

初等・中等の北朝鮮教育を監督する統一教育院は、教師が北朝鮮に関する教育法を学ぶための通年プログラムを初めて開設する。

統一に関する紋切り型の教え方から、平和により重点を置き、生徒たちの議論が活発になるよう意図された柔軟なアプローチへの転換もその一環である。

今年、91ページに及ぶ統一教育ガイドラインは、48ページに縮小され、その名称には「平和教育」という文字が入れられた。北朝鮮と平和な関係を築くことの方が、完全な統一よりも現実的で喫緊のゴールだとする文在寅(ムン・ジェイン)大統領の主張が反映されたものとみられる。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/koreas-unification-edu-idJPKCN1NR0LP

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