http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/355.html
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日韓基本条約締結を機に実行された“経済協力”について誤解があるようだ。
笑坊さんが立てたスレッド「日韓基本条約の解釈は国際司法裁判所で判断を、橋下共同代表の妄言は日本の国益に反す (Shimarnyのブログ) 」( http://www.asyura2.com/13/senkyo148/msg/306.html )のなかに、
● 橋下氏の発言として、「元慰安婦の賠償問題について、日韓基本条約の解釈を国際司法裁判所で判断してもらうしかないと発言して、日本政府の見解を否定した」
● Shimarny氏の主張として、「日本の政府が、日韓基本条約で賠償責任が終わったと歴史的事実に照らしても国際法上にも結論づけて50年近く踏襲してきたのであれば貫くべきだろう。韓国が日韓基本条約で賠償責任が終わっていないと主張するのであれば、日本の主張を認めさせて韓国の主張を撤回させる戦略を立てるべきなのである。 」
二つの主張はともに、日韓基本条約で日本が韓国に“賠償”したという認識に基づく発言である。
しかし、日韓基本条約は、日本がかつて併合していた地域が戦争の結果分離させられ新たな国家が成立したことに伴い国交を回復させるためのものであり、戦争で与えた損害などに対して言う“賠償”の問題は含まれていない。
日韓基本条約は、その前文に書かれているように、「両国民間の関係の歴史的背景と、善隣関係および主権の相互尊重の原則に基づく両国間の関係の正常化に対する相互の希望とを考慮し、両国の相互の福祉および共通の利益の増進のためならびに国際の平和および安全の維持のために、両国が国際連合憲章の原則に適合して緊密に協力することが重要」という認識のもと、“意図せず”外的要因で分かれた地域が、ともに主権国家として、新たに外交関係を取り結ぶためのものである。
そのようなことから、日韓基本条約の第二条と第三条が重要な意味を持つ、
「第二条
一九一〇年八月二二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約および協定は、もはや無効であることが確認される。」
この条文により、日本と韓国が、外的要因(日本のポツダム宣言受諾及びサンフランシスコ講和条約締結)により生成された現状を追認し、主体的(内的)に分かれたと確認し合ったことになる。
続いて、
「 第三条
大韓民国政府は、国際連合総会決議第一九五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」
この条文は、請求権放棄や経済協力の地理的適用範囲が、韓国政府の実効支配地域に限定されたものなのか、それとも、朝鮮半島全域(大日本帝国支配地域)まで及ぶのかという問題性を内包している。
この条文は今後の日朝国交正常化交渉で問題になるが、それを避けるためか、北朝鮮は「戦後、南北が分離した歴史に対する“賠償”」なる概念を提起している。“戦後賠償”であれば、対象時期の違いから、日韓基本条約第三条は問題にならない。
「賠償」云々という問題であれば、より重要な条約は、日韓基本条約に付属する「日韓請求権並びに経済協力協定」である。
この協定は、サンフランシスコ講和条約の履行と直結している。
サンフランシスコ講和条約は、その第四条で、朝鮮半島・台湾・南樺太・千島列島などについて、未処理になっている資産や債権着を当事国間の交渉で解決するよう促している。
「日韓請求権並びに経済協力協定」は、1945年8月15日(ポツダム宣言受諾公表日)までの資産や債権が取り扱いの対象になるとし、第二条で、「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と宣言している。
日韓併合時代について、日本が朝鮮半島に投資した資産や入手した権益さらには経済取引で発生する債権は放棄され、賃金など韓国人が日本人(法人や政府を含む)に対して保有する債権も放棄されたわけである。(但し、在日韓国・朝鮮人が日韓併合時代から日本国内で保有している資産はそのまま尊重される)
問題となっている“賠償”であるが、日韓基本条約後に実行された日本から韓国への生産物や役務の提供や資金融資は、「日韓請求権並びに経済協力協定」の前文にあるように、「両国及びその国民の財産並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題を解決することを希望し、両国間の経済協力を増進することを希望して」なされたものであり、日本が韓国(朝鮮半島)に対する何かの“賠償”として実行したものではない。
当時外貨準備高が18億ドルだった日本は、韓国に対し、5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)と民間融資3億ドルの合計8億ドルの経済協力支援を約束し実行したが、それはあくまで未来志向の経済協力であり、過去の何かに対する“賠償”や“償い”といった見方は、経済協力の背後にある意図の解釈や国民各層の心情でしかないのである。
元従軍慰安婦への賠償問題だが、相互が自由意志で契約した経緯であれば、仮に賃金が未払いであっても、日韓基本条約関連の取り決めでチャラになると言える可能性がある。
しかし、サンフランシスコ講和条約や「日韓請求権並びに経済協力協定」の条文は、法理論的に、あくまでも合法的な商取引で生じた資産や債権の“残留分”に関する取り決めと解釈することができるので、時効の問題を別にすれば、不法行為による損害賠償までを放棄したとは言えない。
さらに言えば、地理的範囲が朝鮮半島及び日本列島として想定されているので、中国領域や日本軍の占領地で発生した債権までが放棄の対象になるかという別の問題もある。
時効の問題も、不法行為の主体が国家(日本政府)であれば、日本政府が政府及び軍の関与や管理を認めたのは92年だから、認めた時点から時効がカウントされるという見方もできる。
私は、日本及び日本人の将来にわたる名誉のために、朝鮮半島出身者や軍を含む国家機関従事者及び請負民間業者による不法行為があった元慰安婦の方々には、日本政府が国家を代表して賠償すべきだと考えている。
※ 参照資料
サンフランシスコ講和条約:該当条文
「第四条
(a) この条の(b)の規定を留保して、日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行つている当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、日本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。」
「 第二条
(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」
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- あっしらさん、条文に記載されていない制限を勝手に加えて条約を恣意的に解釈しないように 韓国はただの恐喝国家です 真相の道 2013/5/26 20:04:54
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- 日本政府が1992年まで慰安所制度への関与を認めてこなかったことから、日韓基本条約による免責は困難 あっしら 2013/5/27 00:26:51
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- あっしらさん、主張がボロボロですよ。 真相の道 2013/5/27 10:14:24
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