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日本の国内総生産は米国に次いで世界第2位である。こういわれると何だか裕福な暮らしを思い浮かべるが現実はそうではない。では国民一人当たりの国民総生産は世界第何位だろうか。驚くなかれ2008年で23位(推計値)となっている。これはシンガポール次ぐレベルである。上位には北欧諸国がずらりと並んでいる。 http://dataranking.com/table.cgi?LG=&TP=ne03-1 国民一人当たりの国民総生産とその国の国民の生活レベルは、ほぼ比例すると考えてよいだろう。北欧諸国が上位を占めているのは社会民主主義国のため、高社会福祉の財源として税金は高いが老後や失業時の所得を心配する必要がなく、将来に備えての貯蓄が必要でないため、所得の多くが購買に使われており、それが内需の成長をもたらし、結果的に高い生活レベルをもたらしていると見られる。もちろん、事情があって低所得層の人々には手厚い財政援助があてがわれている。ワーキングプアやホームレスとは無縁の社会だ。 一方、日本の国民一人当たりの国民総生産は世界23位というレベルである。国民の生活レベルを比較するには国内総生産ではなく、国民一人当たりの国民総生産で比較することが正しいといえるだろう。 世界23位でも現在の国民の生活レベルは分不相応に底上げされているとはどういう意味だろうか。それは日本の莫大な赤字国債をはじめとする国、地方の負債の存在である。国の赤字国債はすでに800兆円を超えている。この額は、国民の総貯蓄額より少ないが、国民の少なくない人々が住宅ローンなどの負債を抱えており、国、地方の負債を合計すれば実質的に債務超過に近い状況となっている。実際に負債超過に陥るのは避けられない状況といえよう。現在では増え続ける国債発行に対して国内金融機関では消化しきれず、国債のかなりの部分を日銀が購入しているという異常事態である。 この莫大な赤字国債は、最終的には国民の生活レベルの維持に回っている。しかし、世界でも類を見ない莫大な赤字国債で補填しても、日本の国民一人当たりの国民総生産は世界23位にすぎない。この値は国民の生活実感と近いものだろう。しかしこの生活の莫大な赤字国債の発行があてのことである。その意味で現在の国民の生活レベルは分不相応に底上げされているということができる。 負債はいつかは返済しなくてはならない。返済できないままでいると、外的圧力によって強引に返済させられることになる。円の暴落、金利の上昇、高レベルのインフレーションの到来である。その結果、上げ底生活は破綻し、実際の生活レベルまで国民の生活レベルは低下していくだろう。昭和30年代の生活を想像すればそれが近いだろうか。 だが座してその事態を待つわけにはいかない。国内経済、対外経済の大きな枠組みをまったく新しいものに作り変えて、税収を大きく増やすことが必要になる。その中には消費税の改定も含まれる。近く総選挙で民主党が与党となる可能性が高いが、民主党にはこれまでに自民党政権が行なってきた迎合的経済政策のツケである赤字国債の問題に正面から向き合う責任がある。 何らかのまったく新しいイノベーションを打ち立てなければならない。それができないならば国民政策の破滅を待つだけになる。民主党には中長期的な経済政策のありようがはっきりしていない。内需拡大が言われ続けながらデフレから脱却できない原因の一つに国民が社会保障を信頼していないことが挙げられる。民主党には中長期的な社会保障のビジョンを明確に示す責任があると思う。 参考 |