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http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/ronbun/Haiper%20Infre-okorazu-.htm
「太政官札「打ち出の小槌」を使っても、ハイパー・インフレの心配はない!
『カレント』誌、平成17年7月号所収
日本経済再生政策提言フォーラム会長
経済学博士 丹羽春喜
デフレ・ギャップこそ超巨大な「真の財源」
私は、本誌(『カレント』誌)に寄稿した幾編もの論稿をはじめ数多くの私の著作を通じて、わが国の現行法に明記されている「国(政府)の貨幣発行特権」が、まさに、「打ち出の小槌」であって、これを活用しさえすれば、国民にまったく負担をかけること無しに、わが国の破綻しきった政府財政を再建し、不振・低迷を続ける経済を再生することも、きわめて容易であるという「救国の秘策」を、幾度も、提言し続けてきました。
一昨年の春に米国より来日されたスティグリッツ教授(ノーベル経済学賞受賞者)も、同様な政策提言を行なっておられましたが、今ちょうど、ベスト・セラーズとなっている藤井厳喜氏の著書『破綻国家、希望の戦略』(ビジネス社刊)でも、私のそのような政策提言が、詳細に解説されていますので、藤井氏のこの本で、あらためて、私の「救国の秘策」をお知りになった読者も、居られるのではないかと思います。
しかし、この「打ち出の小槌」の利用案については、「それは、悪性のインフレ的な物価高騰をもたらす!」として、それに反対する意見も多いようです。
例えば、タレントの「やしき・たかじん」氏がコーディネーターを務めて昨年12月に放映された読売系テレビ・チャネルの討論番組「そこまで言って委員会」(大阪では12月19日に放映)では、パネラーの一人としてその番組に参加していた西村真悟代議士が、私の名にも言及してくださりながら、わが国の危機的な財政と経済の再建・再生を、「国の貨幣発行特権」の発動によって達成するべきことを示唆されたのに対して、他のパネラーが、「そんなことをすれば、ハイパー・インフレーションになるのではないか?」と批判していました。
そのテレビ番組では、それ以上には深く掘り下げた議論は行なわれずに終わってしまったのですが、本稿では、そのような懸念や批判に対して、以下のごとく平易に、解答を与えておくことにしたいと思います。
小学生でも分かっているように、需要が増えたとき、商品の生産・供給量もそれに応じて伸びれば、価格は上りません。
同様に、マクロ的な総需要の増加に応じて、諸種の商品やサービスの総合的な生産・供給量が増えれば、物価は上昇しません。
本誌でも、幾度も、私が精密な計測結果を示してきましたように、わが国の経済では、きわめて巨大なデフレ・ギャップが発生・累増してきたまま、居座っており、今もなお拡大し続けています。
このデフレ・ギャップは、マクロ的な「生産能力の余裕」にほかならないわけですが、その規模は、現在、潜在的な実質GDPに換算して、年額400兆円にも達しているほどに膨大なものになっています。
つまり、この超膨大な「生産能力の余裕」が有るあいだは、総需要が増えるのに応じて、諸商品の生産・供給量もどんどん増加しうるわけです。
したがって、ハイパー・インフレ的な超大幅な物価の高騰といった事態には、ぜったいに、なりません。
まさに狂気のさた
すなわち、「ハイパー・インフレが起こるからダメだ!」と言っている人たちは、私やスティグリッツ教授、藤井厳喜氏などが提言しているような「国の貨幣発行特権」の政策的な発動によって、わが国の総需要が、現在の年額約500兆円から、突如として年額数千兆円、あるいは、そのまた十数倍ないし数十倍の、「兆」の一万倍の「京」(けい)という単位で表して、年額数京円ないし数十京円といった天文学的に超膨大な額にまで飛躍的に増加し、諸商品の生産・供給がそれに追いつけず、物価が数十倍、数百倍にも暴騰することになると想定しているわけです。
私が提案している景気振興策は、「国の貨幣発行特権」という「打ち出の小槌」を財源調達手段としたケインズ的財政政策によって、年額40〜50兆円程度の有効需要を政策的に経済に追加注入し、それからの乗数効果で、その2〜2.5倍に所得が増えると見積もって、2〜3年ほどのあいだに、少なくともGDPを100兆円ぐらいは増加させようという程度のものです。
この100兆円のGDP増加から生じる現金通貨の流通量の増加も、10兆円ぐらいのものです。
その程度のことで、数千兆円あるいはその十数倍ないし数十倍にも達するほどの超膨大な総需要の拡大が誘発されるなどといったことは、金輪際ありうることではありません。
この程度の政策を10年続けても、まだ、インフレ・ギャップは発生しませんから、大丈夫です。
実は、私自身は、日本経済における乗数効果の乗数値が、上記で言及したように2〜2.5であるということを実証ずみです。
しかし、現在、わが国のエコノミストたちの多くは、わが国経済の乗数値が1.0を割っているとさえ考えているのが現状です。
であるというのに、ハイパー・インフレ論者たちは、日本経済における乗数効果の乗数値を100以上とか1000以上といった、まったくありえない桁外れに大きな数値として想定しているわけですから、まさに狂気のさたです。
しかも、「総需要拡大政策などやっても、カネはみな貯蓄されてしまうから、効果はないよ!」などとうそぶいているような人ほど、ハイパー・インフレーションの脅威を言いたてていることも多いのですから、ますますもって、精神異常です。
国債の大量償還でも過剰流動性を避けうる秘策
問題は、むしろ、数百兆円にもおよぶほどに累積されてきた既発の国債を、「国の貨幣発行特権」という「打ち出の小槌」で償還する場合でしょう。
国内投資家が、償還を受けた資金で、工場やビルディングを建てるといった実物投資をするならば、それは、需要面でも、生産面でも、わが国経済の進歩・発展に役立ちます。
また、この資金が、株式や社債の購入に向けられた場合も、それは、間接的にではありますが、わが国の経済の発展に寄与することが多いでしょう。
しかし、そのような国債償還によって民間が受け取った巨額の資金の多くが、経済の発展に役立つような有利な投資機会を見出すことができず、過剰流動性となって、ただ投機的なマネー・ゲームにだけ投入されるといった事態となることは、望ましくありません。
そのような危険性に備えて、政府は、この「打ち出の小槌」財源を利用して、円高の防止をも兼ねて、あらかじめ、米国など諸外国の公債や社債などを大量に購入しておき、そのような外国債との等価交換で、国内投資家から既発の日本国債を回収(その代償として、国内投資家には外国債を渡す)すればよいのです。
この方法を、適宜、併用していくことにすれば、わが国内で巨額の過剰流動性が発生する危険を避けながら、大量の既発国債の償還をスムーズに進めていくことができるはずです。
このことも、私が、かなり以前から提言し続けてきた秘策なのです。
以上
丹羽春喜日本経済10%成長論