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(回答先: 第41回 イラク“3兆ドル戦争”がアメリカにもたらしたもの (2005/08/22) 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 20:20:32)
第42回 ザ・タイムズ紙の豹変に新聞の来るべき未来を見た! (2005/08/25)
http://web.archive.org/web/20051226002900/nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050825_shinbun/
2005年8月25日
イギリスに来ていちばん驚いたのは、「The Times(ザ・タイムズ)」紙の変貌ぶりだ。
オーストラリアのメディア王、ルパード・マードックが同紙を買収してから、「世界一のクオリティペーパー」といわれていた同紙がタブロイド版になり、内容も大衆化するなど、すっかり変わってしまったと聞いてはいたが、まさか、これほど変わってしまったとは思いもしなかった。
マードックに買収されたザ・タイムズ紙の変貌
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たとえば本日(8月23日)の同紙である。題字のすぐ下にあるカラー写真付きのトップ記事のタイトルが、「OZ(オージー)ダイエット いかにして12週間で体重を減らすか」というオーストラリアで開発された新しいダイエット法の解説である。
これは写真とタイトルだけがトップに派手にのり、本文はずっと後の中折りの中にある。
もうひとつトップで大きな写真付きの記事で大きく紹介されているのが、いまなお活発な活動を展開しているローリング・ストーンズのミック・ジャガーのことである。彼はすでに62才になり、グループ全員の年を足すと245才になるという。それでもこれから世界ツアーに出かけ、今後18カ月間に、35回のコンサートを開く予定という。これも頭にあるのはほんの短い紹介で、記事の本文は、ずっと後の21面にのっている。
1面に活字でタップリ書かれた記事らしい記事は一つだけなのだが、その中身は、イギリスにある13万軒のレストラン、パブ、クラブの営業時間が、これから真夜中まで延長され、週末には午前2時まで延長されるという記事である。
政治も、経済も、国際関係も1面からは完全に消えてしまっているのだ。
これがかつて世界一のクオリティ・ペーパーといわれた「ザ・タイムズ」かと唖然とした。
しかし、それでも、内側のページを繰っていくと、活字のページがしっかりある。
「ザ・タイムズ」とならんで、世界のクオリティペーパーの代表格だったアメリカの「ニューヨーク・タイムズ」にしても、もともと広告のページが相当多いとはいえ、活字のページがしっかりあり、内容もしっかりある。
新聞がメディアのトップにあった時代はすでに終焉
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それにくらべて、「ザ・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」とならんで「世界の三大クオリティペーパー」と自称していた日本の「朝日新聞」(ちなみにこんなことを主張していたのは日本の朝日新聞だけで、よその国の人は誰もそうとは思っていないだろう)はどうかというと、最近は情けなくなるほど、紙面の質が落ちている。
全面広告がやたらにあって、読むところが少なすぎる。手近の新聞をかぞえてみたら、全36面のうち、全面広告ないし全面が広告で埋めつくされた面が 10面あって、その他、3段〜7段の広告を足しあわせると、約6面あって、要するに半分近くは広告だ。それに私は、スポーツ欄、テレビ欄、株式欄、家庭欄、投書欄を一切読まないので、読むページが本当に少ない。広告がたくさん入るのは結構なことかも知れないが、読者としてはそれに紙面の充実がともなわなければ、思わず「金返せ!」といいたくなる。
next: 活字の量が落ちただけでなく…
http://web.archive.org/web/20051226002900/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050825_shinbun/index1.html
活字の量が落ちただけでなく、紙面の質が驚くほどおちている。そのあたりが、ニューヨークタイムズとはまるで違うところだ。
質が低下しているのに、購読料金が高すぎることもあって、私はかなり前から、もう朝日新聞をとるのはやめようと、何度となく思いつつ、長年の習慣でなんとなく取りつづけてしまっている。
前は新聞を読まないと時代に遅れると思っていたが、最近のように海外にいる日が多くなると、日本のニュースはインターネットで読むのが中心の日々がつづく。そのうち日本のニュースはネットで読むだけで十分ではないかと思うようになってきた。
実はかなり前から、大学生で新聞を毎日きちんと読む人は完全に少数派になってしまっている。
東大で前から年1回はジャーナリズムについて教える講座を持っているため、毎年その場で簡単な調査をしているが、もうこのトレンドは完全に固定している(ほとんどの学生がニュースはテレビとネットで知るのだ)。この傾向は東大だけでなく、他大学でも同じだと思う。
大学生の質が低下したのではなく、新聞はニュースが遅い上に、内容の質が低下したために、大半の学生が読む必要を認めなくなっているのだと思う。
日本の新聞人たちは、いまでもほとんどの人が、メディアのトップは新聞だと思っているし、ちょっと古い一般社会の有力者たちもそう思っているようだが、実は新聞が「社会の木鐸」といわれ、メディアのトップにあった時代はすでに終わっているのではないか。
大学生が捨てたメディアが「社会の木鐸」でありうるわけがないではないか。
海外に比べてネット対応が遅れる日本の新聞社
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「asahi.com」は、インターネットでよく読まれているようだが(私もよく読む)、「CNN.com」などと比べると、ニュースの量も質も驚くほど低い。インターネットのページの作り方もまるで水準が低い。
それでも「asahi.com」が他紙のページにくらべると、まだましといえるのは、海外のメディアのインターネット対応にくらべて日本のメディア全体のインターネット対応が驚くほど遅れているため、その中では朝日が少しはマシというだけの話で、グローバルスタンダードとくらべて、「asahi.com」が特にすぐれた水準にあるということでは全くない。
私は朝日新聞に知り合いも多いが、たいていの人が、朝日はメディア大変貌の時代にすっかり乗り遅れてしまったのではないかという危機感を持っているようだ。
いつまで新聞の購読をつづけるか、もう一回迷ってみようと思う。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月から東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
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