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(回答先: 人材派遣業はありますよ 投稿者 まとおせ 日時 2008 年 6 月 06 日 14:44:38)
まとおせさん、こんにちは。
横レスにて失礼いたします。
>人材派遣業はありますよ。
人材派遣会社大手のテンプスタッフ(株)は現社長の篠原欣子氏がオーストラリア留学時に知った人材派遣ビジネスを基に創業したものであることは周知の如くです。
しかし、Temporary(一時な)雇用は何も英国や米国に限ったことではなく、江戸時代にもあり、明治の後期に至るまで殆どがそうした雇用形態であったようです。例えば有名な「帳元」(=派遣元)では日本橋の“西川”(現在は寝具の販売が主体)がありますが、抱えている畳職人、建具職人を請負元に派遣したり、或いは自らが普請の請負元となって彼等を使ったりしていました。
>正社員という言葉、つまり、「雇用契約期間を固定しない」で、人材を雇用することですよね。
一般的に就業規則には「定年」が明記されていますので、「雇用契約期間を固定しない」ことは正社員の構成要件の中では必須ものではありません。寧ろ、正社員の正社員たる所以はとくに日本の会社法において、法人の“構成員”であると規定されている点にあります。
>スペシャリティがあるから、出世の見込みがなければ、他の会社にうつる。出世の見込がなくても居心地がいいから、あるいは、ほかにいくところがないから、残る。自分の決断力が求められますね、日本人の不得手なとこです。
日本の企業が求める人材として、スペシャリティのあるゼネラリストが持て囃されるように、ゼネラリストの養成に力点をおいた人材育成の方針には、ここ何十年来あまり大きな変化はないようです。ただし、このゼネラリストの定義が甚だ不明確で、単に調整役としての機能が重要視されたものと謂えなくもありません。また、スペシャリティもどの程度のものか、非常に曖昧です。
>新卒を雇い入れて、それを、人事だ、営業だ、支店だ、とまわすことはないようです。日本のように、総合職だとおだてられて、スペシャリティを創らせないで、その会社で生き残る以外ない人間をつくってしまう。
これまで日本企業では社員にたいし殊更スペシャリティを求めて来なかったことが、反面では職掌の流動化を齎したと謂えると思います。その功の大きなものは、自動化が進んでもそれに解雇が伴なわずに、労働力の他の分野への転用が円滑に進んだという点でしょう。罪としては、まとおせさんのご指摘にもありますように、企業を離れては通用しないような、その程度のスペシャリティしか身につけられないということにあります。
>日本人は、日本的な伝統的な雇用システムの悪いとこを残したまま、新自由主義の悪いとこだけ押し付けられて、あたらしい、「非人間的な雇用システム」を、創出してしまったと思います。
日本型雇用システムの長所はワークシェアリングにあると考えています。それは先にも触れましたように、広義には帳元制や港湾での荷役作業の口入れ屋等、古くから行なわれて来ていますし、狭義には業務を分担、或いは補助し合う体制がつくられています。しかし、特に後者は本国の管理体制が強い外資系企業では殆ど見られない現象と謂ってもよいでしょう。例えば米国人の社員は自分で多くの仕事を抱え、時には外部委託してまでも仕事の達成に拘ります。そうでないと己の能力のパフォーマンスを疑われ、クビになることを恐れるからに外なりません。日本人の社員とは違い、彼等は同僚のサポートの申し出をあまり有り難く思ってはいないのが実態です。
成果主義の導入は必要だと思いますが、個人に関わる事柄の全てを数値化(貨幣に換算)することや6ヶ月以内の短期の目標設定には反対です。おそらく、個人の成果達成のためには少なくとも2年間、スペシャリティを身につけるためには3年以上の時間を要すると考えます。前者に関して謂えば、20年前頃までは上場企業の多くがその程度の度量は具えていたと想われるのですが、今は随分と世知辛い風潮になってしまいました。
Auf Wiedersehen.