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(回答先: ユーラシアの地政學 ― 「ユーロ・アトランテイツク」形成の條件 投稿者 石工の都仙臺市 日時 2008 年 11 月 30 日 02:59:56)
露西亞の課題
NATO/露西亞統合會議(JNRC)によつて公式化した新生露西亞とNATOおよびEUとの絆の形成は、延び延びに成つてゐる對歐羅巴友好路線の採用と云ふ、露西亞のポスト帝國主義的決定を促す效果をもつかもしれない。露西亞がG7/G8の正式のメンバーとなつたいま、また、其の枠組み内で米國、露西亞、歐羅巴の主要國からなる特別安保委員會が組織される可能性を祕めた歐洲安保協力會議(OSCE)の政策決定メカニズムの高度化を、歐羅巴の攻治・軍事的協調をめぐる露西亞側の建設的なエンゲージメント(穩やかな關與)を促す方嚮で作用させなければならない。既に實施されてゐる歐米諸國による經濟支援、そしてとくにコミユニケーシヨン・ネツトワークを中心とするインフラ投資ともに、かうしたステツプが露西亞と歐羅巴の、親近感を大いに高めるだらう。
とは云へ、ユーラシアに於る露西亞の長期的な役割は、此の國が自らをどのやうに定義するかによつて左右されるだらう。歐羅巴と支那が地域的な影響力を強めてゐるとは云へ、露西亞は一〇もの時差をもつ世界最大の士地所有者であり、米國、支那、そして擴大歐羅巴でさへも、露西亞の前には影が薄い。(ソビエトの解體と新生諸國の獨立によつて)領土の一部を失つた事が、露西亞にとつての中核的な問題と云ふわけではない。寧ろ露西亞が正面から見据ゑるべきは、歐羅巴と支那が既に經濟的により力をつけ、社會的近代化と云ふ面でも支那にさへ遲れをとつてゐると云ふ事實である。
かうした状況下、露西亞は其の最優先課題を、自國の近代化に定めるべきで、グローバル・パワーとしての地位を取り戻さうとする不毛な試みに置いてはならない。此の國の規模と多樣性を考へた場合、政治システムの分權化と市場經濟システムこそが、露西亞民衆の潛在的創造力を引き出し、此の國の厖大な天然資源をうまく活用する方嚮に導ける可能性が高い。
事實、歐羅巴・露西亞、シベリア共和國、そして極東露西亞共和國によつて構成される緩やかな共和國聯合としての露西亞のはうが、近隣諸國との緊密な經濟關係を築きやすい筈だ。其の場合、此れらの共和國は、數世紀に及ぶモスクワ管理の官僚支配のくびきから解き放たれ、領土内での創造的潛在力をうまく引き出せるやうに成る筈だ。更に、露西亞が分權化されれば、其の行動が帝國主義的動員によつてつき動かされる危險も低下する。
新生ポスト・ソビエト諸國が活力を保ち安定を維持すれば、露西亞が其の帝國的過去と訣別する可能性は更に高まる。彼らが活力をもつてゐれば、殘存する帝國主義への誘惑に露西亞がとらはれる危險もやわらぐからだ。したがつて、新生諸國への政治・經濟支援は、露西亞を全ユーラシア的協調システムに組み込んでいくと云ふ大戰略の一部でなければならない。アゼルバイジヤンやウズベキスタンのやうな戰略的に鍵を握る諸國への支援同樣に、此の政策に於ては、ウクライナが主權國家として存續する事がきはめて重要に成つてくる。
中央亞細亞へのアクセスをしだいに確保しつつある大規模な國際資本は、新生諸國の獨立國家としての基盤を強化してゐるだけでなく、ポスト帝國主義時代の民主的露西亞にも恩恵を與へてゐる。此の地域の資源が開發されてゆけば、さらなる繁榮が齎されるだけでなく、人々の安心感・安定感を大いに高め、バルカン的な紛爭發生の危險を低下させるだらう。
更に、此れらの地域の發展は、經濟的にまだまだの状態にある隣接する露西亞聯邦の諸洲を刺戟すると思はれる。此の地域の新リーダーたちが、露西亞との緊密な經濟關係をもつことの政治的歸結に懸念を感じる事もしだいになくなつていくだらう。さうなれば,非帝國的露西亞が、たとへ(強制的な命令を下す)帝國的な支配者がゐなくても、此の地域の主要な經濟パートナーとして受け入れられていく可能性も十分出て來るだらう。
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