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――地球温暖化問題について、企業や企業人としての役割をどう考えているか。
東京大学名誉教授 宇沢弘文 氏
http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/interview/070727_uzawa/index.html
宇沢氏(以下、敬称略): 地球温暖化問題について、日本の企業の指導者に特に注文をつけることはない。ただし、経営者というのは個人ではなく、非常に公的な立場だ。企業はすべて社会的共通資本で、そうした大事なものをあずかっているのだから。単なる儲けだけではなく、より大きな長い目で見て、みんなが安心して生活できるような場をつくるといった高い志で、日本の経済や社会の危機を乗り越えてほしいと期待したい。温暖化対策は、日本にとっても一番大切な問題だと思う。
温暖化問題を解決するのは、個人のライフスタイルのあり方ではなく、やはり政府の政策にかかっている。特に日本の経済は自動車に完全に依存している。そこをどう変えていくかが重要だろう。
例えば欧州ではEU(欧州連合)が中心になって、都市のルネサンスを始めている。もっと伝統的なヨーロッパの生活や文化に変えていこうという大きな運動で、環境面の問題は戦後のアメリカ的な都市開発が一番大きな原因だという認識に立っている。そこで町の中心には自動車を入れず、主な都市では鉄道と路面電車を利用している。
欧州は町づくりから見直し
最も典型的なのはフランスのストラスブールで、町の真ん中から自動車を追放して、路面電車とバスのネットワークをつくった。初めは商店街は反対したが、始めてみたら町が活性化した。ストラスブールは大学町で、周りに非常に豊かな緑がある。すると、みんなが町を歩くようになって、喫茶店や本屋が繁盛するようになり、昔の文化的雰囲気が戻ってきた。
――かつて、温暖化対策として炭素税の導入を提唱していた。
宇沢: 排出する炭素に一律に課税すると、発展途上国はやっていけない。そこで1991年に、1人当たりの国民所得に比例させて課税する「比例的炭素税」を提案した。当時、日本や米国は炭素1t当たり150ドルくらいになるが、例えばバングラデシュは2ドル程度で済む計算で、これならどの国でも参加できる。
ところが炭素税自体は、米国の強い反対があって京都議定書の議論のテーブルには載せられなかった。当時の西ドイツの環境大臣は全面的に賛同してくれたが、東ドイツとの合併があり実現できなかったという経緯がある。
ただし、都市のつくり方や経済的な仕組みがあまりにも石油に依存し過ぎている現状を変えるには、やはり炭素税、ないしはそれに準ずる税しかないと思う。それが、これからの世界の大きな流れになると考えている。
宇沢 弘文(うざわ・ひろふみ)氏
1928年鳥取県生まれの78歳。
51年東京大学理学部卒業。
スタンフォード大準教授やカリフォルニア大学助教授を経て、64年シカゴ大学教授。 80年東京大学経済学部長。
2003年から同志社大学社会的共通資本研究センター シニア・フェローを務める
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