★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評6 > 344.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007090490072308.html
2007年9月4日 07時23分
米カリフォルニア州バークリーの住宅。マルコス・モーリツァス(35)は短パンによれよれのシャツ姿で座っていた。
「最近、政治家たちがうるさくって。おれは会わない、会ってもしょうがないといってるのに」
政治家たちが、このどこにでもいそうな若者に面会したがる理由−。それは、50万人の読者を有し、政治に絶大な影響力を持つインターネットのブログ「デーリー・コス」の主催者だからだ。
中米エルサルバドル移民の家庭出身で兵役後、ネット関連技術を独学。「ワシントンが最も恐れる男」(メディア関係者)といわれる彼だが、5年前は定職を持たない1人のブロガーにすぎなかった。
当時、自分の名マルコスにちなんだブログ「デーリー・コス」を書き始めたのは、既存政党やメディアへの不満から。米中枢同時テロ以降、「政権批判は愛国的でないとみなされ、野党の民主党も新聞もブッシュ大統領に何もいわなかった」。
イラク戦争についても民主党やマスコミは強い疑問を呈さず、開戦を容認。こうした中でマルコスはイラク戦への反対や政権批判を展開。反戦派やリベラル派のよりどころとして読者を急速に増やしていった。
人々を吸い寄せる「磁石」になったのはサイト内に設置した「ダイアリー(日記)」機能。だれでも自分のブログを開設でき、書いた記事の人気が出れば、目立つ位置に置かれる。主婦や学生から法律家、科学者まで投稿者は急増。外交、地球温暖化、選挙や議会の動きまで知恵や情報を持ち寄り発信するリベラル派の巨大なネットワークに成長した。
政治家が何より恐れるのは、彼らが「行動するブロガー」であること。昨秋の中間選挙では、資金や票集めで威力を発揮し、多数の無名民主党候補を当選させた。また、大統領候補といわれた共和党議員ジョージ・アレンは、差別発言のビデオを同ブログに掲載され落選の憂き目をみた。
「デーリー・コス」が先月初め、シカゴで開いた年次集会でも影響力は浮き彫りになった。上院議員のヒラリー・クリントンはじめ7人の民主党大統領候補者が駆け付けたのだ。対話集会で、クリントンが業界団体やロビイストの献金を今後も「受け取る」と答えたのに対し、参加者1500人が一斉ブーイング。大統領選トップを走るクリントンも厳しいブロガーの前では形無しだった。
集会に参加した元高校教師マイク・アイルランド(60)は「まるで1960年代のベトナム反戦運動のようだ。何かが動きだしている」と話した。
「『デーリー・コス』は自分の力じゃない。こうした1人1人のパワーなんだ」と、マルコスは力を込めた。
◇ ◇
「みんながトーマス・ペインになれる時代がきた」と評論家ジェフ・ジャベス。18世紀、ペインは米国の英国からの独立の正当性を訴える冊子「コモンセンス(常識)」を、だれもが出版を拒む中、知人の工場で刷って配布、独立機運に火をつけた。今、ネットにより市民1人1人が印刷機を得たように自分の意見を大勢に伝えることが可能になり、政治の停滞を変える起爆力になるというのだ。
一方で、シカゴ大の憲法学教授キャス・サンステインは警告する。
「人々は自分の声のこだまを聞くようにブログでは聞きたい意見しか聞かない傾向が強い。民主主義が危うくなる心配もあるのではないか」
× ×
インターネットで、だれもが不特定多数に向けて情報発信できるようになり、ブログなど「個人発」のメディアが、既存のマスメディア、政治や社会を揺るがす存在となった。米国の“革命”最前線を探った。=敬称略(バークリーで、池尾伸一、写真も)
(東京新聞)
▲このページのTOPへ HOME > マスコミ・電通批評6掲示板
フォローアップ: