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(回答先: 思い出と感想。影の闇さん、久しぶりに貴方の投稿を見られて良かったと思います。 投稿者 松浦 日時 2007 年 10 月 15 日 10:20:58)
ご存知、「共産党宣言」冒頭の、書き出しの部分を捩ったものです。
「一つの妖怪がヨーロッパを徘徊している、――共産主義の妖怪が。旧ヨーロッパのあらゆる権力が、この妖怪にたいする神聖な討伐の同盟をむすんでいる。」
共産主義をテロリストにヨーロッパを世界に替えると現在の状況になると思われませんか? 違いは、前者の場合、当時自ら「共産主義者」と名乗る人達は大勢居たでしょうが、後者の「テロリスト」と自ら名乗る者は多分一人も居ない、ということでしょう。
つまり、名指す側からの一方的な都合で命名されている、しかもそれ自体に<断罪>の意図が込められている。 これは、日本のかっての「非国民」や東側及び左翼陣営の「反革命」という言葉の使われ方と同じもので、国家的統合や同志的結合など、一体化を破壊する要素を対象に見ている、ということなのでしょう。
現実の「対テロ戦争」については、先にも述べたアメリカの(地政学的)戦略に基いた要因(これにはアフガンでの各国の配置に見られる、シーパワーとしてのものも含む)やNATOの参加にも現れてるように、ミャンマー問題と同じく、対中国を睨んだ上での、西欧と利害を共有する「文明の衝突」的要因等在ります。
しかしながら、それだけが「対テロ戦争」なのか?というと、無論それだけではない。
何故なら、その標的である中国やロシアにしても、同じく「対テロ」を正面に掲げているからです(SCO=上海協力機構)。 <仮想敵>同士が同じ旗を掲げてるーそれは、どちらにおいても、同じ要因を抱えているからでしょう。
即ち、中国やロシアにとってもイスラムは国家的統合を破壊若しくは阻害する要因であるー中国やロシアにとっても「テロリスト(=イスラム過激派)」は便利な符牒なのです。
言うならば、事実上、「イスラム過激派」を<敵>とする「対テロ戦争」に同意し、いやでもその旗の下に付いて行かざるを得ない状況がある、ということです。
ちょうど、<冷戦>が、ソ連をジュニア・パートナーとする、ヨーロッパの支配=管理がその真の目的であったにも拘らず、欧州が受け入れたのも、それが<近代>(国民国家を基本とする秩序)の延命(=隠蔽)装置であったこととそれは同じ。
言わば、近代国家(国民国家)解体期における同じ要因によって、相対立する双方から支えられている、それが「対テロ戦争」の本領なのです。
もう一度、「共産党宣言」を捩ると、
旧世界(国民国家)のあらゆる権力が、この妖怪にたいする神聖な討伐の同盟をむすんでいるー冒頭の部分で、近代国家(国民国家)の寿命というか、運命と深く結び付いていると言った所以です。