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近代終焉の意味
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投稿者 松浦 日時 2007 年 10 月 22 日 05:32:05: nX3mGLaD7LQUY
 

(回答先: Re: 一つの妖怪が世界を徘徊している――テロリストの妖怪が 投稿者 影の闇 日時 2007 年 10 月 20 日 23:16:11)

ここでは字数の関係で雑なスケッチにならざるを得ないので、貴方と論の立て方が異なる点について、相互理解を図るまでにはいきませんが、(もっとも、口頭なら可能ですが、)多少の齟齬は気にならない程度の共通したセンスを感じます。
近代と歴史総体との関係についてまで、詰めた議論をしたいのですが、近代体制の終焉という点では一致します。ただそれは、ポストモダンではありません。肝心の物象化の概念は、一般には理解が困難ですから、それを避けて説明せざるを得ませんが、歴史的世界は、余剰収奪の高度化という点だけを見てもリニアな構造を持っています。繰り返しでもなければ、周期性も無いわけです。近代世界の終わりは、余剰の線形的増大の限界点を意味していますから、単に近代のみならず、人類史の行き詰まりでもあります。ちなみに、余剰とは、厳格かつ完全に定義すれば、「他者に所有される人間労働力」です。完全過ぎる定義で、全ての議論を乗り越えたものですから、大変深い意味を持っています。理解すれば、歴史的制度の根底を覗き見ることが出来る上に、無数の再発見が経験できます。

イスラム世界は、先住民世界(権力と階級制の存在しない、したがって、余剰による再生産に依存せず、成長を必要としない「伝統社会」)や、13世紀以前の中世ヨーロッパ社会と同様に、余剰の拡大を求めません。俗に言う意味で「豊かな社会」を追求してはいないのです。その意味で、欧米日などの資本主義諸国やロシア・中国とは、明らかに異質な存在です。別の表現をすれば、来るべき、余剰拡大の限界点の影響を乗り越えて、未来に復興する勢力であるわけですから、滅びゆく体制から見れば、存在自体に圧力を感じるわけです。
そもそも、彼等はエネルギー確保の欲求さえ持っていません。それは何も、石油の海の上に生活しているからではなく、世界観が異なるからです。本来無頓着な社会が石油の上にあったが故に、それを必要とする背徳的世界の蹂躙を受ける事になるというのは、歴史の為す不条理なのか、神の深遠な意図なのか。結局、先鋭な抵抗者となっていくわけです。南米の先住民精神の復興過程で、ベネズエラがリードしているのも必然ですし、チャベスとアフマディ・ネジャードが握手し合う事には、現在の国際政治を越えた、人類史的意味があります。タリバンが、公式に資本主義批判をした時には、私は敢えて注意を促しました。この世界で、国家の政権を握る勢力が資本主義を否定するという、突出した行為は、イスラムの何たるかを世界に示していると同時に、世界の支配勢力による抹殺の必然をも意味していました。

(テロという言葉は、安易で品位の無い習俗による命名物ですから、この意味で使用すべきではありませんが、)
妖怪。マルクスが、未来の主体となり、世界を呑み込む存在になると信じて使った言葉ですから、尊重はしますが、こちらの方が、非歴史的という意味で、歴史世界の前と後、永遠の過去と未来を結ぶ、本来的に大きな自然的存在ですから、歴史発展に依存する共産主義よりも、遥かに保障されているといえます。その意味で、歴史を持つ社会と持たない社会があるという彼の言葉は、経済人類学の言う、経済を持つ社会と持たない社会があるという表現と呼応して、実質的にも原理的にも同値に重なっていますから、物象論を基礎に置きながらも、その不徹底ゆえに、歴史主義の相対論に傾斜したマルクス自身の意図を超えた重い意味を持っていると考えられます。

(人類史についての厳格な定義は、物象化の不可逆現象です。歴史はそれのみで構成されていて物象現象以外の何物も含みません。ピュア100%物象現象のみで、遺漏する要素は何もないということです。また、体系消滅の物象現象は自然には無く、歴史的世界のみに存在しますから、逆も完全に成立します。即ち、これは完全な定義というわけです。そして、この世界は不可逆的であるが故に、明確な始まりと終わりが存在し、これを正確に定義することもできます。好ましい事に貴方は哲学を学ばれた経験がありますが、悲しいかな私はこれについては専業で、厳格な議論を始めると一方的で会話が成り立たなくなっていきますので、少しずつ、双方の方法の背景を勘案・尊重しながら話を進めていきたいと思います。学問的蓄積は、人生と人格そのものですから、相互に尊重し合うのは当然のことです。)

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